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2018年06月06日 消費者問題に関する特別委員会にて消費者契約の取り消しなどについて質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

第196回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 006号 2018年06月06日

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
まず、福井大臣に確認をさせてください。衆議院本会議での大臣答弁を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
大臣は、五月十一日、衆議院本会議で、高齢者であっても、契約の目的となるものや勧誘の態様との関係で本要件に該当する場合があるとおっしゃっていますが、それでよろしいですね。

○国務大臣(福井照君) 五月十一日の答弁はそのまま維持をさせていただきたいと存じます。

○福島みずほ君 続けて。
霊感商法のように勧誘の態様に特殊性があり、積み重ねてきた社会生活上の経験による対応が困難な事案では、高齢者でも本要件に該当し救済され得るということでこの答弁はよろしいですね。

○国務大臣(福井照君) あえて繰り返しませんけれども、今先生が読み上げていただいたとおりでございます。

○福島みずほ君 更に確認させていただきます。
霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当し救済され得る、悪徳事業者との関係では被害者の救済に差はなく、本要件が被害者の分断を招くなどして消費者保護に逆行し、悪徳事業者を利する結果とはならないということでよろしいですね。

○国務大臣(福井照君) そのまま維持をさせていただきたいと存じます。

○福島みずほ君 更に確認をさせてください。
本要件を設けたとしても、消費者委員会において検討されてきた被害事例は、高齢者の被害事例を含めて基本的に救済されるということでよろしいですね。

○国務大臣(福井照君) さようでございます。

○福島みずほ君 衆議院の本会議での大臣答弁を確認をさせていただきました。
社会生活上の経験などについてお聞きをいたします。
大臣、痴漢などの啓発が、以前は、二十五年以上前は、気を付けよう甘い言葉と暗い道だったんですが、二十五年ぐらい前に、痴漢は人権侵害です、関西では、痴漢はあかん、痴漢はいかんと変わったんですね。これは何が変わったと思われますか。

○国務大臣(福井照君) ちょっと今にわかにお答えする能力を持っておりませんでしたけれども、今御指摘の点は、まさに社会が進化しているその過程においての女性の人権の位置付けが、そのワーディングにおいて変わってきたものと考えております。

○福島みずほ君 これは、被害者に対して警告を発していたのが、加害者に対して警告を発するようになった。性暴力においてパラダイム転換が行われたのだと思います。
気を付けよう甘い言葉と暗い道。タンクトップでミニスカートで真夜中ひょこひょこ歩いているから痴漢に襲われるのだ、あなたに落ち度があったんでしょう、甘い言葉に引かれたら駄目でしょう、あなたに落ち度があったんでしょうと被害者に対して警告を発していたのが、違う、痴漢は人権侵害です、痴漢はあかん、痴漢はいかん。要するに、加害者に対して警告を発するようになった。被害者の落ち度を問題にしないというパラダイム転換が、この日本でも二十五年前に行われたのだと思います。
私が法案第四条第三項第三号並びに第四号にある社会生活上の経験が乏しいということにこだわるのは、これって被害者のことを問題にする。被害者が社会生活上の経験が乏しいかどうか。いや、あなたサラリーマンで、もう社会人になって十年たって二十年たって被害に遭ったなんて、そんなのおかしいですよ、あなたは主婦で、でも、NGO活動をやっていて、PTA活動もやっていて、子育てして、十分社会生活上経験を積んで、十八歳の若者と違うんだから、あなた、これだまされて、あなたに落ち度があるんでしょう、そういうふうになっちゃうんじゃないか。いかがでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) 痴漢の例について御説明いただきまして、私も初めて聞いたので今理解した限りでございますが、基本的に被害者の落ち度を問題にしていたのから加害者の方に力点が移ってきたということだと思います。
私どもの、社会生活上の経験が乏しいことからというのは、ことからという、ことから過大な不安を抱いていることを不当に利用したという、事業者側の不当性を特定するために要件にしているわけでございまして、それは、社会生活上の経験が十分だけれども不安を抱いている場合に付け込んだ場合と、不十分な、特に若い人が多いということと、若い人でなくてもそれに相応する人がいるわけですけれども、そこに付け込んだ場合はやはり不当性、違うだろうという判断はしておりますけれども、いずれにせよ、被害者の落ち度を問題にしているわけでございません。そういう意味において、これはちょっと文脈が違うものではないかというふうに理解しているところでございます。

