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2019年5月28日、厚労委員会でダブルワーク、兼業、副業の問題のほか、全国一律最低賃金、公契約などについて質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
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198-参-厚生労働委員会-012号 2019年05月28日(未定稿)
○福島みずほ君 兼業、副業をしたいという人の気持ちも分かります。高所得だったり、ビジネスチャンスを増やしたい、それはもちろんあります。しかし、ダブルワーク、兼業、副業の本質は何か、働けど働けど我が暮らし楽にならず、じっと手を見る、石川啄木状態というのがこの問題です。
つまり、副業、兼業をしている雇用者を本業の所得階層別に見ると、本業の所得が二百九十九万円以下の階層で全体の約七割。副業、兼業を行う理由は十分な収入を得たいという項目が一番多く、四四%です。つまり、朝、昼、夕方、夜、本当に働いて、でも低所得で、生活のために働いている、シングルマザーなど女性は特にそうです。
で、質問したいんです。なぜ、この副業、兼業、ダブルワークの提言が未来投資戦略なんですか。
○政府参考人(佐藤正之君) お答え申し上げます。
働き方改革実行計画を踏まえまして二〇一七年六月に閣議決定されました未来投資戦略二〇一七年におきましては、労働者の健康確保に留意しながら、副業、兼業を原則として認める方向で副業、兼業の普及促進を図るということが決定をされました。
その基本的な背景というか考え方としましては、やはり今後の経済成長を支える重要な原動力は人であるということであります。第四次産業革命など、変化が激しい大きな時代にありましては、国民一人一人が能力を発揮するためには多様な働き方を広げていくことが大事であるという認識でございます。
このため、個人が組織に縛られ過ぎず、主体的に個性を発揮しながら付加価値の高い仕事ができる環境整備を進めるということでございまして、このことによって日本全体の生産性を向上させるという観点から、未来投資戦略におきまして兼業、副業の推進が提言されたというふうに承知しております。
○福島みずほ君 しかし、さっき言ったように、七割はまさに収入が少ない、二百九十九万円以下の階層で全体の七割を占めているわけです。どこが未来戦略なのか。根本は、本業の賃金を上げること、最低賃金を上げることにこそあるんじゃないんですか。
○政府参考人(佐藤正之君) 議員御指摘のとおり、一つの仕事のみでは収入が少ないことを理由として副業、兼業を行っている方々が一定数いらっしゃると、存在するということは承知しております。
このため、未来投資戦略におきましては、副業、兼業の推進についても盛り込む一方で、賃金引上げ等に関する施策を盛り込んでおります。具体的には、関係省庁におきましては、この施策を、未来投資戦略を受けまして、最低賃金について直近六年間で百二十五円の引上げや、あるいは中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境の整備を図る、そのために賃金引上げに必要な経営力や収益力を高めるための各種支援策を実施するといったこと等々に取り組んでおられるというふうに承知しております。
○福島みずほ君 ダブルワークの推進が未来戦略だというのが理解できないんですね。それだったら、個別に競業避止義務、職務専念義務などを考えればいい話で、大多数、本当に七割が収入が少ないというところこそ問題で、つまりその未来戦略として議論している部分と、厚生労働省としていかに労働条件守っていくかがずれちゃっているんですよ。これ、ずれている。大臣、まさに賃金を上げていくこと、十分賃金を得られるようにすることこそ最優先課題ではないんですか。
○国務大臣(根本匠君) 兼業、副業、今未来未来投資戦略での位置付けは話がありました。
働き方のニーズが多様化する中で、副業、兼業を行いたい、こういう労働者のニーズが高まっているので、その選択が可能となる環境整備、私はこれは大事だと思います。ただ一方で、副業、兼業というのは、ある程度高所得層の人間が副業するというパターンと、あと、委員おっしゃられるように、相対的に所得の階層の低い方が副業、兼業やると、確かにそういう傾向はある、これは事実としてあると思っております。
その意味では、働き方実行計画実現会議において副業、兼業の促進について示すと同時に、これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒でありますよということや、あるいは労働者の健康確保に留意しながら副業、兼業の普及促進を図ると、こういうことが示されておりますが、こういうことを踏まえて、厚生労働省において平成三十年一月に副業・兼業の促進に関するガイドライン、これを策定して、就業時間の把握や健康管理等に関する留意事項を定め、周知しているところであります。
