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2022.12.08 法務委員会での質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
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1.離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定をするということについて
2.婚外子差別について
3.国籍法3条3項の問題点
4.懲戒権について
○福島みずほ君
立憲・社民の福島みずほです。
まず、離婚後三百日以内に生まれた子の父親の推定のことで、この条文は削除すべきだと思います。しかし、残るんであれば、やっぱり工夫をして、無戸籍の子供たちを本当に出さないために運用面や様々な点で是非工夫をしていただきたいというふうに思っています。これは推定ですから、みなし規定ではないわけですから、カブトムシの、昆虫のようにがきがきがきといって覆せないという硬い殻ではなくて、薄い膜で、いろんなものでこれを覆して、実際本当の父親の子供であるということをちゃんと戸籍に載せると、そのことをしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
で、親子関係不存在確認と強制認知でやるというのもありますが、この間、局長は、強制認知がやっぱり任意認知と違うということをおっしゃいました。でも、言いたいです。強制認知しなくちゃいけない、本当の父親が自分の子だと認めていても裁判で強制認知やらないと駄目だというのは違うと思います。実際の父親がちゃんと認知をする、で、親子関係が入って扶養義務も全部発生するわけですから、任意認知だって重いんですよ。
任意認知あるいは窓口でのDNA鑑定の書面を出すことで前の夫の子と推定が及ぶというのをやっぱり遮断して覆すべきではないか。
つまり、何のためにこんなことを言ってるかと、子供のためなんですよ。子供とお母さんのため。
そうすれば、無戸籍が減るからなんですよ。無戸籍の人をゼロにするんだったら、子供のためと言いながら、三百日の推定をがっきがきにやって、それをやるというのは違うんじゃないか。
嫡出否認のことをおっしゃいますが、オンラインでも、相手のDV夫が同意しなければオンラインはできません。法テラスで裁判をやれっていったって、裁判はやっぱりハードル高いんですよ。
だから、やはり本人たちが、例えばDNA鑑定や、実父が任意認知するということでこの推定を覆す、それ踏み込んでいただきたい。いかがでしょうか。
○政府参考人(金子修君)
まず、任意認知で覆せるかという問題ですが、今、実の父親が任意認知をした場合という御発言ありましたけど、そもそも認知をした者が実の父親かどうかが窓口で分からないという問題があります。認知をしたことをもって、それが取りも直さず実親の徴憑だという蓋然というか保証がないものですから、そこが
難しいと思います。
それから、DNA鑑定は、鑑定書自体は高度の確率が示されているものが提出されると思いますけれども、検体がそもそも誰から取得したものかということを窓口できちんと判断するのもなかなか難しいという問題があるような気がいたします。
それから、先ほど裁判の難しさの中に、口頭弁論についての、をオンラインで、ウエブでやるということに、ウエブ会議を利用してするということにつきましては、今回、五月に成立した改正民訴法で、これは、当事者の意見を聞くことは要件とされていますけれども、同意がなければできないというものではないということは申し添えたいと思います。
○福島みずほ君
当事者の意見聞いて、前の夫がいや駄目だと言ったら、やっぱりできないんですよ。で、任意認知はやっぱり重いですよ。だって、自分の子だってやるわけだから、扶養義務が発生するし、法定相続人になるし、法律関係、親子関係が発生するわけじゃないですか。また、DNA鑑定だって、まさに、それだったら何で医者の妊娠証明でやるんですか。これは是非考えていただきたいというふうに思います。
それから、戸籍の身分事項欄に前夫の子と推定が及ばないと書かれることは問題だという発言が井戸まさえ参考人からありました。これ、改良できませんか。
○政府参考人(金子修君)
ちょっと今質問お聞きして少し当惑しているんですが、ちょっと二つの問題の御指摘があるんではないかと思います。
親子関係不存在確認の裁判を踏まえて、その結果を前提に出生届をする場合は、子の身分、子の戸籍の身分事項欄に、親子関係不存在の裁判が確定したことと、その相手方となる、まあ前夫ですね、の氏名を記載するということが省令等に基づく戸籍の記載例において定められております。これは、こういう裁判がなければ前の夫の子というふうに扱われるところ、そのような裁判があったので、戸籍を、戸籍上そういう、そういう推定が及んでいてもそれと違う扱いをしたということが分かるようにする、先々、戸籍を見て間違っているんじゃないかという疑念が起きないようにするためにそのような記載をしているものと思います。
それから、前夫の子と推定が及ばないと戸籍に書かれる場合がありますけれども、この推定が及ばないとされるのは、恐らく、医師の作成した懐胎時期に関する証明書を添付した出生届が出された場合は推定が及ばないと記載するという扱いになっております。