○福島みずほ君 だまされるのに、若いか高齢者か障害があるか認知症か、私は基本的に関係ないと思っているんですね。それはだます行為そのものがやはり問題であって、甘い言葉と暗い道と幾ら言ったところで、それは違うでしょうと思っているんです。
今の答弁で、ではやっぱり、若者や高齢者や障害のある人、認知症の人に付け込むのは、それは違法性が高いと。でも、今の答弁で、社会生活上の経験が乏しい乏しくないということがとりわけ事案で問題になるということはないという確認でよろしいですか。
つまり、悪徳事業者が、あなたサラリーマンでしょう、あなた四十歳でしょう、何寝ぼけたこと言っているんですか、社会生活上の経験が乏しいなんてちゃんちゃらおかしいですよ、あなた違うでしょうという、こういう言い訳は許さないということでよろしいですか。

○政府参考人(川口康裕君) 消費者が取消しを主張した場合に、事業者側がそういう反論をし得るということは想定しているところでございます。
ただ、悪徳事業者、善良な事業者、様々な事業者がいるわけでございますので、そういうところが問題になり得るということではございますけれども、私どもからしますと、これは、消費者契約法は民事ルールであるという側面でこれまで運用してきたわけですが、やはり事業者に、消費者だけじゃなくてですね、消費者が事業者に伝えたときに、事業者側がよく知っているという場合にスムーズに取消しに至るわけですが、客観的に取消しができる場合でも、事業者がそもそも理解していないと結構難航するというのが事実でありまして、そうだとしますと、そこから出てくる我々がやるべきことは、事業者団体、事業者側にこの条文の内容をしっかり説明することを一層力を入れていくということでございます。
これは、裁判に行けば妥当な解釈がなされるわけですけれども、裁判外の場で円滑な取消しが行われるためには、事業者に内容をしっかり理解させるということでございます。そういう意味において、正しく理解した事業者からは、そういう反論はしても無駄だろうということで、出てこないということを想定しております。

○福島みずほ君 消費者契約法とはそもそも何か。民法の特別法として消費者を守るためにある。いわゆる事業主に対して警告を発し、何をやったらいけないかということを明らかにすると同時に、被害者救済をするための法律であるというふうに思います。
だとしたら、被害者救済であれば、その人が社会生活上の経験が乏しいかどうかというのを重きを置いてはいけないというふうに思うんですね。取消し権があるかどうかというのをこれで左右してはいけないんじゃないか。
消費者庁は、消費者が被害を被るのは社会生活上の経験が乏しいためだと認識していますか。

○政府参考人(川口康裕君) 福島先生におかれましては、消費者契約法を最初に議論したときも御質問をいただいたことを今思い出しているところでございますけれども、そういう原点がございますので、必ずしも、消費者被害に遭う人というのは社会生活上の経験が乏しい人だけではございません。そういう意味において、事実と異なることを告げたということによって誤認した場合も当然救済されるという前提でございます。そういう前提があって、また過量取消しもありまして、そういうものがあって更に付け加えるという非常に難しいところになってきているわけでございます。
ですから、だました場合は当然救済されるべきだというのはそのとおりでございますが、だました場合というのは、当然、詐欺という民法もございますが、それに加えまして、事業者がとにかく事実と異なることを告げて売った場合はこれは取り消せるという大前提があって、そうすると、事実と異なることを告げたかどうかよく分からない場合まで救済しようというのが今回のものでございますので、やはりそこにはどういう形か、何らかの不実ということ以外の不当性を求めていくということで、やはり消費者側に社会生活上の経験が乏しいことから過大な不安を抱いているということに付け込んだような場合を要件にするということにならざるを得なかったということでございます。

○福島みずほ君 でも、民法の詐欺、強迫で救済できないからこそ消費者契約法ができたわけで、そして、先ほどの政府の答弁だと、社会生活上の経験が乏しいというのは別に客体に注目しているのではなくて、そういう状態に付け込んでということであれば、今後、その社会生活上の経験が乏しいというのはそれほど実は重きを置かないということでよろしいですか。