これが、これから私が申し上げるところが委員の御指摘に対応するところだと思いますが、今委員が指摘されたような兼業、副業を行う労働者の処遇、これも重要だと考えています。やはりここは、非正規雇用労働者の正社員化の促進やあるいは同一労働同一賃金の推進を含めた労働条件の改善、そして最低賃金の引上げについては、この六年間、百二十五円引き上げましたが、こういうことの総合的な対応が必要だろうと思います。そして、労働者の多様な選択を後押しをすると、こういうことも必要だと思います。
○福島みずほ君 副業、兼業によって労働時間管理が本当に大事で、過重労働を防ぎ、過労死、過労自死が生ずる事態をつくらないということが重要だと考えますが、厚生労働省、大臣いかがですか。
○国務大臣(根本匠君) 委員が今のお話のとおり、副業、兼業の促進に当たっては、労働者の健康確保に留意しつつ、長時間労働を招くことのないようにすることが重要だと、こういう認識も我々もしております。
今現在、厚生労働省において有識者検討会を開催しております。副業、兼業の場合の実効性のある労働時間管理の在り方と併せて、副業、兼業の場合の健康確保の充実についても議論いただいているところであります。これは引き続き適切に検討を進めていきたいと思います。
○福島みずほ君 政府が副業、兼業の促進を掲げるのであれば、労働時間を本業及び副業、兼業先の双方がそれぞれ通算した労働時間を把握、管理することが不可欠です。そのことの理解は厚生労働省、あるということでよろしいですね。
○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
今委員御指摘ございましたように、副業、兼業の場合の労働時間算定という問題がございます。この点につきましては、労働時間の規定が適用される労働者として複数の事業主の下で副業、兼業を行う場合には、労働基準法の第三十八条というもので、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」という規定がございまして、その運用により、労働基準法の労働時間に関する規制は通算して適用されることとなっております。したがいまして、ガイドライン等にも記載しておりますけれども、本業の事業主は、労働者の自己申告を通じて、他の事業主の下での労働時間を把握することとなるというものでございます。
ただ一方で、今大臣の方からも御答弁申し上げました、検討会を開催しておりますけれども、企業の方でこの副業、兼業を許可しない理由としてこの労働時間の管理の把握が困難ということも挙げられておりますので、この実効性ある労働時間管理の在り方について現在御議論いただいているところでございます。
○福島みずほ君 次に問題となるのが割増し賃金の問題です。
労働時間規制について、複数の事業場を通算して全体を把握していくことの重要性については共有できたと思います。ただ、五月十日の規制改革推進会議では、委員の一人が、例えば副業、兼業の場合には割増し賃金制度の適用を除外してはどうかという意見など出ております。これが認められると大きな問題が生じますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(坂口卓君) 今御答弁申し上げましたとおり、労働基準法第三十八条とその運用というものがございますので、労働基準法の労働時間に関する規制が通算して適用される場合には割増し賃金の支払義務等を負うこととなっております。この点につきましては、先ほども申し上げましたとおり実務上の運用が困難との指摘も多いので、現在、先ほどございましたような有識者の検討会を開催して、労働者の健康の確保の重要性等にも十分留意しつつ、実効性のある労働時間の管理の在り方について議論を進めているところでございます。
もとより、割増し賃金というのは、法定労働時間制又は週休制の原則を確保すること、それから長時間の労働に対する労働者への補償ということがその趣旨でございますので、現在、検討会におきましても、こういった割増し賃金の趣旨、目的も十分に踏まえつつ御検討いただくということが重要であると事務局としても考えております。
○福島みずほ君 検討会の議事録見ると、これいろんな意見あるんですね。割増し賃金認めるべきだというふうに厚労省は考えているということでよろしいですね。
○政府参考人(坂口卓君) 繰り返しの答弁になりますけれども、現行法上、労働時間の規定が適用される労働者として、複数の事業主の下で副業、兼業を行う場合であっても、労働基準法の第三十八条とその運用により労働基準法の労働時間に関する規制は通算して適用され、割増し賃金の支払義務を負うということでございます。
ただ、運用の困難面がいろんな形で指摘も多いということで、現在、有識者の中でも御検討いただいているというところでございます。
○福島みずほ君 割増し賃金払うべきだということで、是非議論が進むように思います。
現行の労働安全衛生法が定める医師の面接指導は、一か月の労働時間、労働時間の状況に基づいて把握した長時間労働者を対象としております。この一か月の労働時間とは、副業、兼業先の労働時間を現状では含んでいないと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(坂口卓君) お答えを申し上げます。
