ACTIVITY BLOG活動ブログ
2015年9月17日 参議院平和安全法制特別委員会における鴻池議長に対する不信任決議案の賛成討論 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
参議院平和安全法制特別委員会における鴻池議長に対する不信任決議案の賛成討論です。戦争法案絶対阻止と平和への熱い思いをぶつけた渾身の演説を是非、お聞きください。
議事録
第189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第21号
平成二十七年九月十七日(木曜日)
午前九時八分開会
─────────────
委員の異動
九月十五日
辞任 補欠選任
川田 龍平君 片山虎之助君
又市 征治君 福島みずほ君
主濱 了君 山本 太郎君
九月十六日
辞任 補欠選任
神本美恵子君 那谷屋正義君
片山虎之助君 東 徹君
仁比 聡平君 小池 晃君
九月十七日
辞任 補欠選任
大野 元裕君 森本 真治君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 鴻池 祥肇君
理 事
石井 準一君
佐藤 正久君
塚田 一郎君
馬場 成志君
堀井 巌君
北澤 俊美君
福山 哲郎君
荒木 清寛君
清水 貴之君
委 員
愛知 治郎君
石田 昌宏君
北村 経夫君
上月 良祐君
高野光二郎君
高橋 克法君
堂故 茂君
豊田 俊郎君
三木 亨君
三宅 伸吾君
宮本 周司君
山下 雄平君
山本 一太君
山本 順三君
小川 勝也君
小川 敏夫君
大塚 耕平君
小西 洋之君
那谷屋正義君
白 眞勲君
広田 一君
森本 真治君
蓮 舫君
谷合 正明君
平木 大作君
矢倉 克夫君
東 徹君
井上 哲士君
小池 晃君
山田 太郎君
和田 政宗君
水野 賢一君
福島みずほ君
山本 太郎君
荒井 広幸君
国務大臣
内閣総理大臣 安倍 晋三君
外務大臣 岸田 文雄君
防衛大臣
国務大臣 中谷 元君
事務局側
常任委員会専門
員 藤田 昌三君
常任委員会専門
員 宇佐美正行君
─────────────
本日の会議に付した案件
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資
するための自衛隊法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す
る諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等
の一部を改正する法律案(小野次郎君発議)
○在外邦人の警護等を実施するための自衛隊法の
一部を改正する法律案(小野次郎君外一名発議
)
○合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の拡充
等のための自衛隊法の一部を改正する法律案(
小野次郎君外一名発議)
○国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊法の
一部を改正する法律案(小野次郎君外一名発議
)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す
る人道復興支援活動等に関する法律案(小野次
郎君外一名発議)
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
法律の一部を改正する法律案(小野次郎君発議
)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保
するための措置に関する法律及び周辺事態に際
して実施する船舶検査活動に関する法律の一部
を改正する法律案(小野次郎君発議)
─────────────
○委員長(鴻池祥肇君) 委員会を開会……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)委員会は開会しているんですよ、今……席へ……開いてなかったじゃない……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)だから、委員会開いているじゃない。(発言する者あり)
ちょっと相談させるから……ちょっと、与党がちょっと話をして……。(発言する者あり)メモがあるかないか分からないけど、私が職権で理事会の部屋を変えたんだから。(発言する者あり)だけど、理事会で協議することはもうないじゃないですか。(発言する者あり)お話ししてもしようがないけど。作法ですね。これ壊したやつ作法はちゃんと心得とけよ。(発言する者あり)だから、合意したのは知っていますよ、当然、当然知っています。(発言する者あり)だまし討ちではないんですけどね。昨日のような混乱はお互いに避けないと損ですよ。
これ全部出ているのと違う、これ、話、委員会開会しているから。俺まだ言っていないよ。速記止めるとは言っていない。(発言する者あり)
まあ一遍、一度速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
休憩。
午前九時二十八分休憩
─────・─────
午前九時四十五分開会
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに……(発言する者多し)
私に対する不信任の動議がただいま手渡されました。佐藤正久君に、理事、佐藤正久理事に委員長の職務を委託いたします。(発言する者多し)じゃ、決めてください、取消し。(発言する者あり)分かった。よし。
〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
○理事(佐藤正久君) 委員長が命令したんです。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
理事だけ、理事だけ。離れてください、離れてください、離れてください。離れなさい。動議にかけますよ、懲罰動議にかけますよ。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)離れなさい。
それでは……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)討論を含めて、会派含めて、しっかりと、趣旨説明……提案説明理由の時間及び、及び討論者について協議を願います。場所はここでお願いします。理事会の場所は……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)理事の方々は、理事の方々は、討論者……会派、あるいは提案理由説明の時間等について協議を願います。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)この場所で協議をお願いします。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
午前九時五十三分休憩
─────・─────
午後一時開会
〔理事佐藤正久君委員長席に着く〕
○理事(佐藤正久君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
委員長不信任の動議が提出されましたので、理事会における協議の結果、私が暫時委員長の職務を行います。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、主濱了君、川田龍平君、又市征治君、神本美恵子君及び仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として山本太郎君、東徹君、福島みずほ君、那谷屋正義君及び小池晃君が選任されました。
また、本日、大野元裕君が委員を辞任され、その補欠として森本真治君が選任されました。
─────────────
○理事(佐藤正久君) 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信任の動議を議題といたします。
まず、提出者から本動議の趣旨説明を願います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
本日、鴻池祥肇特別委員会委員長の不信任の動議を提出をさせていただきました。
その不信任の理由について、趣旨を御説明申し上げます。
まず冒頭、鴻池祥肇特別委員会委員長は、七月の二十七日に本会議で始まったこの安保法制の審議に対し、七月の二十八日の委員会から見事に公正公平な運営をなされてこられました。特に、あの法的安定性は関係ないと発言をした総理補佐官に対しての我々の参考人招致に対して、憲政史上初めて、委員長の御英断で、十五分の審議とはいいながら、補佐官を国会にお呼びをいただきまして質疑をする機会をいただきました。これは鴻池委員長の御英断がなければできなかったことでございまして、私は大変頭の下がる思いでいっぱいでございました。
その鴻池祥肇委員長が、礒崎補佐官に対して八月の三日に御発言がありました。
「参議院の存在というのは、先人が苦労して二院制に持ってきて、さきの大戦の反省から、貴族院が止められなかったあの軍部の戦争に至った道というものを十分反省をしながら、参議院の存在を一生懸命つくり上げた。そのことは、衆議院と参議院は違うんだと、表現が少しきつくなるかもしれませんけれども、衆議院の拙速を戒めるのが参議院である、もう一つは衆議院の足らずを補完していく、補っていくのが参議院である、できれば、できるだけ合意形成に近づけていく、こういうのが参議院の役割の一つだと思うんです、私は。多くの方々もそうだと思っていらっしゃると思います。その中において、参議院の審議をしているさなかに、九月中旬にこの法律案を上げたいという発言については」、これは礒崎補佐官が言われた発言についてです、「発言についてはいかがかと思うんです。もう一つ言いますと、我々参議院は、衆議院の下部組織じゃない、官邸の下請やっているんではない。この辺りをひとつ補佐官にただしたいと思います。」と、これが八月の三日の鴻池特別委員会委員長の御発言でございました。
私は、もう十七年ほど国会にいさせていただいております。自民党の昔の先輩議員は与野党を超えて大変かわいがっていただきました。いろんなことを、国会のルールやしきたり、政治というのはどういうものか、多く御示唆をいただきました。今の自民党の先輩議員はなかなかそういう方が残念ながら少なくなっている中で、鴻池祥肇委員長は、本当に最近では希有な、我々与野党を超えて御指導いただく尊敬すべき委員長でいらっしゃいました。時には冗談を言い、時には厳しく御指導をいただき、そして男の美学を持ち、男だけではいけないな、鴻池祥肇委員長自身の美学を持ちながら、本当に私は、尊敬すべき与野党を超えた大先輩だというふうに考えておりました。
昨日の地方公聴会も、一昨日の中央公聴会も、鴻池祥肇委員長がいなければ多分実現をしなかった。そして、その中央公聴会は、残念ながら強行採決でやられましたが、職権で決めるときの鴻池委員長の、何とも言えない、俺はやりたくないという顔つきは、私は大変立派な委員長だったと思います。
そして、昨日の地方公聴会、そしておとといの中央公聴会、たくさんの公述人が本当に真摯に率直に御自身の意見を言われました。鴻池委員長もその御意見をしっかりと受け止めておられました。
例えばSEALDsの奥田君は、一つは、今全国各地でどのようなことが起こっているか、人々はこの安保法制に対してどのような声を上げているか。二つ目は、この安保法制に関して、現在の国会はまともな議論の運営をしているとは言い難く、余りにも説明不足だということです。端的に言って、このままでは私たちはこの法案に対して到底納得することができません。政治家の方々への私からのお願いですと。
まず第一にお伝えしたいのは、私たち国民が感じている安保法制に対する大きな危機感です。この安保法制に対する疑問や反対の声は、現在でも日本中でやみません。つい先日も国会前では十万人を超える人が集まりました。この行動は、何も東京の、しかも国会前で行われているわけではありません。私たちが独自にインターネットや新聞などで調査した結果、日本全国で二千か所以上、数千回を超える抗議が行われています。累計して百三十万人以上の人が路上に出て声を上げています。この私たちが調査したもの以外にもたくさんの集会が、あの町も、この町でも行われています。全国各地で声が上がり、人々が立ち上がっています。声を上げずとも疑問に思っている人はその数十倍もいるでしょうと。
強調しておきたいことは、政治的無関心と言われてきた若い世代が動き始めていることですと。どこかの政治団体に所属しているとか、誰かに言われているからとか、動員的な発想ではありませんと。私たちは、この国の民主主義の在り方について、この国の未来について、主体的に一人一人、個人として考え、立ち上がっていったのですと。私たち一人一人、個人として声を上げています。不断の努力なくして、この国の憲法や民主主義、これらが機能しないことを自覚しているからです。政治のことは選挙で選ばれた政治家に任せておけばいい、この国にはどこかそのような空気感があったように思います。それに対して、私たちこそがこの国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声を上げることは当たり前なんだということ、そう考えていますと。
今、デモなんていうものは珍しいものではありませんと。路上に出た人々がこの社会の空気を変えていったのです。デモや至る所で行われた集会こそが不断の努力です。そうした行動の積み重ねが、基本的な人権の尊重や平和主義、国民主権といったこの国の憲法の理念を体現するものだと私は信じています。それが民主主義だと思いますと。
これ、おとといの彼のメッセージです。
そして、彼は、仮にこの法案が強行で採決されるようなことがあれば、全国各地でこれまで以上に声が上がるでしょうと言っています。当然、この法案に関する野党の方々の態度も見ています。本当にできることは全てやったのでしょうかと。私たちは決して今の政治家の方の発言や態度を忘れません。三連休を挟めば忘れるだなんて、国民をばかにしないでください。むしろそこからまた始まっていくのですと、彼は強行採決に強く抗議の意を示されました。
一昨日のやはり中央公聴会の最高裁判事の濱田先生は最後に、私は、政治家の皆様には知性と品性とそして理性を尊重していただきたいし、少なくともそれがあるような見せかけだけでもこれはやっていただきたいと。それは、皆様を選んだ国民の方も同じだということです。そういうことで、是非この法案については慎重審議されて、悔いを末代に残すことがないようにしていただきたいと思いますと。
最高裁判所の裁判官OBが、今、立法府で議論している法案について違憲だと言うことは甚だ我々は控えなければいけないということを意見表明しながら、危機感があるんだと。多くの裁判官、多くの憲法学者、多くの学者の皆さんが危機感があるから、この法律に対して違憲だ、今すぐ通してはいけない、そういう声を上げているんだということを最高裁の判事の濱田先生も言われてこられました。これを鴻池委員長は多分重く受け止めておられたんだと私は思います。
それを昨日、鴻池委員長は、御自身が本当になかなか剛毅な方なので、俺が決めたと言われますが、この特別委員会での締めくくり的質疑を、あの地方公聴会が終わった後、夕方にやるということを強行で決められました。私は、鴻池委員長が本心でやりたいと思っていたとは思いません。
そして、昨日も、雨の中多くの国民の皆さんが国会の周りに集まって徹夜で、明け方になっても人が増えているような状況で、廃案、何とか止めてほしいという声を上げられました。
そして、残念ながら昨日、夜中の三時半ぐらいに、理事会でみんなで、全員で合意をした、次の日の八時五十分にこの場所で現状維持で集まりましょうと言ったことを、どういう訳か分かりませんが、今日、理事会の部屋を急に変更して、ここで理事会だということを言われました。これも鴻池委員長の本意だと私は思いません。誰が指示を出しているのか、それは我々は野党ですから分かりません。
しかし、そういった指示を出すどこか分からない政府・与党は、本当に国民の声を聞いているのでしょうか。数さえあれば、会期が目の前に決まっていれば、それに合わせて何でもやっていいと、それが政府・与党の考え方なのでしょうか。
今、残念ながら国会は混乱をしています。私は、若かりし頃、その自民党のすばらしい諸先輩方にこう言われました、国会が混乱をしているのは全て政府・与党の責任ですよと。それを政府・与党の自民党の先生がおっしゃっていました。それはなぜなら、予算案や法律を審議をお願いをするのが政府・与党の責任で、お願いだからだと。だから、それで混乱をしているのは、政府・与党のやはりそれは配慮も力も全部足りないから混乱をするんだと。福ちゃん、いいか、国会の混乱は政府・与党の責任なんだ、覚えとけと、そう言われました。
はあ、何で政府・与党にいらっしゃる方がこんなことを言うのかな、野党の僕らにと、僕は当時思いましたが、実は、私が官邸に行かせて官房副長官をやらせていただいたときに、その言葉が目の前に広がりました。野党は、やはり数が少ない分、国会の中で言論の府として意見を言うことが野党の仕事です。それを、数があるからといって強行に何でもやれば混乱するに決まっているんです。それが民主主義の中の意思決定なんです。
そして、九十五日間という史上最長の延長をして、総理自身が国民の理解を求める、丁寧に説明すると言って、衆議院で百時間以上、参議院で九十時間以上審議をしたにもかかわらず、いまだに安保法案に反対の人が六〇%以上、政府の説明が不十分だと答えられた方は八割以上です。これは、丁寧に説明する、理解を求めると言ったにもかかわらず、何も国民の気持ちは変化をしていないということなのではないでしょうか。
つまり、政府が説明をすればするほど、国民がその法案について理解をすればするほど反対の声が広がるということは、総理自身が言った丁寧な説明に、国民に理解をいただくことに失敗したと、そう言わざるを得ないのではないでしょうか。
私は、民主主義というのは数だけではないと思っています。もちろん時間も大切。しかし、そこにもう一つ重要なのは、時間と納得の関数なんです。時間を掛けて納得を積み上げていくことが必要なんですが、時間が経過をしても納得が全く積み上がらない状況では、それは審議が熟したとは言えません。
だからこそ、有事立法だって、二つも三つも国会を越えて国民の理解を求めたではありませんか。そして、その中で、与野党、一部は駄目だったけれども、全体の八割を合意で有事立法を決めたじゃないですか。
それはなぜか。実力部隊である自衛隊を動いていただくのに、それはみんなが、国民が、自衛隊員の皆さんに、今も茨城の災害で頑張ってくれています。東日本大震災のときも、そこにいらっしゃる北澤先生は、十万人を東北に行っていただくことに対する意思決定をされた大臣です。あの原発のときに、上から水を落とすあのときに、どのぐらいの線量なのか分からない状況で、北澤先生と当時の菅総理と、私は横にいましたが、断腸の思いというか、何とも言えない思いで、行ってくれるかと、折木統幕長も含めて話し合っていたのを私は横で見ていました。
自衛隊員の皆さんは、下令をされれば、私たちは任務ですから行くと言われます。彼らの献身的な日々の精励には頭が下がります。今だって、尖閣周辺で緊張が高まれば、彼らは海上保安庁の皆さんとともに、僕もずっと夜を徹して一緒に見ていたことがあります。彼らと一緒に行動していたことがあります。
そのときに、そんな自衛隊員や海上保安庁だからこそ、国民の皆さんが、こんな国民が反対の中で、実力部隊である自衛隊を特に初めて海外へ出そうかという状況の法案を通していいんでしょうか。それは自民党自身が、自衛隊を今まで一緒につくってきた自民党自身が分かっておられることなんじゃないでしょうか。もっと私は、国民の声と、この安保法制という実力部隊を動かすということに対して謙虚になっていただきたいと、本当に私は思います。
そして、この審議、何度も止まりました。実は、くしくも衆議院の審議で百十一回審議が中断をしています。何と参議院の審議でも百十一回、同じ数、審議が止まっています。これは、国民の皆さんは、審議が止まるというのがどういうことかお分かりにならないかもしれませんが、それは、大臣の答弁が二転三転をしたり、総理大臣の答弁と大臣の答弁が異なっていたり、事実関係が少し間違っていたり、そういった状況になれば、我々は国会議員ですから、法律の運用に対してしっかりと確認をしなければいけないので、確認をしてくださいと言って審議が中断をします。
それも実は、鴻池委員長は長時間にわたり、あの世代にもかかわらず、委員会の審議をずっと注意して聞かれて、これはおかしいなと思ったら、我々の、野党の意見も耳を傾けてくださって、そして、そこは中断で、ちゃんと大臣に答えなさいと今そこに座っておられる佐藤理事に指示を出されて、その数が百十一回になりました。これも、鴻池委員長の審議に対して誠意ある姿勢があったからこそ、この審議の中断でより審議が深まったこともありますし、混乱をしたこともあります。
余り長くなるのはよくないと思いますが、皆さん、例えば、あれだけ総理が主張されたホルムズ海峡について、六月二十六日の総理の答弁は、ホルムズ海峡の機雷掃海は典型例ではなく、海外派兵を行う例外的な場合に当たる例である。その次、七月八日、具体的にお示しをする事例としては、ホルムズ海峡への敷設ということで想定している、現時点におきましては、ホルムズ海峡への機雷の敷設の事態が想定されると言われました。そして九月十四日には、ホルムズ海峡における機雷掃海は新三要件に該当する場合もあり得るものであるが、今現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを具体的に想定しているものではないと総理は言われました。一体どれが本当なんでしょうか。
例の米国イージス艦の防護についても、イージス艦が一隻で単独で来ることはなかなか想定していない、八月四日、安倍総理。米艦艇が単独で行動することはあり得ないとは言えない、中谷防衛大臣。一般論としてと急に一般論が入って、米国のイージス艦が我が国有事への対処や日本近隣で発生した武力攻撃への対処のため、通常一隻で行動することはない。他方、いまだ武力攻撃に直接対処するに至っていない状況では、任務の内容や海域次第では、単独で行動することもあり得る。どっちやねん、どれなんですかと。これ全部ほったらかしたままこの委員会閉じるんですか。
総理が国民の皆さんにパネルを見せて、日本人を救わなければいけないと言われた、あの赤ちゃんを抱いた女性の問題、これについては、安倍総理、七月三日、多数の日本人が乗っている船を破壊すると決意した中では、さらに日本に対して攻撃を行うという危険性は極めて高いと考えることから、存立危機事態に該当し得る、七月三日、安倍総理。八月二十六日、中谷防衛大臣、邦人が乗っていないからといって存立危機事態に該当しなくなるというものではない、邦人が輸送されていることは判断要素の一つであるが、絶対的なものではない。そして九月十一日、安倍総理、三要件に当てはめれば、日本人が乗っていない船を守ることは当然可能である。どっちやねん。何を守るんですか。
こういった答弁をこのまま放置して、どうやって自衛隊を海外に出すルールを作るんですか。自衛隊員が混乱するのは自明なのではないですか。
例えば、法理上できることと、法理上できるけれどもやらないこと、もうたくさんあり過ぎて、大変紹介するのが厳しい状況です。
例えば、機雷掃海は、法理上、南シナ海について、基本はもちろん三要件に当てはめればこれには対応していく、七月二十九日。ところが、七月二十九日、同じ日、南シナ海について私が答弁をいたしましたのは、迂回ルート等もあるのでこれは想定をしにくいという趣旨で答弁をさせていただいております。対応していくのと、想定をしにくいということで答弁をしている、これ同じ日ですよ。
例の、一般的には他国の領土、領海には武力攻撃はしないという総理が何度も言われていた言葉があります。しかし、法理上は、中谷大臣も法制局長官も、他国の領土、領域に武力攻撃をすることはあり得ると言われています。これ、一般にというのが付いていて、そしてこの一般にを外したらどうなるのかというと、まだはっきりしていません。
さらには、これに対して総理補佐官は、ある雑誌で、万が一の場合には戦わなければいけないときもあるという類いの発言をされています。そして、総理の言うように、他国の領域、領土、領海に行くには、これは抑制的に対応しなければいけない。抑制的にということは、あり得るということを言っているということです。
つまり、今の中谷大臣と法制局長官と補佐官と総理の答弁が、またこれ違うわけです。これ一体どっちなんでしょうか。
例えば、公明党さんが頑張ってやられた自衛隊員の安全確保の問題でございます。
自衛隊の安全確保は、北側三原則に入って、そしてこの安全保障法制の最大の論点でした。自衛隊のリスクが高まるという野党側の意見に、総理も中谷大臣も、いや、そうリスクは高まらない、リスクは減るんだという発言までされました。
そして、その根拠は何かといえば、総理は、自衛隊の安全確保のための必要な措置を定めること、政府としては、全面的にこの北側三原則を受け入れまして、三原則を法律上の要件として明確に定め、全ての法案にこの原則を貫徹することができたと言われました。全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれたと総理は答弁で言われました。
そして、総理は、部隊の安全が確保できないような場所で活動を行うことはなく、万が一自衛隊が活動している場所で、その近傍で戦闘行為が発生した場合などには、直ちに活動を一時休止又は中断するなどして安全を確保しますと言われました。
これは、あえて私は、間違ったことを言われると反論されると困るので、後方支援についてです、武力攻撃ではありません、後方支援について総理が全ての法案に盛り込まれたと言われたんですが、残念ながら全ての法案には盛り込まれていませんでした。それを国会で答弁を求めたときに、総理の答弁がまた二転三転して中断しました。中谷大臣の答弁は、ほとんど、申し訳ありません、失礼な言い方になりますが、本当に支離滅裂の状況でした。
それを鴻池委員長は、またもや、それでは駄目だと言って、政府に、しっかりとちゃんと説明を福山委員にしなさいという指示を出されました。これも委員長の大変な裁断で、委員長預かりとなりました。当時はテレビ中継だったので、委員長は、きっとテレビを御覧いただいている方に、止まって音声が届いていないことに対して配慮されたと思います。
私は、委員長のその配慮を私なりにも受け止めたので、私は本当は質疑続けたかったんですが、委員長の裁量に従いますと、その場で質疑はやめることにしました。ところが、政府の統一見解の回答は全く私の質問に答えるものではありませんでした。
そして、そのテレビ入りの質疑から総理は何と十七日間も国会に出てこられませんでした。そして、我々が審議をしている真っ最中に大阪まで行って生中継の番組に出られるような状況で、我々の抗議を受けました。
しかし、そのことに対しても鴻池委員長は官邸を説得されて、そのことに対してちゃんとけじめを付けると言われて、総理を入れて三時間の審議を入れていただきました。そのときの答弁について私は納得もしていないし、それは非常にいろんな安全保障上問題の答弁だったということは、私自身は納得をしていませんが、その三時間の質疑を委員長の御尽力で開いていただいたことに対しては、鴻池委員長に私は本当に理事会の場でも感謝を申し上げました。それが鴻池祥肇委員長という私は委員長だったと思います。
それを全く、全く委員長の本意ではないこのような状況で、今日、総理入りの締めくくり総括的質疑をするなどというのはとんでもない状況だと私は思います。なぜ、二十七日まで九十五日間延長しているのに、休みも審議すればいいじゃないですか。六十日ルールを適用してはいけないというのは、ここにいらっしゃる参議院議員、自民党も野党も含めて、与党も野党も含めて同様の気持ちのはずです。
だって、この間の派遣法だって六十日以上審議しているじゃないですか。女性の活躍法案だって六十日以上審議しているじゃないですか。我々、審議を止めていたんじゃないです。審議をやろうと言って、毎日毎日毎日審議をして、昨日、中央公聴会、地方公聴会の公述人の御意見を伺って、それにプラス、それを反映して、踏まえて審議にしっかり供しようという議論を我々はさせていただいています。
ましてや、昨日、我々つまびらかではありませんでしたが、野党三党との合意がなされたと聞いております。野党三党の合意がなされた内容については、昨日、ペーパーを夜中の理事会でいただきましたが、我々は正式に説明を受けておりません。この内容は、状況によってはこれまで審議していた法律の内容を確実に変えるものです。それなら、その内容について一般質疑で質疑をさせてくださいと、これから閣議決定をされるんだったら、その閣議決定の内容について質疑をさせてくださいと言うのは当たり前のことなんじゃないですか。それは審議を遅延していることなんですか。我々野党が審議をボイコットしていることなんですか。違うでしょう。我々野党が審議を求めるのは当たり前じゃないですか。
今まで与党の二党で、自民党と公明党さんで出してきた法案について百七十時間以上審議をしてきた、衆参で。それに対して、三党の野党が合意をして中身は変わって、昨日の地方公聴会でも、我々、全くその中身を知らない状況で三党の皆さんは合意をしました。この中身についてどう思いますかと公述人に何度も聞かれていました。いや、その三党の方が聞かれるのは構いません、合意をしたんだから。それは一定の成果でしょう、その三党の皆さんにとっては。でも、その三党の皆さんの合意で、今まで審議してきた法案の内容が変化をしていることに対して我々は何にも聞かされていないし、それについてしっかりと議論をさせてくださいと言うのは当たり前のことなんじゃないでしょうか。
それを何で、地方公聴会が終わった後、三党合意の党首会談が終わった後、急に締めくくり的質疑で何で質疑が終局できるんですか。論点が本当に、先ほど申し上げましたように、あちこちに散らばったまんまですよ。
国民の皆さんは誤解されているかもしれません。国会は、審議で疑問なところを野党が質問すること、与党も質問することによってその法案の隙間を埋めていくんです。それが解釈を最小限に抑えて、自由な法律の施行ができない、為政者にとって、権力者にとって好き勝手に法律の施行ができないように、国会の審議であるときには確認答弁をし、あるときには制限を掛け、あるときにはここでこれ以上はできませんねということを決めるのが国会の審議なんです。
それが今は、違憲の解釈が変更されて、そして論点は散らばったまんま、答弁は先ほど申し上げたように異なったまんま、何も実は収れんをしていません。そのまま実力部隊である自衛隊を本当に動かすための法律を強行で採決しようとするんでしょうか。あり得ないでしょう。
北澤防衛大臣は、最近でいえば、最も最近の大臣では長く防衛大臣をやられた大臣です。私も官邸で、北朝鮮の延坪島の砲撃事案、天安号の砲撃で北朝鮮と韓国がやり合っているときに、僕は官邸の危機管理センターに飛び込みました。尖閣に漁船が来たとき、いろんな御批判をいただきましたが、私も現場にいました。
我々、安全保障環境が変わっていることは理解をしています。だから、我々の防衛大綱では、南西諸島沖の動的防衛力ということを初めて自民党政権ではないのに我々はそのことを入れて、そして自衛隊の編成を、北海道の陸上自衛隊が、ロシアの脅威が今あるかどうかの議論はあるかもしれないけれども、もう少し南西諸島沖に移動しようということの編成替えも我々の政権のときにやらせていただきました。
我々だって安全保障環境が変化していることは分かっています。だから、一番国民の皆さんが不安に思っている領海や領域警備法について、我々はその防衛大綱で頭出しをし、そして何とか作りたいと言って、去年の秋、私が政調会長のときに維新の皆さんとこの協議を始めました。今回、おかげさまでこの領域、領海を守る領域警備法に対して我々は成案を得ました。残念ながら、シームレスだと言われている今回の政府・与党の安全保障法制には領域警備はすっぽり抜け落ちています。グレーゾーン対応はすっぽり抜け落ちています。
我々は、第一義的に海上保安庁の皆さんに守っていただきます。海上保安庁はまだ船も足りません、人員も足らない。この海上保安庁のとにかく全体の増強は絶対に必要です。そのことを第一に掲げながら、この領域警備の地域を国会の承認で定めて、何か万が一のときがあったら、グレーゾーン対応には、逆にそこの後ろに、自衛隊の皆さんにも何とか後ろで支えていただく、そこをまさにシームレスに対応するという状況を、我々は国会の中で、この領域警備法でやっていきたいということをまとめました。それは決してエスカレーションを望んでいるのではありません。
なぜ世界中の国が海上の警備は警察権でやるかというと、軍と軍がいきなり出たら有事になるからです。だから、みんな警察権でやっているから、我々は海上保安庁を一義的にするけれども、もし、どこの国とは僕は言いませんが、どこかの国が大挙して武装した漁船とかいろんな形で来たときに、海上保安庁の警察権だけでは対応できないときにより装備のしっかりした自衛隊に後ろにいていただく、そういう地域だよということを事前に指定をすることによって相手を抑える、これが抑止力なんじゃないでしょうか。
今の政府・与党の安全保障法制はまさにそこが抜け落ちていて、何かあったときに閣議の連絡を電話でやりますという話です。それは逆に、何かがあったときに電話で早く連絡するという話で、何かがあっちゃいけないから抑止をするんじゃないでしょうか。だからこそ、この領域・領海警備の中でそのことを我々としてはしっかりとやっていきたいと思っています。
我々の国会提出、趣旨説明終わったところです。まだこの領域警備法については一時間も審議をしていただけません。それで何で強行採決なんですか。そのことは鴻池委員長が一番よく分かっておられます。趣旨説明をしたところだというのは、鴻池委員長が一番よく分かっていると思います。
最後に、違憲の問題について申し上げます。
違憲の問題は、憲法学者が違憲と言っているから、あれは学者だと、憲法を守って国が守れるか、私は暴論だと思います。我々議員は憲法の枠内で権力行使を認められています。誰に憲法の枠内で権力行使を認められているかといえば、それは国民です。主権者である国民です。それを多数だからといって、憲法違反の法律を政府と与党が一緒に出してくるなどというのはとんでもない暴挙です。砂川判決も昭和四十七年見解も根拠になり得ないことはもう明々白々です。
この間、濱田最高裁判所の判事がこれは法匪だと言われました。法匪というのは、法を本当に偽って悪用するという意味です。これ、最高裁の元の長官の山口長官が、この集団的自衛権の行使が違憲だということは国民の血や骨になっているんだと言われました。だからこそ法的安定性があって、ただの条文上の問題じゃない、解釈の問題じゃない、社会に受け入れられている問題だからこそ、これは法的規範性があるんだと言われました。
これを誰がつくってきたのか。残念ながら、多数派をずっと構成してきた自由民主党じゃないですか。歴代の中曽根総理も竹下総理も小泉総理も、宮澤総理も、どの総理も、そしてその内閣にいらっしゃる閣僚も、全部そのことを受け入れて、法制局長官は歴代、限定的な集団的自衛権なんかできないと言い続けた。それが法制局の役割であり、それが法的安定性である、私はそう思っています。そのことを本当に、失礼な話ですが、一時的に多数派を構成しているかもしれないこの安倍政権が解釈を変更して、それに合わせて違憲立法していいという私は考えには至らないと思います。法制局長官が審査もしないでこのことについて法案として認めたことは、本当に歴史に汚点を残すものだと思います。