○政府参考人(川口康裕君) それほど重きを置かないということの意味が必ずしもよく分かりませんので、ちょっとにわかにお答えをできないというのが今の御質問に対するお答えになります。
要件はいろいろございます。ただ、やはり、事業者の勧誘の一定の不当性を類型化する中で、社会生活上の経験が乏しいことから願望の実現に過大な不安を抱いているような人を対象に消費者契約を結んだ場合につき、一定の場合、取消しができるようにするということで作ったものということでございます。

○福島みずほ君 私は、そもそもこの条項は、気を付けよう甘い言葉と暗い道なわけで、甘い言葉と暗い道に気を付けなかったあんたが問題で、あなたは社会生活上経験があるからそれを考えるべきでしょうと、やっぱり被害者のことを問題にする。私が悪徳事業者だったら被害者のことを問題にしますよ。
ということにならないように、私はこれは削除すべきだと思いますが、一万歩譲って削除できないのであれば、これをやはり効力、この言葉を非常に重きを置かないことが必要じゃないか。大臣、どうですか。

○国務大臣(福井照君) 今、初代消費者担当大臣として重いお言葉だと思います。
したがって、論理的な、社会生活上の経験が乏しいことから云々かんぬんという、その修飾語句としての意味付けでございますので、それだけではないということをもう一度整理させていただいた上で、具体の事例を含めた周知徹底について、今、先生のお言葉を重く受け止めながら、周知徹底を図らせていただければというふうに思います。

○福島みずほ君 ありがとうございます。
今日も矢田わか子さんの方からもありましたが、国民生活センターから資料をいただきました。平成二十六年一月二十三日に発表した報道発表資料、「婚活サイトなどで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売に注意」によると、契約者の平均年齢は三十五・一歳であり、特に女性、三十歳から四十歳代からの相談が集中する傾向があると見られています。ですから、割と三十代、四十代の女性がこのまさにターゲットになっていると。
婚活サイトで知り合った投資コンサルタントの男性を信じ、投資用マンションを契約してしまった。婚活サイトで知り合った男性とデートを繰り返し、税金対策、年金代わり、個人的に面倒を見ると言われて契約、その後、音信不通になる。旅行の約束までした男性から勧められ、よく分からないままマンション契約、解約を迷っている間にクーリングオフ期間を経過、よくあることですが、男性とは疎遠になってしまった。婚活パーティーで親しくなった女性に勧められ、マンションを相場より高く買わされた、これは三十歳代の男性の被害です。婚活サイトで知り合った男性を信じて、将来のためにとマンションを購入した途端、連絡が途絶えた、売却を考えたものの市場価値は半分だったという。
相談の特徴は、資金管理に詳しいと自称する相手が個人情報を詳細に把握して売り込んでくる、それから将来の生活設計をイメージさせて売り込んでくる、契約までの流れが手回しよく進んでいる、相場より高額で購入しているケースがあるという、極めて問題なんですね。
つまり、私が何を言いたいかというと、社会生活上の経験が乏しいということは、実は消費者被害にとって余り意味がないというか、また、国民生活センターの「国民生活」二〇一七年三月号の美容医療サービスにおける中高年者のトラブルの現状によると、契約当事者の平均年齢を年度別に見ると、二〇〇七年度が三十二・八歳であったものが、二〇一〇年には三十四・九歳、二〇一三年度には三十八・二歳と年々上昇傾向が見られる。また、美容医療サービスにおける四十歳以上からの相談の割合は、二〇一〇年度の三三%から二〇一三年度には四二%に増加し、その後も全体の四割程度で推移している。
このような傾向を消費者庁はどう受け止めますか。