今議員の方から労働安全衛生法についてのお尋ねがございましたが、現行の労働安全衛生法におきましては、長時間労働者に対する医師による面接指導の実施対象者の選定等に当たりまして、副業、兼業先における労働時間は通算することとはされていないというものでございます。
しかしながら、先ほど、副業・兼業の促進に関するガイドラインについて触れさせていただきましたけれども、この副業、兼業を行う者の長時間労働や不規則な労働による健康障害を防止する観点から、このガイドラインにおきましては、「例えば、自社での労務と副業・兼業先での労務との兼ね合いの中で、時間外・休日労働の免除や抑制等を行うなど、それぞれの事業場において適切な措置を講じることができるよう、労使で話し合うことが適当である。」ということをガイドラインの中でもしておるところでございまして、引き続き、このガイドラインについての周知ということも行ってまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 答弁でおっしゃったように、これ積算されない。副業、兼業を行っている者が、一か月当たりAで三十時間、Bで三十時間、C社で三十時間それぞれ働き、これらをトータルした過重労働によって過労性疾病が引き起こされてしまったとしても、認定基準に照らして労災補償による補償が受けられないんですよね。だから、今ガイドラインということでおっしゃったけれども、現行法では受けられない、これは極めて問題だと思います。
複数の、ですから、政府が副業、兼業、ダブルワークを推進するのであれば、やっぱりこれトータルとして労災を認めると踏み込まないと、A、B、Cでそれぞれ認定するのだと駄目だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたのは労働安全衛生法上の措置に対しての適用ということでございましたが、今議員の御指摘の中でございましたように、労災の認定に当たりましても、取扱いとしましては、労働者が働いている事業場ごとに、労働時間等の業務上の負荷と災害との相当因果関係、すなわち業務起因性の判断を行っているということでございまして、労災の認定に当たりましても、使用者が実質的に同一である場合を除いては複数の事業場における業務上の負荷を併せて評価する取扱いとはしていないというところでございます。
ただ、今委員の方からは、そういった点も含めての検討をという御指摘かとお聞きをしましたが、厚生労働省としましても、そういった課題があるということは認識してはございます。この点につきましては、現在、先ほどの有識者の検討会では、労働時間管理であったり健康管理の問題について御検討いただいておりますけれども、この複数就業者の労災保険給付の在り方につきましては、現在、労働政策審議会において労働者保護の観点等から御議論をいただいておるところでございまして、引き続きその検討を進めてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 最も過酷に働いている人がその労災認定受けられないという事態は、これはおかしいし、これに目をつぶってダブルワーク推進というのは全くおかしいというふうに思います。
複数の就業先で働く労働者がそのうちの一つの就労先で業務上の災害に遭い休業した場合、休業補償給付の給付基礎日額はどうなるのか。一社の賃金のみを基礎として算定されるのでは、十分な補償を得られず困窮せざるを得ない。これ、問題ではないですか。
○政府参考人(坂口卓君) 御指摘のように、先ほどの認定と並んで、複数の事業場で働く方の給付基礎日額の算定の問題かと思いますけれども、この問題につきましても、現在、一つの事業場で業務上の災害に遭い休業した場合には、災害が発生した事業場での賃金額のみに基づいて、現在、給付基礎日額を算定しておるところでございます。この点につきましても、先ほどの認定の問題と同じく、私どもとしても議員の御指摘のような課題があるということについては認識をしておるところでございます。
そういったことから、先ほど御紹介しました労働政策審議会におきまして、この点も含めて、複数就業者の労災保険給付の在り方について労働者保護等の観点から御議論いただいておるところでございまして、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 一社からしかもらえないんですよね。こういうことも本当にきちっとやるべきで、ダブルワーク推進というのも本当に問題があるというふうに思います。
次に、全国一律最低賃金についてお聞きをいたします。
地域別の最低賃金がある国はもちろん世界にもありますが、国際比較からして日本は最低賃金がとても低いです。これを上げる必要があるんですが、むしろ今日お聞きしたいのは、最低賃金の地域間格差が広がっています。二〇〇六年は最高が七百十九、最低六百十、百九円違いだったのが、二〇一六年は最高九百八十五、最低七百六十一、二百二十四円も違いが生じています。そのために人口移動が起きていて、最低賃金が低い県から高い県に移動するということが起きています。格差がむしろ拡大をしているんですね。