御質問は二つを含んでいたんじゃないかと思います。この取扱いの趣旨も、嫡出推定を看過して受理して、間違った戸籍が記載がされたものではないということを明らかにしておく必要がありますので、そのような取扱いをしているということで、これをなかなか改めるのは難しいと考えております。
○福島みずほ君
じゃ、是非、転籍すれば身分事項欄は消えるものもありますし、是非考えていただきたいと思います。
次に、嫡出という言葉について御質問します。
二宮周平参考人からもこの嫡出という言葉を使わないようにという指摘がありました。
十月十三日の国連の自由権規約委員会においてこのことが議論になっております。で、委員からこのことについて質問が出て、法務省は国連で答弁をしております。社会的な状況に基づいて見直していきたいと考えているので検討は続けていきたいということを答弁を、回答されています。
そして、この自由権規約委員会からの勧告の中で、パラグラフ四十四のところで、まさに公的な書類において、婚外子、チルドレン・ボーン・アウト・オブ・ウエドロックを嫡出でない、イレジミット、子と定めている用語についての日本政府の説明に留意し、政府代表から、そのような用語を撤廃し、全ての子供の平等な権利を保障することを検討することにやぶさかではないという明言のあったことを歓迎すると言われているんですね。
そして、広報とフォローアップのパラグラフ四十七で、子供の権利についての実施状況を委員会手続規則第七号第一項に従い、締約国、つまり日本は二〇二五年十一月四日までにフォローアップで実施状況を報告してくださいというのがあります。
これに向けて嫡出という言葉を使わないようにどうしたらいいか法務省は検討すべきだと思いますが、この自由権規約委員会での法務省の回答、それから勧告について、やるぞという受け止めをお願いいたします。
○政府参考人(金子修君)
今、自由権規約委員会のパラグラフ四十四、四十五、四十七について御言及があったと思います。で、そのような勧告がされたこと、あるいは我が国が用語の削除に向けた検討する意思があるということの説明を歓迎するというような趣旨の発言があったということは承知しています。
で、これも、嫡出でない子という用語については、最高裁判所は差別的な意味合いを含むものではないと判示しているところであり、まあ社会の受け止めは別というお考えもあると思いますが、その上で、法令用語については社会情勢の変化等に対応して不断に見直すことは重要であると考えておりまして、この法案を提出する前に法制審議会でこの点についても一つの論点となり、検討しました。
例えば、婚外子というような用語を使用することはどうかというようなことも検討されたんですけれども、この婚外子という用語は、この用語は用語として差別的であるというような御指摘もあって、今回、この嫡出という用語を廃止するというところには至らなかったということでありますが、我々としても、ここは今後引き続き検討すべき課題だという認識を持っております。
○福島みずほ君
もうこれは国際的には、嫡出でない、イレジミットという言葉を使うのあり得ないというふうに理解されているので、このフォローアップまでに変わるようにと思います。出生届における嫡出である子、嫡出でない子のチェック欄も廃止をすべきです。
そして、今日は戸籍の続き柄について一言お聞きをいたします。
私は、弁護士として、住民票の続き柄差別裁判、戸籍の続き柄差別裁判、法定相続分の差別撤廃裁判をほかの弁護士と一緒に担当してきました。
住民票の続き柄は、かつて長男、長女、二男、二女、養子、子。婚外子は子でしたが、自治省が当時、これを変えても何も実務上支障がないといって、一片の通達で、コンピューターを変えて一瞬のうちに全て子となりました。ただ、戸籍の続き柄欄は、長男、長女、二男、二女ではなくて、婚外子は男、女というふうに書かれます。申請すれば長男とか二男とか変えることができるということを今法務省はやっています。
これは、今何件ぐらいこれで申請している人がいるんでしょうか。窓口で自分は婚外子だから男を長男と変えてくれ、女を長女と変えてくれというのはなかなか言いづらいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(金子修君)
御指摘のように、男、女を長男とか二女とかいう記載をすることができるようにした平成十六年民事局長通達がありますが、戸籍の続き柄記載の更正があればそのような更正をするということになったわけですが、その申出があった件数は、平成十六年十一月から本年三月末日までの累計で四万九千二百四十八件であるということです。
○福島みずほ君
婚外子の人が窓口で訂正してほしいと言うのは本当になかなか難しいと思います。
金子局長、長男、二男、二女、それから婚外子で法的な効力、何も変わらないですよね。長男、長女と書く意味ってあるんですか。十回結婚して十人男の子が生まれれば、十人長男がいるんですよ。そして、この婚外子で、名前を例えば変えるという、長男、長女に変えると、例えば二男と書いてあるけど別に二番目じゃないことだって世の中にはたくさんあります。意味がないんですよ、長男か二男か二女かって。
これ、もう続き柄欄、男、女にしたらどうですか。いや、男、女は続き柄欄じゃないという意見があります。でも、婚外子は今まで男、女と書かれてきたんですよ。この長男、長女、二男、二女、住民票はなくしました。なくしたらどうですか。
○政府参考人(金子修君)