○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
もう福島先生は大臣をお務めですから当然御存じなことで、申し上げさせていただくことをお許しいただければと思いますけれども、いろいろ国民生活センターで注意喚起をしているわけでございます。消費者の方でこういう手口があるから気を付けようということをまず呼びかけをいたします。
ただ、様々深刻な事例が多数発生いたしますと、私ども、法律的に何らかの手当てをしようということで努力をするわけですが、それは消費者契約法だけではありませんで、例えば、美容医療サービスにつきましては、昨年十二月に施行されました特定商取引法の施行令によりまして、これは医療でございますが、美容医療というのを、エステだけではなくて美容医療というものを特定継続的役務提供に追加をいたしました。この結果、契約書面受領後、一定期間内、これ八日間は無条件に解除ができる、いわゆるクーリングオフの対象にいたしまして、勧誘時の不実告知等を理由にした契約の取消しも可能にしたところでございます。
美容医療については、こういう形で、消費者契約法ではありませんけれども、これは、美容医療というものをしっかり定義をして、特定継続的役務提供に追加をするという努力をしたところでございます。
また、婚活サイトにつきましては、これもこういう事例があるということはかねてから承知をしております。これにつきましてはいろんな側面があろうかと思います。投資用マンションの勧誘に対して、恋愛商法というところに着目して取消しできるかどうかは今回の第四号に当てはまるかどうかということでございますけれども、その他、事業者が消費者に事実と異なることを告げていたと、あるいは利益となることだけ告げて不利益を故意に告げていなかったという場合については、あるいは将来必ず値上がりをして利益を得られるということを語っていたという場合には、現行の消費者契約法が適用されて取消し権が認められるという場合もあり得るというふうに考えている次第でございます。
一つ一つ国民生活センターの事例も拝見をして検討しておりますが、個別具体の事情をもう少し分からないと、具体の今申し上げましたような幾つかの取消しの可能性について結論を出すことはできないというふうに思いますけれども、一つの事案につきましてはいろんな側面がございます。いろんな側面のどこを切り出して類型化をして、何法で取消しまで持っていくのか、あるいはクーリングオフにとどめるのかということについては様々なやり方があろうかと思っておりますので、今回、取消しがなかなか難しい、さらに、課題であるというものにつきましては引き続き検討をしていきたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 でも、先ほど私が読み上げた、婚活サイトで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売のことでいえば、まさにこれはある意味、恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、勧誘を行う者をということにまさに当てはまるんじゃないか。
つまり、結婚してくれるかも、あるいは二人で将来とか、結局マンション買うぐらいですから、ある程度お金もあるので、ある程度社会経験もある、被害者は三十代、四十代の例えば女性が多いということであればですよ、これは社会生活上の経験があなたは乏しくないでしょうなんて言われたら、この救おうと思うデート商法や婚活サイトを利用した投資用マンションの売り付けなんか救済できないじゃないですか。
私は、できればそれ救済してほしいと思っているからこういう質問をしていて、社会生活上の経験が乏しい、これやっぱり余りここを重点化すべきでないのではないか。
先ほどちょっと大臣もおっしゃいましたけれど、この委員会でよく、この間も、前回も言いましたが、かぼちゃの馬車における、あれは消費者被害でないかもしれませんが、むしろ結構いい給料をもらっているビジネスマンが一億円以上の投資をシェアハウスでさせられてしまうという被害があって、私は、出会った消費者被害に遭っている人たちは、むしろ社会生活上の経験があり、そこそこお金を持っていて、にもかかわらず悪徳事業者がうまくだますという件が多いんですが、いかがですか。

○政府参考人(川口康裕君) まず、婚活サイトの例が四号に当たり得るかどうかということでございますけれども、社会生活上の経験が乏しいかどうか、これ若年者は当たり得ると。
中高年の場合はどうかということにつきましては、先ほど来答弁しているような内容を当てはめていくということでございますけれども、他者との交友関係ということは、当然社会生活上の経験が乏しいかどうかに関係するわけでございまして、結婚を誘われているということは、御本人は結婚をした経験がないということも十分あり得るわけでございます。結婚の有無等の経験も考慮され得るというふうに思いますし、また、そういうところに行かれる方は、独り暮らしで交友関係が希薄な場合なども十分多いのではないかと思います。そういう場合も社会生活上の経験が乏しいの要件を満たす場合になり得るということでございます。
その他、勤務状況がどうだったとか、そこの職種がどうだったかということも影響し得るわけでございますけれども、そういうことを含めて考えたときに、法四条第三項第四号で取消しができるという場合もあろうかと思います。
また、かぼちゃの馬車につきましては、これまた別の話でございまして、御本人が大企業に勤めてばりばり働いていようがいまいが、本件取引においては初めてであって、消費者契約法の消費者契約、消費者というのは、貸主、借り手だとか買主であるということは要件にしておりませんので、これは反復継続性が乏しい一回目の勧誘を受けたという場合には、消費者性を認定されて消費者契約に当たるということがあり得るというふうに考えているところでございます。