なぜ、本当に多くの最高裁の裁判官や元の裁判所の長官や憲法学者や他の学者の方が反対の声を上げているか。国民の皆さんが、若い世代も年配の世代の方々も女性も、そして最近はMIDDLEsという中年の方もいらっしゃるみたいですが、多くの皆さんが声を上げていただいているか。それは、単なる集団的自衛権の問題で違憲だということに対して反対をしているからではありません。日本の統治構造や法的な安定性や法律に対する信頼性みたいなものが崩れていくんじゃないか、そして、そのことによって初めて自衛隊が海外で武力行使をすることに至るのではないか、それを一体どんなルールで実力部隊である自衛隊の皆さんに危険な状況を甘受していただくのか。そんなことに対して、今は認められないという不安がこの全国の声につながっているんじゃないでしょうか。
どうか、政府・与党の皆様におかれましては、鴻池委員長も含めて、どうか謙虚に国民の声を聞いていただきたいと思います。
消費税を上げませんと言って解散総選挙をして、アベノミクスがただ一つの道だと解散総選挙をしたなら、なぜ、こんな国論を二分する、戦後日本の安全保障法制の根幹を揺るがすようなことで国民に信を問わないのか、私は不思議です。もし勝てる自信がないなら、それは非常に私は態度として良くない態度だと思います。
そして、じゃ、なぜ憲法改正で堂々とそのことを国民に問わないのか、これも不思議です。この間、自民党の総裁に再選された安倍総理は、憲法改正が次、争点だと言われました。じゃ、なぜ今やらないんですか。
そのことも含めて、今、全く総理の締めくくり質疑をやれるような、やるような環境でもないし、審議も熟していないし、そして国民の声に対して応えてもいません。そのことを一番実は御存じだったのは鴻池委員長だと私は信じています。その鴻池委員長に対する断腸の思いのこの不信任の動議を出させるような指示をした官邸や与党に、私は猛烈に抗議をしたいと思います。
そして、もっと真っ当な審議をしてください。擦れ違い、二転三転し、時には国会でやじを言い、こういう国民の皆さんに政治全体が信頼を失うような国会審議ではなく、我々は廃案を求めていますが、少なくとも審議を続行していただきますことを重ねて申し上げ、鴻池委員長に対する不信任の動議は、皆さんに賛成いただきたいというのも私は本意ではありませんが、断腸の思いで、賛成をしていただくことによって、この審議、何とか継続をし、引き続きしっかりとやっていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の不信任動議への趣旨説明とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○理事(佐藤正久君) これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。
私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま提出されました鴻池祥肇特別委員長不信任を求める動議について、断固反対の立場から討論をいたします。
鴻池委員長がどれだけ公平、中立な委員会運営を行っていたか。一番御存じなのは、不信任動議を提出した議員の皆さんではないですか。先ほどの福山理事の趣旨説明を聞いていれば、そのことは私は明らかだと思います。
参議院で既に百時間を超える審議の中で、鴻池委員長は、与党に対しても、野党に対しても、政府、総理に対しても、審議が尽くされるよう常に毅然とした態度で臨まれたということは、皆さんその目で見ているはずであります。異例の総理補佐官の参考人招致、少人数会派への配慮、委員会が空転することがないように御尽力をされ、野党の皆さんの意見に耳を傾け、数々の調整を行い、参議院独自の議論を尽くすことができたのは、鴻池委員長が職責を全うされたからにほかなりません。
先ほどの趣旨説明でも引用されましたが、八月三日の当委員会において、鴻池委員長は、参議院のあるべき姿について述べられています。
参議院の存在というのは、さきの大戦の、貴族院が止められなかった戦争に至った道というものを十分反省をしながら、先人が苦労して二院制を、参議院の存在を一生懸命つくり上げた。衆議院と参議院は違う、衆議院の拙速をいさめるのが参議院であり、衆議院の足らずを補完していく、補っていくのが参議院である、できるだけ合意形成に近づけていく、こういうのが参議院の役割の一つだと思う。我々参議院は、衆議院の下部組織じゃない。官邸の下請をやっているのではないと発言をされております。
先ほど官邸の指示で出されたという御発言がありましたが、鴻池委員長の名誉のために、今の発言を見れば、鴻池委員長が官邸の下請をしたわけではないということは明らかであります。会派を超え、我々参議院議員が誇りを持って鴻池委員長の下で審議をするべきではないでしょうか。全委員会、参議院議員の誇りと名誉について代弁された鴻池委員長に不信任動議を提出するなどということは、まさに言語道断であります。
昨日、我々は理事会室に長い時間出れない状況が続きました。鴻池委員長に委員会室へ向かうことをお願いをしたときに、鴻池委員長はこうおっしゃいました。今ここを出ていけば、女性の議員の皆さんを始め多くの議員の皆さんに迷惑が掛かる、けがをさせることになるかもしれない、だからここは私は待つと、鴻池委員長はそう言って理事会室にとどまられた。鴻池祥肇という人は武士であります。そういう政治家であります。なぜこういう人に不信任動議を提出しなければならないのか。
良識の府、参議院議員の皆様に、自らの良識と照らし合わせて、この不信任動議を否決していただくことを強く求め、私の反対討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
私は、鴻池祥肇委員長不信任の動議に賛成の立場から討論をさせていただきます。
私も鴻池委員長を敬愛を申し上げております。大変尊敬をしております。そして、この厳しい委員会運営の中で、議場が荒れた昨日、今日の中で、私も、委員長席のところで委員長と目が合ったときに、委員長が大変苦しそうな目線で悩んでおられて、葛藤の中でいろいろ苦悩しておられるのを目と目でよく分かりました。おまけに、私、委員長に、委員長、もう鴻池委員長は怖いものは何もないんですから、憲政の常道、正道を守っていただきたい、お願いしますというふうに申し上げたところ、うんうんとうなずいておられました。本当に尊敬すべき委員長だと私も思っております。今の提出者である福山議員、そして反対討論をされた塚田委員と鴻池委員長に対する思いは一緒でございます。特に、参議院にこの法案が来てから、本当に、今、塚田委員がおっしゃったように、公正に運営をしてくださったと私も思っております。
しかし、残念ながら、中央公聴会のセッティング辺りから少し様子が変わってきたことは、もう委員の皆さんは御承知のとおりでございます。そして、この総括的質疑の設定、さらには、今朝、休憩になった理事会の再開をめぐる今日八時五十分の混乱など、残念ながら、終盤に来て、この国論を二分する、我が国七十年の大転換を招来するこの法案の最後の最後のハンドリングに関してやや不安な展開となってきたがゆえに今日の動議となっていることは、与党の皆さんにも是非御理解をいただきたいと思います。
そして、動議を出した後のことですからこの動議の提出理由には当たらないかもしれませんけれども、先ほど動議を提出された後に鴻池委員長は、今委員長代理としてお座りになっておられる佐藤正久議員に委員長の職を委託するないしは委嘱するというようなことをおっしゃったやに私は聞きました。
しかし、国会の先例においては、委員会の委員長の不信任動議が出された際には、もう出されたわけですから、御本人はもう何も物事を決められない状態でありますので、本来であれば、私に対する不信任動議が提出されたので、これをもって委員会を休憩といたしますと、これがこれまで積み重ねられてきた委員会運営の先例であったと私は理解しておりますが、なぜか先ほど鴻池委員長は佐藤議員を指名をされたということも、もうこれは動議を提出された後ですからこの提出理由には当たらないかもしれませんが、事ほどさように、終盤に来て非常に運営の仕方が変わってきてしまったということがこの動議の提出理由であるということをまず私からも申し上げたいと思います。
そして、鴻池委員長のみならず与野党双方の理事の皆様方は、この委員会の中で多くの委員が多数の資料請求や政府の統一見解を求めたところ、真摯にこれに対応をしていただいて、納得のできない政府見解ももちろんございましたけれども、かなりの部分は御対応いただけたものと思っております。
しかし、鴻池委員長においては、終盤でもう一つ御尽力いただきたかったのは、私が質問の中でお願いをした一つの資料がございます。それは、各党の議員の皆さんが、この法案が成立すると一体、密接な他国に対してどのような協力ができるのかということで、どのような弾薬を提供したり輸送したりすることができるのかということが大きな議論の一つとなりましたので、私から防衛省規格目録というものをお示しをし、この防衛省規格目録のうち、武器に該当するリストのうち、輸送できるもの、提供できるもの、輸送もできないもの、提供もできないもの、これを分類して御提出いただきたいということを随分前にお願いをいたしました。
防衛省も一度私のところに説明に来てくれましたが、いまだ出ておりませんので、一昨日、防衛省の審議官に、何だか総括的質疑が設定をされたので、うやむやにしないでそろそろ提出をしてくださいと申し上げたところ、防衛省担当審議官は、分かっております、すぐに対応しておりますし、もう準備できておりますと言っておりましたが、先ほど政府参考人の補助席に座っておられた当該審議官に、あれからまた二日たったけれども、どうなりましたかと聞きましたら、ちょっと事情がございましてなかなかお出しできませんということがございましたが、やはり前半極めて公正に委員会運営をしてくださった鴻池委員長並びに与野党双方の理事の皆様方におかれては、この資料、相当大事な資料ですからね、少なくともこの資料が出るまではとても採決など思いも及ばない、そういう状況であることを御理解もいただきたいし、この今私の発言をどちらかで聞いてくださっていると思います鴻池委員長にも、是非ともそこのところは御理解をいただきたいというふうに思います。
あわせて、委員長というのは、申し上げるまでもなく、公正中立なお立場で委員会を運営されなければなりません。そして、委員会が円滑に運営されるように、国会の職員、とりわけ委員部の皆さんに対しても適切な指導力を発揮していただくのが委員長の職務であるというふうに思っております。
もちろん、私ども議員本人も、これは与野党問わずでございますが、真摯に職務に向き合い、そしてそれぞれの責任を果たすということを求められておりますので、自らも戒めつつ、鴻池委員長にいま一つ終盤に来て少し足りないのではないかと思われた委員部の指導について、一言申し上げます。
委員部の皆さん、国会職員の皆さん、皆さんは極めて重要な職責を担っているということを改めて御認識をいただきたいと思います。こういう話を委員長に、是非委員部にしていただきたいんですが、それが足りなかったという意味で、私からお願いを申し上げますが、世界各国で様々な国内の紛争や内戦の結果、悲惨な状態になっている中で、民主主義的な国を再構築しようというプロセスのときに、それぞれの国内の勢力が集まって、暴力やあるいは非民主的な手法でそれぞれの勢力争いをすることをやめて、話合いで物事を決めましょうというときに、集まって話合いのルールを決めてみんなが合意をしたら、それに沿って話合いが行われる、そのプロセスを我々は幾多の事例で見てきているわけであります。そのプロセスが失敗すると、また人を傷つけたり、人を殺したりするような悲惨な状況になっている国をたくさん我々は知っているわけであります。
民主主義というのはもろいものです。ガラス細工であります。どのように話合いがルールに基づいて成立するかどうかというのは、もちろん当事者たちの冷静な言動にも懸かっておりますけれども、それをサポートする職務を担っている議会職員の責任は極めて重いですよ。
この日本の民主主義的で平和な状況は、先人たちが大変な思いで構築してくれた我々に残してくれた遺産であります。議会職員の皆さんは、もちろん民主党、我々の言うことを聞いていただく必要全然ないですよ。自民党さんの言うことを聞く必要もないです。ほかの党の皆さんの言うことを聞く必要もないです。皆さんは公正中立な立場で、どこかの政党の職員ではなくて、国民の皆さんから負託を受けた、民主主義的で平和な議論が行われるためのその場とプロセスを守るために国民から負託された職責を担っておられるということを改めて認識してください。
今朝の八時五十分からの当委員会の理事会の再開、私もちょっとびっくりしましたけれども、理事会というのは理事会室でやるものです。しかも、それぞれの言い分はあるにせよ、今朝、朝四時ぐらいまでああいう状態の中で、与野党の理事の皆さんが、そして鴻池委員長の御判断もあって、人道的な見地から、一旦これは休憩として八時五十分から理事会を再開しましょうというふうになったというふうに多くの議員がもちろん聞いております。だから、私たちもそのつもりで、今朝、それぞれみんな、徹夜の方もいるでしょう、ちょっとしか寝なかった方もいるでしょう、みんな集まってきて、さあ議論をスタートしようと思ったら、御承知のとおりの状況でございました。
そこで、こういうふうに議場が荒れて、民主主義的で平和裏に穏当な話合いが行われるような環境をつくっていくのが議会職員の皆さんの仕事であり、そうであれば、委員部は今朝の朝方の理事会で、どういう申合せで休憩として理事会が閉じられたかということについて、かくかくしかじかでございましたという客観的な事実を与野党双方の理事や委員に伝えるのが仕事ではないですか。したがって、鴻池委員長におかれては、あの局面でやはり委員部に指導をしていただきたかったというふうに私は思っております。
委員部の皆さんには、皆さんは本当に重要な職責を国民の皆さんから負託されているからこそ身分の安定と高い処遇が守られているということをゆめゆめ忘れないでいただきたい。
そういう意味でいうと、私の理解でいえば、昨日、ずっと続いていた理事会が一旦閉じられて、たしか今朝の零時十分か何かに再開をされたような気がしておりますが、(発言する者あり)零時十五分。私の認識では、あの場合は何らかの形で公報に掲載されなければ開催できないんじゃないんですか。何の公報に告知もなく、看板だけ掛け替えて零時十五分に立ち上がっておりますが、そういうときに、与野党理事の皆様方、そういうふうに議が調ったのは結構でございますが、これから公報に掲載して各委員室に配る手続、これがございます、その手続を守ることが民主主義でございますので少々お待ちください、零時十五分では間に合いませんから零時三十分にしてくださいとかと言うのが委員部筆頭の仕事じゃないですか。というようなことを委員長に御指導をいただきたかったなというふうに思っております。
いずれにいたしましても、委員部の皆さんのみならず、国会職員の皆さんはしっかり日頃仕事をしてくださっていると思いますので、今日は少し苦言を呈しておりますが、私たちも身を引き締めて仕事をいたしますが、国会職員の皆さん、身を引き締めて、襟を正して、公正中立な立場で仕事をしてください。
さて、委員長におかれては、もちろん今不信任動議の私は賛成討論をしているわけでありますので、先ほどの福山提出者と同様に、じくじたる思いでこれは可決をしていただきたいというふうに思っております。さりながら、民主主義は最後は数で決まりますので、鴻池委員長はその席に復活をされる可能性が高いと思います。高いと思いますが、その後、どのような議事運営をしていただくべきか、あるいはこの法案に関してどのような認識をお持ちいただかなければならないかと。私がこの審議を通して、いやいや、衆議院の議事録ももちろん全部読んでいますので、その感じているところを、今この私の発言を場外で聞いてくださっている委員長のお耳に届くことを期待して、少し申し述べさせていただきたいと思います。
そもそも、憲法違反、立法事実に根拠が乏しいこと、さらには、終盤に来て明らかになり、福山議員も先ほどおっしゃられましたけれども、法理的、法律的にはできることがかなり広いにもかかわらず、政策判断としてやらないというにとどまっていることがいっぱいあれば、あるいは、私が事態対処法の三条四項で指摘をさせていただいたように、法理上、法律上はできるどころか、政府に義務が課されるにもかかわらず、それを果たすことができない状態、やれない状態にあるものもいっぱいあります。
このような欠陥を抱えた法案は廃案以外にないとは思いますけれども、しかし、この二年間、私も予算委員会以降、安倍首相あるいは小野寺前防衛大臣、そして中谷防衛大臣、そして岸田外務大臣はずっと御担当しておられますが、議論をさせていただいておりますけれども、その中で、この法案、鴻池委員長が万が一復職された場合には、少なくとももっと議論を続けるという御判断をいただくか、ないしは、これは時期尚早だと立法府の委員長として総理に直言をしていただく必要があることを二、三申し上げたいと思います。
そもそも、一九四四年、国連憲章の原案としてダンバートン・オークス提案というものが出てきたときに、佐藤委員長代理御承知のとおり、このときには、集団的自衛権という概念はその提案の中にはございませんでした。しかし、その後、アメリカや当時のソ連が拒否権を有するという、そういう展開になってきて、地域の安全を守るための地域的安全保障が有効に機能しないという危機感の中から、翌年の一九四五年に公になった国連憲章の五十一条で慌てて認められたのが集団的自衛権でございます。したがって、集団的自衛権は、一九四五年まではこの世の中には存在しなかった権利でございます。(発言する者あり)おっしゃるとおり。
私も、一昨年の十月、予算委員会の筆頭理事をさせていただきました関係で、総理との最初の質疑のときに、総理が集団的自衛権あるいは安保法制を見直すことに熱意を持っておられましたし、積極的平和主義ということをもうおっしゃられ始めておりましたので、総理とその議論をさせていただきました。たしか十月二十三日だったと思います。
なかなか議論がかみ合わないので、私、思わず、「総理、集団的自衛権というのは自然権ですか。」と聞いてしまいました。これは別に、素朴に総理がそこのところをどう認識しておられるかお伺いしたくて聞いたところ、総理はきょとんとされて、私の印象では自然権という言葉と概念を御存じありませんでした。
そこで、一国の総理に恥をかかせてはいけないという気持ちは私もあります。これは党派関係ありません。安倍さんは、党は違いますけれども、日本国民の私にとっては日本国の総理大臣ですからね。だから、恥をかかせてはいけないと思って、その日は亡くなられた小松法制局長官の初登板の日でした。そこで、私は、総理がなかなかお答えにならないので、今日は小松法制局長官おいでになっていますねと、私の今の質問について、もしよろしければ御存じのことを御答弁くださいというふうにお願いしたところ、小松さんは、答弁席にお立ちになって、今私自身が申し上げましたダンバートン・オークス提案以降の一連の発言を説明をされて、したがって集団的自衛権は自然権ではございませんとおっしゃいました。
私は、今回、この戦後七十年の日本の根幹を揺るがすような御提案を総理がされるというのはちょっとどうかなというふうにそのとき思いました。
それと同時に、その後、小松長官がお亡くなりになった後に、横畠長官に同じことを聞いたことがございます。そうしたところ、横畠さんは、フランスにおいては自然権の一部と考えられているような面もございますというふうにもおっしゃっておられました。さあ、法制局はどちらの立場を取っているんでしょうかというこの一番大事なところも未決着でございます。未決着でございます。
さらには、個別的自衛権、これは佐藤委員長代理におかれてはよく御存じのことと思いますが、一八三七年、カロライン号事件でアメリカのウェブスター国務長官がおっしゃり始めた個別的自衛権の三要件、切迫性、必要性、均衡性又は相当性というもの、これはもうずっと確立しておりますから今日まで引き継がれているので、まさしく国際社会の共有概念であります。
しかし、この度、この法案、鴻池委員長もずっとお聞きになっておられて、うなずき方とか議論の聞き方を私も拝見していて、多分御納得してくださっていると思うんですが、今の個別的自衛権に比べて集団的自衛権は、先ほど申し上げましたように人為的な権利であり、そして、その国連憲章の五十一条を、自国のための集団的自衛権という我が国固有の異例の概念を生み出して、これを法律の根底として多くの法案を作ることには相当無理があります。こういう点も未決着であります。
そして、もちろん、与党の皆さんも政府の皆さんも横畠長官も、そうはいっても何がしかの法的理屈を付けなければならないので、砂川判決と昭和四十七年政府統一見解を持ち出して、一生懸命工夫をされたのは分かりますよ、しかし、どう考えても無理があるということは多くの公述人の皆さんや参考人の皆さんの御意見の中で明々白々であるというふうに思っております。
そして、私が、こういう手続や論理を軽視した法案を作ると日本の国は少し危ない面を持っているなというのは、例えば砂川判決の経緯に関する政府の姿勢です。もう多くは繰り返しませんけれども、皆さんよく御承知のとおり、当時の田中最高裁長官がアメリカのマッカーサー駐日大使と事前に情報交換をしてこの砂川判決を行ったということはアメリカの公文書で明らかになっているわけですね。同盟国のアメリカ、アメリカは信頼に足る国であってほしいと思いますよ、だから、信頼に足る同盟国であるアメリカの公文書が認めている事実までも、日本という国は、そういう事実はございませんと言う体質を持っているんですよ。だから、この国を運営していくに当たっては、相当な注意力とそして論理性と過去の様々な反省に基づいて運営をしなければならないということを是非、鴻池委員長にもどこかで思いをはせてこの私の発言を聞いていただきたいなというふうに思います。
さらには、立法事実としておりましたホルムズ海峡とそして邦人救護、この二つ。
ホルムズ海峡については、イランの大使が日本に対して、イランが機雷を敷設することもないし、そういう立法事実を議論されることは遺憾であるとまでおっしゃって、もうほぼこのホルムズ海峡における機雷掃海の立法事実としての正当性は失われたわけでございます。
そして、もう一つの根拠となっていた、朝鮮半島から、朝鮮有事の際に、主にそのことを想定してのあのパネルだったと思いますけれども、邦人が例えば米艦に乗って避難をしてくるときに、この方々を救助できなくていいのかと、情感たっぷりにお訴えになった安倍首相でございますけれども、さきの政府統一見解で明らかになったように、このような邦人の皆さんを救護するかどうかは確定的には申し上げられない、しかも、我が党の大野議員の質疑の中で明らかになったように、邦人が乗っているかどうかということは絶対条件ではないと中谷大臣、答弁になっているんですね。
もうこの二つの事実をもって、立法事実も正当性を失った、そして法的根拠も正当性を失った。それを強行してもし決めてしまうと、法理的、法律的にはできることがいっぱい広がって、でも、今はやらないから安心してください、こういう状態が生まれます。
さらには、法律的には、事態対処法三条四項で、日本国政府は日本国民に対して存立危機事態が発生したときにはその事態を速やかに解消するために合理的に武器を使用しなければならないと言っているにもかかわらず、策源地を攻撃する能力は持たないんですから、この法律が施行されると日本国政府は国民に対して法的義務を果たせない状態になるんです。
だから、法律的にはできるけどやらないことと、法律的にはできると書いてあるけれどもやれないこと、これをしっかり法律の中でやはり明確にしていくことが、この後、審議を通じて、修正案等で議論すべきことではないでしょうか。この重要な点について、先日、中谷大臣と、私は易しくお伺いしたつもりでございます。法律的にはできるけどやらないことと、法律的にはできると書いてあるけれどもやれないことと、この区別をお伺いしましたけれども、まだまだ議論が必要だなというふうに感じた次第でございます。
いずれにいたしましても、まだまだ審議が必要でございますけれども、最後に、与党の皆さんにも是非お聞き届けいただきたいのは、自衛隊法三条において間接侵略と直接侵略という言葉を消した上で自衛隊法八十八条をそのまま維持して、我が国を防衛するために武力を行使できるというふうに改正をすると何が起きるかというと、侵略ではない諸外国の行為に対して我が国が武力を行使するということになるんです。それは、この間も中谷大臣と質疑をさせていただいて、中谷大臣も存立危機事態は侵略ではございませんと最終的にお認めになりました。だから、これ、もうちょっと議論しなきゃいけないんです。
そのことをもう少し平易な言葉で衆議院で我が党の寺田議員との質疑の中で中谷さんがおっしゃった表現が、七月の二十八日の当委員会で私が指摘申し上げました、我が国を現に武力攻撃をしていない国に対しても、我が国を武力攻撃するという意思を表明していない国に対しても、そして、佐藤委員長代理自身がお使いになられたあのパネルの概念整理からいくと、先々そういう意思を持つことを予測すらされない国に対しても、その国が我が国と密接な第三国と武力衝突状態にあるときには、我が国から先にその国を武力攻撃できるという答弁を堂々としておられるわけですね。
これは、これが先制攻撃かどうかということが、私自身は鴻池委員長にも、もし復職されたときにはもう一度よくお考えいただいて委員長としての慎重なお裁きをしていただきたいと思っておりますけれども、繰り返しこれは先制攻撃に当たらないですかと聞くと、七月の二十八日には、岸田外務大臣は、国際法上はそれは先制攻撃に該当しますとおっしゃいました。
しかし、その後、やはり反響があったんだと思います。御答弁を変えられて、これはその国が現に密接な他国を攻撃しているんだから、それによって先制攻撃にはならないという言い方をずっとしておられますけど、これは間違いです。岸田大臣自身も言っておられるように、日本の武力攻撃がその場合は違法性を阻却されるというだけであって、先制攻撃という言葉の定義は国際法にはございません。先制攻撃かどうかというのは、例えば、佐藤委員長代理と私との間で、佐藤さんが誰とけんかしていようと、私が誰とけんかしていようと、そのことと関係なく、佐藤さんと私の間でどちらが先に手を出したかということなんです。
だから、この自衛隊法三条と八十八条の、三条は侵略を削除し、八十八条の我が国防衛はそのままにしておくという、この点については大いに懸念がありますので、鴻池委員長が戻られた際には、十分に審議を尽くして、この点を委員長に、政府にも、意見を述べていただきたいと思います。
最後になりますけれども、中世のヨーロッパの政治思想家マキャベリ、このマキャベリの言葉を私たちこの委員会に身を置く議員は重く受け止めるべきだと個人的に考えております。マキャベリはこう言いました。戦争は、始めたいときに始められるが、やめたいときにやめられない。
今回の法案、政府は、これは国民の皆さんの安全を高める、自衛隊員の皆さんのリスクをむしろ減らすという説明をしておられますけれども、そうではなく、潜在的に国民の皆さんの安全を脆弱なものとし、自衛隊員の皆さんの潜在的リスクを高める可能性があるのではないかという点が根底にある最大の論点でございます。
敬愛する鴻池委員長は、これらの点を十分に御理解してくださっていると思いますので、万が一その席にお戻りになった際には、与野党議員とも鴻池委員長の下で十分な上にも十分な審議を尽くすことを求めて、じくじたる、じくじたる思いでございますが、鴻池祥肇委員長の不信任動議に賛成の討論とさせていただきます。
○理事(佐藤正久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○理事(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○清水貴之君 維新の党の清水貴之です。
私は、会派を代表して、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会、鴻池祥肇委員長の解任決議案に賛成の討論を行います。
私は、維新の党案、対案の発議者として答弁者席に移った小野次郎議員に代わりまして、途中より理事の任に就かせていただきました。鴻池委員長は、そんな不慣れな私にも親切、丁寧に接してくださり、また、委員会の運営についても、私が言うのも僣越ですが、非常にフェアに、むしろ我々野党の意見をしっかりと尊重してくださることも多くあり、御自身の意思で、駄目なものは駄目だと、良いものは良いとはっきり述べられる姿、同じ兵庫県の大先輩、その鴻池委員長の姿には尊敬の念を持ってきました。
しかし、その委員長の姿が大きく変わったのは、先ほど大塚議員からも話がありましたとおり、今週火曜日の中央公聴会を委員長職権で、強行採決により、我々野党の知らぬ間に決めた頃からではないでしょうか。その後、昨日の地方公聴会の後、締めくくり総括的質疑、これも委員長職権で決められました。十分な時間も取らずに、公聴会での貴重な御意見、様々いただいているわけですが、それを審議に反映する時間、その余裕も与えずに、単なるセレモニーと公聴会をしてしまうような、そんなやり方を委員長が職権で決められました。
そのこともあって昨日の理事会が大混乱したことは皆様御存じだと思いますが、混乱が収束なかなかしないために、深夜の三時半頃だったと思います、もう今朝方ということになりますけれども、長く続きましたので一旦休憩をして、同じ理事会室で、同じ状況で、今日の朝八時五十分から理事会を再開しようと、全理事合意の下、理事会は休憩になったと認識をしています。私もこれはしつこく、最後にもう挙手までして、そこは念押しして委員長に聞かせていただきました。委員長も含め、皆でこれは約束して決めたわけです。
しかしながら、今朝になって、急に理事会の場所をこの委員会室、理事会室ではありません、この委員会室に変えるとまた委員長職権で決められました。約束を破っては駄目です。こんな信義にもとる、信用できない、納得できない進め方、もう本当に大先輩鴻池委員長に私が言うのも本当に恐縮ですが、残念でなりません。そのようなやり方をする方、委員長は、その委員長の職にふさわしくないと言わざるを得ません。
締めくくり総括的質疑という話が出ています。総理自身が、まだ説明不足だと、国民の理解十分に得られている状況ではないとお認めになっている中、締めくくるなんて早過ぎます。まだまだ詰めなければいけない論点、多々残っています。質疑を終局するなどまだまだあってはなりません。
以上の理由から、私は鴻池委員長の解任決議案に賛成いたします。
以上です。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
私は、会派を代表して、鴻池祥肇特別委員長の不信任動議に賛成の討論を行います。
参議院は衆議院の下部組織でなければ官邸の下請でもない、あの礒崎補佐官の参考人招致の際に鴻池委員長が言われたこの言葉に私たちは共感を覚えました。そして、その後、政府や与党、時には叱責するその姿にも私どもは共感も覚えました。しかし、残念ながら、この間の、とりわけここ数日の異常極まりないこの委員会の事態を見るときに、残念ながらこの言葉に反することが行われていると言わざるを得ないわけであります。
一体、この間の異常極まりない事態はなぜ起きているのか。その発端は、中央公聴会の終了直後、地方公聴会の前日に、突然与党が、地方公聴会終了後、六時から締めくくり総括質疑を行い質疑終結をするという、乱暴極まりない、しかも異常な提案をしたことにあります。九月十四日のこの委員会での質疑の際に、総理自身が今の国民の理解について、まだ十分な理解を得られていないとはっきり明言をされました。にもかかわらず、なぜ終局などという提案ができるんでしょうか。
本来、当然、理事会出席の野党は、このような提案は受けられないと主張いたしました。更に質疑をするべきだと表明をいたしました。ところが、残念ながら鴻池委員長は、野党各党の合意もないままに協議を打ち切って、職権で一方的に締めくくり質疑、質疑終結の日程を決めました。
委員長の職にある者は、本来、委員会運営に当たっては中立公正を旨とすべきであることは言うまでもありません。にもかかわらず、この与党の乱暴極まりない異常な提案をそのまま職権で決めることは委員長の本来の職に全く反する行為であって、このような鴻池委員長を到底信用することはできないわけであります。
とりわけ、昨日、横浜で地方公聴会を開いた後に、帰ってきて夜六時から委員会を開催するという日程は極めて異常かつ重大であります。本来、中央や地方の公聴会というのは、広く国民の皆さんの意見を聞いて、それを単に聞きおくだけじゃない、その意見をしっかりその後の審議に反映をされるために行うものであります。
とりわけ、今回の公聴会は、これまでにも増して重い意味を持っておりました。それは、この法案が、憲法の大原則、国の在り方の根本に関わる法案であって、主権者国民の意見を広く聞いて審議に生かすことがどの法案よりも増して必要不可欠だということであります。だからこそ、国会周辺には今この瞬間にもたくさんの国民が駆け付けて、多くの市民が国民の声を聞けと、この声を深夜まで上げ続けているわけであります。
だからこそ、このような大きな関心のある法案だからこそ、この十年間では最高の九十五人もの公述人の応募が、事実上僅か一日半であったけれども、ありました。そして、その全てが反対の公述でありました。この十年間で次に多かったのは教育基本法のときの十七人でありましたから、圧倒的に多かったんです。本来でいうならば、私は、この九十五人の応募された方全てから御意見を聞きたい。二度、三度、四度、五度と公聴会を行うべきであります。
そして、この中で、公述人の一人として来られましたあのSEALDsの奥田愛基さんの公述は、本当に多くの皆さんの共感を得ました。彼はこう言いました。
強調したいのは、政治的無関心と言われていた若い世代が動き始めているということです。私たちは、この国の民主主義の在り方、未来について、主体的に一人一人考え、立ち上がっています。今、反対のうねりは世代を超えたものです。七十年間のこの国の平和主義の歩みを、さきの大戦で犠牲になった方々の思いを引き継ぎ、守りたい、その思いが私たちをつなげています。私は、今日、その中の一人として、まさに国会を囲んでいるその一人としてこの場に来たと、彼は言いました。そして、どうか政治家の先生、個人でいてください、この国の民の意見を聴いてください、勇気を振り絞り、尊い行動を行ってください。
私は、本委員会に参加する全ての委員がこの言葉を重く受け止めるべきだと思うわけであります。実際、この間の中央、地方での公聴会では、様々な新しい論点や疑問が出されました。それをよく検討し、そしゃくし、政府にも確かめ、そして質問を行ってこそ国会の役割を果たすことができると思うんです。
中央公聴会で公述をされた松井さんは、そもそも集団的自衛権という考え方は先進国が海外の帝国主義的な権益を守るために考え出された概念であることを出発点として押さえておく必要があります、これを今の時点で改めて集団的自衛権の行使を可能にすると議論することは、日本の国の方向性としてそういう危険な方向に向く可能性があると危惧をされます、こう述べられました。
そして、昨日の地方公聴会でも、前の日本学術会議の会長である広渡清吾さんはこう言われました。安保法案は、安倍首相の積極的平和主義の名の下に、自衛隊を武力行使する軍隊として世界に派遣し、自衛隊員が人を殺し、自ら殺される事態をつくり出すものです、まさに平和主義とは正反対の武力の積極的使用を意味します、戦後、日本国憲法が確立した個人の尊厳の原理と両立しません、さらに、武力行使をすれば国際紛争は解決せず逆に問題を生む、現にヨーロッパに押し寄せる難民の問題が示しています、こう言われました。
そして、ドイツ法学の専門家として、ドイツ憲法に定められている難民の庇護権というものが、あの戦争のときのドイツの痛苦の経験と教訓から生まれたものであること、そのことが憲法九条と重なることだということも公述をされました。私は大変感銘を受けて、こういうことをお聞きいたしました。