今の御質問で、住民票は子と記載されるということは承知しています。
性別が分かるような記載、これはやはり戸籍から判明しないと、婚姻するときに、その両者が一方が男性、一方が女性かということが戸籍上判明しないということが問題があるので、性別の記載は現行法の下では、現行民法の記載からすると必須だと思います。
順番ですね、長幼の序といいますか、第一子、最初の男なのか、長男なのか二男なのかという、このことにつきましては、同一性確認に資する身分事項として公証してきたという歴史がありますけれども、今から思うに必ずしも必須ではないのかなという気もしています。
○福島みずほ君
必ずしも必要ないという答弁をいただきました。ありがとうございます。
そのとおりなんです。三回結婚して三人男の子生まれたら、三人長男なんですよ。二男と書いてあるからといって二番目とは限らないんですよ。意味ないんですよ、これ。ですから、意味がないということで、これはもうなくすべきだと。で、男女の別は必要だと思います。それはいろいろ議論あるかもしれないけど、日本でまだ同性婚を認めていない、まあ男女の別はあるとしてというふうに、それは思います。
是非よろしくお願いします。
懲戒権についてお聞きをいたします。今日は厚生労働省と文科省にも来ていただいています。
厚生労働省に設置された体罰等によらない子育ての推進に関する検討会の取りまとめにおいて、たとえしつけのためだと親が思っても、身体に何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されますとの体罰の定義をしています。
厚労省のこのまとめは本当にすばらしいと思うんですが、このガイドラインに規定した背景というものについての説明をお願いします。
○政府参考人(野村知司君)
御説明申し上げます。
今御指摘がございましたいわゆる体罰ガイドラインでございますけれども、こちら、令和元年の児童福祉法等改正法で児童虐待防止法が改正をされまして、その際、児童の親権を行う者について、体罰を加えることなどについて禁止をしたということを踏まえて、体罰の範囲、体罰禁止に関する考え方を国民、関係者に普及することを狙いとして策定をさせていただいたもので、今御紹介ありましたように、何らかの苦痛あるいは不快感を意図的にもたらす行為、罰である場合には、どんな軽いものであっても体罰に該当するというようなことを、こう表記をさせていただいているところでございます。
この記載をされた背景でございますけれども、今御紹介申し上げた体罰ガイドラインの策定の狙い、趣旨なども踏まえつつなんですが、まず、国連児童の権利委員会の一般的見解、こちらの方で体罰について、どんなに軽いものであっても、有形力が用いられ、かつ、何らかの苦痛又は不快感を引き起こすことを意図した罰と定義をされていること、それと、これはガイドラインの策定の狙いでもありますけれども、国民の皆さんにとって分かりやすい文言を用いつつ、体罰などによらない子育てを推進していくという必要があったことなどを踏まえて、そのように表記をさせていただいたところでございます。
○福島みずほ君
こちらの方が今回の民法改正案よりもいいと思うんですね。
今日は文科省にも来ていただきました。懲戒の文言を今回民法の中からなくすということなんですが、学校教育法の中にはあります。学校教育法の改正を行わない理由は何でしょうか。
削除すべきではないでしょうか。
○政府参考人(寺門成真君)
お答え申し上げます。
学校教育法に規定する懲戒は、学校が教育目的を達成するため、教育上必要な範囲で、叱責、注意、退学、停学等を行うことでございます。今般の民法改正の趣旨と異なることから、削除は考えてございません。
○福島みずほ君
体罰についてのが、文科省そして厚労省の見解、そして今回の法務省の民法改正で違うんですね。
局長、これはいかなる体罰も許さないという意味だということを、条文からちょっと私は外れかねないと思うんですが、しっかりそのことを告知すべきだ、いかがでしょうか。
○政府参考人(金子修君)
我々がここで体罰等を規定していることの趣旨は、まあ子の体罰というのは、子の問題行動に対する制裁として子の肉体的苦痛を与えることを意味すると思っています。
具体的には、社会通念に、具体的事案を前提とした社会通念に照らした個別的判断になるというふうに考えておりますけれども、恐らく、子の健全な成長に悪影響を及ぼすということが付いていることで不当に狭められるような解釈を生まないのかということであると思いますけれども、今のような定義からしまして、そのような心配はないものというふうに考えております。
○福島みずほ君
是非、厚生労働省のガイドラインと同じような形で適用していただくようにと思います。
国籍法三条三項についても質問したかったんですが、ちょっと時間がなくなりました。遡って遡及して全て失う、やっぱりおかしいですよ。裁判官で、じゃ、その人、生まれたときから日本人じゃない、じゃ、判決どうなるのというふうにも思います。また、配偶者や子供、孫がいた場合、じゃ、その人が日本人でなくなったら全員日本人でなくなるという問題があります。や、在留特別許可、そして帰化に向かうといっても、その裁量がありますから、全員が在留特別許可が認められるわけでも、全員が帰化が認められるわけでもありません。
その意味で、この三条三項は、遡及して無効になるというのは削除すべきだということを強く申し上げ、質問を終わります。ありがとうございます