○福島みずほ君 婚活サイトでだまされる人は独身だろうから社会生活上経験が乏しいんじゃないかとか言っていただいたのは大変有り難いんですが、でも、そうすると、やっぱりその個人に注目する。
私は、人間って完璧なようで不完全で、ビジネスマンだと仕事に埋没していて意外と世間知らずかもしれないし、じゃ、子育てしていていっぱい経験があっても、でも知らないこともあるし、国会議員だって弁護士だって、どこか社会生活上、国会議員だって詐欺に遭うかもしれないわけで、十分遭いそうな感じがしますが。
ということで、この社会生活上の経験が乏しいということは、一つは、やっぱりこれ重きを置かない方がいい、私は削除すべきだと思っているんです。
それから、余りに個別事案でやると、やっぱりその相手方の特殊性、つまり、私が悪徳業者だったら、相手は社会生活上経験がありますよということの立証を一生懸命やると思うんですよ。年齢、学歴、キャリア、仕事、社会生活上の経験があるじゃないか、これで何で取消し権なんですかと実際言いますよ。とすると、ちょっと繰り返しになって済みませんが、是非それを救済する方向でお願いしたい。
社会生活上の経験が乏しいことからなどという規定は、消費者被害の実態からは全く乖離した認識であるばかりでなく、被害に遭った消費者の責任を負わせると同時に、悪徳事業者の責任を結果的に軽減してしまう規定にならないために、決意を大臣、お願いします。

○国務大臣(福井照君) まさに条文から直截的に、今大臣おっしゃるように、救えるという直截の答弁は今できないと思いますけれども、大切なことだとは思います。外形的に社会生活上の経験が乏しいと言えない場合でも救うべき消費者でいらっしゃるという方をいかに救うかということについて、大きな、そして重い課題として受け止めさせていただきたいと思います。

○福島みずほ君 気を付けよう甘い言葉と暗い道じゃなくて、こういう形で消費者被害を起こす側がおかしいのだと、そういう事業主に対する啓発や警告をやれば、この間も森参考人がおっしゃっていましたが、ほとんどの企業はちゃんとまともにしていると。悪徳のひどいのをきちっと取り締まる方が普通の企業にとってもいいわけですから、その点で、被害者に注目するのではなく、こういう行為をやめましょうと、婚活サイトを利用した投資マンションやるのはおかしいよとか、いろんなことをきっちり事業者に対して警告を発して、こういうことをやっても取り消されてしまうんですよということを是非実現していただきたいというふうに思います。
大臣がうんうんと言ってくださっているので、よろしくお願いします。どうですか。

○国務大臣(福井照君) 先ほど決意を述べさせていただいたとおりでございます。

○福島みずほ君 よろしくお願いします。
では次に、今日は修正案提出者の方も来てくださっていますので、政府あるいは修正案提出者の方から答弁をお願いいたします。
まず、願望実現必要性、関係破綻可能性、損失補償請求などの告示についてお聞きをいたします。
法案第四条第三項第三号の不安をあおり願望を実現するために必要であることの告知、タレント養成など、同四号の契約を締結しなければ関係が破綻することの告知、デート商法など、同八号の損失の補償を請求する告知、断るなら交通費を払えなどにおける告知は、全て明示の告知だけでなく、黙示の告知も入るということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) 政府案について関連するお問合せがございましたので、まず政府案についての解釈で申し上げます。
政府案に関連して、告げるということが要件とされているところでございますが、これについては、従来、消費者契約法の中にも告げるというのがございますので、これは必ずしも口頭によることを必要とせず、書面に記載して知らせるですとか、最近ですと電子メールで知らせるなど、消費者が実際にそれによって認識し得る対応の方法であれば告げるに当たるというふうに解釈をしているところでございます。

○福島みずほ君 では消費者庁にお聞きをしますが、破綻することになる旨を告げるということなんですが、これは、例えば現在の関係を続けるために必要だよなどと遠回しな言い方で行う場合も少なくないと思います。これを払わなければ君と別れるよという場合もあると思います。
ですから、このことを、破綻することになる旨を告げるという要件は実質的に判断されるべき要件であると考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) この告知でございますが、先ほど申し上げましたように、必ずしも口頭によることを必要としないということを前提にしておりますので、直接的に関係の破綻に言及していなくても、実質的に考えまして、契約を締結しなければ関係が破綻するということを想起させるような言いぶりなどにおいて相手方に実際に認識し得るような対応であれば含まれるということでございます。