そして、弁護士の水上公述人は、今回の法案が様々な問題を持っていると。例えば、後方支援をする際に国際法、国連憲章などの裏付けがなくてもできるという問題などなど、様々な問題が言われました。そして、政府の答弁と条文が対応していないと、彼は、本当に政府答弁を生かすのであれば条文をこのように変えるべきだという具体的な提案まで昨日の地方公聴会でされたわけであります。
私は、こうした様々な意見陳述は、衆参で二百二十二回も審議が中断になるような、度々答弁不能に陥ってきた政府の答弁、そしてホルムズ海峡の機雷掃海にしても邦人輸送中の米艦防護にしても、集団的自衛権の立法事実そのものすらなくなったような、この間のあのひどい政府答弁と比べると、これらの公述の中身ははるかに、はるかに豊かな内容でありました。
しかし、昨日のあの地方公聴会に参加した委員は、この委員会の四十五人のうち二十人だけなんです。今委員長席に座っている佐藤理事も昨日は参加されておりませんでした。そして、今朝の未明に提案をされた今日の委員会で行うという地方公聴会のその報告書は、これだけの豊かな内容があるのに、たったA4一枚のものでありました。余りにもひどいと私たちが抗議をして、今朝はA4二枚になりました。委員会報告としては確かに限界があるでしょう。しかし、少なくとも、私は、地方の公聴会をやった以上は、この委員会にいる全ての委員がこの議事録をしっかり読むということは当然のことであります。それすらできないままに、帰ってきてすぐ質疑を行って終結をする、こんなことが一体許されるのか。与党の皆さんは、この公述人の議事録を読んだ人がいるんですか。私は、本当に公述人を愚弄するものであり、それは国民を愚弄するものだと言わざるを得ません。このような委員会運営は絶対に承服をすることはできません。
さらに、この間の質疑の中で、統一見解、資料要求が繰り返し出されました。これらは、委員長などの努力で解決されたもの、出されたものもあります。しかし、今朝の理事会に出されたこの理事会協議事項の中では、まだ統一見解が五つ、そして資料要求は八つ残ったままなんです。私がおとついこのことを指摘をいたしますと、与党からは、努力をしていると、会期中には出せますものがあると、こうおっしゃいました。冗談じゃありません。委員会で採決をしてから、その後から出してどうするんですか。衆議院の質疑では、あのイラク派遣の行動史について政府が提出を約束をしましたけれども、それが出てきたのはあの強行採決の後でありました。自衛隊の派遣に関わるそういう重要な資料が後から出てくる。どうしてこれで質疑ができるというのか。まさに、このような衆議院の愚を絶対に繰り返してはならないというのが参議院の審議の在り方だと思います。
理事会協議になった資料というのは、これは提出者だけではなくて、これは理事会全体のものでありますし、それを実行させるには委員長の責任があるわけです。これらを提出させることなしに質疑終局を提案をすること自身は、私は、まさに与党の責任放棄でありますし、それを受けられた委員長の責務を放棄したものと言わざるを得ません。
さらに、我が党はこの審議の中で自衛隊の内部資料を繰り返し明らかにいたしました。自衛隊の統合幕僚監部が作ったこの戦争法案の具体化の内容、計画、そして統合幕僚長の訪米報告の内部資料も明らかにいたしました。その中身は本当に恐るべきものでありました。自衛隊のトップが、昨年の総選挙直後に訪米をして米軍の幹部に対して、まだ安倍内閣、第二次、選挙後の安倍内閣の組閣も行われていない、法案についての与党協議も行われていない、ましてや、安倍総理が施政方針演説などしていないその段階で、自衛隊のトップがアメリカ軍に対して、この法案は八月までに成立すると、このことを表明しました。
そして、その直前のあの沖縄県知事選挙で基地反対派の知事が県民の圧倒的世論で選ばれたにもかかわらず、政府は、方針変わらず辺野古の新基地を建設すると、このことをアメリカに対して表明をいたしました。アメリカの下で、全く国民を無視した自衛隊の恐るべき暴走だと言わざるを得ません。これを知っていたならば、政府は国会と国民を愚弄することになります。知らなかったならば、まさにシビリアンコントロールが問われざるを得ません。
統幕長は、私たちが出した最初の内部資料については、その存在を認め、国会に出されました。そして訪米資料については、同じタイトルのものはあると認めつつ、同一のものはなかったと言った。じゃ、どこが違うかと言いますと、それは言えませんと言いました。冗談じゃないですよ。何を隠しているんですか。この訪米資料の提出を私たちは求めてまいりました。これはまさにこの法案の質疑の前提になるもので不可欠なものでありまして、これも実現をしていない中で、どうしてこのような中で質疑の終結などができるのかという問題であります。
そして、戦争法案は憲法を真っ向から否定する違憲立法そのものであります。そのことは審議を通じて浮き彫りになりました。憲法学者の圧倒的多数、そして日弁連、歴代内閣法制局長官が次々と国会に来て、議事録に残る形でこの法律は違憲だということを表明をされました。それでも政府は、こういう声を無視をして、憲法の番人は最高裁だと言いました。
しかし、その最高裁の元長官自身がこの憲法は違反だと断じられました。そして、つい先日、この場に元最高裁の判事の濱田さんが来られて、やはり違憲だということを言われました。このような専門家の意見にまともに耳を傾けないという安倍内閣の姿勢について、私は昨日、地方公聴会で前学術会議の会長の広渡公述人に御意見を聞きました。広渡さんは、反平和主義、反民主主義、反立憲主義に加えて、反知性主義だと厳しく批判をされました。
そして、濱田公述人は、なぜ自分が最高裁のOBなのにここに出てきたのか。現役の者に影響を与えるのはよくない、そんな思いもありつつも、今、日本の民主社会の基盤が崩れていく、大変な危機感があったんだと、こう言って、この場に来て公述をされたわけであります。衆議院に続いて本院での委員会審議を通じて、まさに質疑をすればするほど国民の反対の声が大きく広がっている。今、国会でも、この違憲の法案を採決すべきでないという声で今この国会は包囲をされております。これに耳を傾けることこそ私は本院の、本委員会の役割だと思います。
採決反対は、中央公聴会、地方公聴会の公述人の意見でもはっきりしております。まだまだ議論すべきことが議論されていないという指摘もたくさんありました。
中央公聴会で濱田公述人は、今日ここで長時間座っているのが単にやらせでやらされているとは思いたくない、皆さんの良識、良心に従ってこの審議の帰結を決めていただきたい、私の意見としては、この審議は採決に十分達していないと述べられました。
地方公聴会で水上公述人は、私は、十五日の中央公聴会を見て、この国の民主主義に希望を持ち、一方で、その後に、この地方公聴会の後に質疑終局を決めた理事会を見て、この国の民主主義に絶望しつつありますと、こう言われました。そして、その上で、委員長、この公聴会は慎重で十分な審議のためですか、採決のためのセレモニーにすぎないのであれば、私はあえて意見を持ち合わせていない、申し上げる意見を持ち合わせていないと、ここまで言われました。そして、公聴会を開いたかいがあったというだけの十分かつ慎重な審議をお願いしたいと述べられました。
そして、水上公述人は、その最後にこう言いました。国会は立法をするところです。政府に白紙委任を与える場所ではありません。ここまで重要な問題が審議において明瞭になり、今の法案が政府自身の説明と重大な乖離がある状態でこの法案を通してしまう場合は、もはや国会に存在意義などありません。これは単なる多数決主義であって、民主主義ではありませんと、ここまで声を上げられました。
そして、広渡公述人は公述の中で、良識の府の参議院として、全ての議員が国民の代表として、国民の反対と不安を自分の目と耳で認識をし、法案の違憲性を判断をして、廃案にしていただきたいと、こう述べられました。
私たちは、この公述人の皆さんの意見、その背後にあるたくさんの国民の皆さんの意見をしっかり受け止めることこそが今必要なことじゃないでしょうか。そんなときに、締めくくり総括とか質疑終局などあり得ないじゃありませんか。与党の皆さんは一体この公述人から何を聞いたんですか。どう受け止めているんですか。聞きおくだけなんですか。公述をセレモニーにする気ですか。私は、民主主義を愚弄するようなこのようなことは絶対に許されません。
審議を打ち切り、採決強行の暴挙は、国民の意見に真摯に耳を傾け審議に生かす重要な機会を多数派の通過儀礼におとしめたというほかありません。鴻池委員長が言ってきた、衆議院の下部組織でも官邸の下請でもない、この言葉に真っ向から反する事態ではありませんか。このことを進めるような鴻池委員長を私どもは信任をすることはできません。野党のみならず、主権者国民の多数の声を踏みにじる暴挙、民主主義の否定という以外にはありません。立憲主義を否定し、この戦争法案を強引に成立させようという安倍総理と同罪と言わざるを得ないわけであります。
私たちは、鴻池委員長の運営が多数派の政権与党の暴走に加担したものだと、このことは決して信任できない、このことを強く主張し、不信任動議に対する私の賛成討論といたします。
○水野賢一君 無所属クラブの水野賢一です。
鴻池祥肇特別委員長に対する不信任動議に賛成の立場から討論をいたします。
賛成の理由は単純明快です。現在審議中の安全保障関連法案に関して、審議も十分でないまま強行採決に向かっていることが誰の目にも明らかだからです。
そもそもこの法案は、形の上では二本の法案となっていますが、そのうち一本は、内実を見れば、十本もの法律を束ねて改正するという盛りだくさんの内容のものです。それだけに、議論すべき課題がまだまだ数多く残されているじゃありませんか。
現に、内容を詰めていけばいくほど、防衛大臣が答弁に窮し、速記が止まるというのが委員会審議の実態じゃありませんか。まして、維新の党からは多くの対案が出されています。また、民主党と維新の党は、共同で領域警備法案も提出しています。後者については、先日委員会で趣旨説明の聴取をしたばかりじゃありませんか。さらに、報道によれば、与党は別の三党との協議で閣議決定とやらまで約束しているそうじゃありませんか。
ならば、こうしたことについてもしっかりと審議するのが当然ではないですか。なぜこれで締めくくり総括質疑なんですか。なぜこれで質疑終局なんですか。なぜこれで強行採決なんですか。全く道理が通りません。
私は、昨日午後六時に、若しくは本日の朝に締めくくり総括質疑を開くことには断固反対の立場でありました。しかし、それは、審議そのものを拒否すると言っているわけではないのです。この状況の中で、この状況の中で審議を締めくくろうとすることに反対をしているのです。この状況の中で、この状況の中で審議を打ち切ろうとしていることに反対をしているのです。この状況の中で採決を強行しようということに反対をしているのです。
与党はすぐに野党が審議拒否をしていると言います。しかし、会期は二十七日まであるんです。にもかかわらず、にもかかわらず早々に質疑を締めくくろうとし、そして、もっと深掘りした議論を拒否しているのは、実は与党側じゃないですか。
更に言えば、職権で本日の参議院本会議がセットをされています。本会議の定例日でもない本日、しかも採決をすべき上がり法案もない本日、何のために本会議を職権で立てる必要があるのでしょうか。委員会での質疑を打ち切って本会議採決に持ち込もうということは、誰の目にも明らかなことじゃありませんか。こうした与党側の路線を象徴しているのが、残念ながら鴻池委員長であります。
私は、法案には反対の立場であります。しかし、法案への賛成、反対は別としても、与党・政府側の国会運営には多くの疑問があります。基本的なルールをないがしろにしていることが多過ぎるのです。
本日も、この不信任動議の提出後に、なぜと思うことがありました。ちょうど理事会で鴻池委員長への不信任動議、まさに今議論になっているこの動議の扱いについて議論をしている頃でした。委員長に対する不信任動議が出ている以上、この委員会における最優先の議題はその動議の扱いであるべきです。委員長としての適格性や正当性に疑問符が投げかけられた以上、その問題を最初に処理するのは当然のことです。
つまり、委員長不信任動議、つまりこの動議が最初の議題になることが分かっているにもかかわらず、中谷防衛大臣と岸田外務大臣が委員会室に、つまりこの部屋に入室し、そこの大臣席に着席していたんです。
委員長の適不適の採決のとき、なぜ行政府にある閣僚たちが答弁席に座ろうとしたのでしょうか。要は、委員長不信任問題、それを処理したらすぐにでも法案の質疑終局にでも持っていきたかったのじゃないですか。
道理にも反する、しかも、慣例にも反するこうした行為を平然と行ってきている政府・与党側に猛省を促したいというふうに思います。
以上、様々に申し上げてきましたが、審議も尽くされずに強行採決をすることなどというのは論外ということを改めて申し上げながら、与党の横暴な国会運営には強く、強く、強く、強く、更に強く、強く、強く、強く抗議をして、委員長不信任への賛成討論といたします。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
私は、社民党を代表して、鴻池祥肇委員長に対する不信任動議に対して賛成の立場から討論を行います。
私は、鴻池委員長を、今はこの対象になっておりますが、鴻池委員長を大変尊敬をしております。
二〇一五年八月二十二日の東京新聞、鴻池氏は、さきの大戦で国会は軍部の独走を止められなかった、貴族院でどうにもならなかったから参議院を置いたと持論を展開。その上で、参議院の役割は衆議院の拙速を戒める立場だと指摘をした。そして、安保法案について、参議院が合意形成の努力をしなければいけないときに、総裁選とか法案をいつまでに成立させなければいけないとか、ばかなことを言ってはいけないと強調した。そのとおりだと思います。
礒崎補佐官に対する苦言や様々な発言、信念を持ち、歯にきぬ着せず、そして前後左右、上に気を遣わず、はっきりおっしゃる保守政治家の矜持を心から尊敬をしております。
私は議員になって十七年目ですが、後藤田正晴さんや、亡くなられましたが、多くのいわゆる保守政治家と言われる方たちに生前ゆっくりお話を聞く機会を持ってきました。後藤田正晴さんは、自衛隊を海外に派兵すべきではない、その持論をしっかり持っていらっしゃいました。自民党の保守の矜持とはまさにそれではないでしょうか。
鴻池委員長は、ただ、残念ながら、ここ数日、強権的な、あるいはごり押しとも言える運営をされたことに対し心から抗議をし、この賛成討論をする次第です。
十五日の夜、中央公聴会が終わった夜に、十六日、地方公聴会が終わった後、締めくくり総括をし、終局をするということを職権で決められたことは論外ではないでしょうか。地方公聴会をやる前に、地方公聴会で公述人にわざわざ、わざわざ来ていただく前に、なぜ終局を言えるんでしょうか。これはあり得ないことだと思います。
実際、横浜で行われました地方公聴会において、広渡清吾専修大教授と水上弁護士両方から、このことについて苦言がしっかり提示をされました。
水上公述人は、冒頭に、公聴会の後に質疑が終局をするのか、公聴会は十分な審議のためか、採決のためのセレモニーなのか、もし後者であれば私は申し上げる言葉はない、委員長、どちらですかと質問を冒頭されました。委員長は、公聴会は十分な審議のためであるとおっしゃり、それで水上公述人は公述を行いました。にもかかわらず、なぜ地方公聴会の後の締めくくり総括、それの提案なんでしょうか。地方公聴会や多くの人たちの、本当にこの国会のために発言をしてくださることをこんな形で踏みにじってはなりません。
そして、昨日というか、今日十七日、三時半まで私も理事会の近くにおりましたけれども、みんなの合意で、厚意で休憩をすると、そして理事会は八時五十分、九時に委員会ということで与野党全て合意をし、決定し、私もそのことをしっかり聞いております。でも、本日十七日、朝来てびっくりいたしました。理事懇談会が開かれると思いきや、九時に何とこの委員会に委員長や理事が座っております。だまし討ちではないでしょうか。国会の中の合意をした、与野党合意でしたことすら踏みにじってしまう、こんなことを許していては、国会はあり得ません。
そして、つい数時間前に、そこに存在した全ての人間で確認したことをだまし討ちでやるというこの運営は、まさに戦争法案が作動するときにうそにまみれた戦争開始を行うのではないでしょうか。政治に対する信頼を根底から奪ってしまうものだと思います。
そして、本日十七日、残念ながら、鴻池委員長はまた委員会を再開し、締めくくり総括と、また職権で立てられました。その直後に福山理事が動議を出されました。ここまで混迷し、ここまで混乱し、みんながきちっと質疑をすべきだというときに、今日朝、また職権で締めくくり総括を立てられた。
この今述べました三点のこの運営に関して、私は、これはあり得ないという立場から不信任の動議に賛成をするものであります。
そして、この委員会、例えば参考人質疑は衆議院で二回やりましたが、参議院では一回しかやっておりません。また、公述人と参考人は、残念ながら女性は一人もおりません。昨日、衆参女性国会議員有志で要請書を、要請文を、鴻池祥肇委員長にこれを手渡しをいたしました。
昨日中央公聴会、本日横浜での地方公聴会は開かれたものの、これまでの公述人には女性は一人も選ばれておらず、とりわけこの法案に不安を持つ多くの女性たちの声は届けられているとは思えません。安倍政権では女性の活躍や意思決定過程への参画を重要視されていることから見ても、極めて遺憾です。私たち女性国会議員は、現在選ばれて国会に身を置く者として、この平和憲法下に保障された女性参政権の上に国民の負託に負うべく仕事をしています。今回の審議における本質的瑕疵としてこの問題を指摘し、委員長には是非とも拙速な採決の道を取るのではなく、女性たちの声を聞き、十分な審議としていただけますよう強く要請します。
今、たくさんこの法案についての反対の声が広がっております。SEALDs、MIDDLEs、OLDs、TOLDs、芸能人の皆さん、映画人の皆さん、そしてスポーツマン、スポーツウーマンの皆さん、表現者の皆さん、それから中東研究者の皆さん、そしてママたち、高校生、たくさんの皆さんが反対の声を上げています。
とりわけ、ママたちが誰の子も殺させないということを掲げて、まさにママの立場からこの法案に反対していることは極めて重要です。たくさんのメッセージをもらいました。私も子供がおりますけれども、誰も、子供を殺させるために、殺すために産んで育てるわけではありません。このような切実なママの声を国会は聞くべきではないでしょうか。
そして、全日本おばちゃん党のおばちゃん党はっさくの第一項めは、「うちの子もよその子も戦争には出さん!」、戦場には出さぬというものです。これこそまさに根本的な、うちの子も大事、でも、よその子も、誰の子も、どんな子も戦場で殺させない、この声を是非国会でしっかり聞こうではありませんか。
公述人も参考人も全員男性であったということは、偶然かもしれませんが、残念なことであり、そういう現場の声を是非聞く機会を持つべきだと思います。
また、先日、自衛隊員と家族、恋人のための安保法制、集団的自衛権行使相談が行われました。その中で、いろんな方から声が寄せられております。
これは、例えばお母さん、息子さんは二十代、陸自ですが、息子のことが心配です、安保法制には大反対、反対の声を大きな声で伝えてほしい。そして、イラク派兵のときには身辺調査が行われているということを聞き、国会前にも行きたいが、なかなか行けない。自分も国会前に行っても大丈夫でしょうか。大丈夫ですと。自衛隊員の子供がいて、賛成する親はいないと思う。
いろんな声が本当に寄せられております。まだまだ、まだまだこの国会は、参議院はそういう声を十分聞いていない、そういうふうに思っております。
なぜ、なぜ審議を打ち切り、なぜ、なぜ採決を急ぐんでしょうか。二十七日まで会期があります。連休を返上して、この中でしっかり審議すればいいじゃないですか。まだまだ時間がある。私たちはお盆も返上して審議をやりました。先ほど福山さんからもありましたが、この連休中、しっかり審議しようではありませんか。
安倍内閣は、安倍総理は国民の声を恐れています。説明し、国民が理解すればするほど、この法案が国民のためのものではないことに気が付いて、自ら主体的に声を上げる国民を恐れています。自分たちに憲法上の正当性がなく、当事者意識もなく、思考停止になっていることが国民にばれてしまうのを恐れています。だから、立憲主義どころか民主主義さえ否定して、今多くの国民が動いていますが、本当に多くの国民が動き出す前に強行採決をしようとしているのではないでしょうか。
安倍内閣は臆病者政権です。国民の皆さんにしっかり説明をするというのであれば、まだまだ、まだまだ理解が足りないというのであれば、しっかり審議をしようではありませんか。審議の打切りなどあり得ません。
昨日、広渡清吾教授は、反知性主義、反立憲主義、反民主主義と言いました。SEALDsの皆さんが戦争法案反対と言うときに、自由と民主主義を掲げていることも極めて大事だと思います。若い人たち、国民、市民は、戦争法案が平和を壊すということだけではなく、日本のまさに自由と民主主義が壊れてしまう、そのことを危惧をしているからなのです。だからこそ、だからこそ私たちが、この国会が、その民主主義を多数決主義で踏みにじってはならない、このことは極めて大事なことです。
今日もし採決をするというのであれば、もはや政府・与党は、自由と民主主義を標榜する資格、平和を標榜する資格はありません。
そして、この法案の中身についてまずお話をいたします。
まず、何といっても憲法違反だということです。自民党は、自民党こそが、まさに自民党こそが、戦後、集団的自衛権の行使は違憲であるとしてきました。二〇〇四年一月、安倍総理は、当時、安倍委員ですが、国会で質問しております。日本国憲法下で集団的自衛権の行使は可能か。秋山内閣法制局長官は、集団的自衛権の行使と個別的自衛権は質的に違います、量的な差異ではない、日本国憲法下で集団的自衛権の行使は違憲ですとはっきり答えております。この答えを、なぜ安倍総理はしっかり聞かなかったんでしょうか。
自民党の皆さん、与党の皆さん、政府の皆さんに申し上げたい。集団的自衛権の行使を違憲であるとして、法律を、行政を行ってきたのは、ほかならぬ皆さんたちではないでしょうか。安倍内閣は、もはや自民党政治ですらありません。
私たち国会議員は、憲法九十九条の下に憲法尊重擁護義務を持っております。天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務がある。当然のことです。総理大臣、最高権力者こそ憲法を守らなければなりません。
マグナカルタ、一二一五年、八百年前に作られたものは、まさに権力を縛るもの、憲法はそのような形で誕生をいたしました。最高権力者が、権力者が憲法を守らなくては憲法が憲法ではなくなってしまいます。総理の上に憲法があり、総理の下に憲法があるのではありません。憲法を守れ、安倍総理、政府・自民党は憲法を守れ、そのことを言いたいと思います。
この戦争法案は、誰が見ても、誰が見ても、誰が見ても憲法違反です。だから、ほとんどの憲法学者が、日弁連は全会一致で、そして多くの研究者が、学者が違憲と言っています。歴代の内閣法制局長官、そして最高裁長官、最高裁判事ですら、あえて憲法違反だと言っています。私は、その気持ちが痛いほど分かります。
憲法が憲法でなくなる社会は、一体どんな社会でしょうか。憲法にのっとって、憲法、法律、政省令という序列の下に私たちは生きています。私たち国会議員は憲法に基づいて法律を作ります。行政は憲法に基づいて行政を行います。裁判所は憲法に基づいて判決を出します。この社会で憲法が憲法でなくなる、まさに無法地帯ではないでしょうか。
だから、私たちは、この戦争法案の問題点は、単に戦争法案だけの問題点ではないんです。憲法が憲法でなくなる、憲法が憲法でなくなる社会をどんなことがあっても私たちはつくってはなりません。
私たちは、この戦争法案、大きく二つあります。
集団的自衛権の行使を合憲としていることです。自分の国が攻められていないにもかかわらず、他国の領域を武力行使できることを容認をしています。例外的にといいますが、例外の要件について明確な提示はありません。全くの白紙委任で、日本は、日本が攻められていないにもかかわらず、他国の領域で武力行使をするのです。
そして、二つ目は、いわゆる後方支援という名の下に一体として戦争を行うことです。非戦闘地域ではなく、戦場の隣であればどこへでも行けると条文上はなっている。弾薬は提供できなかったのに、弾薬を提供できるようにする。そして、発進準備中の戦闘機にまさに給油も整備もできる。そして、その弾薬は消耗品であり、クラスター爆弾も劣化ウラン弾も、そしてミサイルも全部入る、運搬する武器の中に核兵器も入る、発進する戦闘機に核兵器も、核爆弾も搭載することも定義上は除外されていないと防衛大臣は答えました。どこまでこの国は、どこまでこの国は醜い戦争に加担していこうとするのでしょうか。
戦後、七十年前、日本は三百万人の日本人の犠牲と二千万人以上と言われるアジアの人々の犠牲の上に憲法九条を獲得をいたしました。どれだけの犠牲を払ってこの憲法を獲得したのか、いまだもって戦争の被害に苦しんでいらっしゃる人がたくさんいらっしゃいます。だから、この戦争法案は、私は、三百万人の犠牲者、二千万人以上の犠牲者に対する冒涜だと考えます。こんな法案を、どんなことがあっても成立させてはなりません。
私は、この国会で、いわゆる悪法と言われる法律が残念ながら成立することを経験をしてきました。しかし、今回の戦争法案は、その悪法ぶりにおいて、憲法を踏みにじる点で、憲法違反の点で、憲法に対するクーデターという意味で、ほかの法律の比ではありません。
今、私たちはこの国会で、ナチス・ドイツがワイマール憲法がありながら国家授権法を作り、まさに政府限りで基本的人権を制限できるとして、あの暴虐の限りを尽くしたあのナチス・ドイツと同じ、まさに国家授権法成立前夜、そんな状況を迎えているのかもしれません。私たちはそんなことを絶対にさせてはならない。明文改憲に反対ですが、解釈改憲はそれよりも百倍も一千倍も罪が重いことを国会議員は自覚をすべきです。
立法事実もありません。ホルムズ海峡の機雷除去について想定していないと、最後、総理は言いました。そして、米艦防護における日本人母子、これも必要条件ではないということで、立法事実は、事実上、この参議院の審議の中で消えてしまいました。立法事実がない、そんな法律を成立をさせてはなりません。
そして、三点目、戦争法案ということについて申し上げます。
私は、四月一日、予算委員会で戦争法案と言ったら、不適切であるとして削除要求を受けました。しかし、私は、三月でも、憲法審査会でも、戦争法案という言葉を何度も使っております。ある日突然、ある日突然、野党の国会議員の言葉が不適切となる、しかも同じ委員会で。安倍内閣は、メディアや教育をコントロールしようとし、そして野党の国会議員の言葉狩りまでやろうとしているのでしょうか。
この戦争法案という言葉が不適切である、変えてほしいという自民党の人と話をしましたが、戦争法案ではなく、戦争につながる法あるいは戦争関連法ではいかがかと言われました。同じことではないでしょうか。
私は、安倍内閣が、まさに専守防衛は変わらないと言いながら、専守防衛は変わらないと言いながら、自分の国が攻められていないにもかかわらず他国の領域で武力行使をすることを認める、これはもう専守防衛ではありません。中国の軍拡や北朝鮮の脅威を言いますが、それは個別的自衛権の問題です。日本人の命と暮らしを守ると言いながら、世界中で自衛隊が戦争できる、後方支援ができることを認める法案は、まさに説明が違う、国民を誤った言葉で、誤った言葉でごまかして、だましているとしか言いようがありません。
安倍総理は、安倍談話の中で、侵略戦争について間違っていた、侵略戦争であった、満州事変以降は侵略戦争であったということを明言をしませんでした。
そして、イラク戦争について私が先日聞いたところ、大量破壊兵器はなかったことは認めながら、私が、これは九月十四日の委員会ですが、今の時点で判断は変わらないということでよろしいですね、正しい戦争なんですかと質問したところ、総理は、「妥当性は変わらないというのが政府の考えでございます。」と答弁をされました。
アメリカもイギリスも、間違っていたということを検証しています。オランダは、国際法違反であることを正式に認めました。イラク戦争をいまだもって正しい戦争であったと言うこの安倍内閣、国際水準から見ても明らかにずれて、外れております。
戦争が起きるときに、まず情報開示をしない、あるいは情報すら実は持ってないのかもしれない、大量破壊兵器がなくてもいまだに正しい戦争だったと言う、そして検証すらしない、全く思考停止ではないでしょうか。このような態度であれば、アメリカが行う戦争に思考停止で、アプリオリに、自動的に肯定をしていくのではないか、そういう危惧を大変持っております。(発言する者あり)危惧ではなく、まさにそうだという声がありましたが、私もそう思います。
私は、戦争に正しい戦争も正しくない戦争もないと思います。九十三歳の瀬戸内寂聴さんは、議員会館前のところに来られて、戦争に正しい戦争なんかない、戦争は人殺しです、そうおっしゃいました。そのとおりだと思います。
しかし、この法案は、正しい戦争であることの担保すら置いておりません。存立事態も重要影響事態も、その前提となる戦争は、国連決議や安保理決議すら要件としておりません。あのイラク戦争を、いまだもって当時の判断は正しかった、正しい戦争だったと言うこの内閣は、未来に向かって間違った戦争に、とりわけ醜い、汚い、泥沼の侵略戦争に加担していくのではないでしょうか。だからこそ、この戦争法案に反対です。
この委員会で、イラク戦争の実相について質問をさせていただきました。まさに米軍ヘリから無差別に市民を殺している、あっはっはと言いながら殺している、そんな写真、そしてウィキリークスに内部告発された動画もあります。どういう戦争なんでしょうか。
対テロ戦争とは市民への殺りく、市民への戦争は無差別殺人です。戦争法案は、リスクの肩代わり、そしてお金の肩代わり、そして人員の肩代わり、戦争下請法案です。私は、戦争によって日本の自衛隊が被害者になってはならない、そう思います。日本の政府が戦後初めて日本の若者に対して人を殺せと命ずることが絶対にあってはならない、そう思います。
そしてもう一つ、加害者にもなってはなりません。私は、戦後の日本が、海外で武力行使をしない、非核三原則、武器輸出三原則、この三つを掲げて戦後七十年を築いてきたことは日本の財産だと思っています。これをかなぐり捨てようとしているのが安倍内閣です。日本製の武器が世界の子供たちを殺さなかった、これはまさに日本の財産、宝物ではないでしょうか。日本がまさに誇っていいことです。でも、安倍内閣は、武器と原発を売って金もうけ、軍需産業のためにも、まさに武器輸出三原則を見直し、戦争法案を成立させ、弾薬を提供し、まさに戦争しようとしています。
私たちは、戦争の被害者にも加害者にもなってはなりません。そして、対テロ戦争、憎悪と報復の連鎖の中に日本が入っていけば、どれだけ日本は多くのものを失っていくのでしょうか、どれだけ多くのものを日本が失っていくでしょうか。これは、与党自民党の皆さんたちもむしろ理解できることではないでしょうか。保守の矜持というものがあった皆さんたちの先輩たちは、戦争しない、海外で武力行使はしない、そのために政治を行ってきたんです。なぜそれを、なぜそれを壊そうとするんですか。これは、私たちが単に二〇一五年の七月にやることではなくて、日本の戦後の出発点と戦後の七十年間がこの戦争法案によって壊されるということが問題なんです。
たくさんの死者の人たちに対して私たちは責任があります。過去に対して責任があります。現在に対して責任があります。そして、私たちは未来に対して責任があります。どんな子も殺させない、そんなママたちの声をしっかり受け止めて政治をしなければなりません。(発言する者あり)
私は、この戦争法案は、日本の若者がまさに殺されるかもしれない、戦死するかもしれない、そんな命の懸かった法案です。審議は不十分です。もういいなんということはないですよ。国民の一人一人の命を、世界中の子供の命を一体何と考えているんですか。日本がどれだけの、どれだけの、どれだけのものにこれから踏み込んでいくというのでしょうか。
このようにたくさん問題がある戦争法案に関して、ごり押しをすることはできません。かつて、このような大きな法案は、何会期も何会期も何会期もまさに議論をしてきました。十一本の、実質的には十一本の法律をこんなに短期間に成立させようというのはまさに暴挙です。PKO法や船舶検査法や武器使用や、ほとんど議論されていない、議論が残っていることもたくさんあります。まさにこれからではないでしょうか。
先ほど、もういいよというやじには私は強く抗議をしたいと思います。国民の命が懸かっている、人の生き死にが懸かっているそんなときに、もういいよということはないじゃないですか。
そして、申し上げたい。この法案、終局して採決などあり得ません。もし参議院が、与党が終局して採決をしようとするのであれば、自由と民主主義を破壊し、憲法を破壊し、まさに憲法に対するクーデターを起こすものです。憲法に対するクーデターです。憲法尊重擁護義務を持っている国会議員がそんなことをしていいとは思いません。私たちは、憲法とそして良心にのっとり、政治を行わなければならない。そして、政治は、ほかの何よりもやっぱり命を大事にするものだと思います。
うそをついてはいけません。うそをついてはいけません。戦争はうそと捏造から始まった。柳条湖事件、トンキン湾事件、そしてイラク戦争です。トンキン湾事件はアメリカの自作自演、北ベトナムから攻撃を受けたと、トンキン湾で。それは自作自演であったことを実はアメリカ自身がペンタゴン・ペーパーズで明らかにしました。それを持ち出したエルズバーグさんはニューヨーク・タイムズにそれを持ち込み、二回連載したところでニクソン政権は差止めを掛けます。アメリカの最高裁は、我が国の若者が異国で亡くなることについて情報は開示されるべきだとし、連載が続き、ベトナム戦争は終わりを告げます。
秘密保護法がある日本でどれほどのことが明らかになるのでしょうか。事前承認、事後承認であっても、一体どれだけのことが本当に明らかにされるのでしょうか。中谷防衛大臣は、秘密保護法の適用があり得ると答弁をしました。情報は開示されるのでしょうか。
この戦争法案そのものが平和と自由と民主主義を踏みにじるものである、そして審議は不十分、私は廃案の立場ですが、採決ができる状況では全くない、採決ができる状況では全くないということを申し上げたいと思います。
また、もう一つ、この法案が成立した暁にこの日本の社会が大きく変わることを一言申し上げます。雇用と社会保障のことです。
一兆五千億円、骨太方針で三年間の間に削減すると言われ、なぜ百八十六億円のオスプレイを大量に買うのでしょうか。なぜ防衛予算は五兆円を超えるのでしょうか。国家財政は本当に厳しい状況です。戦争法案のために、プチアメリカ帝国をつくろうとし、防衛予算をたくさんにすることで、まさに、まさに防衛予算はうなぎ登りに増え、青天井となり、そして社会保障が圧迫されるのではないでしょうか。
テロ特措法とイラク特措法は時限立法でした。ですから、まだ期限があった。しかし、重要影響事態法と国際平和支援法には期限がありません。恒久法案です。ということは、このことを、後方支援を始めて一体いつ終わりが来るんでしょうか。平和を壊すだけでなく、財政の面でも極めて問題です。大砲ではなくバター、この古典的なことを申し上げたい。
この戦争法案がもし万が一成立をしたときに、この日本の社会が、戦争ができる国になるだけではなく、自由と民主主義が制限される。報道の自由が制限される、本当のことが報道されない。言葉が制限される。そして、財政がまさに防衛予算の方に削減される。多くの多くの変化がこの日本社会で起きるでしょう。ドンパチ戦争をやっているときだけに被害が起きるのではなく、戦争をするずっと手前の段階でこの日本の社会が、自由と民主主義が大きく変質をする。だからこそ、SEALDsを始め若い人たちが自由と民主主義を掲げ、反対をしているのだと思います。