全国一律最低基準、目指すべきではないですか。
○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
この最低賃金についての地方との格差という御指摘でございますが、今委員からも御指摘ございましたけれども、例えば昨年度の改定によりましては、最高額、東京でございますけれども、九百八十五円に対して最低額、鹿児島につきましては七百六十一円となっておりまして、この比率を見ますと七七・三%ということで、例えば平成二十七年度の最高額と最低額の比率は七六・四%ということでございまして、その後四年連続でこの比率については改善をしておって、一定の、最低賃金の審議におきまして、地域間格差についても配慮をした審議等が行われつつ、この決定が行われているということであると認識しております。
一方で、最低賃金法の第九条では、地域別の最低賃金でございますが、一定地域ごとの最低賃金とされておりまして、働く方の賃金、あるいは生計費、それから企業の賃金支払能力の地域差などの実情も考慮してこの地域別に定めるということで法律上もなっておりまして、都道府県ごとに経済状況が異なる現状を踏まえて、その実情も踏まえて決定されるべきと考えております。
御指摘ございましたような形で一律に最低賃金を設けることにつきましては、賃金だけではなくて県民所得あるいは企業の付加価値生産性など経済指標に大きな地域格差があるということであったり、先ほど申し上げましたような状況の中で地域ごとの物価水準の差を反映せずに一律に決めるということになりますと、中小企業を中心としての労働コストの増加ということで、経営圧迫ひいては雇用が失われるというふうな面にもつながりかねないということの課題もあって、慎重な検討、対応ということが必要であると考えております。
○福島みずほ君 是非、全国一律最低賃金やるべきだと思っています。なぜか。コンビニの値段だって、いろんなものだって東京と地方都市で同じです。むしろ地方都市の方が、車がないと生活ができない、ガソリン代が掛かるというのも言われています。
イギリスで全国一律最低賃金を採用をしたと。もちろん、物価が違っていたり平均賃金が違っていることは百も承知だけれども、全国一律最低賃金やって、その結果、別に失業者が増えたというデータがないというふうにも言われています。ロシア、カナダ、アメリカ、インドネシアなど国土が広いところは、各地域で最低賃金の金額が違っても人口移動するには高いいろんなハードルがあるのでできないが、日本は国土が六十四番目ですから、やっぱり人口移動が明確に起きているんですよ。もう現在、二百二十四円違う、時給で、というと人口移動が起きる、これはやっぱり東京集中を生んでいる大きな理由だと思います。
もちろん、中小企業支援策は極めて重要です。でも、フランスは、二〇〇三年から二〇〇五年、社会保険料の事業主負担軽減二兆二千八百億円、韓国は二〇一七年から五年間予定で中小企業向け人件費支援が九千八百億円、アメリカ、二〇〇七年から一一年まで中小企業向け減税八千八百億円などやっています。日本は、一三年から一五年、中小企業への支援事業執行額が八十七億円と低いんです。しっかり的確に中小企業支援をやることで、全国一律最低賃金やって、高校卒業した、中学、高校、大学卒業した人が地元で就職しようという状況をやっぱりつくらないといけないというふうに思っています。是非この点についてやっていただきたいと思います。
公契約法についてお聞きをいたします。
建設業など、公契約条例、今非常に増えておりますが、国交省としての見解、公契約条例の果たしている役割等についてどう考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(鈴木英二郎君) お答え申し上げます。
国や地方公共団体が発注する契約におきまして適正な賃金を確保することは重要な課題であると考えておりまして、特に建設業につきましては、技能労働者の処遇改善や若手入職者の増加を図るためにも、技能労働者の適切な賃金水準を確保する必要があると考えてございます。
ただ、その一方で、賃金等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に違反しない限りにおきまして労使が自主的に決定することとされておりますので、いわゆる公契約条例により賃金等の基準を新たに設けることにつきましては、今後も幅広い観点から各地方公共団体におきまして議論がなされるべきものと、ないかと考えてございます。
○福島みずほ君 公契約条例ができたことで、やはりそこの労働条件、賃金を上げていくというので、有効な例もたくさん指摘をされています。公契約法を作るべきだと。公契約条例、ILOが条約を、一九四七年ですか、作り、日本はまだ未採択なんですが、是非公契約法を作り、女性の活躍のところでも議論があり、フランスなどの公契約法などの紹介もあったと思いますが、参考人からもありました。
是非、公契約法を作り、日本全体の労働条件の向上、とりわけ賃金の上昇に関して目指すべきだということを、厚生労働、とりわけ大臣に要請を申し上げ、時間ですので質問を終わります。
ありがとうございます。