○福島みずほ君 困惑類型についてお聞きをいたします。
困惑類型の追加として、法案第四条第三項第七号、第八号が新設をされました。
困惑は、本来の意義においては、困り、戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような精神的に自由な判断ができない状態などと解されています。しかし、デート商法などにおける幻惑、若しくはマインドコントロール状態のように、必ずしも困惑とは言えないような精神状態に陥れられた中で消費者被害が発生する場合もあります。
つまり、恋人商法、デート商法の際に物品等を購入する被害者は、困って買ったという心情である場合よりも、それによって関係を維持できると幻惑されているという心情である場合も多いと、そのような事案についてもこの適用があるという理解でよろしいでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) 困惑、まあ、誤認ということで、消費者契約法は今取り消すことができる類型を整理しておるわけでございますが、そういう中で幻惑ということをどういうふうに判断するかというお尋ねかと思います。
消費者契約法改正案の第四条第三項第四号でございますけれども、消費者が社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘者に対し恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ当該勧誘者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを事業者が知りながら、これに乗じて、契約を締結しなければ当該勧誘者との関係が破綻することになるものと告げることにより、当該消費者が困惑をし、それによって当該契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたことが要件となっております。
今御質問がございましたので、個別の事案がどういうものかということは必ずしも分かりませんけれども、御指摘のような場合についても、今私が申し上げましたような各要件を満たすような場合、これはあり得るんだろうと思いますし、そういう場合には取り消し得るということになるということだと思います。

○福島みずほ君 ありがとうございます。
それから、新たに法案第四条第三項第五号に、他の同僚委員もたくさん質問をされましたけれど、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下をしていることからとありますが、この著しくがあることによって救済が狭まるんではないかということについて改めてお聞きをします。
著しくは削除するか、あるいはこれを余り重きを置いて判断するべきではないのではないか。いかがでしょうか。

○衆議院議員(永岡桂子君) 御質問にお答えいたします。
修正案により新設されました法四条三項五号の規定について、著しくという要件を付しましたのは、消費者に取消し権を付与する場合を適切に限定するためでございます。
仮に、著しくという要件を削除して単に判断力が低下していることを要件としますと、判断力が僅かでも低下している場合について取消し権を付与することになりまして、不適切だと考えております。そして、もっとも、著しくという要件は事業者の不当性を基礎付けるためのものとして設けたものでございまして、過度に厳格に解釈されてはならず、その旨の周知を図る必要があると考えております。
著しくの要件、この解釈を始め改正案の内容については、事例を多く用いながら、消費者庁が作成します逐条解説で分かりやすい説明を行うことが必要と考えております。

○福島みずほ君 どうも、修正案提出者の方、本当にありがとうございます。
消費者庁にちょっとお聞きをしますが、実は、例えば遺言であれ、いろんなときに、その人が判断能力があったか、心神喪失状態じゃなかったかとか、遺言の効力とか、本当に病室でこれが書くことができたのか、御存じ、契約書はどうかとか、もう本当にたくさん、裁判やいろんな例で、遺言の有効性、契約書の有効性、養子縁組の有効性、結婚届の有効性など、よくよく議論になります。
だから、加齢又は心身の故障により判断力が低下しているかどうかって、とても一義的なようで、実はなかなか難しい。認知症も、とてもしっかりしていることもあれば、そうでないこともあり、日によっても違うし、時間によっても違うし、物によっても違うしということもあると思うんですね。
実際、取消し権を行使して、問題にする時期と契約を結んだときで、またその人の状態が違っていることもあるかもしれない。そういう場合、できれば高齢者や障害のある人を救おうという観点から、是非これが障害のある方や高齢者の方の救済に資してほしいと思うわけで、その点から解釈などについての見方、見解を教えてください。