与党の皆さんにとりわけ申し上げたい。
私は、保守の矜持というものはあると、そう思っています。戦後の保守政治をつくり、集団的自衛権の行使を違憲とし、海外で武力行使をしてこなかった、その日本の政治を私たちは守っていくべきだ、そう思います。違う未来を一緒につくりましょう。未来の子供たちに対して私たちは責任がある。過去、現在、未来に責任がある。私たちは、歴史の中で重要な役割を果たしています。戦争法案を成立させるということは、歴史の犯罪者になることです。歴史によって裁かれるでしょう。未来に、なぜこんな法案に賛成したのか、歴史の中で裁かれるでしょう。それは望まない。
参議院が参議院であり、国会が国会であり、あの苦難の戦争の後に貴族院から参議院に変わり、七十年間にわたる営々とした営みの中で、非戦の誓いを立て、先輩たちがどれだけ、与野党を超えて、党派を超えて、思いを込めて戦争をしない国であるために努力をしたのか、そのことを刻むべきだ、そう思っています。
歴史の犯罪者になってはなりません。国民の命を粗末に扱ってはなりません。殺人の共犯者になってはなりません。そのことを申し上げ、私の鴻池委員長への不信任動議への賛成討論といたします。
○山本太郎君 私は、生活の党と山本太郎となかまたちを代表いたしまして、ただいま提出されました鴻池特別委員長の不信任動議、本当にこれ、断腸の思いで、賛成の立場から討論を行わなければならない状況になってしまいました。
鴻池先生も、そして私も兵庫県民であります。(発言する者あり)そうなんです。この参議院で山本太郎は、はっきり言って浮いている存在だと思うんです。二年前、私がこの参議院に参加したときには特にそれが顕著であったと思うんですけれども、それも最近、参議院の先生方のいろんな御助言があって、大分政治について皆さんから教えていただいて、そしてどういう振る舞いをするのかということを毎回怒られながら、少しずつ前に進めている状況があると感じるんです。
その中でも、鴻池委員長は、内閣委員会という私が初めて入った委員会、その一つしか無所属のときには入れなかったんですけど、その初めての委員会で、鴻池委員長もその中で委員を務めていらして、すごく怖い顔で私の質問を聞いていらしたんですね。そのときが、ちょうど子宮頸がんワクチン、子宮頸がん予防ワクチン、これによる副反応に苦しむ少女たちをテーマにした質問だったんですけれども、その質問を終えた後に鴻池委員長が私のそばに来て、これは大変な問題やと、これは考えなあかん、政治家やったらと、ええ質問やったというお声掛けをいただいたんです。そのときに非常に感激しました。この子宮頸がんワクチンも物すごく大きな問題であることはもう皆さん御存じだと思います。三百二十八万人の少女たちが接種を受けた。全員の追跡調査、行わなきゃいけない。その中で、自民党の中でも重鎮であられる鴻池委員長からお声掛けをいただいたというのは物すごく心強かった。
それだけじゃなく、こんなことを言っていいのか分からないですけど、一緒にお酒を飲ませていただいたこともあります。鴻池委員長はこういうふうにおっしゃいました。君と僕だけで行くとフライデーとかに撮られたらやばいからなと、だからほかの人も誘うでと。で、民主党の先輩方と一緒に、(発言する者あり)いや、済みません。一緒にですね、そのような場を設けていただいて、いろんなふだんのお話から、そして政治に至るお話までいろいろ聞かせていただいたという思い出もあります。
非常に自分自身にとって、親しみを感じるというよりも、もっとそれよりも深い、何かたまにしか会わない父親のような存在といいますか、その中でもリスペクトもあるというようなお方だったんですけれども、今回のこの戦争法案の強行採決に関しましては、やっぱりこれは、この動議に関しては賛成する以外はないという判断になりました。本当に断腸の思いで賛成討論をさせていただきたいと思います。
おとといですか、九月十四日、本委員会で私、鴻池委員長に厳しくお叱りを受けました。会議録を読みますと、鴻池委員長、このようにおっしゃっているんですね。私は政治家というのは議場においてどういう発言でもいいと思う、私も相当暴言を吐いてきました、ただ、今の山本君の発言につきまして、ちょっとある条約のことを指して、日米地位協定のことを指しまして、それを言い換える言葉として表現が適切ではなかったという御指摘を受けたんですよね。で、分かりました、じゃ、その言葉を言い換えますという形になったんですけれども、国の主権をまるで売り渡してしまったような条約ではないかというふうに改めさせていただいたんですよ。
でも、いろいろ調べてみると、私が使ったキーワードというのは意外と国会の中では使われているようでして、私のその鴻池委員長から御指摘を受けた言葉を検索すると三百四十八回、国会の議事録に残っているというお話だったんです。うち、日米地位協定絡みは二件、日米行政協定絡みは六十五件。
やはり、この日米地位協定、行政協定に関して、私と同じ問題意識、もちろんここにいらっしゃる皆さんも恐らくは同じ意識をお持ちであると思うんですけれども、そのような方々がたくさんいらっしゃるんだと。その内容というのは、もう皆さん御存じのとおり、米軍は日本の占領時代をそのまま今も維持、継続させられるというのが、日米行政協定から地位協定に移った、そのままの継続なんだよというお話なんです。
この件に関しても本当に、その言葉が適切であるか適切でないかということにも関しまして、委員長からはいろんな御意見、御意見といいますか御指導をいただきまして、私の至らない言葉というものを訂正していただいたりとかいう部分に関しましては本当に感謝を申し上げたいんですけれども、どうしてもやはりこの地方公聴会からの流れというものに関しては賛成しかねるという部分があります。
続けます。
どうして今、今回の安保法案、まあ戦争法案とも言われますけれども、何のための法案なのかなと。これ、皆さんに考えていただきたいんです。恐らく、これは国会議員だけではなく、この国に生きる全ての人々に考えていただきたい。どうして今、集団的自衛権って必要なんだろうと。どうして世界中で米軍の後方支援が必要なんだろうと。どうして今回、これまでの憲法解釈を変えて、現に戦闘行為が行われている現場でなければ、核兵器、ミサイルであっても弾薬提供、輸送もできるように、歯止めないですものね、発進準備中の戦闘機に給油できるようにしたのかと。
これ、全て米軍からのニーズなんですよね。そのようにお答えくださっていますから、米軍からのニーズがあったと。大臣がそのような答弁をなさるって、米軍のニーズのためにこの国のルールを変えるのかと。国民の命を守る、この国の、この国に生きる人々を権力者の暴走から守るようなルールまでも米軍のニーズがあれば変えてしまうことになるなんて余りにもおかしい話ですよね。けれども、米軍のニーズだ、アメリカのニーズだと政府は平気で答弁しちゃうんです。
今回の集団的自衛権の行使容認から、日米新ガイドラインから、十一本の戦争法案、それだけじゃない、これはもう原発の再稼働もTPPも特定秘密保護法から防衛装備移転の三原則までも、これらは全てアメリカのリクエストであるということが明らかになっていますよね。この委員会でもお話をさせていただいたと思います、第三次アーミテージ・ナイ・レポート、完全なコピー、完コピじゃないかよと。主権があるのか、この国にはと。
先ほども申しました。旧安保、それとセットであったのが米軍の在り方を決めた法律、法的地位を定めたものが日米行政協定。旧安保が新安保になった。その新安保とセットにされていて、米軍の法的地位を定めたものが地位協定。行政協定は、占領下時代のアメリカ、占領下時代の日本におけるアメリカの自由度、フリーにできますよということを記されたもので、そして日米地位協定はそれがそのままスライドされたものだと。余りにもおかしくないですか。
先日、総理、アメリカに行きましたよね。本法案の成立を約束されたという、アメリカへの旅行と言ったら駄目ですね、アメリカを訪問されました。そのときに言われませんでしたか、昔戦ってきた同士なのに、今こうやって真の友となってこの場に立てる、この場でこのような演説できていることが奇跡なんだと。そのような趣旨のことを言われていましたよね。でも、明らかに今、日本とアメリカの関係は友人と呼べるものなのかと。少なくとも、友人と言えるようなものに移行していくならば、その内容というものは改定されていくべきだろうと。
日米地位協定にしても、それ以外のことに関しても、全て丸のみ、言われたとおりじゃ、この国は誰のための国なんですかと。この国の法律は誰の意思で変更されていくんですか、この国に生きる人々の憲法は誰のニーズによって変更されることになるんですかと。
じゃ、我々が支払っている、この国に生きる人々が支払っていただいている税金、誰のために支払われるんですか、誰の代理人がこの国会に入っているんですかと。もちろん、選挙で選ばれました。全て有権者から選ばれた者であるには間違いないでしょう。でも、その中でも、大多数を占める政治家の中には、企業の代表として、企業の代弁者としてこの国会に入っている人もいるでしょう、恐らく。だとしたら、皆さんがお支払いになった税金、誰のための恩返しに使われるか、これ非常に大切なお話だと思っています。
少し話を変えまして、先に行きたいと思います。(発言する者あり)乱暴という話を、ありがとうございます、御意見いただきました。今の話は乱暴だと。そのお話を後ほど詳しく話させていただきたいと思います。済みません。ありがとうございます。
それでは、はっきり言います。過去の自衛隊の派遣に関して、どのような活動が行われたか。そして、例えば戦争であったり紛争であったりしたならば、それを総括したというものがなければ、しかも、ある一つの省庁の評価、検証というものではなく、第三者の目にさらされた、厳しく精査されたものがなければ、自衛隊を活動地域を拡大させたりすることは決してできないわけです。なぜならば、自衛隊は我が国にとって非常に重要な存在だからです。
先日の災害でもそうでした。自衛隊がいてくれてよかった、みんなそう思ったと思います、被災された方も、そしてその様子をテレビで御覧になった方も。東日本大震災のときにもそうでした。もし自衛隊が海外に派遣されてしまった後にそのような自然災害などが起こっていたら、とてもじゃないけど間に合いません。十万人の自衛隊員を動かす決断をされた、そのような決断をされた方が民主党の筆頭理事であります。
話、戻ります。
じゃ、今までこの日本で海外に対して派遣をしたという内容を見ていく、非常に重要だと思います。もちろん、陸上自衛隊もイラクに行きました。そして、航空自衛隊も行った。航空自衛隊、そして陸上自衛隊、イラクでの活動は、それぞれの陸上、航空の目線からはいろいろなものが出てくるかもしれません。
では、違う目線から見たらどうなんだろうと。イラクのサマワに派遣をされた陸上自衛隊の皆さん、本当に緊張感ある中で大変だったと思います。そこでは隊長も、隊長もと言ったら駄目ですね、委員長もそこに参加されていたんですものね、最高責任者として。
イラクの人たちはびっくりしたと言います。サマワの人たちはびっくりしたと言います。何をびっくりしたか。日本には軍隊がない、だから、自衛隊が来るといったときに、一体どのような人々が来るかということは想像も付かなかったと。現地にNGOとして入られていた方々がイラクの人々に言われたことなんです。ソニーが来るんだろう、トヨタが来るんだろう。今までサマワに住まわれていなかった方々もサマワに引っ越しされてきたと。すごいな、この田舎町にビルが建つんじゃないかって、東京みたいになるんじゃないかというような夢を膨らませていたと。
でも、実際に自衛隊の皆さんが到着をされたとき、オランダ軍に護衛をされながら入ってきたと。イラクの人々、サマワの人たちは本当に腰を抜かしたとNGOの方々は言われるんです。おかしいじゃないか、どういうことなんだと、話が違うじゃないか、どうして軍隊が来るんだよって。自衛隊が軍隊でないなんていう話は日本でしか通用しない話ですよね。当然です。
そのイラクで、イラクの人々が、どんな支援をしてくれるのかということを非常に期待を高めていたけれども、実際にされた数々のことは、地元の人たち、多く使われていたと聞いています。それはそうです。アメリカと日本は同盟国であり、そしてそれが一体化しているということが多くの人々に知られてしまえば、危険度は増すと。だからこそ、大きな日の丸をいろんなところに付けて行ったというような事実もあると思うんです。
その一方で、航空自衛隊、輸送をされていました。どのような輸送をされていたのか。国連関係者ですよとずっと言われていた、国連関係者の輸送をやっていたって。でも、それはたった六%で、六〇%以上が米軍や米軍属だったと。国会で言われているような審議、その答弁とは全く違う内容というのがどんどん出てくるわけですよね。
結局、この違憲、違憲と言ってしまいましたけれども、これは民事では負けてしまいましたけれども、そのときに判決として違憲という言葉が出てきているんですよね。じゃ、どういうことなのか、何を運んでいたんですかという話になると思うんです、そのような司法判断がなされるというのは。何を運んでいたかは分からない、中身さえチェックできないということはもう明らかなんですよね。おい、何を運ぶのかと、中身をチェックさせろなんて、信頼関係の問題ですよね。信頼関係壊れてしまう。一々中身なんてチェックできないよって。
じゃ、いろいろ、武器弾薬、いろんなものを運べると言っていることで、でも、大丈夫だと、我が国はそのようなものを運ばない、そう言い切れるものなんて何一つないんですよね。チェックできないんだし、それが何なのかさえも分からないかもしれない。何もかもがでたらめだなって。
話、戻りたいと思うんです。
イラクの派遣だけではなく、海外派遣、いろんなことに対してその検証がなされなければならない、当然だと思うんです。誰の税金を使ってその派遣が実現したのか。この国に生きる皆さんからの税金からです。であるならば、その内容というものは明らかにされなければなりません。税金が一体どのように使われたのか、はっきりさせるのは当然ですよね。
じゃ、もし航空自衛隊が、名古屋高裁で違憲だという判断が出たこの航空自衛隊のイラクの輸送、この中にひょっとして、イラクの人々、傷つけたりとか命を奪ってしまうような輸送もひょっとしたらあり得たかもしれない。それが弾薬かもしれないし、それが米軍人だったかもしれないし。
もう皆さん、何度もここでイラクのお話をしていると思います、イラク・ボディー・カウントが発表している。必ずここで何度もお聞きするイラクのことに関して、日本が参加したのは戦争が終わった後だという言葉がよく聞かれます。
でも、残念ながら、イラクに戦後はないんですよね。今もずっと続いていると。二〇〇三年から一三年までずっと、イラク・ボディー・カウントが数えている数で十四万人以上の民間人が犠牲になっていると。余りにもあり得ない。二〇〇七年の一年間で千四百四十七回空爆されたって。一年で千四百四十七回日本国内が空爆されたら一体どうなるかということを想像していただければ分かると思うんです。その空爆に参加したかもしれない米軍人、ひょっとしたら弾薬、分からないです、そのようなものが搭載された可能性があるかもしれないからこそ、名古屋では違憲という判決が出たわけですよね。
航空自衛隊のイラクでの空輸活動については、二〇〇八年の名古屋高裁で違憲判決、憲法違反だという判決が出たというのは先ほども言いました。イラク特措法を合憲としても、憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる。人道支援と言われるものの実態は結局米軍との武力行使一体化であったと。それがはっきりと司法によって判断された。イラク戦争でも、我が国は多くの民間人を殺すことに加担していた可能性が高いんだって。この振り返りをしないことには、自衛隊の活動地域の拡大なんてできますか。これ、すごく重要なことだと思うんです。この法案だって、違憲だとされる、司法判断されるという日が恐らく来る可能性高いですよね。(発言する者あり)一〇〇%です、真っ黒です。小西さんもおっしゃっています。
とにかく、総理は衆議院の質疑で、国連憲章上違法な武力の行使を行っていれば、それは国際法上認められないことであり、我が国はそのような国を支援することはないと答弁されていた。我が国がジュネーブ条約や国際人道法、国際人権法に違反する行為、つまり戦争犯罪に協力するなんてことありませんよねってお聞きしたら、総理は、我が国は、我が国として、国連憲章上違法な武力の行使を行う国に対して支援や協力を行うことはないわけでありますとお答えになっているわけです。ああ、じゃ、安心できるよなって思えるかなって。
戦争にはルールありますよね。戦場にはルールがありますよね。当然です、ルールがなきゃ取り締まれないし、それが違反だと言えないんだからって。ルール・オブ・エンゲージメント、部隊行動基準というんですか、自衛隊では。戦争、戦争、その戦争に巻き込まれているところでのルールというものがあるけれども、これからアメリカと一体化、恐らくしていくと、アメリカの後方支援に回ると。そこで駆け付け警護みたいなことが行われるとするならば、それは間違いなくアメリカの違法な戦争に巻き込まれるおそれが高いということですよね。
一体どうなるかって。イラクだってそうですよ。本法案がもし通っていたとしたならば、イラクの時代に、恐らくアメリカの戦争犯罪に巻き込まれていた可能性はあるかもしれない。イラクでも、戦争犯罪の常習犯と、NGOであったり、いろいろなイラクの人々を助けていたNGOの方々は、もう常習犯だと言っています。
二〇〇四年の四月、米軍はイラクのファルージャという都市を包囲をした、猛攻撃を行った。翌月、国連の健康に対する権利に関する特別報告官が、ファルージャの攻撃で死亡したのは九〇%が一般市民だったって。修羅場なんですよね。駆け付け警護なんて修羅場じゃないですか。じゃ、誰が味方ですか、誰が敵ですかって見分けられますか。やっちゃいけないことをやろうとしているんですよ。その結果、アメリカが民間人を大量に殺りくしてしまったという過去があるじゃないですか、イラクに。だから、イラク戦争を、それに加担した者として検証する必要があるんですよね。
その当時、ファルージャ攻撃を行ったときに、国連は、一刻も早く人権侵害行為に関して独立した調査を行うべきであるという声明も出しています。
救急車まで攻撃されたって。これ国際法違反ですよね、救急車ですもの。学校も占拠して、学校の上に土のうを積み上げて、住民を撃つためのスポットにしたんですって。むちゃくちゃですよね。でも、しようがない。どうしてか。先ほど言ったROE、戦時下でのルールがむちゃくちゃになっていったからだって。
ROEに関していろんな答弁があったと思います。その中ではっきりした答えというのは出ましたか。アメリカ側に寄るのか、日本側に寄るのか、新しいものを作るのか。戦闘地帯でイニシアチブを握っている人たちのROEに引きずられるんじゃないですか。駆け付け警護という話になって、修羅場になっていて、とにかく撃て、撃ちまくれという話になっているときに、じゃ、気を付けながら撃たせていただきますという状況になりますかね。
話を戻ります。
じゃ、その米軍のファルージャではどんな戦いだったのか。二〇〇四年の十一月から米軍の大規模攻撃を受けていたファルージャ、この作戦に参加していた米兵が、「冬の兵士 良心の告発」というDVDでも語っています。
攻略戦の訓練を受けていた全員が、みんな攻略戦を受ける前にキャンプに行くと。その訓練を受けたある日、軍法、軍の法律、軍法の最高権限を持つ部隊の法務官に招集された、そしてこう言われたと。武器を持つ人間を見たら殺せ、双眼鏡を持つ人も殺せ、携帯電話を持つ人は殺せ、何も持たず敵対行為がなかったとしても、走っている人、逃げる人は何か画策しているとみなして殺せ、白旗を掲げ命令に従ったとしても、わなとみなし殺せと指示されたそうです。ファルージャで私たちはその交戦規定に従ったって。米兵たちは、ブルドーザーと戦車を使って家屋を一つ一つひき潰していった。人間は全部撃ち尽くしたって。犬や猫や鳥など動くもの何でも撃った。動物もいなくなったから死体も撃ったって。これ、一部の米兵がやったことじゃない、米軍が組織的にやったことなんだと。軍法の最高権限を持つ部隊の法務官が招集してそれを伝えているんですから。
そのような状態に巻き込まれたとしたら、自衛隊が国際法違反、戦争犯罪に巻き込まれるという可能性、高いに決まっているじゃないですか。自衛隊員を戦争犯罪者にしないでくださいよ。余りにも歯止めのないような穴だらけの法案を、どうしてこれを無理やり通そうとするんですか。自衛隊は物じゃない、自衛隊員は人間ですよ。この国を専守防衛で守るということを、服務の宣誓を行って、そして正義感を持って、この国を守ってくれ、災害からも専守防衛でも守ってくれるという心意気を持った若い人たちも、そしてそうでない方々も自衛隊に集まってくれているんですよね。その方々に対して、この国の憲法を無視したような内容を今これだけ急いで通そうというのは、余りにもあり得ない話じゃないですか。
納得する人いますか。若い自衛官で納得している人いますか、命令だったら行くしかないよなって。(発言する者あり)本当です。おまえら行けよって。国会議員が行けよ、決めた総理が行けばいいじゃないか、防衛大臣行けよ、外務大臣行けよって、若い人々はよくそういうことを言います、この戦争法案に関しての話をしているときに。おかしいだろうって、どうしてこういう穴だらけの法律を作るんだって。もしも有事の際には真っ先に最前線に行きますと政治家が言ってくれるならば、まだ、まだ許せるかもしれない、そのように若い方々はおっしゃいます。とにかく、自衛隊員に関して一体どのようなカバーがされるのか、考えられていますか。もしものことがあった場合、その家族は幾ら受け取ることができるんでしょうか。
服務の宣誓とは違ったことをさせられる、これ大きく変わっていますよね、仕事の内容。余りにもおかしいじゃないですか。もう一回服務の宣誓取り直してからにしろって話じゃないですか。何よりも憲法の改正を先にするということをやった上でこれを出されたならば、まだ話合いは前向きにできる可能性もある。憲法改正、いい悪いは置いておいて、段取りが違うじゃないか、段取りが違い過ぎることが余りにも多過ぎるじゃないかって。
鴻池委員長、このような形で不信任動議ということになったけれども、どうして不信任動議になったのかというと、段取りが違うじゃないですかということからですよね。それまでのこの委員会の運営は、私のような者にもしっかりと時間を与えてくださり、そしてお話を聞いてくださった。そのことに対しても感謝をしている。でも、明らかに地方公聴会からは様子が変わってきた、段取りが変わってきた、そのように思うんです。
何よりも隊員の皆さんの安全というものが担保されていない限りは、海外になんてその活動範囲拡大させるわけにはいかない。当然です。一般雇用契約でいうと、完全にこれアウトですよ。全然変わっているじゃないですか。不利益変更じゃないかって。労働条件、労働内容、勤務地、大きく変わることに対して、どうして、しようがない、行ってくれで行ってもらうという形にしてしまうんですか。余りにもあり得ない。
この自衛隊に対してのフォロー、自衛隊員の皆さんに対してのフォローというものをもっと広げていかなきゃいけない。ふだんからされていますかって。
相談体制の弱さというものが挙げられると思うんです。これ非常に重要なことだと思うんです。鴻池委員長も、本法案の審議、委員長として参加されていますけれども、やはり自衛隊員の方々がどのような状況に置かれていくかということは非常に重要なことだとお考えになっている方のお一人だと思うんです。
例えば、どのような形で自分のメンタルという部分の相談をすればいいのかって。現在の自衛隊員の方々、電話相談はあるらしいです、OBの方、OGの方に。でも、あなたのさぽーとダイヤルという名前であるけれども、自分の勤める組織の先輩に相談できるかなって。難しいですよね。考えていただきたいんですよ。そういうものを整備されていないのにこういうものを進めようとしちゃ駄目なんだって。
考えてみたら、イラク特措法、補給支援特措法に基づいて海外に派遣された自衛隊員のうち、在職中に自殺された自衛隊員の合計は五十六人なんですよ。これ、退職者は含まれないんですよ。一方、アメリカはどうなのかって。二〇一〇年の会計年度予算でメンタルヘルス対策関連経費四十五億六千万ドルですって。これ、米国の退役軍人省の予算らしいんですけれども。
そのような、戦場に大量に人を送ったりとか、非日常的な場所に人々を送り込むというようなことになってメンタルが壊れてしまうようなことになれば、このようなメンタルヘルスの対策関連経費も必要になるし、ただでさえ必要な社会保障費がどんどん削られていってしまうということを理解されているのか。それに対する整備をする気はあるのかという話だと思うんです。(発言する者あり)装甲救急車もないと、先輩からのお話もあります。
じゃ、この国、先ほどの話に戻ります、鴻池委員長のお話に行く少し前に、先ほど、じゃ、この国の政治は一体どちらの方向を向いているのかと。皆さんも昨日聞こえていたでしょう。外から聞こえる。めったなことじゃないと聞こえないですよ。ふだんトラックの音とか聞こえますか、ここ。大きく、あれだけの声を上げるという人々がこの国会周辺を取り囲んでいる。どうしてと、暇だから、違います。今この法案が通されたら、そこに担保される未来なんて、もう光なんてないということを感じるんですよ。
こんな勝手な法案を通すために憲法を解釈で変えてしまう。アメリカに渡って約束をしてしまう。しかも、自衛隊のトップまで行ってそのような話をしてしまう。誰の国なんですかって。はっきりしているんですよね。余りにもはっきりし過ぎている。
この安倍政権の二年間の動きを見ていれば、全て企業側を向いた政治しか行われていない。本法案もそこにつながっていくと思います。武器輸出、この国は武器輸出に関して歯止めがありましたよね。その歯止めを事実上なくしてしまったのは安倍政権ででした。それによって皆さんの税金、横流しされるような気がしませんか。当然です。予算として付ければいいんだから。五兆九百十一億円という防衛予算が組まれると。
でも、その一方で、ローンを組んで武器、兵器を買えるんだというような法律、五年ローンを十年ローンまで延ばしているんですよ。四兆八千億円超えているんですよね。表向きの五兆円だけじゃ分からない。でも、しっかり計上先を変えて、これ国民だましていませんか。防衛費は増えないという発言をされていますが、防衛費、既に増えているし、これから増えていかざるを得ないという状況、当然です。
海外からもこのような情報が入ってきているじゃないですか。どのような情報が入ってきているか。スターズ・アンド・ストライプス、星条旗新聞、これはアメリカの準機関紙です。二〇一五年五月十三日の分、何て書いてあったか。アメリカの防衛予算は既に日本の自衛策を当てにしている。二〇一六年の最新のアメリカ防衛予算は、日本政府が後押しをする新法案、すなわち同盟国防衛のための新法案を可決するという前提で仮定をしている。見込まれているらしいですよ、もうこれが通るからって。これが通るから、だから四万人アメリカは兵員を削減したと。防衛予算も日本のこの法案が通ることを見込んで自分たちは減らしていっている方向だと。
フォーリン・ポリシー、皆さん御存じですよね。米国の権威ある外交政策研究季刊誌フォーリン・ポリシー、七月十六日にこのような見出しがあった。日本の軍事面での役割が拡大することはペンタゴンとアメリカの防衛産業にとって良いニュースとなった。
どういうことか。金が掛からない上に金ももうけられるって。誰がもうけるんでしょう。
日本政府は多くの最新の装置を買うことができる。それはアメリカの防衛産業にとって良いことであると書かれているんです。テキサスに本社を置くロッキード・マーチン社製のF35、バージニア北部に本社を置くBAEシステムズ社製の海兵隊用の水陸両用車両、日本政府は購入する予定。日本政府はまた、アメリカに本社を置くノースロップ・グラマン社製のグローバルホークの購入計画を持っている。二隻のイージスレーダーを備えた駆逐艦とミサイル防衛システムの開発を行っている。これらはロッキード社製だとフォーリン・ポリシーには書かれている。いいんですか、こんなことで。
第三次アーミテージ・ナイ・レポートにも書いてあるとおり、今回の安保法制は、戦争法制も、原発再稼働も、TPPも、特定秘密保護法も、防衛装備移転三原則も、サイバーセキュリティ基本法も、ODA大綱も、全部アメリカのリクエストであり、そしてニーズだって。米軍のニーズだから変えなきゃいけないって、ニーズってはっきりおっしゃっているんですよ。これはアメリカのことだけじゃない。アメリカも日本と同じように、企業によってコントロールされている政治が幅を利かせているのかもしれない。
御存じですよね、皆さん、先日、経団連が発表いたしました、武器輸出の推進を提言、国家戦略として推進するべきだ。これは前から言われていることです。ずっと政治に対して、提言、命令を行ってきたのが経団連、日本経済団体連合会。
それだけじゃない、派遣法、これに関しての提言も行っていた、二〇一三年七月。外国人労働者に至っては二〇〇四年四月十四日。それが広がっていったらどうなる。この国でより安い労働力がたくさん入ってきたとしたら、企業は喜ぶでしょう。どうして政治がそのようなことを開いていくんですか。ホワイトカラーエグゼンプション、残業代ゼロって話ですよね。労働の基本の法律が破壊される、これは二〇〇五年に経団連からの提言。
消費税は最終的には一九%にまでしろって言っているんです、二〇二五年までに。おかしくないですか。その一方で言っていることは、自分たちの法人税を下げろって。法人税を下げた分この国の収入がなくなるから庶民から取れ、そういう話になっているんです。どうしてそれを片っ端からかなえるんですか、今の政治は。
武器輸出もそうです。余りにもあり得ませんよね。全てが関係しています、全てが。鴻池先生がそのように関係があるという話ではありません。本法案に関して、一体何が目的なのかということを私ははっきりさせたい。強い国、美しい国というスローガンを挙げられた皆さん、与党の皆さん、本当に私も強い国、美しい国にしたい、その気持ちは同じです。鴻池委員長も同じ思いでしょう。その気持ちにうそはない。
でも、実際を見てほしい。この国には、六人に一人が貧困、二十歳から六十四歳までの単身女性、独り暮らしの女性三人に一人が貧困。貧困ってどんな状態。月々十万円以下で暮らしているような人、ざっくり貧困。大人が貧困だったら子供も貧困。当たり前ですよ。
ここに予算付けている場合じゃないんですよ。どんどん軍事を膨らましていけば、この国の主な産業が軍事になってしまうという話。だとしたら、アメリカのように軍事を中心にこの国の経済を回さなきゃいけなくなる。建国して二百三十九年、その九三%を戦争でつないできている。その使いっ走りとして自衛隊は出せない、自衛隊員はこの国の宝だ、災害があったときにたくさんの人々を救ってくれ、そして専守防衛でも命を懸けてくれると言っている……
○理事(佐藤正久君) 山本委員に申し上げます。
理事会協議で、討論は常識の範囲となっております。かなり時間が経過しておりますので、討論を取りまとめをよろしくお願いします。
○山本太郎君 済みません、まだまだ言いたいことがたくさんあったんです。まとめた方がいいっていうことですね。(発言する者あり)ありがとうございます、本当に。そうですね、自分の中でスケジュールがあったので、なかなか急にまとめろと言われましても、もう少しお時間をいただけますかね、これ。(発言する者あり)分かりました。じゃ、終わりにした方がいいですよね、分かりました。
じゃ、最後に言わせてください。
私たちは、もちろん、今回のお話は鴻池委員長に対する動議、それに賛成をするという話で私は話を始めております。けれども、やはり、その内容の振り返りも含めた上でのお話ということが、いかに自由な発言を認めてくださっていた鴻池委員長が今このような不穏な動きをされたというのは、圧力掛かっているんじゃないかなって思うんですよ。汚い仕事をさせないでいただきたいんです。正々堂々と公平公正な委員長としての審議をされていた鴻池委員長に対して、私たちは、日本の安全保障に関する対案となる政策も主張していかなければならないと思います。当然です。
日本の領域に対する急迫不正の侵害に対しては、従来どおり、個別的自衛権、日米安保、もちろん安保の内容や地位協定の改定の必要はあると思いますが、それで対処できます、従来どおり。尖閣、小笠原、東シナ海の中国漁船等については、海上保安庁の能力を一段と高め、自衛隊はそれをサポートすべきだと。南シナ海に対しては、軍事力ではなく外交力で対処すべきだと。安倍政権が一番弱い部分ですよね。ASEAN諸国と連携し、APECの枠組みで海上輸送路の安全を確保すべきだと。中国に国際法に違反するような行為があったとするならば、中国、中国という名前がよく政府から出てくるのであえて中国と言いますが、APECやG7などとも協力して経済制裁をすることが一番の道じゃないかと。
もう武力で緊張状態をつくる時代じゃないんですよ。それをやって傷つくのは、この国に生きる人々、そしてその相手国の人々。中国を見れば分かるじゃないですか。アジアの輸出どれぐらいですか、五六%、輸入は五一%。経済連携によって一歩踏み外すことを止めることはできますよね。外交力です。(発言する者あり)はい、分かりました。
それでは、そろそろまとめに入りたいと思います。
このような私の自由な発言に対しましても、鴻池委員長は私にたくさんのチャンスをくださった方。でもやはり、まだ会期が残っているにもかかわらず、この法案を途中で切り上げて、そして数の力で押し切ろうという姿は、たとえ鴻池委員長であっても、私はこの動議に賛成する以外にない、断腸の思いで私の不信任動議に対する賛成討論を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○理事(佐藤正久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信任の動議に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕
○理事(佐藤正久君) 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数により否決されました。
鴻池委員長の復席を願います。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
○委員長(鴻池祥肇君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
〔委員長退席〕
午後四時三十六分
────・────
本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君
)復席の後の議事経過は、次のとおりである。
速記を開始し、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保
に資するための自衛隊法等の一部を改正す
る法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活
動等に関する法律案(閣法第七三号)
○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊
法等の一部を改正する法律案(参第一六号
)
○在外邦人の警護等を実施するための自衛隊
法の一部を改正する法律案(参第一七号)
○合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の
拡充等のための自衛隊法の一部を改正する
法律案(参第一八号)
○国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊
法の一部を改正する法律案(参第一九号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する人道復興支援活動等に関する法律案
(参第二〇号)
