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2023.5.25 法務委員会での質疑(質疑・参考人質疑) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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【質疑】

○福島みずほ君
立憲・社民の福島みずほです。
まず一問、刑務所のことについてお聞きをします。
名古屋刑務所で熱中症で亡くなった人がいます。まさに蒸し焼きで亡くなったみたいな感じがしますが、二〇二〇年から二〇二二年の三年間において、熱中症、その疑いと診断され、若しくは熱中症に類する症状を呈した者の各刑務所の数というのを出していただきました。熱中症にかかるというのは刑務所の中で非常に大きな問題です。
それで、全国の各刑務所の冷暖房設備の設置状況についても調べていただきました。全てというところもありますが、まだ一部というところもあります。大阪刑務所はまだ何もないという状況です。そして、実は、この冷暖房設備があるとしても、これ、実は廊下にあって、中の居室にはないと。廊下に置けば中の居室に冷気が行くというんですが、本当にそうかなとも思っております。
これだけ熱中症を訴える人がいる。御存じ、警察留置場は空調施設があります。しかし、一件、例えば京丹後市で、熱中症で六十代の女性が疑いで亡くなっている。なぜと聞いたら、クーラーが壊れていたと聞きました。
今、地球温暖化、気候危機、もうこの五年間、昔の二十年前、三十年前と違って、まさに熱中症になって亡くなるということがあるわけです。大臣、この、私自身は、今日、本当に強い要望として、冷暖房設備を本当に全部やっていただきたい。で、廊下ではなく、居室についても考えていただきたい。それから、実は手紙をよくもらうんですが、受刑者の皆さんから、冷暖房が付いていても運用してもらえない、つけてもらえないという声も聞くんですね。
是非、熱中症ゼロを目指して、予算獲得も含めて、冷暖房設備の設置、大臣としてもう進めていただきたい、よろしくお願いします。どうですか。

○国務大臣(齋藤健君)
福島委員おっしゃりますように、刑事施設で熱中症で人が亡くなるなんということは絶対にあってはならないと私も思っていますので、被収容者の熱中症予防対策などに万全を期す必要があると思っています。
冷暖房設備につきましては、体温調節機能の低下など熱中症リスクが高い高齢者が就業する工場ですとか、それから医療法上の病院ですとか、又は診療所である建物の病室、収容棟の廊下など、整備の必要性が高い箇所について今順次進めているわけです。
収容者の健康保持は国の重要な責務であると考えていますので、冷暖房設備の整備につきましては、最近の気象状況や社会一般の水準を踏まえつつ引き続き取り組むとともに、場所場所をよく精査しながら段取りよく進めていくことが大事だと思っていますので、今後も適切に対応していきたいと考えています。

○福島みずほ君
是非これは進めていただきたいと思います。
私も柳瀬房子参与員をお呼びしたんですが、来ていただけないということで、思っております。
先ほど石川委員からもありましたが、今日、私は衝撃的な勤務実態の表を見せていただきました。
それで、二〇一六年一月二十四日は五百人以上と話をしてきたと言い、二〇一九年十一月には千五百人と対面と柳瀬さんはおっしゃっています。で、二〇二一年四月の衆議院の参考人では、二千件で対面をしていると言っています。つまり、五年間の間に千五百人の対面、つまり年間三百人対面したということになります。それから一年六か月の間に五百件対面ということになります。
これ、可能なんですか。可能ですか、大臣。

○政府参考人(西山卓爾君)
特定の難民審査参与員の事件処理数につきましては、本日、国会のお求めに応じて提出させていただいたものを除きまして、業務上統計を取っていないため、その評価がそもそも困難でございます。
その上で、柳瀬氏は、参与員制度が始まった平成十七年から現在に至るまで長年にわたり参与員を務めておられ、ほかの参与員の代わりに審理に入ることにも協力をしていただいている方であるので、また、昭和五十年代から難民を支援するNPO団体の設立に関わり、その運営も務めてきた方でございます。このように、難民認定に対する知識及び経験が豊富、かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んでいる方が、国会で参考人として、御自身の豊富な知識及び経験に照らし、入管庁が見落としている難民を探して認定したいと思っているのにほとんど見付けることができない旨を述べられたものでありまして、御発言は重く受け止める必要があるものと考えております。