○政府参考人(川口康裕君) 衆議院における修正によって新設された条文でございますので、基本的には本委員会における質疑における修正提案者の御答弁に沿って私どもも消費者庁のコンメンタールに書いていくということでございますけれども、今まで御答弁をお聞きする限りにおきましては、消費者が判断力が著しく低下していることによって過大な不安を抱いている状況、これに事業者が付け込んで、消費者が自由な判断ができない状況に陥らせて契約を締結させたと、そこに不当性を認めているということでございます。
原因のところは、加齢ですとか心身の障害とか、そういうのを含むということで、これは当然高齢者が入るということだと思います。
そういう方々の救済ができる場合を明確にする、条文の政府提案の解釈ではなくて条文で明確にするという意思が衆議院の方では出されたということでございますので、それを踏まえて解釈が行われるように私どもも周知をしていくということで、また相談員にも説明をしていくということだと思っております。

○福島みずほ君 高齢者でとりわけ独り暮らしだと、寂しいからとか面倒を見てくれたとか、何かいいものだと勘違いしたとか、いろんなものをとても買ってしまうとか、それから、その娘さん、息子さんに聞くと、お母さんが何かいろんなものを大量に買ってしまっているとか、だから、それが即認知症というわけではないんだけれども、何で大量に一つのものが買われているのかとか、よく相談も受けたりするんですね。
その意味でいうと、この判断力が著しく低下というときには、やっぱり、でもそういう事案は救済すべき事案も多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) 消費者契約法も取消しができる場合というのがだんだん増えてきているわけでございまして、二年前、まさに先生今御指摘があったようなものを想定して、過量契約について四条第四項というものを創設したところでございます。これにつきましては、当該消費者契約の目的物の分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合、これは事業者がですね、知っていた場合について、その勧誘により消費者契約の申込み又は承諾の意思表示について取消しが認められるということでございます。
これは、過量であるというところに注目しておりますので、判断力がどうだったかということは要件にしていないわけでございます。ただ、過量だということになれば取消しができるということでございますので、その条文によって取り消すことができる場合もあるという前提です。
その上で、不実告知でもなく、過量契約でもなく、断定的判断でもない場合、それから消費者庁が提案しました三号、四号でもない場合について、なお救うべき場合があるんだろうということで五号、六号、提案されて明確にされたということでございますので、霊感商法も含めて、こういうものも総合的に活用していただくよう、いろんな現場に説明してまいりたいと思います。

○福島みずほ君 消費者基本法の、一番初めに作ったときは、全ての人は消費者であるということで、全ての人は生まれてから死ぬまで、生まれる前から墓場までかもしれませんが、消費者であると、三百六十五日二十四時間、寝ているときも消費者であると、消費者でない人はいないというのが初め、消費者基本法の前文に書いたことがありますが、消費者問題って極めて重要です。
消費者庁は、まさに国民生活センターやたくさんの非常に真面目な相談員に支えられ、消費者被害に遭う人たちの救済や相談や警告やいろんなことをやってきています。ですから、今回の消費者契約法の改正案が幅広く警告を発し、かつ消費者被害を救済するものになるようにと思っております。
その意味で、大臣、この委員会の中でも、社会生活上の経験が乏しいことなど、非常に議論になりましたが、是非幅広く救済に資する、まさに消費者庁があるからこそ消費者問題が解決できるという立場で頑張っていただきたい。
最後に決意をお願いいたします。

○国務大臣(福井照君) 八年目を迎えました消費者庁、その土台をつくっていただきました福島大臣、本当にありがとうございます。
消費者基本法も消費者庁の設定も全ての会派に賛成をしていただいた上で成立をし、そして今回の法律も衆議院では全会派賛成ということで参議院に送っていただきました。本当に敬意を表させていただきたいと思います。
今回の法律で法律用語として初出の言葉が、霊感商法、恋愛感情、いっぱいありまして、もう本当にそういう意味じゃ法律作成のパラダイムシフトになっていると思います。それだけ現場も、そして先生方も熱意を持って、そして信念を持って、全ての消費者被害を撲滅するという目的に向かって邁進していただいていることを本当に感謝申し上げ、そして敬意を表させていただきたいと思います。
今日は本当に熱心な御審議ありがとうございました。

○福島みずほ君 先ほど、消費者基本法と言ったかもしれませんが、第一回目の消費者基本計画ですので、ちょっと訂正をさせていただきます。
時間ですので、終わります。ありがとうございました。

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