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関
する法律の一部を改正する法律案(参第二
三号)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を
確保するための措置に関する法律及び周辺
事態に際して実施する船舶検査活動に関す
る法律の一部を改正する法律案(参第二四
号)
右九案を議題とし、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保
に資するための自衛隊法等の一部を改正す
る法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活
動等に関する法律案(閣法第七三号)
右両案の質疑を終局した後、いずれも可
決すべきものと決定した。
なお、両案について附帯決議を行った。
─────・─────
〔参照〕
横浜地方公聴会速記録
期日 平成二十七年九月十六日(水曜日)
場所 横浜市 新横浜プリンスホテル
派遣委員
団長 委員長 鴻池 祥肇君
理 事 石井 準一君
理 事 馬場 成志君
理 事 堀井 巌君
理 事 北澤 俊美君
理 事 福山 哲郎君
理 事 荒木 清寛君
理 事 清水 貴之君
石田 昌宏君
北村 経夫君
那谷屋正義君
蓮 舫君
平木 大作君
井上 哲士君
山田 太郎君
和田 政宗君
水野 賢一君
福島みずほ君
山本 太郎君
荒井 広幸君
公述人
前海上自衛隊呉
地方総監・海将 伊藤 俊幸君
専修大学教授
東京大学名誉教
授・元副学長
前日本学術会議
会長 広渡 清吾君
東京財団上席研
究員 渡部 恒雄君
弁護士・青山学
院大学法務研究
科助教 水上 貴央君
─────────────
〔午後一時開会〕
○団長(鴻池祥肇君) ただいまから参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会横浜地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長の鴻池祥肇でございます。よろしくお願いを申し上げます。
まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を御紹介いたします。
私の右隣から、自由民主党の石井準一理事でございます。
同じく堀井巌理事でございます。
同じく馬場成志理事でございます。
同じく北村経夫委員でございます。
同じく石田昌宏委員でございます。
公明党の平木大作委員でございます。
日本共産党の井上哲士委員でございます。
日本を元気にする会・無所属会の山田太郎委員でございます。
無所属クラブの水野賢一委員でございます。
生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎委員でございます。
次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の北澤俊美理事でございます。
同じく福山哲郎理事でございます。
公明党の荒木清寛理事でございます。
維新の党の清水貴之理事でございます。
民主党・新緑風会の那谷屋正義委員でございます。
同じく蓮舫委員でございます。
次世代の党の和田政宗委員でございます。
社会民主党・護憲連合の福島みずほ委員でございます。
新党改革・無所属の会の荒井広幸委員でございます。
以上でございます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
まず、前海上自衛隊呉地方総監・海将伊藤俊幸公述人でございます。
次に、専修大学教授・東京大学名誉教授・元副学長・前日本学術会議会長広渡清吾公述人でございます。
次に、東京財団上席研究員渡部恒雄公述人でございます。
次に、弁護士・青山学院大学法務研究科助教水上貴央公述人でございます。
以上、四名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
皆様には、御多用のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
本日は、当委員会において目下審査を行っております法律案のうち、お手元の配付資料に記載の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案外八案について、関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することと相なった次第でございます。
皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、公述人の方々からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べいただきます。
まず、伊藤公述人にお願いいたします。伊藤公述人。
○公述人(伊藤俊幸君) 私は、先月まで海上自衛隊の呉地方総監を拝命しておりました伊藤と申します。
本日は、元幹部自衛官として、本法案に賛成の立場として意見を述べさせていただきます。
我が国の平和と独立を守る、これが自衛隊の使命です。平和を守るとは、今の平和な状態を維持し、戦わなくてよいようにすることです。我が国は、外交等あらゆる平和的手段を用いて平和を維持する努力をしています。その平和的手段の一つが抑止力を高めることです。一定の軍事力を持つことで日本を侵略しようとする他国の意図をくじく抑止力、これが、戦後、我が国のみならず世界中の軍隊の主たる役割であります。日米安全保障条約に基づき米軍とともに活動することで、この抑止力は更に強固になっています。
最近、南シナ海の島嶼で中国の施設等が建設され、トラブルになっていることは御承知のとおりです。中国は、一九五〇年代に南シナ海全域を自国領域だと勝手に宣言して以来、一九八七年には海軍艦艇がパトロールを開始し、翌年には各沿岸国と軍事衝突し、あっという間に島嶼を占領してしまいました。
実は、同じことが東シナ海の尖閣列島でも起こっています。一九七一年、尖閣は中国のものだと突然宣言して以来、一九九九年からは海軍艦艇のパトロールも始まっています。しかし、その後十六年がたちましたが、尖閣は占領されていません。また、ベトナムの船舶は、中国の巡視船、海警から国際法違反の体当たりや放水を受けています。一方、尖閣では、その巡視船、海警は、時々領海侵犯はしますが、基本的にはおとなしく徘回しているだけです。
この違いは何でしょうか。そうです。現時点においても、東シナ海では中国に対する一定の抑止が効いていると言えます。海上保安庁や自衛隊による警戒監視、そして日米同盟が島嶼を占領しようとする中国の意図をくじいているのです。
最初に申し上げたいのは、現在議論になっている平和安全法制は、この抑止力を更に強化し、現状を変更しようとする他国の意思をくじくための法律だということです。
次に、独立を守るについて申し上げます。
抑止が効果を発揮できず、他国からの侵略が始まった場合、我が国は、独立を守るため、自衛権を発動し対処することになります。この対処方法を規定するため、武力行使の旧三要件がありました。特に三番目の要件、必要最小限度の実力行使、これは極めて重要です。憲法九条二項で交戦権を否定している我が国に認められる武力行使とは、相手国からの攻撃を排除することだけをいうのです。それ以上の行為、すなわち相手国の領域に入り反撃、攻撃することはできません。
剣道でいうならば、打ってきた相手の刀を払いのけるだけで、反撃に転じて相手の面や胴を打つことはできないのです。相手国からのミサイル攻撃が排除しても排除しても終わらない場合、ミサイル発射基地ぐらいは攻撃してもよいのではないかとの敵策源地攻撃といった議論がありました。これは、攻撃武器たる刀、これを持っている小手ぐらいは打ってもよいのではないかとの議論と解釈できます。
このように、我が国が直接攻撃を受けているまさに日本有事の場合であっても、日本の領海、領空、領土及び公海、そして、その上空に存在し、我が国に攻撃を加えてくる相手国の軍艦、軍用航空機、ミサイル、機雷等を排除することだけを我が国では武力行使と称するのです。したがって、自衛隊に代わって更なる侵略を止めるため相手国に米軍が反撃を加える、これが日米同盟の関係なのです。それくらい、この必要最小限度の実力行使という文言は、交戦権を否定している憲法九条第二項に極めて忠実な要件なのです。
さて、昨年七月の閣議決定で新三要件に変わりましたが、この必要最小限度の実力行使は全く変わっておりません。第一項に、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の要件が加わりました。この文言の後ろには、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険という、憲法十三条で我が国政府が国政上最大の尊重をしなければならない権利が加えられています。つまり、他国への武力攻撃が我が国の防衛と密接に関係するか否かという判断条件が付いているのです。
では、他国に対する武力攻撃がこれに該当するとはどのような場合でしょうか。これを他国ではなく他国軍隊に対する武力攻撃と読み換えると理解しやすいと思います。例えば、再び朝鮮半島有事が生起したとします。ちなみに、朝鮮戦争は国連軍と北朝鮮が戦ったものです。今も、在韓米軍司令官は同時に国連軍司令官です。もう一度朝鮮半島有事となれば、国連軍が再度立ち上がります。したがって、これまで米軍にしか支援できなかった周辺事態法に加え、国連に寄与する外国軍隊への支援もできるようにしたのが重要影響事態安全確保法です。
さて、この朝鮮有事が波及し、北朝鮮が日本に向けて大陸間弾道弾等を発射すると予測される危険、これが生じたとします。当然、ミサイル防衛のため、公海上にイージス艦を含め各国艦艇が配備されるのでしょう。このように、まだ日本有事ではないものの危険が予測される状態、いわゆるグレーゾーン事態で他国軍隊が我が国を守ることは十分あり得るのです。仮に、この状態で敵潜水艦が当該艦艇を攻撃したとします。旧三要件の下では、日本有事ではないことから、自衛隊は当該潜水艦を排除することはできません。
このように、これまでの考え方だと、我が国を守ってくれているにもかかわらず、他国軍隊に降りかかる火の粉を払ってあげることもできないのです。これをできるようにしたのが存立危機事態の概念です。平素から同盟国や友好国とこれまで以上に緊密な信頼関係を構築することで、抑止力を更に高め、現状変更を試みようとする他国の意思をくじく、今回の平和安全法制の根幹はここにあるのです。
さて、今回、他国で戦争になるという議論があります。これは、国連の中核的考え方である集団安全保障措置についての理解が若干足らないのではないかと思います。七十年前に国際連合ができて以来、国家あるいは国家に準ずる組織が個別の意思を持って他国に対して武力行使をすること、いわゆる戦争という行為は全て国連憲章違反です。戦前においても、不戦条約により戦争の違法化は議論されていましたが、国連憲章第二条四項で、武力による威嚇又は武力の行使、これを慎まなければならないと規定されています。
地球上の全ての国家を一固まりの集団として扱い、もし不当にも他国を侵略した国が存在した場合、その他の国々が集団で制裁を加えてやめさせる、この集団安全保障措置とは、これ以上悲惨な世界大戦を起こさないと当時国際社会が強く誓って確立した平和を維持する基本的な考え方なのです。この典型的な事例が、一九九〇年八月、イラクによるクウェート侵攻後の国連安保理の対応でした。安保理により、非難決議、経済制裁決議、そして武力制裁容認が決議されました。
当時、日本では米国中心の多国籍軍による湾岸戦争と報じられていましたが、国際社会の為政者たちは国連による武力制裁と認識していたのです。ただし、我が国の場合、先ほど来申し上げている必要最小限度の実力行使、この要件により、武力制裁そのものに参加することはできず、支援のみが可能となるのです。また、自衛権行使についても国連憲章は制約を課しております。この武力制裁、これが取られるまでの間だけ認められるもので、かつ国連への報告義務もあります。これは、自衛戦争の名で侵略が繰り返された戦前の反省が国連憲章に込められているのです。
二〇〇一年九月十一日、米国同時多発テロが生起しました。米国やNATOが個別的及び集団的自衛権を発動したことは皆さん御承知のとおりです。しかし、これらは全てテロ発生翌日の安保理決議によって認められたものであります。米国といえども、自国の意思だけで自衛権を発動できないのです。このように、自衛権行使そのものについても、戦前とは異なり、国連憲章に極めて厳格に取り扱われるようになっております。
国連は各国の意思で成り立っております。何らかの形で軍人か軍隊を出すことが求められますが、参加形態は各国に委ねられています。現在の南スーダンPKOも、ブラヒミ報告どおり、いわゆる七章型ですが、日本は、参加五原則にのっとり、六章型当時のままの編成で参加しています。巻き込まれるとの議論は戦後の国際社会の実情を御存じない方の議論だと思います。
以上、我が国をめぐる国際安全保障環境の変化に対応し、平素から抑止力を高めるため、及び国連を中心とする活動に国際社会の一員として積極的に参加することで信頼される日本として友好国を増やすため、なすべきことを盛り込んだ今回の平和安全法制の一日も早い可決を希望いたします。
以上です。
○団長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
次に、広渡公述人にお願いをいたします。広渡公述人。
○公述人(広渡清吾君) 広渡でございます。
意見を述べさせていただきます。
私は、安全保障関連法案に反対する学者の会の発起人の一人であり、国民の反対運動がどのように広がっているかの例として、まずこの会について簡単に御紹介します。
学者の会は、この六月十五日に六十一名の呼びかけ人によって最初の記者会見を行い、法案反対アピールを採択して、賛同を呼びかけました。現在、学者の賛同者は一万三千九百八十八名となっています。お手元の数字から八十名更に増えました。また、八月二十六日には、全国から八十七大学の有志が東京に集まり、法案反対の合同記者会見を行いましたが、現在、全国の百三十七大学において法案反対の有志の会が結成されています。お手元の資料を御参照ください。
ふだん政治的な活動になじみのない学者の運動がこのように広がっているのは、かつてないことです。しかし、このかつてないことは、学者だけではなく、高校生にも、大学生にも、ママさんたちにも、中年の世代にも、そして高齢者の間でも、また労働者、医師、宗教者、芸術家、弁護士など社会各分野にも生まれていて、法案反対の運動は、文字どおり国民の全階層に大きく広がっています。
その理由は言うまでもありません。今、日本の国民の多くが、戦後七十年の間、日本国憲法の下でつくられてきた日本の国家社会の柱である平和主義、民主主義、そして立憲主義が危機にあることを認識し、安保関連法案が成立するようなことがあれば日本の国の形が根本的に覆されてしまうと考えているからです。
平和主義とは、国際紛争を決して武力によって解決せず、交渉や協議を通じて解決するという原理です。日本国憲法九条はこのことを明確に規定しています。今回の安保法案は、安倍首相がこれからの日本の旗印であるとする積極的平和主義の名の下に、集団的自衛権の行使によって自ら進んで他国に対して戦争を仕掛けること、地理的限定を外した外国軍隊への後方支援の名目で限りなく武力行使と一体化する活動をすること、また、PKOにおいて任務遂行のために武器使用を拡大することを内容としています。安保法案は、これらを通じて自衛隊を武力行使する軍隊として世界に派兵し、自衛隊員が人を殺し自らが殺される事態をつくり出すものであり、そのゆえに多くの国民がこれを戦争法案と呼んでいます。安倍首相の積極的平和主義とは、まさに平和主義と正反対の、武力の積極的使用を意味しています。
安倍政権は、法案の合憲性を言い続け、集団的自衛権の根拠に最高裁の砂川判決を援用しています。しかし、こうした援用はまさに曲解であり、この問題に関わって発言しているほとんど全ての法律家が、すなわち憲法学者たち、弁護士の団体である日本弁護士連合会、歴代の内閣法制局長官、最高裁の元裁判官たち、そしてついには元最高裁判所長官まで法案の違憲性を断じるに至りました。
集団的自衛権は、ある国が他国に武力攻撃を行う場合に、日本が武力攻撃されていないにもかかわらず他国を助けて、そのある国に武力行使をすることを可能にします。つまり、日本がそのある国に戦争を仕掛けるのです。当然、反撃され、戦争に入ることになるでしょう。
安倍首相は、集団的自衛権を認めても、これまでの憲法九条解釈との論理的整合性と法的安定性は保たれていると言いました。これは国民を欺くものです。これまで政府と国会で言わば国是として承認されてきた憲法九条解釈によれば、九条の下では、我が国に対する武力攻撃が行われ、国民を守るためにほかに手段がないときに必要最小限の範囲でのみ武力の行使が許されるのであり、集団的自衛権は、これを超えるものであるから当然に認められないとされています。
安倍政権の新しい解釈は、集団的自衛権も、これまで認められた個別的自衛権と同じように、国民を守るためにほかに手段がなくやむを得ず必要最小限の範囲でのみ行使するのであるから論理的整合性と法的安定性は保たれていると説明しています。しかし、この説明は、一方で我が国が武力攻撃を受けて反撃する自衛権と、他方で他国が武力攻撃を受けたときにそれを助ける言わば他衛権の、二つの本質的に異なるものについて、その行使の要件を似たものにすることで両者があたかも同質のものであるかのような外観をつくり出したものにすぎません。
また、集団的自衛権は具体的にどのような必要性のために使われるのか、立法の必要性の根拠となるいわゆる立法事実も、またどのような要件の下に発動されるのかについても、国会審議を通じて極めて不透明であることが明らかになっています。政府の答弁は、集団的自衛権を認めてくれさえすればあとは政府が適切に行使しますということに帰着するもののように思われます。これは、法治主義の原則からも絶対に認められません。
法案の内容と並んで問題なのは、その進め方が民主主義と立憲主義に対する挑戦だということです。
安倍首相は、決めるべきときに決めるのが民主主義だと言い、この四月にアメリカに約束した手前もあり、今国会で安保法案をどうしても成立させるつもりのようです。しかし、現在の深刻な問題は、国会の多数派と国民の多数派のねじれです。国会の多数派は選挙の投票における国民の主権行使によって成立した多数派ですが、しかし、主権者国民は、その多数派に全くの白紙委任状を与えたわけではありません。ましてや、安保法案は憲法の平和主義を変えようとする重大な内容を持つものです。主権者国民を選挙のときだけの主権者に押し縮めることは民主主義を形骸化させます。
また、安保法案は審議が進むほど重大な問題点が続出し、国会が議論を尽くしたとは大多数の国民が考えていません。現在の民意に耳を傾けることこそ政治家の責務であり、安保法案の強行は、民意を無視し、民主主義、国民主権に背くものです。
安保法案が立憲主義に対する挑戦であるということは、憲法九条の解釈を変更して集団的自衛権を認めた二〇一四年七月の安倍政権の閣議決定に始まっています。日本国憲法の改正は、衆参各議院の総議員の三分の二以上の発議に基づき国民投票によってのみ決定されます。憲法改正は、主権者国民が直接に行使する権限です。このような保障によって、日本国憲法は国会の多数派とその上に成立する政府の権力行使を規範的にチェックする役割を持っています。
元々、安倍政権は日本国憲法の全面改正を目指しています。安倍首相は、憲法九十六条が規定する憲法改正手続のハードルを下げるために九十六条を先行して改正することをもくろみました。しかし、これに対する国民の反発は大きく、また憲法全面改正も当面困難だという状況の下で、集団的自衛権を認め、憲法九条を骨抜きにする解釈改憲を図ったというのが七月の閣議決定でした。政府の権力をチェックする憲法を、チェックされる政府が自分の政策に都合のよいように変更したというのが事態の本質です。
安保法案は、この七月閣議決定を受け、今年の四月、日米両政府が合意をした新たな日米協力のための指針、いわゆる新ガイドラインを経て国会に上程されたものです。新ガイドラインは、安倍政権が既に行政のレベルで憲法九条の骨抜きを既成事実化していることを示しています。これらの一連の事態は、日本国憲法の下での立憲主義の危機を示しています。
日本国憲法九条の下、日本は、戦後七十年の歩みの中で武力行使をしない国として世界から信頼を勝ち得てきました。日本国憲法の平和主義は、戦後日本の対外関係の土台であり、日本外交最大の資産と考えるべきでしょう。平和主義の基礎には、戦後、日本国憲法が確立した個人の尊厳の原理があります。武力行使は、人を殺傷することを目的とし、当の自分が殺傷されることを当然に含みます。このことが個人の尊厳と両立しないことは、誰が考えても明らかです。武力の行使が問題を解決するのではなく、問題を生み出すものであることは、現にヨーロッパに押し寄せる難民問題が示しています。違憲の安保法案の強行によってアメリカとの軍事同盟関係を強化する道は、個人の尊厳に基礎付けられた平和主義による日本国家の高い志と道義性を否定し去るものです。
最後に、参議院議員の皆様にお願いをいたします。
違憲の法案を国民の過半数の意思を無視して成立させることにいかなる道理もありません。二院制の下、参議院の独自性と良識に基づいて、全ての議員の皆様が国民の代表として、党議の拘束から離れて、国民の反対と不安を自分の目と耳でしっかりと認識し、法案の違憲性を判断して、法案を廃案にするために行動していただくことを心から希望いたします。
以上です。ありがとうございました。
○団長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
次に、渡部公述人にお願いをいたします。渡部公述人。
○公述人(渡部恒雄君) この度は、参議院平和安全法制に関する特別委員会にお招きいただき、ありがとうございました。
私は、これまで、日本とアメリカのシンクタンクで両国の安全保障政策を研究してまいりました。本日は、安全保障の一研究者として意見を述べさせてもらいます。
今回、公述人をお受けした理由は、今回の平和安全保障法制の審議及び新聞等の報道を目にして、現実と乖離した極端な議論が心配になったからです。それは、日本の民主的な安全保障政策の形成を損ないますし、また、周辺国にも不要な警戒を与え、結果的に日本の安全保障のために良い結果をもたらさないと思います。
まず、国会での建設的な議論の前提として、日本を取り巻く安全保障環境の大きな変化を共通に理解する必要があると思います。
現在の日本の安全保障の法体系は、一九八〇年代までの冷戦期に対応して作られたものです。現在の国際状況には対応し切れていません。もちろん、日本がこれまで何もしてこなかったわけではありません。
一九九八年に北朝鮮のテポドンミサイル発射実験、こういう状況下で一九九九年に周辺事態法が定められ、日本周辺の有事への対応も定められました。ただし、周辺事態法は、日本が集団的自衛権を行使しないという制約がございましたので、朝鮮半島有事などの状況で米軍への後方支援を可能にするように定められたものでした。
また、二〇〇一年九月十一日、米国での同時多発テロを受け、多国籍軍の対テロ作戦の支援を可能にするために同年にテロ特措法が制定されて、多国籍軍のアフガニスタンでの軍事活動をインド洋での海上自衛隊の給油活動で支援することを可能にしました。しかし、これは二年間の時限立法であり、もし同じような行動が必要な場合、新しい立法が必要となり、タイムリーな措置がとれません。
アフガニスタンでの多国籍軍の軍事活動は国際テロとの闘いでした。現在も、シリア、イラクでの過激組織イスラム国の脅威が拡大し、日本人人質二人が犠牲になり、ほかにも、日本人十人が犠牲になったアルジェリア人質事件、五人が犠牲になったチュニジアでの銃乱射事件など、テロの脅威は深刻化しております。
さらに、日本に突き付けられた新しい状況が、尖閣諸島周辺に中国が漁船や巡視船を送るようになったことで新たに認識されたいわゆるグレーゾーン事態です。もし尖閣諸島に国籍不明の武装勢力が上陸した場合、明らかな有事ではない、でも平時ではない、グレーゾーンであって現在の法律が想定していないために適切な処理ができません。
今回の法制は、日本が自国をより確実に防衛すること、それから東アジア地域及び世界の安全保障環境を安定させるために行うべきことを法的に担保するものだと思います。それによって日本の防衛能力を向上させて、平和を維持させ、日本を取り巻く環境を安定させて、日本が侵略されたり、あるいは軍事の圧力に屈するようなリスクを少なくするということが目的です。
冷静に考えれば、日本の限られた資源と防衛力だけで日本の安全を守れないことは明らかで、米国という世界最強の軍事力を持つ同盟国との共同対処が想定されているからこそ、そうでない場合に比べて少ない予算とリスクで自国の安全を確実に守ることができます。
今年一月、内閣府の世論調査において、日本の安全を守るためにはどのような方法を取るべきかという問いに対して、日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守ると答えた人の割合が八二・三%もありまして、国民はその点はよく理解していると思います。
ただ一方で、国民の中に今回の法案について不安があります。これまで平和を維持してきた政策が変わるわけですから、日本のリスクが増えるのではないかという、こういう不安があります。しかし、国際環境が変わっているのに古い想定のままだと、適切な行動が取れずに、むしろ日本の平和を損なうことになりかねません。
今回の法制の重要な目的の一つは、日本の防衛及び東アジア地域の平和に極めて重要な役割を果たしている米国の軍事プレゼンス及び日米同盟をより持続的で安定的なものにするための一連の措置であるということと私は理解しております。
一九九九年の周辺事態法は、朝鮮半島等の有事で日本が米国に後方支援をすることを可能にするということを定めた法律でしたが、集団的自衛権を行使しないという解釈の制約があったために限定されていました。
今回の法制では、集団的自衛権を一部行使できるように解釈を変えて、米国や関係国により幅広い協力をすることを可能にしました。この法律を基にして、平時から米国や関係国と共同訓練を行って準備しておけば、いざというときに同盟が機能するというだけではなくて、それを潜在的な挑戦者に見せておくことで、軍事攻撃をためらわせて未然に防ぐことが期待できます。
さきの世論調査から見る限り、多くの日本人は日米同盟がいざというときに日本の防衛のために機能してくれるということを願っているはずです。では、法案への不安はというと、日本が望んでいないのに日本の防衛と関係ない場合のアメリカの戦争に巻き込まれることだと思います。これを国際関係論では、同盟に対する典型的な感情の一つ、巻き込まれの恐怖と呼びます。この逆の恐怖を見捨てられの恐怖と呼びます。日本人が今考えるべきは、一方のリスクだけを見て感情的に、情緒的に判断するのではなく、両方のリスクを勘案して、日本の平和にとって最善の策を取ることです。
今回の法案及び国際関係の現状を冷静に観察すると、日本の巻き込まれのリスクは人々が今不安に思っているほど大きくないと考えられます。今回の法案では、集団的自衛権の一部行使は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態、いわゆる存立事態、それからもう一つ、読みませんが、重要影響事態、この二つのケースのみに適用されるからです。
このようなケースとして考えられるのは朝鮮半島等での有事ですけれども、日本が米軍や韓国軍などに適切な協力をせずに事態が悪化すれば、日本にも戦禍が及ぶことを覚悟しなくてはなりません。これは日本の防衛に限りなく近い状況ですから、このような状況は米国に巻き込まれるという心配をするケースではありません。
ただし、もし朝鮮半島有事の際に日本が自国に閉じこもって協力をしなかった、それにもかかわらず幸いにも事態が収束したとします。その時点では、日本は巻き込まれるリスクを取らずに日本の平和を保てたことで一時的には得したことになります。しかし、その後、アメリカから見れば同盟国日本に対する信頼は大きく揺らぎ、その後の同盟が弱まる大きなリスクを抱えることになります。その場合における見捨てられのリスクはかなり大きくなると考えておくべきです。
さらに、日本が心配するもう一つの巻き込まれのケースです。恐らく、中東地域などで、日本の防衛とは直接関係ないところでアメリカの戦闘に巻き込まれることかと思います。しかし、今回の法制では、国連PKOにしても国際平和共同対処にせよ、武力行使が必要な戦闘ミッションに参加することは想定されておりません。たとえアメリカが日本に対して中東で米国主導の多国籍の戦闘ミッションに参加してくれという強い要請があっても、法的に参加不可能です。
そもそも、今のアメリカが日本にそのような強い要請をすることも想像できません。なぜなら、米国には、それぞれの地域で米国に協力する同盟国や友好国がいるからです。今、アメリカは、シリア、イラクで脅威になっている過激組織イスラム国に対して、イラク軍、クルド人の民兵組織、シリアの反政府勢力などと協力して空爆や特殊作戦を行っていますが、地域の同盟国であるサウジアラビア、ヨルダン、UAE、トルコなどが共同作戦に参加しております。
二〇〇三年のイラク戦争当時とは異なって、アメリカにとって喫緊の脅威とは核兵器とミサイル能力を向上させている北朝鮮であります。それから、最大の潜在的な脅威は、世界第二の経済規模の下に軍事力の近代化を進め、最近も抗日七十周年記念で大きな軍事パレードを行った中国です。オバマ政権は、ブッシュ政権が開戦したイラク戦争は米国の国力をそぎ、北朝鮮や中国に優位性を与えてしまった戦略的な間違いだと考えており、日本や韓国には、むしろ自らの防衛を強化し、地域での米国との安全保障協力を深めることを期待しています。その意味で、中東での米国の戦争への巻き込まれを過度に心配する必要はありません。
日米同盟も重要ですが、将来を見渡すと、日本は東アジア地域の国々と平和を維持するための多国間の安全保障協力、信頼醸成措置、これを形成していく必要があります。今回の法案の国際平和共同対処事態法では、諸外国の軍隊等に対する捜索救助、協力支援活動を想定しています。すぐには難しくても、今後、日本が東南アジア諸国と安定した多国間の協力体制を形成し、中国をその協力のネットワークに入れていくことができれば、東アジアはより安定します。これを協力をしていけば、日本は頼れるパートナーとして認知されます。今回、国際平和共同対処事態法は例外なき国会の承認が前提ですから、日本人の主体的な意思として行っていく政策を担保する法律だと思います。
最後に、現在の安保法制は、専守防衛という憲法九条の精神を変えるようなものではありません。ただ、専門家からすれば、グレーゾーン事態の対処についてまだまだ不備な部分が多くあります。ただ、武力行使の新要件により歯止めは十分だと思います。
法律は、いずれにせよ万能ではありません。国際情勢が変わったり軍事力が変われば変えなくてはいけません。東日本大震災での津波、原発事故、あるいは最近の集中豪雨、こういうのを見ても、我々人間は想定できることしか準備できないんです。それでも、想像力を最大限に駆使して、想像できる最悪の事態に対処できるようにするということが、我々今の日本人の世界や後世の子孫に対する責任だと思います。
御清聴ありがとうございました。
○団長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
次に、水上公述人にお願いをいたします。水上公述人。
○公述人(水上貴央君) 弁護士の水上貴央でございます。よろしくお願いいたします。
さて、公聴会とは、国会法第五十一条に法定された正式な会であり、特に重要な法案については、重要な利害関係者や学識経験者等の意見を聴いて、慎重かつ充実した審議を実現するためにあるものと理解しています。私も、昨日、中央公聴会を拝見させていただきましたが、元最高裁判事の濱田先生がまさにこの法案を明確に違憲と断じ、さらに、今後、裁判手続において違憲無効判決が出ることについても示唆されるなど、極めて重要な意見を述べられたと考えています。奥田公述人のすばらしいスピーチに心動かされた方も多かったのではないかと思います。
まさに多くの参酌すべき公述がなされ、集中審議を含め、最後まで審議を尽くすべきこのタイミングで、その後の理事会において、本日、この後、更に審議をされ、取りまとめ、終局という審議日程が強行されました。
私は一介の弁護士にすぎませんが、それでも、業務の予定を変更し、この場に来ています。本日臨席されている公述人の方々も、あるいは昨日来られた六人の公述人の方々もそれぞれ大変忙しい方ばかりです。そういった人たちが日常の仕事を調整してまで公聴会に参加しているのは、一人一人の国民が民主主義の一端を担っているという自覚からです。公聴会で公述することがより実のある審議に資すると考えるから参加しているのです。
私は、昨日の中央公聴会を拝見し、この国の民主主義に希望を持ち、一方、その後の理事会の経緯を見て、この国の民主主義に絶望しつつあります。公聴会が採決のための単なるセレモニーにすぎず、茶番であるならば、私はあえて申し上げるべき意見を持ち合わせておりません。
委員長、公述の前提としてお伺いしたいのですが、この横浜地方公聴会は慎重で十分な審議を取るための会ですか、それとも採決のための単なるセレモニーですか。
○団長(鴻池祥肇君) この件につきましては、各政党の理事間協議において本日の横浜の地方公聴会が決まったわけです。その前段、その後段についてはいまだに協議が調っておりません。
○公述人(水上貴央君) 是非とも、公聴会を開いたかいがあったと言えるだけの十分かつ慎重な審議をお願いしたいと思います。
それでは、意見を申し上げたいと思いますが、既に大分持ち時間が過ぎてしまいました。私、資料四に本当は今日申し上げたかった原稿をお示ししてありますので、是非そちらを御覧いただきたいと思います。ここでは、特に重要な点に絞って、時間の限りお話ししたいというふうに思います。
まず、後方支援に関する問題についてお話しします。
この法案は、重要影響事態における後方支援として、世界中の戦闘地域に隣接するものも含めた現に戦闘が行われている現場以外において、発艦準備中の戦闘機に弾薬の補給等まで行えるというようにしています。この行為が武力行使に密接な準備行為であり、武力行使との一体化として憲法第九条に反するのではないかというのがここでは問題になっています。これを考えるに当たっては、逆に日本が攻撃されている場面を考えてみることが重要です。
資料一の五ページ及び六ページを御覧ください。
まず、五ページは、我が国に対してA国が攻撃をしてきている場合、具体的には、我が国に対してA国の航空機、爆撃機がミサイルで攻撃をしてきて、ミサイルを撃ち終わった航空機が再び我が国の領海のすぐ外の公海で補給艦で補給を受けるという場面です。これは、A国が爆撃機で攻撃してきて、A国の補給船がそこに弾薬を補給するという場面ですから、政府の説明でも、当然に個別的自衛権を行使できる場面だというふうに説明がされています。
次のページ、六ページを御覧いただきますと、このA国が行った補給艦の部分をB国が行ったらどうなるかという事例になります。これについては、国際法上の常識から考えれば、当然にB国に対しても、少なくともこの事例、爆撃機に対して弾薬を補給して、直ちにその爆撃機が再び日本に攻撃しに来るという事例においては、B国の補給艦に対して個別的自衛権が行使できるはずです。
というのは、このような武力攻撃とまさに密接不可分な行為を行う行為はもはや中立国の行為とは認められず、この国、B国自体が交戦国となってしまいますから、国際法上はB国の補給艦は軍事目標になります。したがって、当然に個別的自衛権が行使できるはずです。逆に言うと、これができないということになると、日本はずっと攻撃され続けてしまうということになります。我が国の安全保障が極めて深刻な影響を与えられるということになります。
ところが、今回政府は、このような場合のB国に対して、反撃できない、自衛権行使できないという答弁をされました。これはどういうことかというと、その次のページ見ていただきますと、今度は、このB国の立場が日本になった場合どうなるかという話です。
つまり、例えばアメリカがA国の立場になり、その補給をする国が日本になった場合に、日本はその当該アメリカから攻撃を受けている他国から個別的自衛権を行使されますかというときに、個別的自衛権が行使されるということになると、個別的自衛権の行使の対象は武力攻撃ですから、日本がやっているのはアメリカと一体化した武力の行使だということになってしまいますので、日本は、この行為を武力の行使と一体化していないと説明をするためには、B国に対しても反撃できないというふうに言わざるを得ないという状態になったんです。これは明らかに、全世界でアメリカの武力攻撃を支援するために我が国の自国防衛を犠牲にしたということです。むしろ、我が国の安全保障が重要だと考えるんだとすれば、このような法律を作ってはいけないのです。
一方で、そのことに対して追及された政府は、その後の答弁において、このような場合においてもやはり個別的自衛権が行使できる場合がある、B国に対してという答弁をしました。答弁を変えました。このように答弁を変えるということ自体が問題ですが、今度は、もしここにB国に対する個別的自衛権が行使できるとすれば、やはりこのB国の立場に日本がなった場合に、これは武力行使と一体化しているではないかという問題が生じます。つまり違憲なのです。
どういうことかと申しますと、この法案は、実態において違憲な、武力行使と極めて密接な準備行為を行い、それを隠し立てするために我が国の個別的自衛権を犠牲にしている法案なのです。政府・与党が本当に日本の安全保障環境を重視し、我が国を守ろうと思うのであれば、どうしてこのような違憲で、かつそれを隠すために自国防衛を犠牲にするような法律を作るのでしょうか。この法案はどこを向いて作られているのでしょうか。これがまず一つ重大な問題です。
もう一つ大変重要な問題が、自衛官による武器使用という問題です。
資料一でいうと、九ページを御覧ください。
本法案では、他国の武器等を守るために自衛官が武器を使用して守れるという条文、これは自衛隊法九十五条の二という条文にございます。この条文の主語は自衛官です。自衛隊ではない、国でもない、自衛官です。そして、この守ることができる対象になっている武器等には艦船や航空機が含まれています。イージス艦が守れるということになります。つまり、どういうことかというと、自衛官個人がアメリカのイージス艦を武器を使って守るというとんでもない規定になっています。
このように明らかに不合理な条文になっているのは、この行為をもしも我が国自身がやっている、組織的にやっているということになれば、これは明確に武力の行使だからです。武力の行使だと言われないためには、自衛官個人がやったということにしなければならないのです。しかし、条文に自衛官と書いたからといって、この行為の本質が変わるでしょうか。実際には、明らかに武力の行使です。
更に申し上げますと、この場合には新三要件の縛りはありません。存立危機事態も認定されません。つまり、これは完全にフルスペックの集団的自衛権です。つまり、政府はこの条文においてフルスペックの集団的自衛権を認めてしまっています。限定されてもいません。以上より、この条文は明確な違憲条文であり、自衛隊法九十五条の二は必ず削除しなければなりません。
ちなみに申し上げますが、共産党等が提出された自衛隊の資料によると、この九十五条の二は使う気満々です。
さらに、このような不合理な規定を取ったことによって一番しわ寄せを受けるのは、何と自衛官です。どういうことかと申しますと、この条文の主語は自衛官ですから、もしも万が一、他国が自国の民間船を盾にして攻撃してきたときに、それを自衛官が守って、それが正当防衛や緊急避難を成立させない場合には自衛官個人が責任を取ることになります。我が国の刑法、あるいは当該攻撃をしてしまった国の国内法で罰せられる可能性があります。
自衛官は、一方で、自衛隊法百二十二条の二という条文で、上官の命令に従わなければ罰則が加えられます。自衛官は、上官の命令に従ってやむを得ず武器を使用した結果、正当防衛や緊急避難が成立しなければ罰せられる可能性があります。これは、自衛隊、自衛官の皆さんに胸が張れますか。我が国を守ってくれている自衛官の皆さんに胸が張れますか。
このように、この法案は違憲の問題を抱えているだけではなくて、法律自体が欠陥法案であり、また、極めて不当な結論を導くような不当法案です。したがって、まずは、政府は改めるべきところは改め、しっかりと合憲の枠組みをつくることができるのかということを模索するべきです。
国会は立法をするところです。政府に白紙委任を与える場所ではありません。ここまで重要な問題が審議において明確になり、今の法案が政府自身の説明とも重大な乖離がある状態でこの法案を通してしまう場合は、もはや国会に存在意義などありません。これは、単なる多数決主義であって民主主義ではありません。
○団長(鴻池祥肇君) 陳述時間を過ぎておりますので、簡潔におまとめください。
○公述人(水上貴央君) 分かりました。
参議院がその良識を放棄したと国民に判断されないためには、今まさにしっかりとした審議を尽くすべきです。六十日ルールを使われたら参議院の存在意義がなくなるなどと言う方がいますが、参議院がその良識を放棄してしまったら、それこそ参議院の存在意義など国民は決して認めません。
今こそ参議院の議員の先生方の良識に期待し、我々はそれを注視していることを申し上げ、私の意見とさせていただきます。
ありがとうございました。
○団長(鴻池祥肇君) 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
これより公述人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願いますが、なお、質疑の時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に行っていただくよう、御協力のほどお願いを申し上げます。
○堀井巌君 自由民主党の堀井巌でございます。
まずは、本日は四人の公述人の皆様におかれましては、御多忙のところ貴重な御意見を賜りましたことを、心から敬意と感謝を申し上げます。
時間が限られておりますので、本日は、私の方は主に伊藤公述人に対し質問をさせていただきたいと思います。
まず一点目でございますが、安全保障環境がどのように我が国は変化してきたのかということでございます。
これまでの国会での質疑におきましても、これは政府の方の説明の中でも、例えば北朝鮮において弾道ミサイルが開発されて、日本を射程に収める弾道ミサイルが数百発もう今配備されている、また、その先端部に載せられる核の小型化についても開発が進んでいるというようなこともございました。また、中国も、これまでに過去三十年来に四十倍に及ぶ軍事力の大幅な増強が見られて、特に、南シナ海等で活発な力による現状変更の試みがなされている。我が国固有の領土、領海であります尖閣諸島にも公船が日常的に侵入をしているというような状況がある。
昨日、安倍総理とベトナムの最高指導者でありますグエン・フー・チョン共産党書記長が会談をされたようでございますが、この中でも、中国の南シナ海における活動、岩礁の埋立て、軍事基地化等に深刻な懸念が共有され、我が国のこの法案を含む積極的平和主義に書記長も支持を表明されたというふうなことがございます。
そこで、伊藤公述人にお伺いしたいんですけれども、これまで長く自衛官として我が国の防衛、海上防衛の任務に当たってこられたと存じますけれども、恐らく三十年以上前に自衛官になられたと思うんですけれども、その頃の安全保障環境と、そして今まさに、退官されたと伺いますが、この昨今の安全保障環境、どのように変化が生じているというふうにお感じになられたか、お伺いしたいと存じます。
○公述人(伊藤俊幸君) 今おっしゃられたとおり、一つは、中国海軍のアグレッシブな動きです。数十年前には考えられないぐらい、どんどん太平洋側に出てきています。そして、南シナ海にも同じように出ているということで、彼らは活動範囲をどんどん積極的に外へ出していると、これは間違いない事実です。
他方で、私が先ほど申し上げましたように、では、東シナ海で抑止が効いていないのかというと、それは違うと思っています。現在の状況でもきちっとした対応をしているので彼らは手が出せない状態があると、これは、今までの日本国の努力の成果、アメリカとの関係だと思います。ただ、これからますます彼らは動きを止めないでしょうから、であれば、先んじて我々がその体制を更に強くしていく、それが今求められているのであって、ですから、そこを強化するために抑止力を高める、そのことが必要だと思います。
先ほどおっしゃったように、ベトナムが典型です。今までベトナムは、確かに中国にいろいろやられていましたけれども、第三国である日本にそういうことを表立って言うことはありませんでした。ところが、彼らは、ここ二年ぐらいです、将軍たちが来て我々と会うと、一緒になって言ってくれ、共有してくれという意見に変わっています。要するに、彼らから見ると、中国は明らかにダブルスタンダードなんですね、ベトナムに対するのと日本に対する態度が。ですから、ほら、日本の方がしっかり抑止が効いている、ここと一緒にやりたい、これがベトナムの考えだと思います。そういう意味で、今の流れは正しいというか、その方でやるべきだと思います。
○堀井巌君 ありがとうございます。
今のお話に関連して、その抑止力というのを意見陳述の中でも出していただきました。今回の法案をなぜ出すのか、これは平和のためだと。なぜ平和のためなのか、抑止力を強化する、そのことが相手に日本を、軍事的な挑発をしようという思いを思いとどまらせると。そのことがまさに戦争を抑止する、平和を実現する大きな力なんだと、そういう考えで今回の法案が提出されているというふうに私は理解をしています。
その中で、特にいろいろ議論になっておりますこの限定的な集団的自衛権の行使。今回の場合、例えば米艦の防護を例に取りますと、アメリカの艦船があって、そして日本の自衛隊の艦船がある。そのときに、相手国から見れば、現行の我が国の考え方を取れば、アメリカの艦船を攻撃したときには絶対にこの日本の海上自衛隊の艦船は反撃をしてこないんだという、このような見られ方に、認識になるわけで、実際にはできないと思います。
今後、これがいつも常にできるようになるわけではなくて、先ほども触れられましたけれども、まさに国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に限ってでありますが、この自衛隊の艦船も反撃に出るぞ、アメリカの艦船を攻撃したときに、この自衛隊の艦船も今言ったような限定的な場合には反撃するかもしれないぞということになるわけです。このことが抑止力の強化につながる、そしてまた我が国の防衛に極めて重要な日米同盟の信頼強化にもつながるというふうに私は考えるんですけれども、この点について公述人はどのようにお考えでしょうか。
○公述人(伊藤俊幸君) まさに、今の状態ですと、他国からは、どうせ自衛隊は何もしないというふうに侮られているという状況だと思います。
ただ、今おっしゃったように、私は、反撃という用語ではないんだと思うんですね。今回の、先ほども言いましたように、我が国のこの必要最小限度の実力行使というのは反撃ではないんですね。そこに来たものを排除するだけなんですよ。来たものを払うだけです。
だから、いろんな議論が、まるで自衛隊はどこかへ行ってすごいことをやるんじゃないかと、こう取られているんですけれども、反撃ではないんですね。反撃とか攻撃ではなくて、来たものを排除するだけなんです。これが憲法上認められた武力行使です。これは未来永劫変わらないんですね、この今の憲法がある限り。
ですから、一緒にいる、アメリカに来る、それを攻撃しようとする潜水艦なりを排除することはあっても、反撃といって、そこの国まで行ってということは二〇〇%あり得ないわけですから、そこが非常に誤解を生むワードになっているんじゃないかと私は思います。反撃ではなくて排除だと思います。
○堀井巌君 済みませんでした。
私も、今まさにその必要最小限度のという趣旨で反撃と申し上げたんですが、確かに、今の概念、私も認識を共有していまして、これはまさに排除ということだろうというふうに認識しております。
次に、恐縮です、渡部公述人に一言お伺いしたいと思います。
今回の国会質疑の中でも度々出てまいりましたが、この平和安全法制を含む積極的平和主義については、既に、東南アジアの国々はもとより数多くの国々、四十か国以上の国々から今賛意と支持が示されているというふうになっております。もし本当にこれで戦争するということになれば、各国からすれば、これは大変日本が危なくなるぞということになるわけですけれども、非常にこれは積極的な平和主義だということでの賛意が示されているということです。
この国際社会の中で今回のこの法案なり積極的平和主義がどのように認識されているか、公述人の御見解をお伺いしたいと存じます。
○公述人(渡部恒雄君) 各国いろんな反応があるんですが、総じて、東南アジアを中心にして、中国のアサーティブというか、非常に強い強圧的なところに懸念を持っているところは、やはり日本とかあるいはアメリカとか、そういう国がある程度、安全保障、地域を安定させてくれるということへの期待は大きいんですね。これは間違いないと思います。
欧米はどうかといいますと、やはり日本がある程度積極的にいろんなことにもう少し協力してくれたらいいなと。つまり、アメリカの手も限られているしヨーロッパも限られているし、とにかく世界では課題山積ですから。イスラム国といい、あるいはロシアの行動といい、すごく難しいので、そこは、やはり日本は積極的に、内向きじゃなくてやってくれという期待の方が大きいと思います。
日本が戦争を始めるというふうには、普通は、常識的には実力もないので思わないんです。ただ問題は、私は韓国のジャーナリストから聞いたんですけれども、日本のメディアとか国会が戦争法案、戦争法案と言っているので、本当はそうじゃないと思うんだけれども、本当にそうかなと思って心配になると言っていました。だから、私はすごく、この国会での議論ももう少し着実で冷静な事実を基に議論してほしいなと思ってここに来ているわけです。
○堀井巌君 ありがとうございました。終わります。
○那谷屋正義君 民主党の那谷屋正義でございます。
今日は、私の生まれ育ったこの横浜の地で大事な法案の地方公聴会が行われること、市民の思い、そして国民の思いをしっかりと受け止めなければいけないという責任の下で、与えられた十分間を質問させていただきたいと思います。
そこで、まず冒頭でありますけれども、委員長に申し上げたいと思います。
昨日、中央公聴会においてあれだけ充実した、国民に分かりやすいやり取りが行われた。そして、これからますます審議をしていかなければならない、誰もがそのように思ったはずでありますけれども、その直後に、この地方公聴会の後にもう一度委員会を開くなどということを職権で立てたということ、これは、水上公述人もおっしゃっておりましたけれども、大変遺憾なことであり、許せないことであります。それについてはしっかりと抗議を申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、この今の委員長の動きに対して、お二人の方に、広渡公述人、そして渡部公述人、今言われましたけれども、しっかりと議論をしていってもらいたいというようなお話もありましたけれども、今のこうした委員会の運営、動きについて一国民としてどのようにお考えか、感想を聞かせていただけたらと思います。
○公述人(広渡清吾君) 今日の公聴会に来る間に、先ほど水上さんがおっしゃったようなことを、私も、予定しておりませんけれども、冒頭に委員長にお尋ねすべきかどうか迷いました。しかし、作法を乱すのも問題だと思いましたので、予定していた原稿を読ませていただきましたけれども。
公聴会というのは、先ほどのお話のように、私は本当は、国会の審議が渦中にあるときに、さあ、これからもっと国会で国民の声を聞いて審議を進めようではないかというところで設定されるのが誰もが考えるコモンセンスだと思いますけれども、今日、この後すぐに強行採決というようなことがもし起こるとすれば、まさに参議院の良識が問われる事態になるのではないかと。参議院は独自性を衆議院に対して常に主張されておられ、我々の世代からすれば、参議院は良識の府である、したがって二院制の意味があるということだったのですけれども、その点をよくお酌み取りの上、御判断をお願いしたいと思います。
○公述人(渡部恒雄君) 運営に関しては、専門外ですので余りコメントはしませんが。
ただ、議論の内容に関してどうしても深まらない、どうしてかというと、極論と極論をぶつけているようなところがございまして、それがあって全然深まらないままここまで来てしまったというように、私は見ていてそう思います。
そういう意味では、国会の議論の在り方というのはやはりきちんと考えていただきたいとは私も思っておりますが、ただ、もう一つは、安全保障の環境というのは非常に一刻を争いますから、もちろん拙速はいけないんですが、余りだらだらとというものでもないので、そういう意味では、時計を戻せない我々人類としては限界があるんだろうなと思っております。
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
今回のこの法案に関する審議の中で、なかなか分かりにくい、国民にも、そして世界的にも国際的にも分かりにくい言葉が実は幾つかございます。その典型が限定的な集団的自衛権という言葉であります。
国際法上あり得ない言葉でありますけれども、安倍政権がつくった勝手な、限定的な集団的自衛権というこの言葉、これが結局どういう問題があるのかということについて、水上公述人に御質問いたします。
○公述人(水上貴央君) ありがとうございます。
まず、資料一の一ページを見ていただきますと、この限定的と言われる集団的自衛権というものが全体としてどういう問題があるかということを書かせていただいています。
一つ目は違憲だという話で、これは、確定した憲法の解釈に反するということです。憲法解釈には一定の解釈の幅というものはもちろんありますけれども、過去確定して違憲だと考えられていたものを合憲だというふうに勝手に解釈を変えられてしまうとすると、これは憲法というものの存在意味がなくなってしまう。憲法というのは普通の法律よりも厳しい改正手続を持っていますから、時の政権が勝手にその解釈、特に合憲、違憲を分けるような解釈をすることはできないというのがいわゆる解釈改憲禁止論というもので、これは、政府も含めて我が国の常識になっている考え方だというふうに思います。この点から考えて、今回の限定的集団的自衛権というのは、確定した憲法解釈に反するものであるという意味で違憲だというのが一点目です。
二つ目が、法案レベルで政府の説明している内容と法文の内容が違うということです。
例えば、新三要件のうちの第二、第三要件というものがどのような形で法律の中に定められているかということについて多くの国民は十分な説明を受けているとは言えないと思いますが、実は、武力行使の明確な要件としては書かれていません。このような点は法律上の欠陥だということになります。
さらに、政策レベルでも不当だということになります。これはどういうことかというと、立法事実というものがないということです。
立法事実というのは何かというと、この法律を作らなければならない理由あるいは必然というものになりますが、元々、憲法九条は武力の行使というものを全面的に禁止しているところからスタートしますから、限定的に何かができるという法律を作ろうとすれば、どうしてもその法律を作らなければならないという必然がない限りはそのような法律はできないということになります。
しかしながら、政府は、ホルムズ海峡の事例についてはもはや具体的には想定していないというふうにおっしゃいますし、あるいは日本海有事の場合で、アメリカの艦船に発砲された、ミサイルが飛んできたという場合には存立危機事態を認定することが間に合いません。
どういうことかというと、少なくとも、存立危機事態、国会承認が原則だと、今、少数三党はそれを絶対的にするべきだという議論をされていると思いますが、国会承認が原則で、少なくとも閣議決定が必要だという話になりますが、ミサイルが撃たれた後に閣議決定をするということは絶対に物理的に不可能ですから、存立危機事態防衛としてそれを守ることはできません、実際に。もしやろうとすれば自衛官の武器使用で守るしかないということになって、これは存立危機事態の問題ではないということになりますから。存立危機事態防衛については、立法事実自体が、最も大きいと言われていた二つが失われてしまったわけですから、政府の側は、次の国会までに具体的にこの法案をどうしても作らなければならないという立法事実をお示ししていただく必要があります。立法事実がない限り法律は作れません。違憲なのも作れませんが、立法事実がなくても作れません。ということからして、この問題は大きく三つの問題があります。
最後に一点だけ補足したいんですが、資料二に、政府・与党の問題ある国会答弁についてという資料を付けさせていただきました。
この二ページ目に、平成十六年の一月二十六日第百五十九回衆議院予算委員会で、安倍総理大臣、当時は総理ではないので安倍委員が質問したことに対する答えというのを書かせていただいています。全部読むと時間が掛かりますので圧縮しますと、どういうことかというと、つまり、安倍委員は、安倍総理は、これは今でも一貫してぶれていないと思いますけれども、自衛権の行使というのは必要最小限であればいいという考え方に立っています、つまり数量的な範囲だと。必要最小限であればいいという立場が安倍委員の基本的な見解です。したがって、必要最小限度である限りは、それが集団的自衛権の範疇に入ってしまっていてもよいのではないかという質問を既に平成十六年の時点でしています。
それに対して秋山政府特別補佐人、つまり法制局長官ですが、秋山法制局当時長官は、我が国に攻撃されていないのに我が国が反撃して武力を行使するというようなことは、それ自体が直ちに必要最小限を超えるという答弁をしています。つまり、どういうことかというと、我が国に対する武力攻撃というのは独自の必要条件だと言っているんです。必要最小限であれば我が国に対する武力攻撃がなくてもいいなんという解釈は成り立たないということを当時の法制局長官が安倍当時委員に対して説明をしています。
つまり、今回のような限定的集団的自衛権というものをあたかも横畠長官は今回初めて出てきた議論のように説明されていますけれども、過去から、大体六年に一遍ぐらい、この議論は国会でされています。そのたびに、当時は少なくとも法の番人としての地位を確立していた内閣法制局が、そのような議論はできない、必要最小限であれば集団的自衛権の範疇でも大丈夫だということはない、我が国に対する武力攻撃が必要なんだという説明をして押し返しているという歴史的経緯があります。
このようなことを考えれば、今回の自衛権の行使が我が国に対する武力攻撃が必要だということについては、確定的な憲法解釈であることが明らかであり、そこを変更することは基本的な考え方の枠組みの変更に当たりますから、当然、違法な解釈改憲ということになります。したがって違憲だということになります。
以上です。
○那谷屋正義君 時間が来ましたので終わりますけれども、本当に議論がまだまだ山積しているこの法案について、そう簡単に審議を終局するということは認めないということを改めて申し上げまして、私の質問を終わります。
○平木大作君 公述人の皆様、今日はどうもありがとうございます。公明党の平木大作でございます。
私の方からは、時間も限られておりますので、主に渡部公述人を中心にお伺いをしていきたいというふうに思っております。
先ほどのお話もございましたけれども、この大きくて大変重要な問題、これを本当に、国民の皆様の不安というのは一体どこにあるのか、こういった点からいろいろ論点を切り分けていただいて、安全保障の専門家としての見地で御解説いただいたというふうに思っております。
その中で、幾つかの論点についてより深くお伺いしていきたいんですが、まず初めは、やはり今回、閣議決定を経まして今回のこの平和安全法制の中でも法的に位置付けられました自衛権行使のための新三要件、昨日の中央公聴会でも、例えば客観的、外形的でなくて曖昧な基準なんじゃないか、あるいは歯止めとして十分なのかどうか、こういった声もあったわけでありますけれども、まず、この新三要件についてどのように御覧になっているのか、お伺いしたいと思います。
○公述人(渡部恒雄君) ありがとうございます。
新要件については、とかくその歯止めということだけを一方的に見る、私もそう説明しちゃったんですが、大事なことは何かというと、同時に、適切に防衛の行動もしなくちゃならない、だから難しいんですよね。
つまり、過剰にやり過ぎてはいけない、しかしながら、きちんとした防衛もしなくてはならない、もちろんですね。自らの自衛官の方たちが守らなくちゃならない部分もあるし、あるいは自国の領土あるいは国民の生命を守らなくちゃならない、両方の中でいいバランスなんです。それがぴたっと合ったりなんか普通はしません。ある程度の想定の枠の中で、いろんなケースが想定されます。ただ、その中で、やっちゃいけないというか非常に危ないところまで行かないようにするというのが歯止めであるということですね。
それで、実は、この新三要件というのも旧三要件というのも、もう既に実は国際法で確立している概念でして、元は。つまり、世界中の国際法を遵守する国がそれぞれの国の中でその要件をきちんと頭に入れながら行動しています。もちろん、それがまちまちなところが非常に危険なんですが、今の世界を見る限り、一般の民主主義の国は、これはどの国の軍隊もこの三要件のところは持っております。ただし、日本の場合、憲法九条がございます。その部分が厳しくなっているというふうに理解していただければ、私は、この三要件は十分、私からするとちょっと厳しめに作ってあるんじゃないかというふうに思っておりますが、逆に言えば、心配するようなものの要件ではないと思っております。これ以上厳しくすると、適切な防衛ができないのでかえって危ないと。
それから、もしそれで失敗して日本の領土が危険なことになった場合は、その後の反省でもっと緩めろという話になったりして、かえって問題が出てくると。つまり、最初から適切なものを作らないと、過度に非現実で抑制的過ぎるとうまく機能しないと、この間にあると思っております。
○平木大作君 次の論点なんですけれども、いわゆるアメリカの戦争に巻き込まれるんじゃないか、こういうことが度々指摘をされてきました。この点についても、今お話の中で、いわゆる巻き込まれのリスクと見放されのリスクということを考量していただきながら大変明快に御説明いただいたと思っております。
今御説明いただいた中で私なりに整理しますと、それは、法整備しないことによって見捨てられるリスクの方がはるかに大きいんだということ、そして、武力行使が必要な戦闘ミッションにはそもそも法的に参加しようがないんだということ、さらには、米国には中東ですとかほかの地域に同盟国、協力国があるわけで、日本にそもそもそんな期待をしていない、地球の裏側まで一緒に来てほしいという期待自体がそもそも米国にないんじゃないかと、このようにお話をいただいたというふうに思っております。
そこで、先ほどの堀井委員の質問と若干重複するところがあるかと思うんですが、仮に今の形で米国がそういったものを期待していないとすると、今回の、特に日本に対して、そもそも、じゃ、安全保障上アメリカが期待をしていることは一体どういうことなのか、改めてお伺いをしたいと思います。
○公述人(渡部恒雄君) 地域の同盟国にアメリカが期待しているのは、その地域における安定ですね。
実は、日本とアメリカ、この共同の作戦、日々の行動によってやはり東アジア地域が安定していると、これは伊藤公述人が話されたとおりです。そういうものをより強固なものにしていく。
それからさらに、日米だけじゃなくて、先ほどの中で私も申し上げましたが、韓国あるいはオーストラリアというアメリカのほかの同盟国、あるいは東南アジアの国、最終的にはやはり中国も含めて安定的な安全保障協力の枠組みを入れることで戦争の種をなくしていくという、こういう発想を多分アメリカの専門家は考えていると思っております。
もう一つ、期待というか、逆なんですけど、不安もありまして、アメリカにだって巻き込まれと見捨てられ、まあアメリカは余り見捨てられの恐怖はないんですが、最大の国ですから、常に。巻き込まれの恐怖はあるんですね。日本と中国が不慮の紛争になって、そこにアメリカが巻き込まれるのは嫌だなというふうな気持ちももちろんある。ただ、アメリカも、巻き込まれのリスクと、しかし、見捨てられとは言わないにしても、日本がアメリカと同盟を組まないで別なことをやり出すことはアメリカの国益に反するので、それは避けたいと思っていると。
こういう国際関係のそれぞれの思惑をうまく勘案しながら、日本は難しい安全保障政策をつくっていく必要があるということだと思います。
○平木大作君 もう一問お伺いしたいんですけれども、今回のこの法制の一つの目的が、抑止力をしっかりと向上させて紛争を未然に防ぐことだと。これは、当然、この抑止力が適切に効いてこなければ意味がないわけでありまして、この点についても、法整備することによってむしろ周辺国を刺激をして、かえって逆効果になるんじゃないかという、こういった指摘があるわけであります。
いわゆる安全保障のジレンマと言われるような問題、これは心配するに及ばないというふうに私は考えているんですが、この点についてお伺いしたいのと、これは法整備をしているときだけ気にすればいい問題では当然ないというふうに思っておりますので、今後特にこういった、いわゆる周辺国から疑念を持たれない、懸念を持たれないために留意すべきことがあれば、是非これも御教示いただきたいと思います。
○公述人(渡部恒雄君) 安全保障のジレンマに関して言えば、やはり常にどんな場合でも、軍備を拡張するケース、あるいは今回のように法的なものを多少改正して機能するようになったケース、その影響というのは常に気を付ける必要があって、それはどうしたらいいかというと、まず疑念を、心配を持つような国々とのコミュニケーションをきちんとするということですね。
そういう意味では、日韓中の首脳会談が今開かれるというニュースがありますが、そういう外交努力というのが補完的に重要であろうと。また、歴史認識をめぐってやはり不要な疑念を持たれないような、ふだんからのそういう態度。ですから、今回の戦後七十周年談話なんかも非常に、直接安全保障には関係はないんですが、心理的なところで安全保障のジレンマを防ぐということで実は今回はいい効果があったのではないかと、そういうふうに思っております。
○平木大作君 それでは、伊藤公述人にも一点だけお伺いしたいと思います。
少し前になるんですけれども、私たち公明党としても、第五次イラク復興支援群長を務められました太田清彦氏にいろいろお話をお伺いしたことがございます。そのときに太田氏からは、法案について賛意を示していただいた上で、ただ、これまでの国会での議論を見てくる中で一つ欠けている視点があるんじゃないかということを御指摘いただきました。
それは、派遣部隊が現地で活動する際に困ることは例えばないのかとか、あるいはこうしたらもっと派遣部隊が活動しやすいんじゃないか、こういう視点が抜けているんじゃないかという厳しい御指摘をいただいたんですが、そういった点、改めて、もし現場の声として何か言っておきたいことがありましたら教えていただけますでしょうか。
○公述人(伊藤俊幸君) 私は、先ほどからの議論を聞いていて思うのは、皆さんに議論していただくのはまさに法案を作るということなんですね。我々が実際動くに当たっては、その下に訓令というものが作られます。そして、各自衛隊においては達というところまで、どんどんどんどん具体化するために絞られてくるんですね。その結果、具体策を考えていくと。
ですから、余り細かいことを法案でされるとますます狭いことになるということで、余計に訳分からないようになるというのが私は実態だと思うんですね。ですから、まさにポジリストで書く国ですから、いろんなことを書いていただいた法律を作って、そしてきちっとその下で具体化する中で更に絞り込んでいくということで、先ほどから私も、例えば排除というワードを使っていますけど、自衛官はそういうふうにしか認識していないんです。実際に今、武力行使と言われても、我々にできるのは排除しかないと。武器使用と武力行使は全く違う概念で捉えています。あくまでも警察権の執行で、人を止めたり動きを止めるためにやることを武器使用と。
だから、そこまで具体化されたもので我々は行動を律せられていますので、法律での議論が違うというのが私はよく分からない。ですから、今の議論できちっとした中身をやっていただいていると私は思っております。
○平木大作君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○清水貴之君 維新の党の清水貴之と申します。
公述人の皆様、本日は、本当にお忙しい中お越しいただきまして、そして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。
水上公述人が冒頭おっしゃいました、そして那谷屋委員からもありましたとおり、この地方公聴会の後夕方六時から、国会に帰りまして締めくくりの総括質疑というのが予定をされています。我々も、やはり地方でこうやって声を聞かせていただいて、その声をやはり次の質疑に反映させる、法案の作成過程に生かしていくべきだと思っているんですが、そんな間も与えてもらえない今回のやり方には強く抗議の意を示しているところであります。
そこで、また改めて水上公述人にお聞きしたいと思うんですけれども、今回は、今回の公述人のオファーがあってからこの夜の締めくくり総括質疑が決まったと思うんですけれども、もし逆だったとしたら、先に締めくくり総括質疑が決まっていた、もう質疑が終わってしまうというのが見えている過程で、段階でこのような公述人のオファーがあったとしましたらどのように対応されたでしょうか。
○公述人(水上貴央君) 私、実は先ほど、一番最初に御質問を差し上げました、鴻池委員長に、これは本当に茶番ではなくて審議を尽くすためのものですかと。それに対して鴻池委員長は力強くうなずいて、しっかりとした審議をしていただくという形でお答えいただきましたからその先御意見を申し上げましたけれども、そこでその答えをいただけなければ、そこでもうそれ以上の御意見を申し上げるつもりはございませんでした。
今ので答えになっていますでしょうか。
○清水貴之君 広渡公述人、そして水上公述人にお聞きしたいと思います。
今、本当に反対の声というのが大きくなっています。広渡公述人などは、そのまさに先頭に立って声を上げていらっしゃるということで、生の声もたくさんお聞きになっていることだと思います。
あってはいけませんし、そうするべきではないと、我々も一生懸命そうならないように活動していきたいと思っていますけれども、もしこのまま数の力によって今回この法案が成立するようなことになった場合、様々な方々が様々な声を上げていらっしゃいます、その後法案がもし成立したならば、その声、思いというのはどのようになっていくと思われるでしょうか。そして、どのようにするべきといいますか、どう行動していったらいいと考えていらっしゃいますでしょうか。
○公述人(広渡清吾君) 日本国憲法九条の平和主義は、先ほど申し上げたように、自分の国をどう守るかという問題にもちろん密接に関わるわけですけれども、皆さんがこの間九条の問題を議論してくる中で気が付いたことは、先ほど申し上げたように、平和主義の基礎には個人の尊厳という考え方があるんだということだったのではないかと思います。
SEALDsの学生の皆さんもそうですし、ママさんたちの組織が全国で四十組織できたという話も聞きました。これらの人々が一番危惧を持っているのは、武力を行使する集団的自衛権は、まさに頼まれもしないのに行って助けるということになるかもしれない。そのときには自衛隊員は人を殺す仕事をするのである。そればかりか殺されるかもしれない。つまり、そのことを国家が積極的に推進してよいのかというところに問題がありました。国家の論理ではなくて個人の論理から平和の問題をきちんと考えようというのが多くの国民の声になっていると思います。憲法九条は、そういう個人の尊厳を基礎にして戦後作られた大変思想性の高い規定だと考えています。
今回のこの大きな運動の盛り上がりは、たとえ法案が、もし数の力によって強行的に採決されたとしても、この力はなくなるわけではありません。今後、さらに、この法案を実際に機能させないようにする闘いが国民によって続けられていくことだと思います。
私は、日本国憲法九条は不戦の約束と希望の規定だとずっと言ってきました。日本国憲法に託された、国民が二度と戦わない、政府の行為によって二度と戦場に行かされない、これを国際的に約束し、国民が自ら希望を持った、これが日本国憲法九条です。この九条に託された約束と希望は、今回の大きな運動の中で広がった国民の力が更にこれを支えて、今後もその約束と希望を実現する闘いを続けていくだろうというふうに確信をしています。
○公述人(水上貴央君) 法律を作ろうとするときに、その法律が合憲の枠組みに含まれていて、立法事実があって、十分に論点が国民に理解され、議論が尽くされ、説明と法案が違うところについては法案の適切な修正がなされて、あとはこの法案を通すかどうかは価値判断の問題だということになったときに、民主的なプロセスとして多数決で採決をすることは、間接民主制の意思決定の方法として当然です。ただし、現状においてそうなっていないことは明らかです。そうである以上は、この法案は、もし採決されたとしても、適切な民主的なプロセスを踏んだとは評価されないというふうに考えています。
裁判所が国会の作った法案についてなるべく口を出さないという原則がありますが、それは、このような適切な民主的プロセスを踏んでいる以上は国会の意思を尊重するべきだという三権分立の思想に基づいているものです。しかし、その適切な民主主義のプロセスが踏まれていないとすれば、そこは司法としても、司法がなすべき責任を果たさなければならないだろうというふうに考えています。これは、もちろん同時に、国民の側がそれをサポートする動きをするということが前提になるでしょうし、そのような動きは当然行われるだろうというふうに理解しています。
○清水貴之君 水上公述人はその辺りを多分危惧されて、資料三で政府の説明に即した法文案というのを自ら作られております。何とかしなければという思いで、法律の専門家として、もうじくじたる思いで作られたんじゃないかと思いますが、これは、作る作業というのは大変なものなんでしょうか、それとも比較的容易にできたものなんでしょうか。
○公述人(水上貴央君) 正直申し上げますと、法律家じゃなければ大変かもしれませんが、法律家がする作業としてはそれほど難しいことではありません。
つまり、政府が説明しているとおりの条文を適切に作るということですから、当然、内閣法制局等も能力的には簡単にできることだというふうに思います。それがなされていないのは能力以外の理由があるからだというふうに理解をしています。
○清水貴之君 改めて、広渡公述人にお聞きしたいと思います。
安倍総理自身も、まだまだ国民に対する説明が十分ではないというふうに言っております。今、反対の声が多く上がっているその理由ですけれども、総理の言うとおり説明が足りていないからなのか、それとも政府が今進めようとしていることそのものにやはり何か不安感なり問題なりがあるからなのか、どちらだと、どのように思われるでしょうか。
○公述人(広渡清吾君) 元々の国会の会期は六月末でしたか、それから三か月延長して国会で審議を続けていただいたわけですけれども、国会の審議が進めば進むほど反対が大きくなっているというのが私の実感です。国会の前に多くの人が集まって、法案反対のデモンストレーションをしております。
これは、国会の審議の中で事柄が明確になっていくのではなくて、ますます大きな問題点が国民の前に明らかになっていく。したがって、この審議の先は、この法案が問題法案であるということを国会が確認をして、廃案にし、もし本当に本当に必要ならば、もっとちゃんとした法案を出すというのが国会のあるべき態度ではないかと。多くの国民もそれを求めていると思います。
最近の世論調査でも、今国会で法案を成立させる必要はないというのが七割くらいになっているわけですね。さっき申し上げたように、国会の多数は確かに多数であって、最後には多数決で決めなければならないというのが民主主義のルールですけれども、これは、水上さんがおっしゃったように、多数決主義ではなくて民主主義だという観点に立って今回の法案の審議の全体の経過を見渡すとすれば、まさに国民の多数を国会の多数がどう受け止めるかという問題になっていると思います。
ですから、現在の国民の世論に耳を傾けることが国会の多数派の政治家としての責務だと私は強く思います。
○清水貴之君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、四人の公述人の方、本当にありがとうございます。
昨日の中央公聴会も大変すばらしい公述をたくさんいただきました。今日も含めて、この声をしっかり審議に生かすことが我々の責務でありまして、にもかかわらず、この後に締めくくり総括をして質疑を終局しようなどという動きは断じて許されないということを改めて私からも申し上げたいと思います。
その上で、広渡公述人にまずお聞きいたします。
今回、非常に国民的運動の広がりがあるわけですが、その中でも学者、研究者の分野での広がりには本当に顕著なものがあるということの御紹介がありました。特に学者、研究者における広がりがあるその理由。そして、そのことに対して与党などからは、学者は字面に拘泥し過ぎるであるとか、それから安保の専門家でない者が何を言うのかとか、こういう趣旨の議論が行われております。
私は、今の安倍政権は、自分の同じ意見の専門家の意見は聞くが本当に幅広く聞くという謙虚さに欠けるなと感じることが多いわけでありますけれども、その辺、広渡公述人の御意見をお願いしたいと思います。
○公述人(広渡清吾君) ここでこういうことを申し上げるのは甚だ不謹慎かもしれませんけれども、安倍政権が今回この法案を強行していく過程の中で、反平和主義、反民主主義、反立憲主義というのはいろんな人がいろんな形で論じていますが、学者の皆さんが感じていることは、本当に申し訳ない表現を使いますけれども、反知性主義だと。
まず、特にこれは憲法に関する専門家の意見ですけれども、これはもう皆さん御承知のように、集団的自衛権が憲法九条の枠を超えてしまうというのは、ほとんどの憲法を専門にしている法律家、実務家の考え方です。国際政治の専門家の方々は、安全保障環境の大きな変化があるというふうにお話をなさいます。必要性がある、政治はここで決断をしなければいけないと。しかし、政治というものは、ある枠組みの中で初めて権力を行使できるものです。国会も内閣も憲法に従って成立をしています。その憲法の最も重要な条文について、国民がこれだけ多く批判をしている、違憲だと言っているわけです。専門家もそう言っています。
国会の議論を聞いていると、ただ審議で時間を潰せばいずれ百時間を超え、これで議論が熟したということで議決できるだろうというふうに推移しているとしか国民には思えません。審議は十分に尽くされたか、八割に近い国民がそうではないと言っているではありませんか。どうしてこういう国民の声を無視してこういう法案が強行されるのか、私にはほとんど理解できない。
したがって、それを学者は恐れています。学者は真理を探求する立場にあります、法律の専門家ではなくても。何が正しいか、何が適切かということについてきちんと議論が行われていれば心配はありません。
かつ、もしこの法案が通れば、軍事が優先するプロアクティブなコントリビューション、平和についての積極的な貢献をするという安倍内閣の積極的平和主義は、軍事というものを社会の中心に置くという考え方に限りなく近づいています。これまで大学は、憲法九条の下で軍事研究をしないという建前を多くの大学が貫いてきました。しかし、国立大学に対しては、国立大学は国益にかなった研究をすべきだ、積極的に軍事的な貢献をする国がどうして大学で軍事研究をしないんだという議論がすぐに押し寄せてくることは、大学の多くの人々が感じているところです。これを恐れるから学者は立ち上がっているんだと思います。
以上です。
○井上哲士君 ありがとうございます。
重い言葉を受け止めたいと思います。
水上公述人にお聞きしますが、国会の議論の中でも、後方支援について、先制攻撃などの違法な軍事行動に対して日本が行うのではないかという懸念の声があるわけですが、国際法上これを担保するものが法案の中にあるのかどうか、この点、いかがでしょうか。
○公述人(水上貴央君) 法案の中には、明確に後方支援についてはその前方たる支援対象の行為が国際法上の正当性を有しているということを示す条文は書かれておりません。更に申し上げますと、これは、書こうと思えば比較的容易に書けます。
具体的に申し上げますと、資料の三を見ていただくと分かりますが、資料の三の四ページ目の上、2の(一)というところを見ていただきますと、支援対象行為が適法であるということを後方支援の要件にするということは、これは政府自体が説明をしていることです。違法なことには加担しませんというふうに政府自体が言っています。そうである以上は、そのような条文を提出することが政府の当然の責任だと思います。
そのように考えると、重要影響事態法二条三項に、後方支援活動は、その対象となる外国の行為が国際法に照らして明らかに適法であると認められる場合に初めて実施するものとすると書けばよいのです。このように書いてあれば、それでもやるかどうかという政策判断の問題はあるでしょうが、少なくとも、政府が言っていることと条文の内容は合っているということになります。しかし、そのようになっていません。とすると、政府は条文の内容と異なる説明をしているということになります。
以上です。
○井上哲士君 ありがとうございます。
引き続きですけど、先ほど、九十五条の二ですか、フルスペックの集団的自衛権行使につながるじゃないかという御指摘がありました。私たちも大変重大な条文だと思っております。
日本共産党提出の資料の中で、自衛隊はやる気満々だと、こういう御紹介ありましたが、少し具体的に、どういうことか御説明いただけるでしょうか。
○公述人(水上貴央君) 日本共産党、日付等々は後で質問者の方から補足いただければと思いますけれども、が御提出いただいた共産党の幕僚本部の内部資料を見ますと、いわゆるこれはアセット防護という名前になっています。これについては、平時より実施することができるというふうに書いてあります。
これ、御覧いただくと分かるんですが、かつ、是非この後しっかりとした国会審議をしていただく際には明確にしていただきたいんですが、有事にはできないということでいいんですねという質疑が少し足りないと思うんです。つまり、重要影響事態においては自衛官の武器使用は行われ得るのか、あるいは存立危機事態防衛の枠組みの中では自衛官の武器使用というのは行われ得るのかということは、政府が明確にこれしませんという答弁をまだしていないように思います。
ちなみに、存立危機事態防衛と重要影響事態の後方支援は重なり合うという説明をしています。つまり、存立危機事態においても後方支援できるという説明をしていますから、それぞれの法律概念は重なり合うことが予定されていると思うんですが、とすると、武器使用という枠組みの中で何でもできるんじゃないかという懸念が今の法律上あるということになります。
したがって、そうでないというのであれば、そうでないということを明確に、法律あるいは答弁上明確にする必要があると思いますが、現時点、私が把握している限りでは、そこは明確になっていないんじゃないかなという理解をしています。
○井上哲士君 ありがとうございました。
次に、伊藤公述人、そして水上公述人にそれぞれ聞くんですけれども、必要最小限度の実力行使に関連して、伊藤公述人の公述からは、あくまでも相手国からの攻撃を排除するだけである、他国領域での反撃などは米軍が実施するんだと、こういうお話がありました。
一方、今回の存立危機事態は他国に対する攻撃を排除するわけですから、これは勢い他国の領土、領海に行って排除するということにならざるを得ないんじゃないか、それをできないとすれば存立危機事態を放置するということになってしまうと思うんですが、その点、それぞれにお聞きしたいと思います。
○公述人(伊藤俊幸君) まず、他国に対する武力行使、攻撃があった場合、これは、それが我が国の存立、そして国民の生命、自由、そして幸福追求権に著しく影響するかという、更に条件がはまっているんですね。ですから、それに照らして他国がやられているかどうかです。ですから、何でもかんでも外国がやられたから我が国が武力行使をするというふうにはどう考えても読み込めないんです。そのようにはなっていません。
ですから、あくまでもそれが我が国のなんですね、我が国の国防に関わるかどうかの選択肢があってということですから。先ほど私が申し上げたように、想定されるとするならば、まだグレーゾーンで日本が有事じゃない状態でも他国が日本を守ってくれる状態が出てくるんですね。その守っている、日本を守ってくれている軍隊が攻撃を受けた場合、それを排除してあげる、それがあくまでも限定的、必要最小限度の排除行為ということが言えて、極めて明確な歯止めがあるんだと私は思っております。
○公述人(水上貴央君) まず、必要最小限については、先ほど少しだけ申し上げましたが、条文上、必要最小限という文言は使われておりません。事態対処法の三条四項の規定を見ますと、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」、この後、「ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と書いてあるのであって、必要最小限と書いてあるわけではありません。これに対して政府は、これは必要最小限という意味だという説明をしています。
この点なんですが、元々、我が国の自衛隊法上、八十八条等々にもこのような同じ規定があって、確かに、我が国が攻撃を受けているとき、我が国が攻撃を受けていてそれを排除しなければいけないときは、我が国への攻撃を排除するというのに、合理的な行為と必要最小限は一般には重なり合います。
しかし、存立危機事態防衛は我が国に攻撃を受けていないので、かつ、事態対処法三条四項の前段、先ほど言いましたが、「存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」と言っているんですね。その「速やかな終結を図らなければならない。」ということを前提に合理的な範囲と言ってしまうと、一般には必要最小限を超える可能性があります。したがって、超えていないというのであれば、明確にここは必要最小限と書かなければいけません。
実際に、警察官職務執行法等では必要最小限という文言は使われていますから、法律上必要最小限という文言を使うことはできます。それにもかかわらずそうなっていないということは、やはりこれは単なる専守防衛の枠組みを乗り越えてしまっているのではないかという懸念が十分合理的に成立し得ると考えています。
○井上哲士君 ありがとうございました。
○山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。
まさに、参議院が良識の府として何ができるのか、それから、実は昨日の中央公聴会でもSEALDsの奥田さんも言っていましたが、逆に野党としてもやるべきことはやったのか、こういう厳しい指摘を受けて、ここに立っております。
そういうことも含めて、今回、参議院では、廃案なのか、それとも対案なのか修正なのか、はたまた原案なのか、いろんな議論がなされているということにおいては、先ほど渡部先生の方からも、極端な意見ばかりではなくて、いろんな意見が一応議論されているのではないかと。そんな中で、我々は修正ということで、特に国会の関与ということをこれまで強めるということをずっと議論してきています。
今日、実は五党のいわゆる合意事項というのがまとまりまして、特に、先ほど水上先生がおっしゃっていた、まさに武力攻撃事態でない部分の存立危機事態に関しては全て国会の事前承認が必要だと。プラス、重要影響事態においては他国等の要請が必要だということに縛られましたので、私は、事実上、これは集団的自衛権も含まれると思いますが、できないということまで来た。そうなってくると、要は、この存立危機事態というのは立法事実があるのかというところまでになったということで、歯止めが利いたのではないかなと、こんなふうにも思っているわけであります。
一方で、もう一つ、国会がその途中であらゆる事態を止めることができるという条項も合意いたしました。これは、今までPKOは行ったまま止めることはできなかったんですが、今回、今までの現行法に比べてもはるかに厳しい内容を付けた。かつ、百八十日ごとに国会に報告しなければならないということで、それについて審査ができるということの国会の統制を今までの現行法以上に強めたということと、常時監視をこの国会の中で話して、法制化して委員会をつくっていくということについても合意しました。
そこで、実はお聞きしたいんですが、昨日はどちらかというと反対派の方中心に聞いたんですが、今日は賛成派の方。なぜかというと、ここまで厳しく締め上げてしまいますと、先ほどの渡部先生のところでもあったように、あるいは伊藤さんのところにもあったように、締め上げ過ぎて運用できないのではないかと、こういうことも、今日は私はあえて批判をされようと思って来ています。
そういう意味で、まず渡部先生にお伺いしたいと思いますが、今のような国会の歯止めというものが逆に言うと現実的なのかどうか、そういった辺りも含めて、あるいは抑止という意味においては、日本はこの歯止めをされてしまったらば実は武力行使できないではないかと、こういうふうに取られかねないのかどうか、そんな辺り、厳しい意見をいただければと思います。
○公述人(渡部恒雄君) ありがとうございます。
これは、なかなか難しい質問だと思いますが、非常に重要な質問だと思います。
私は、アメリカのケースで見ていると、やはりベトナム戦争という失敗を経験したアメリカは、アメリカの場合、軍隊を動かす権限は大統領にあるわけですけれども、宣戦布告というのは議会にあって、それで、議会がどの程度きちんとコントロールすべきかということをずっと悩み続けていて、だから、質問にもあったとおり適切な、つまり、市民の代表である議会の、あるいは日本でいえば国会の下で軍が動いてくれることと同時に、余り縛り過ぎると、それが結局のところ安全保障のマイナスになって、ひいては市民の被害になると。
私も、個人の尊厳というのはすごく重要だと思うんですが、個人の尊厳を守る際にまず考えなくちゃならないことは、外国あるいはテロリストのような恣意的なところの暴力にさらされた個人の尊厳は踏みにじられてしまうわけで、ここは守らなくちゃならない。ところが、逆に軍隊が市民の意思と関係なく動き出すと、これも尊厳を守らなくちゃならない。この間を取るわけですね。
そこでいいますと、今の質問のように、国会の方々には悩んでいただきたい。難しいと思いながらも、一方的な話はしてほしくない。止めなくちゃならないということばかりじゃなくて、守らなくちゃならない、日本を、ということと両方を考えてほしい。その中で多分答えが出てくると思います。これは動的な理解が必要であって、法律だけじゃ駄目だし、あと、一方的なものだけでは駄目だし。
一つ私は、その中で大事なのは、今回余り議論は、多少はされていると思うんですが、今回も、国会の事前承認原則必要なものと、あと、原則必要だけれどもそこは事後でいいというものの二種類があると思うんですが、これらを判断するための情報をどのぐらいきちんと政府からもらえるかということを担保するための例えば秘密会の設置とか、そういうものをやはり本気でここでは考える時期に入ってきたのではないのかなと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君 実は、存立危機事態に関しては例外なく事前承認ということで今回合意していますので、そういう意味で、事後というのがなくなりましたから、政府の判断だけでいけるということではなくて、大いに国会が物すごく大きな責任を持つことになった。武力行使ということに関しては、自国がやられていない場合については必ずこれは国会が承認しなければならないということが合意されたので、我々自身としては、この合意をのみたいと思って判断したわけであります。
一方で、もう一つ、これは伊藤さんにお聞きしたいんですが、一つは実施区域、国際平和支援法と重要影響事態法の実施区域に関しても、現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定することということで、期間とそれから場所に関しては戦闘が発生しないと見込まれるということで、実は、かつての非戦闘地域というところまで議論を戻させる合意を取り付けることができました。それ自身が、一つ自衛隊のリスクが現場に行った場合のいわゆる軽減になるのかどうか、それはやり過ぎなのかどうか、現場で助けられないのかどうか。
一方で、弾薬の提供に関しても、拳銃、小銃、機関銃などの他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用する弾薬の提供に限ることということで、明確にこれも合意事項として盛り込むこととなりました。こういうことが今度は逆に言うと現場をサポートしていることになるのか、いやいや、これはちょっと方向が違うのかどうか、あるいは先ほどの国会の例外なき事前承認というものに対する合意の内容、その辺り、是非コメントをいただけないでしょうか。
○公述人(伊藤俊幸君) まず、弾薬等についてですが、先ほど来申し上げていますように、日本が支援をする、要するに他国に支援をするという形は、基本的には、集団安全保障なりで国際社会で決めた枠組みで参加している他国に対して支援をする。ですから、日本としての参加の仕方は、基本的に、真剣にドンパチをやるために行くわけはありません。ですから、あくまでもそこで使われる武器というのがその要員の保護というところに限定するというのは、ある一つの枠組みなのかもしれません。
もう一つ、枠組みが決められるというのは、その枠組みというものは、本来はその状態が発生して、そして政府の方できちっと情報を収集して、そしてどこまでどうするんだと、それがいかにサポートに、全体のミッションがきちっといくかというその中で本来決めるものであって、でも、それが、先ほどおっしゃったように、似て非なるものとはおっしゃいましたけれども、ある一定の、何というんですかね、枠組みでやるということが私は基本的にそれほど大きな制約になるとは思いません。
ただ、先はどうなるか分かりませんから、そのときになって本当はこうやった方が国際社会の中で正しいんだというものが起きた場合に、その制約が、また日本だけが別の枠組みの国だなと思われないようにする、未来は分かりませんけれども、そこは一つあるのかなと思います。
○山田太郎君 最後に、一番手厳しそうな水上さんにいろいろ評価をいただきたいと思いますが、実は、存立危機事態に関しては、集団的自衛権、これは、党の中では集団的自衛権をめぐっては、我が党は実は意見がまとまっておりませんで、ただ、私は、集団的自衛権は憲法違反だという判断。ただ、存立危機事態イコール集団的自衛権ではないというふうに政府は答弁しているので、その辺りは意見を保留しながら進めてきて、その過程において、じゃ、この法律をどういうふうに暴れないようにいわゆる修正掛けていくかということに全力を挙げてきました。
今回の在り方が良かったのかどうか。最後まで、まだ採決は残ってはいるんですけれども、ただ、この存立危機事態、特に武力でやられてもいないにもかかわらず武力を行使するということについては、絶対にあってはならないということで、もう最低限国会で決議がなければ絶対にないというところまでは取り付けたわけでありますけれども、このことに対する評価、そもそもそんなことではないんだというふうに言われるのかどうか、手厳しい意見を是非いただきたいと思います。
○公述人(水上貴央君) まず、それほど手厳しいことを申し上げるつもりはなくて、それぞれのお立場で少しでもこの法案をいいものにするために御努力されている委員の先生方には、むしろ心より敬意を表したいというふうに考えています。
その上で、今、絶対に国会の承認が必要だという話があったんですが、その絶対にが実現されるためには法案自体が修正されなければ駄目なのであって、附帯決議や閣議決定では絶対にではないので、まず、その事前承認が絶対に必要だということ自体には賛成です。反対しませんが、絶対にというのは法案の修正が必要だということです。
○山田太郎君 ありがとうございました。
○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。
公述人の方々には、お忙しい中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
我が党は、本法案の必要性を認め、政府案の不足部分を質疑によって取り上げてきました。衆議院では賛成をし、その後も一貫して賛成の方向で参りましたが、しっかりと自分たちと違う意見にも耳を傾ける、反対派の方々の声にも耳を傾ける、それが政治家として重要であり、政治家だからこそそうあらなければならない、私はそのように考えております。
国民の方々の声に耳を傾けますと、その不安は、政権が暴走して自衛隊がどんどん海外に出てしまうのではないかという懸念であるというふうに思います。だからこそ、国会による例外なき事前承認をする、これは、新党改革の荒井代表の提案の下、我が党と日本を元気にする会が共同で修正案を提出して修正協議を行ってまいりました。そして今日、法文の修正はしないものの、閣議決定で担保するという合意を見たわけであります。
この法案は戦争法案だという指摘に対しましては、国会の事前承認を全て入れることで、政府が勝手に戦争ができない、まあ戦争はそもそも違法でありますけれども、勝手に政府で自衛隊を出せないように歯止めを持たせています。また、国会が決議をすれば自衛隊は活動を終了しなくてはならない、すなわち撤退をしなくてはなりません。そして、核兵器、化学兵器を輸送しない、クラスター弾、劣化ウラン弾を輸送禁止することで、これまでの国会の議論で懸念されていたところも明確に禁止としております。国民の皆様が思っている不安を一つ一つ潰して安心に変えていく、それが政治であると考え、民主的統制を強める協議をしたわけです。
日本は民主主義がしっかりした国であるというふうに考えております。昨日の中央公聴会で、私は、デモは大いにやっていただいて結構、自由に意見が言える、それだけ日本は民主主義がしっかりしているからこそであると述べて、その後、中国の人権弾圧について述べ、チベットやウイグルでは平和裏なデモに発砲し射殺されるというとんでもないことが起きているというふうに述べました。
そうしたところ、ある新聞の青木さんという記者が、私の発言のうち、日本は民主主義がしっかりしているという文言を削り、切り張りして記事にしました。そうしたところ、私の事務所には、デモに発砲しろというのかという抗議のメッセージが幾つも来ております。
私は中国の人権弾圧を一貫して糾弾してきておりまして、日本の民主主義は守らなくてはならないと一貫して述べてきております。この記事は、新聞社としてではなく恐らく記者さんの実力不足で切り張りしてしまったのではないかというふうに思いますが、一方で、別の新聞社は私の発言について正確な記事を掲載しており、この記事を見た方からは、中国の人権弾圧はけしからぬというメッセージが寄せられています。
新聞やメディアはそれぞれに立場があるというふうに思います。私も、メディアの出身で、現場で記事を書いておりましたから、メディアの力やメディアに期待をしております。事実をありのままに報道する、これがジャーナリズムの基本です。今回の安保法制は成立となるか、そうなるかは分かりませんが、その後も賛成、反対、様々な国民の意見があると思います。メディアはその意見を正確に伝える、我々国会議員も正確な情報を国民の皆様に届け、聞いた意見を国会に反映させる、これが民主主義を支えることになります。私もしっかりやっていきたいというふうに思っております。
そこで、渡部公述人にお聞きをしたいというふうに思うんですが、今回の安保法案について国民の皆様に内容の理解がなかなか広がっておりません。これは、一義的に政府・与党がしっかりと説明をすべきであり、責任があるというふうに考えますが、この内容の理解を進めるためにはどんなことが必要と考えるか、渡部さん、よろしくお願いいたします。
○公述人(渡部恒雄君) ありがとうございます。
まず、内容の理解が深まらない理由の一つに、日本の今の憲法九条と、それから九条とのギャップのある部分をずっと今まで歴史的にいろんな形で埋めてきて現実に合わせてきたと。このような歴史の中で、あと、国会の答弁の積み重ねで複雑化していると。これを知っているかどうかというのは結構重要で、まあ普通の人は分かりませんよね。それから、私が最初に公述したような国際的な環境がどうなっているか、それから日米の関係がどうなっているかとか中国との関係がどうなっているとか、そういうのが非常に複雑なので、なかなか難しいんだと思うんですよね。
どうしたらいいかというと、これはもう難しいというのを最初に理解した上で、やはり説明を丁寧にすること。
あと、私、極論をやめてほしいと言ったのは、とはいえ、やっぱり揚げ足取りになりやすいし、聞いていると、政府側も間違ったりあるいはちょっと不利なことを言ったりするので、その辺を狙った質問なんかもあるようですが、それをやっていると、今度は政府の方は守りに入っちゃいます。あと、うまく失敗を導き出すと、そこで批判になるから、それは有利になります。もちろん、そういう与野党の駆け引きは、民主主義という政党政治の中である程度ビルトインされているので仕方ない部分もあるんですが、こういう国の安全に関わるようなものに関してはもう少し歩み寄るようなことができないかなというふうに思っておりまして、ただ、これはもちろん、どうしたらいいかと言われると、じゃ、どうするんだという話なんですが。
ただ、現状が非常に複雑であるということは、やはり今回、皆さんで理解してほしいことであり、あと、次なる多分日本全体でやらなくちゃならない、特に国会にお願いしたいことは、この複雑なままでいいんですかという話も、とはいえ、じゃ、すっきりしましょうというのが本当にいいんですかという部分もあるので、この辺はやはり国民的に、あるいは国会の中で議論を継続していただきたいなと思っております。
○和田政宗君 次に、広渡公述人にお聞きをしたいというふうに思います。
広渡先生はこの法案については違憲だというようなお立場であるわけですけれども、合憲性を持たせた形での我が国の国防の在り方、これは広渡先生はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○公述人(広渡清吾君) 今後の日本の安全保障体制をどうするかということは、こういう法案が出てきた段階から多分日本の国民にとっては非常に大きな重い課題になっているというのは思います。国際的な安全保障環境は変化している、リアルに世界を見ようと、こういう話が出ているわけですから、これを踏まえて、日本の国民が全体として合意できるような安全保障体制の在り方をどう追求していくか、まさに今回、そういう問題の出発点に国民の意識を立てた。
しかし、今回の法案は、少なくとも、どんなに考えても、集団的自衛権、これはそういうふうに表現しないとしても、他衛権、自衛権ではなくて他衛権、つまり、まずほかの国を助けるために武力行使をする、これはどう考えても憲法九条に違反している。憲法に違反した法案をどうして国会が通すことができるのか。素人の学生たちはみんな言っています。憲法尊重擁護義務って一体何ですか、国会議員が一番守らなければいけないのがこの条項なのではないですかと言っているわけです。こういう声を無視して、どういう形であれ集団的自衛権の問題を含んだ、あるいは武力行使と一体化せざるを得ないような後方支援の在り方を盛り込んだ法案を今回通すというのは絶対に認められないと思います。
したがって、今回の法案を廃案にし、本当に、これまでの在り方ではなくてもっとしっかりした安全保障体制を考えようということであれば、憲法改正まで含めて正面から議論を立てたらどうなんでしょうか。それを抜きにして、私は、安倍総理の国会での答弁は国民をごまかしているのではないかと。本当のこと、つまり、これを言い始めると切りがないんですけれども、誠実な答弁になっていないのではないかということを多くの国民は感じているわけです。
ですから、法案を廃案にして最初からやり直す。憲法の改正が必要ならば、憲法の改正を正面から打ち出して理を尽くして国民に説明をする。最後は国民が決めるわけです。今回はその国民の過半数が反対しているわけです。どうしてこれを国会が通すことをできるのかということを皆さん言っています。
したがって、今の御質問に対するお答えですけれども、私は、少なくとも現在の段階では、憲法九条と自衛隊が両立させる、そういう憲法解釈の上で今の日本の安全保障体制を考えてほしいというのが大多数の国民の意見なのではないかと思います。したがって、今回の違憲の法案は絶対に通すべきではありません。
○和田政宗君 ありがとうございます。
時間が参っておりますので、私の発言、これで終わります。ありがとうございました。
○水野賢一君 無所属の水野賢一でございます。
まず、水上公述人にお伺いをさせていただきたいというふうに思いますけれども、確かに、おっしゃられるように、政府がよく言う新三要件というのも、法律のどこかの第何条にこの三つがきちっとまとめて書いてあって、三要件がこれなんですという書き方はしていないんですよね、この法律の中では。ばらばらのところにあって、しかも、本当にこれが要件と言えるのかどうか、分かったような分からないような書き方が法律上なっているわけですし、またそのほかでも、国会審議の中でも議論になったのは、例えば存立危機事態の認定とかには他国の要請が、攻撃を受けている第三国のですね、その要請が必要なのか必要じゃないのかという話になると、途端に政府の答弁も二転三転したり、最終的にはどうも必要だという結論を統一見解的には出してきましたけれども、こういう法律上も後々解釈が、法律である以上しっかりしていなきゃいけないようなことが極めて曖昧になっているんじゃないかというふうに思いますけれども、先生の、その新三要件がばらばらになっているとか、そこら辺のことについて深掘りして説明をいただければというふうに思います。
○公述人(水上貴央君) 先ほど、新三要件の三つ目の要件の必要最小限についてはかなり詳しく御説明しましたので、ここでは、若干第二要件の話と、もう一つは要請の話をさせていただければというふうに思います。
まず、第二要件については、事態対処法の九条の計画の中に書くという形になっています。そこを見ていただくとどうなっているかというと、基本方針の中に書くことが義務付けられているということになって、その基本方針が国会承認されますよというのが基本的な枠組みなんですが、やはりこれは武力行使の要件としておくべきなんです。
というのは、どういうことかというと、今の書き方だと、基本方針に書いてあったんだけれども、国会の審議の後にその要件が変わった場合どうなるか。実際に武力を行使するときに、防衛出動の時点では第二要件あったんだけれども、実際に武力を行使する時点ではなくなるということはあるわけですよね。ほかに方法が見付かっちゃうということがあります。そのときに、武力行使自体の要件になっていれば武力行使できないということになるんですけれども、計画の要件になっていると、その計画自体が国会で適切に破棄されていないと法律上は不安定な状態になるんですね。つまり、これは法的安定性に欠けている状態になるんです。
なので、政府はずっと法的安定性は極めて重要だというふうにおっしゃっていましたし、この法案は今回作る法案ですから、やはり最初から法的安定性のある条文にするべきだというのが法律家としての通常の感覚だろうというのがまず第二要件の議論です。
もう一個、要請の話ですが、これ非常に心配しておりましたところで、政府の答弁の中では、度々、存立危機事態防衛については防衛の対象となる他国からの要請又は同意が必要だという説明がされました。同意というのだと、これは多分国際法上の集団的自衛権と認められないのではないか、どうしても要請が要るんじゃないかと。だとすると、これは存立危機事態防衛としては成立するけれども、国際法上の集団的自衛権として違法ではないのかという問題が発生するというところを非常に懸念しておりましたが、今回、要請というところに統一されたという理解で一応答弁上はいます。
ただ、これは、私は法律家ですから、あくまで法文に書くべきだというふうに理解をしています。法文に書かれていないことは結局絶対ではないというのが法律の考え方で、かつ、ここは立法できる場所なんですよ。法解釈というのは、我々のように立法権のない者がどうしても法律を作れないので何とか解釈しましょうという話であって、皆さんは法律を作ることができる権限を持っているので、だったら最初から適切な法律を作ってくださいというのが基本的な考え方です。
その上で申し上げますと、これ、要請になったことは、私自身は、この法案を作った人はかなり考えた上で要請という言葉を入れなかったのだと理解しています。というのは、要請という言葉を入れてしまうと、これ、存立危機事態防衛とは両立しないのではないかというふうに思います。つまり、日本がその我が国の存立が脅かされるような存立危機事態にあるのに、他国の要請がなければ何もできないということになるんですよね。
だから、これはフルスペックの集団的自衛権を考えるときには要請が要りますという議論もあるんですけど、逆に、限定された集団的自衛権に要請が必要だとしてしまうと、これは法律として成立していない状態になっちゃうんですよ。なので、これ、法律作った人は要請とどうしても入れたくなかったと思います、本当は。が、入ってしまったので、この法律、事実上かなり変な法律になっちゃったと思います。
こんな変な法律をわざわざ通す必要ありますかという話は、先ほど、山田委員も実は立法事実なくなったんじゃないかという話をされていました。これは、私はかなり明確にそうなったというふうに理解をしていますので、これはやっぱり出し直して、もっとちゃんとした法律作るべきだと思います。私、安全保障大事だと思いますが、だからこそ、胸を張って国民に説明できる条文を作った方がいいと思います。この条文、やっぱり胸張れないと思います。
以上です。
○水野賢一君 私自身も、存立危機なのに他国の要請がないと認定さえできないというのは、そもそもその形自体が論理的に非常に矛盾した上に全部が立脚しているんじゃないかというふうに思っておりますけれども。
次に、渡部公述人に御意見をお聞かせいただければと思うんです。
私自身は法案には反対の立場なんですが、当然、渡部公述人のおっしゃられるように、いろんな意味の極論が議論の妨げになっているということはあるというふうに思います。
これは、もちろん反対の人もいろんな極端な例を出すかもしれないし、賛成の人もあると思うんですが、私ちょっと気になるのは、何というんでしょうか、私も抑止力を高めていくということ自体は大切なことだと思うんですが、どうも国会内外のいろんな声の中に、非常に、何というんでしょうかね、この外交安全保障に関して極めて勇ましいというか、勇ましいと言うと聞こえはいいけれども、冒険主義的なというか、まあヘイトスピーチなんかもその一環なのかもしれませんけれども、保守という言葉を使うよりも、ちょっとネオナチ的じゃないかというような、そういうような声が例えば与党の中でも若手の議員の中からあるんじゃないかとか、そういうようなのを聞くと、これは抑止力を高めるとかなんとかということだけじゃなくて、これは行け行けどんどんになって極めて危険なことになるんじゃないかというような懸念は、そっちの方の極端な声というのも非常に危惧、懸念することの一つだと思うんですが。
当然、もちろん逆の立場も極端な意見はあるかもしれませんけれども、法律が今成立しようとしているというところがありますので、そういう意味の冒険主義的な、ネオナチ的な極端な声というのも気になるところでありますけれども、渡部先生の御意見、御感想を聞かせていただければというふうに思います。
○公述人(渡部恒雄君) 国会以外での極端なというのは、まあ社会ですし、民主主義の国だからいろんな意見があるのはこれは仕方がないし、言論弾圧はできませんので。ただ、国会内での議論はできるだけある程度の枠内に抑えていただきたいと思っておりまして、もちろん、行け行けどんどん的な、タカ派と言いましょう、私は、タカ派と定義するようなものというのもやはり気を付けなくてはいけないと思っておりますし。
基本的には、ずっとこれまでの伊藤公述人の話を聞いてもらっても分かるとおり、自衛隊の現場の方というのは非常に抑制的な理解をしながらそこで行動しております。どちらかというと、タカ派的な言動をする方というのは、余り現場を知らない、あとは想像力が不足しているという方もちょっと多いような気がします。
ですので、これ、実は反対派の方でも非常に空想的な方もいらして、この辺の両方が余り行くと、実は本当に議論がかみ合わなくなりますので、ここはやはり、まさに参議院の良識の府でここをバランスを取りながら議論していただけるのが有り難いかと思っております。
それと、タカ派的なものでもう一つ重要なのは、これは両方なんですけれども、実は、先ほども申し上げましたが、戦争法案と言って反対している人は、実はそんなつもりはないんでしょうけれども、反対しているので本当に危険だと思っているんだと思うんですが、それを聞いた外の国は、ああ、日本は戦争を準備しているんじゃないかと思ったりする。やはり同じように、タカ派で日本は核兵器持たなくちゃいけないと。私は、これは現実的にも無理だし反対ですけど、そういうのがやはりメディアを通して日本の外に流れていってしまうこと、これをやはり冷静に考えなくちゃいけないということなので、今日は公明党に呼んでもらったわけですけれども、公明党が連立に入っているということはそこの不安を、公明党というのは一貫して非常にリベラルな立場で来た政党だと私は理解しておりますので、そういう効果はあるんだろうと思って、今回お受けしたときも、そういうことも考慮してここにいるわけです。
○水野賢一君 時間ですのでもう質問はいたしませんけれども、昨日の中央公聴会にいたしましても今日の地方公聴会にいたしましても、公述人の先生方からすれば、立場は違っても、法案に対する意見はいろいろ違っても、当然ここでの陳述、公述というものが法案審査に資するということを期待されていらっしゃるというふうに思いますし、私どもも、いろいろな御意見を聞かさせていただいた後ですので、しっかりとした、徹底した、充実な審議が必要であり、強行な採決などというのはもってのほか、論外だということを申し上げて、私の質問を終わります。
以上でございます。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
ここ神奈川は、私は社民党の神奈川県連の代表ですし、神奈川は第二の基地県、横須賀原子力空母母港化があり、厚木基地があり、相模原補給廠があり、たくさんあります。かつて、米軍機が落ちてお母さんと子供が亡くなったという痛ましい事件もありますし、また、ここ横浜市は飛鳥田市長のときに、ベトナム戦争で相模原補給廠から戦車が行くときに市民、市長がそれを止めるという、そういうこともありました。そんな中で今日地方公聴会が行われること、公述人の皆さんに心から感謝をいたします。
まず、水上公述人にお聞きをいたします。この法案の本質を何と考えられるでしょうか。
先ほど広渡公述人が、政府が誤った理解を国民に、国民をだましているという話がありましたが、私も、専守防衛を変えるものではないという説明は全くのうそだと思っています。なぜなら、法案はそうなっておりません。自国が攻められていないのに他国の領域で武力行使ができることを可能にしております。ですから、私はこの法案は戦争法案だと思っています。この戦争法案の削除要求を受けたときに、自民党からは、戦争法案ではなく戦争に関連する法、戦争につながる法ではいかがかと言われました。でも、戦争につながる法も戦争関連法も戦争法案じゃないでしょうか。
この法案の本質について、水上公述人、いかがお考えでしょうか。
○公述人(水上貴央君) まず、戦争に関する法案とか戦争につながる法案というところまでおっしゃっているのであれば、何で戦争法案にした瞬間に嫌だと言うのかというところが素朴に少し分からないという気もしますけれども、一緒じゃないのかというところはちょっとありますが。
そこについて、まず、私は法律家ですから法律的に考えますと、例えば今回の後方支援ですが、先ほども申し上げましたが、前方で行われる軍事行為、武力攻撃というものが国際法上正当性を持っているかどうかということについては要件になっていないということになります。あるいは、実際に補給や輸送をするものについて法律上大量破壊兵器等を除外しているのかといえば、そういうことは法律上はしていないというふうに言っています。
もちろん、政府はそういうことはしないと言っています。しかし、国会というのは法律を審議するところですから、法律上できるかできないかが重要なんです。なので、この法律は法律上はそういうことを全く排斥していないので、あえて言えば戦争法案なんだと思います。つまり、法律上排斥していないから。
ただし、その政府がやるかどうかという話は、この政権が戦争政権なのかどうかという議論であって、私はその議論について立ち入るつもりはありません。この法案がどうかという議論をしたときには、この法案はそういった国際法上違法なことを条文上排除していないので、これは戦争法案という価値判断について間違いだと言うことは少なくともできない。もちろん、そう言うかどうかというのは個人の思想の問題だというふうに思いますけれども、間違いだと言うことはできないという状態にあると思います。
もう一点だけちょっと申し上げますと、先ほどから渡部公述人が極端な議論が多いという話をされているんですが、法律家の立場から申し上げますと、まさに法律を作るときには極端な議論をしなければならないんです。
というのは、極端じゃない穏当なことというのは、法律の枠内で行政が適切に行うことだからです。法律というのはどこまでできるのか、どこを踏み越えたら違法なのか、どこを踏み越えたら違憲なのかということを審議する場所ですから、自動的に極端な議論をしなければいけないんです。極端な議論をしたときに、ここまではやりませんということになるんだったら、それは法律上できないようにしておかなければいけないんです、やらないと言っているんだから。
特に、元々憲法九条というのは武力の行使を禁止していますから、やるということが予定されていないものはできないという法律にしておかないとおかしいんです。なぜなら、そこに行政裁量が認められるべきではないからです。
国民にサービスをするような福祉立法である場合には、法律に予定を元々していなかったけれども、やっぱり国民のサービスを増強するべきだという場面があることがございますので、そのような場合には行政に一定の裁量権を与えることは必要です。
しかし、事軍事力に関する法案について、行政に裁量権を与えちゃいけないんです。一定の法律の枠組みの中で活動をしてもらわないといけない。だからこそ、極端な議論をして、ここから先はできないという線引きを明確にしておくことが必要なんです。この線引きが明確になっていないというのがこの法案です。したがって、この法案は、漠然、不明確ゆえに違憲という意味での違憲性も持っているということになります。
○福島みずほ君 様々な人、ほとんどの法律家が法案を違憲と言っています。どこが違憲なのか、改めて水上公述人、お聞かせください。
○公述人(水上貴央君) この法案は、幾つもの違憲のレベルがあります。
今日かなり説明させていただきましたが、存立危機事態防衛についても、確定的な憲法解釈を変えたという意味で違憲ですという話をしましたし、今、まさに先ほどですが、漠然、不明確ゆえの違憲という問題もありますという話をしました。専守防衛等々の、憲法に直接書かれているわけではないけれども我が国が最も重要だというふうに考えていたものの基本的な考え方の枠組みを変えているという点でも違憲であります。様々な点で違憲性がある法案です。
一点申し上げたいんですけど、私、別に我が国の防衛が大事じゃないとは全く思っていません。大事だと思っています。ただし、それは合憲の枠組みの中で法律を作るのが国会の責任です。どうしても合憲の枠組みで法律を作れないときには、憲法改正の発議をするのが国会の責任です。
今、我々は、どこまでは合憲でできて、どこからはどうしても合憲でできないのかということについて、国民としては分かりません。まず、そこの線引きを明確にしてください。その上で、どうしても憲法改正が必要であれば我々は憲法改正の議論を当然することになるでしょうが、そのことさえも今議論されていないじゃないですかというのが一番の違憲だと思います。
○福島みずほ君 広渡公述人にお聞きをいたします。
先ほど、反知性主義、反立憲主義、反民主主義とおっしゃいましたが、私もそのとおりだと思います。具体的にこの法案が成立を仮にした後、戦争をすることによって人命が失われる、被害者にも加害者にもなる、それはもう耐え難いことだと思っております。
しかし、そうでなくても、具体的に戦争をしなくても自由と民主主義が制限をされる。あるいは日本が弾薬を提供したりすることでプチアメリカ帝国みたいになるんじゃないか、つまり軍需産業の肥大化です。武器輸出三原則をもう事実上解禁し、そういう国に、軍産複合体制やあるいは軍需産業に依存する社会になってしまうのではないか。予算もそれに引きずられるのではないか。この社会がこの法案によって、この法律によってどのように変わるという、あるいはその危惧について、不安について、問題点についてお聞かせください。
○公述人(広渡清吾君) 最初に申し上げたように、今回の法案の背景になっているのは、これは、四月に安倍首相がアメリカの上下院の合同の会議で話をしたときにこのように指摘しているわけです。今回の法案は八月末までに成立させますというその法案の位置付けですけれども、戦後始まって以来の大改革であると言っています。この戦後始まって以来の大改革というのは、まさに日本国憲法の最も重要な原理である憲法九条の内容を根底から覆すという趣旨で戦後の大改革、戦後始まって以来の大改革と言っているのだと思います。
安倍首相の積極的平和主義のこのネーミングは、これもまた人を欺くものだと思います。平和主義というのは、先ほど申し上げたように、皆さん辞書を引けばお分かりのように、暴力や武力を使わないで、話合い、交渉で解決する考え方と示されています。まさに憲法九条はその立場に立っているわけです。
そして、この憲法九条の在り方は、ここでちょっと別の話をいたしますけれども、今、中東からの難民がヨーロッパに押し寄せて、みんなドイツを目指しています。なぜか。ドイツは、戦後の憲法の中で庇護権という規定を置きました。通常の国際社会では、難民が自分の国に来たときには、主権国家ですから、その難民を審査し受け入れるかどうかは主権国家の主権に属します。したがって、難民に自分が到来したその国に対して自分を保護せよという請求権はありません。しかし、ドイツの憲法は、難民がやってきて、私をあなたの国で保護せよという権利があるという規定を憲法に置きました。これはドイツだけです。
これは、戦前のドイツがナチスの時代に多くの難民を、政治亡命者を海外に送り出してしまって、それに対して、それぞれの国はその難民を受け入れて、戦後のドイツの復興につなげるような人材をかくまってくれたわけです。その歴史的反省の上に、ドイツの憲法は、世界に例を見ない庇護権という規定を置きました。
日本国憲法九条はまさにそれと同じです。歴史的反省の上に立って、国際社会の水準を超えた、国連憲章の紛争の平和的解決義務、武力の行使の禁止を上回った新しい思想を盛り込んで憲法九条を作ったわけです。この精神をどうやって守っていくかというのが戦後の日本国家の課題であったと思います。
もちろん、世界状況のリアルな展開の中で日本は自衛隊をつくりました。しかし、この自衛隊も、憲法九条の縛りの中で、絶対に海外に行って武力行使をしない、ここの当の参議院が自衛隊法の制定のときに決議しているわけではありませんか。それを崩すのが今回の法案です。これは、どう見ても、この法案をここで通せば日本社会は変わります。軍事というものを例外的なものにする、そういう社会でなくなります。それを皆さんが恐れているわけです。
どうぞ参議院の皆さん、この法案を必ず廃案にしてください。そうでなかったら今後の日本社会について皆さんがどうやって責任を持つんですかと国民の多くは考えていると思います。
以上です。
○福島みずほ君 時間ですので終わりますが、これだけ様々な意見を聞いて、絶対にこれは継続して議論しなければならない、連休中も議論しましょうよ、絶対に終局はあり得ないということを申し上げ、感謝をいたします。
ありがとうございます。
○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎と申します。よろしくお願いいたします。
先生方の貴重な御意見、本当にありがとうございます。
私が本日お聞きしたいのは、自衛隊の海外での活動、国際法上の正当性についてお聞きしたいと思います。
先生方のお手元には、以前パネルとして作ったものを、このパネルですね、これをコピーしてお渡ししていると思います。
このパネルのとおり、八月二十五日の本委員会で私は安倍総理と岸田大臣に質問いたしました。総理は、ある国がジュネーブ諸条約を始めとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、そのような行為に対して我が国が支援や協力を行うことはございませんと答弁。協力を行わない範囲につきましては、おとといの私の質問に、米国も含め、変わることはないと答弁されました。
また、岸田大臣は、八月二十五日、総理答弁の後、直接支援していない行為以外の部分において仮に国際法違反がもし確認されたとしたならば、それが国家として組織的に行われているものなのか、あるいは一部の兵士の命令違反によって行われているものなのか、これを具体的に判断することによって我が国の対応を考えていく、これが基本的な方針であります、これからもこうした方針をしっかりと守っていくのが我が国の協力、支援のありようでありますと答弁されました。
そこで、まず公述人の先生方全員に伺いたいと思います。
もし今後、自衛隊が支援や行動を共にする諸外国の軍隊が民間人を殺傷するなど国際人道法違反や戦争犯罪を起こし、自衛隊がそれに巻き込まれ、共犯者になるようなことがあっては絶対にならないと考えます。いかがでしょうか。
できれば一言ずつ、コンパクトに全ての先生方にお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いいたします。
○団長(鴻池祥肇君) では最初は、水上公述人からお願いいたします。
○公述人(水上貴央君) コンパクトにということですから、当然そうであると考えています。
○公述人(渡部恒雄君) 基本的にはこの答弁のとおりだと思いますが、国際社会というのは世界政府みたいなのがないのでなかなか難しいので、そこは、自分のところの国益も冷静に考えるという結構したたかなところが要求されると思います。
○公述人(広渡清吾君) 事前にこういう危険な状態が生じないように、節度を持った日本の行為が必要だと思います。
○公述人(伊藤俊幸君) この前提というのは、恐らく国連による決議あるいは一定の国際社会の決議の下に何かをやっている、そこに支援をしているということだと思いますので、そことの関係で決めることだと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
自衛隊の支援の国際法上の正当性、これを確立するためにも、自衛隊員を戦争犯罪に巻き込まないためにも、これ事前に行動を共にするであろう国をリストアップして、それらの軍隊がこれまでに行った戦争で国際法上の正当性があったか、戦争犯罪がなかったかなど、第三者委員会による検証、これ必要不可欠じゃないかなと思うんですよね。その上で支援国リストに入れるのか入れないのかを検討する必要があります。そのように私は考えます。いかがでしょうか。
このような仕組み、必要であるか必要ないか、コンパクトに、先ほどのように一言でお答えいただけると助かります。
○団長(鴻池祥肇君) 伊藤公述人からお願いいたします。
○公述人(伊藤俊幸君) これまでも、テロ特措法ですとかいろんな特措法を作っていますが、その都度きちっとした情報収集をして、そういった前提を全部考えた上で我が国は派遣をしてきたというふうに認識しています。
○公述人(広渡清吾君) アメリカのイラク戦争については、フランスの国際法学者は明確に侵略だと認定しました。こういう議論が国際法学会の中にあります。したがって、この支援リストを作ると、アメリカが最初に支援の対象国にならないということになると思います。
○公述人(渡部恒雄君) 今の広渡公述人の話と同じ部分があって、だからこそしたたかにと言ったわけで、日本はアメリカと同盟を組まないで日本を守れますかという現実的なところが必要であると同時に、だからこそ同盟国が国際法を違反するようなことをしないようなことを不断に働きかける。
逆に言えば、過去にこういうものがあったから駄目というような、そんなことを言ったら、日本だって過去にいっぱいありますので、どことも組んでもらえません。現時点でどういうふうになっているかをよく見て決めることだと思います。
○公述人(水上貴央君) 私は、三つ要件があると思っています。
一つは、この法律自体に明確に国際法上適法な行為しか支援しないということを条文上法定するということです。二つ目は、実際にどのような行為が支援対象となり得る適切な行為なのかということに対する判断基準、要件というものを明確に決めて公開するということです。その上で、第三者委員会がその要件該当性との関係でどうなっているかということを事前に審査することになります。
その点では、渡部公述人がおっしゃっていましたけど、過去に悪いことをしたという国があったとして、その国が自動的に全部駄目なのか、将来に向けてどう考えているのかということをきちっと相談をした上で、今後はそういうことはしませんということを約束してくれるのかどうかということを含めて判断することになると思いますが、将来において国際法上適法とは言えないような武力攻撃をすることが十分な蓋然性を持って予想される国に対しては、当然、後方支援はできないということになるだろうというふうに思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
伊藤公述人にROE、ルール・オブ・エンゲージメントについてお伺いしたいと思います。
ROEは、自衛隊では部隊行動基準、米軍などでは交戦規定と言われるそうですけれども、日本の自衛隊と米軍が共同訓練をするときなどは、米軍のROE、自衛隊のROE、どちらのROEによるのか、それとも新たな別のROEを作るのか。ちょっとコンパクトに教えていただけると助かります。
○公述人(伊藤俊幸君) 訓練の場合は訓練用のROEというのを作って、それで考えるということです。
○山本太郎君 その訓練用のROEというのはどちら側に寄ったものなんですか。米軍側なんですか、自衛隊側なんですか。
○公述人(伊藤俊幸君) そのものがどういうものか、私はちょっと見ていないんですけど、基本的には日本の考え方だと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
もし自衛隊が米軍に対しての駆け付け警護を行うという事態になれば、より国際法違反に巻き込まれる確率というのは格段に跳ね上がると思うんですよね。誰が敵か味方かも分からない修羅場に身を置くことになりますよね。イラク戦争での米軍のROE、交戦規定はしょっちゅう変更されたと、最終的には振り向くたびに交戦規定が変更されたとイラク戦に参加した多くの米兵たちが証言しています。イスラムの衣装の者は撃て、息をする者は撃てとまで交戦規定が緩和されたと。修羅場ですから当然ですよね。
大人、子供、性別関係なく虐殺された現場が幾つも存在し、米軍による国際人道法違反、戦争犯罪が海外メディアでは数多く取り上げられました。建国二百三十九年、その歴史の九〇%戦争をしているとも言われる、戦争で経済を回している、主な産業の一つが軍事だと言えるこの米国、戦争犯罪の常習国とも言えるんじゃないかなと私は思います。
二〇〇三年、国連の査察団、イラクは全面的に受け入れました。UNMOVIC、ハンス・ブリクス元委員長がもうそれを証言されています。五百か所、七百回の調査を行った、大統領宮殿まで調べた、大量破壊兵器はない、査察団が結論付けても、アメリカは無理やりイラク戦争を始めました。そればかりでなく、アフガン戦争、テロとの闘いにおいても、数多くの、数万人以上の女性、子供たちを含めた民間人、市民を殺害している。
私は、先ほどの総理と外務大臣の答弁を担保するためには、特にイラク戦争での国際法上の正当性についての検証、不可欠と考えます。以前、外務省の検証、行われましたけれども、いつものお手盛りでした。イギリス、オランダでは既に検証委員会が存在し、何度も検証が重ねられ、その様子はネットでも中継をされ、総括が行われ、当時の閣僚が謝罪などを行っています。当時、我が国は正当性をしっかりと見極めずにアメリカに追従、真っ先にイラク戦争に賛同、自衛隊も派遣されました。その総括もなく、自衛隊の活動の拡大。政治家は自衛隊の存在を軽く見過ぎているんじゃないかなと思うんですよね。活動拡大の前に、以前行われた派遣に対して、その戦争に対しての独立性の高い検証、必要だと思うんですよ。イラク戦争を知るジャーナリスト、NGOの人々も含めた第三者委員会による検証、必要不可欠だと思うんです。
したたかに考えるということを考えた上でも、こういうものは必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。そのような第三者委員会による検証、必要があるかないかということを先生方にお聞きしたいと思います。必要はないと言われる方は、ちょっと合理的なお答えを聞かせていただければ助かります。お願いします。
○団長(鴻池祥肇君) 伊藤公述人からお願いいたします。
○公述人(伊藤俊幸君) まず、イラク戦に参加したというのは、私は間違いだと思います。これはあくまでも復興支援です。要するに、もうイラクのその後、終戦の後の復興をどう支援するかという形に参加した枠組みだったということだと思います。
それから、先ほどのROEについても、まるで戦争を拡大するようなものをROEと捉えておられるかもしれませんけど、逆だと思います。いかにこの状態を抑止的にするかどうするかという、この概念に持ってくるのがROEの考え方です、交戦規定。これは軍事的常識です。
以上のことから、それから先ほどの議論ですが、私は、政府あるいは国会というところでしっかりした情報を持って議論をしていただいた上で、こういったものは出していただければいいんだと思います。
○公述人(広渡清吾君) 今回の法案を前提に今の御提案があるとすると、今回の法案はとにかく廃案にしてというのが私の立場ですから、今後、誇るべき新しい安全保障関連法案が出てくる場合には、国際的な平和支援の活動の中で山本議員がおっしゃったようなシステムを一緒に考えるということは一つのアイデアではないかと思います。
○公述人(渡部恒雄君) イラク戦争の検証というのは、アメリカのイラク戦争の検証を日本でということでいいんでしょうか。それとも、イラク戦争での日本の対応の検証を日本でということでしょうか。
○山本太郎君 答えていいんですかね、これ。委員長、答えていいですか。
○団長(鴻池祥肇君) 先生の時間がもう既に来ておりますので、この件だけ一言で答えていただきたいと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
もちろん、日本側が参加したという目線からと、その戦争全体に対してのというものの検証が必要だと思っています。
○公述人(渡部恒雄君) であれば、アメリカのいいところは、イラク戦争は大変失敗したという問題意識を持って向こうで検証していますから。アメリカはしていますよね、ナイン・イレブンに対しても。
日本も、それも参考にしながら、そういうものを幅広く検証しながら次の参考にしていくということはありだと思います。
○公述人(水上貴央君) ついこの間の国会の審議、十四日ですかに福島委員からイラク戦争については質問がありまして、大量破壊兵器については結局なかったではないですかということで、そのなかったということを前提にした場合は、やはりこの戦争への支援は間違いだったのかというような御質問がありましたが、それに対して、正確には資料二の九ページ目に写していますので見ていただければと思いますが、妥当性は変わらないというのが政府の判断でございますというふうに答弁をしています。
そういう意味では、ある意味では総括していて妥当だというふうに言っているということだと思いますが、どうして妥当なのか、何の基準でアメリカ自身があの戦争については適法性がなかったと言っているものについて我が国は妥当だと考えるのかという基準に対する説明は全くなされていない、単に妥当だと言っているという状況は大変危険なことだと思います。
したがって、当然、明確な判断基準を持った上で、事前に第三者委員会みたいなものが開かれて判断基準が明確になっているということがまず極めて重要で、この法案、継続審議にした上で、次の国会までの間にそういったものをしっかりと準備するということについて議論していただければと思います。
○荒井広幸君 新党改革の荒井でございます。長い間ありがとうございます。
私は、お尋ねよりも先生方の、私に、心に突き刺さったことについて申し上げたいと思います。
まず、この公聴会が大体採決をする前提という位置付けで従来来ております。これも、やっぱり適時適切に、もっと前に公聴会というのをもうやるということがなるほど反映させる意味では必要だなと思いましたので、これも、各党で協議をする案件を今日改めていただいたように思います。
それから、広渡先生の、本当に反知性主義ではないかというようなことで、大変胸に突き刺さるわけでございます。また、水上公述人の、多数決主義であってはならない、民主主義でなければという本当に呼びかけはそのとおりだと思います。また、伊藤公述人の、攻撃、反撃、我々もこういう言葉を普通使っておりました、国会で。いや、そうではないと、現場にいる者は、これは自衛隊の行える必要最小限の実力行使であって、これは排除なんだということを聞かせていただきまして、大変うなずけるものがあったわけでございます。渡部公述人からの、議論の中身が深まらない、それは極論と極論のぶつかり合いではないか、これも私も大変うなずけます。
どうしても我々は、それぞれ立場を持って選挙戦を戦って、かなり考え方を持ってきているんだろうと思います。その上で、自分の陣地の側からの議論というのが非常に多くなるということがあるので、全く同感だなと思いましたが。そこで私は、議論を深めるために、政治官僚と私たち国会政党、政党人という構図で捉えたらどうなるかということで考えてきたつもりなんです。
その場合、私は福島で、渡部さんと一緒でございますが、原発って大丈夫だと言って起きたものですから、私は、この憲法については非常に守っていくという、そういう当たり前の、今もそうなんですが、そういうところがあったんですが、大丈夫だという国際環境にあるのかなと思ったときに、先ほど来からのいわゆる立法事実に関わるようなところも含めて、かなり国民の皆さんにはそれぞれ強弱がある、あるいは違いがあるなという前提で議論が運ばれていますので、非常に難しいところに来ているなというふうに思いますが、私としては、憲法と、それからこの平和憲法、そして同時に現実の厳しさという中で、先人がまさに知性と、そして理性で解釈というところまででこれを何とか解決しようとしてきた。しかし、今回、それが違憲か合憲かという、いわゆる限定的集団的自衛権というところに来ているわけです。私は、これはぎりぎり合憲の範囲であるという立場に立ちます。
その意味でいいますと、結局、政府が作ったこの法律というもの、それを我々が今審議をしているということは、当たり前ですが、立法府が上位でありますから、政府を今判断しているわけです。この時間にも我々はそういった立場をどう貫くかということをしなくちゃならない。私の場合は、その法律自体が私はおおむね容認する、先ほどのような立場でございますので。そうなりますと、この法律を使う政府、あるいはそれを実態的に運用していく官僚、自衛隊、そういう皆さんの法律を使う運用としてこの法律は十分であるかということを考えております。
つまり、巻き込まれ論から始まりまして、不安がたくさんあります、戦争法案ではないかと。そういったものを払拭できるだけの明文化をしているか、体系になっているかというところだと思います。その意味で、修正の余地があると考えました。先ほど、次世代、元気の皆さんからあったとおりなんです。
このままでは法律に問題がやや隠されておりまして、危うさがあるのではないかということで、一点、シビリアンコントロール、戦争の反省も含めまして、国民と国会が政府や自衛隊の皆さんをきちんと運べるようにしていかなくちゃいけない、自衛隊というよりも政府と言った方がいいと思います。
そういう観点で修正を出しましたけれども、修正という形、時間的なものもあって力不足もあったんですが、これだけ国民の皆さんが閣議決定が重いものである、これを覆すのかと言っているならば、閣議決定に書かせるという方法を我々は取ったんです。その閣議決定に取らせると同時に附帯決議にします、総理答弁にこれを持っていきます。こういったことで、次善という立場ではありますが、法的拘束力を持たせた修正をということで自公と合意をしたという次第でございます。
そういう観点で私たちは進んでいるということも、感想を交えながら御報告を申し上げた次第でございます。
この法律が、本当に国民の安全を守る番犬となるのか、野良犬となるのか、あるいは狂犬として外に出ていくのか、鎖はきちんと首に巻かなくちゃならないんじゃないかと。このシビリアンコントロールということをしっかり我々はやっていきたいなというふうに思います。いやいや、そもそもこれは番犬じゃない、これはもう猫だよという意見もあるわけでございますから、ここが非常に難しいところでございますが、私どもの議論の問題点としてはそろそろ尽くされて、質問としては今そういう段階で議論をしていると、私のところは今そんな現状にもあります。
感謝を申し上げまして、質問ではなくて、皆様の心に突き刺さった言葉を心に持って今日の委員会にまた臨んでいきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○団長(鴻池祥肇君) 以上で公述人に対する質疑は終了をいたします。
この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
これにて参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会横浜地方公聴会を閉会いたします。
〔午後三時四十三分閉会〕