○福島みずほ君
あり得ないですよ。普通の感覚だったらこんなのあり得ないというのが当然じゃないですか。
そして、先ほども石川委員からありましたが、令和四年は四千七百四十件のうち事件処理が千二百三十一件、何と柳瀬さんお一人で〇・二六%、四分の一処理をしている。令和三年、六千七百四十一件のうち千三百七十八件、まさに、こっちは約二割、これは処理をしていると。もうあり得ないですよ。そして、令和四年の勤続日数三十二日、令和三年の勤続日数は三十四日、それぞれ難民審査参与員協議会に出席した一日を引いて計算すると、令和四年度は、千二百三十一割る三十一、三十九・七、令和三年度は、千三百七十八割る三十三、四十一・七五、一日にこれだけやると。
で、さっきの次長の発言、おかしいですよ。三人一組でやるから議論しなくちゃいけなくて、幾ら予習したって、その場が勝負で議論するわけでしょう。こんな件数、一日に四十件以上の処理なんてあり得ないですよ。本当にあり得ない。これは、これで難民の、難民はほとんどいないということの立法理由にしているのはおかしいと思います。
改めて皆さんに資料をお配りいたしました。これは現行入管法の問題点と、それから二〇二一年十二月、現行入管法上の問題点という二つ、これは政府のまさに資料です。二三年二月と二つありますが、いずれも参与員が、で、わざわざ、四月二十一日の参考人質疑していて、参与員が入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのにほとんど見付けることができません、これが難民認定制度の現状として出しています。
そして、西山次長はこの間、この参与員の発言は我が国の難民認定制度の現状を端的に表していると考えておりますと二度にわたって答弁しています。答弁しているじゃないですか。つまり、柳瀬さんの認識じゃなくて法務省の認識なんですよ。彼女を使って、彼女に乗っかって、ほとんど難民がいないというのが我が国難民認定制度の現状を端的に表した言葉ですと言っているんですよ。肯定しているじゃないですか。これ、乗っかっているじゃないですか。もうこんなでたらめな、でたらめな数字とでたらめな審議の上に組み立てて、難民なんかいないというこの今回の改正法案、改悪法案、もう破綻していますよ。この、法務省は、彼女の発言をこんなに引用しているんですよ。こんなに引用して資料に書いているんですよ。根拠じゃないですか。もうこんなの崩壊していますよ。
これ、臨時班とそれから通常班なんですが、この間、次長は、迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分している臨時班にも掛け持ちで入ってもらっていると、で、この臨時班というのは書面による審査を行うことが多くなると。もちろん違う場合もあるでしょうが、臨時班って、これ臨時班じゃなくて常設の迅速処理書面審議班じゃないんですか。

○政府参考人(西山卓爾君)
ちょっと臨時班について改めて御説明いたしますと、この平成二十二年四月以降、その難民認定申請から六か月経過後、難民認定手続が完了するまでの間、原則として就労を認める運用、これを開始したことに伴って、就労等を目的とする濫用、誤用的な難民認定申請が急増して、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態になったことから、平成二十八年以降、迅速かつ公正な手続を促進するために、臨時的措置として、難民認定制度に関する知識又は経験の豊富な三人の参与員によって編成される臨時班に審査を行っていただくという、そういう取組を行ったということでございまして、その趣旨からして、その臨時班というのはその都度その都度で臨時的な措置として班体制を組んで審理に当たっていただいていると、そういう取組でございます。

○福島みずほ君
違いますよ。これ、この間、ちゃんと次長は書面を中心として迅速にやるための班と言っているじゃないですか。
そして、入管庁審査第五百九十四号、令和元年七月十七日、長官の発出しているものがありますが、東京で担当しているものを大阪で書面を送ってやると。これは、平成二十八年四月以降に受け付けた難民審査請求事件で、かつ臨時に編成された班に三人の参与員が指名されており、口頭意見陳述を実施しない事件とするというのがあります。大阪に送っているんですよ。
何が言いたいか。つまり、口頭審理やらなくていいんですよ。つまり、二つに分けて、これ、まあ一応通常やってください、これはもう書面審理で口頭審理なくしてやっていいですよと振り分けているんですよ。おかしいですよ。上訴された刑事事件について検察官が、これはしっかり審理、普通に審理してください、いや、これはもう別に書面審理だけであっという間に棄却決定していただいて結構ですよじゃないけれど、振り分けやっているわけじゃないですか。
だとしたら、私はこの臨時班って極めて問題で、通常は三十件、五十件しかやらないのに、この臨時班ですさまじい勢いで書面審理で対面やらずに審議しているんじゃないですか。それをやっているのがまさにこの柳瀬さんほかの人々ではないかというふうに思っています。そうじゃないんですか。

○政府参考人(西山卓爾君)
迅速な審理が可能かつ相当な事件として臨時班に配分された事案につきましても、最終的にどのように審理するか、つまり口頭意見陳述を実施するかどうか、あるいは口頭意見陳述を放棄した事件について審査請求人からの事情聴取をするかどうか、この審理といった審理手続全般については参与員の独立した判断に委ねられております。
そして、委員も御指摘のように、臨時班に配分された案件であっても、参与員が更に慎重に審査を要すると判断した案件については常設班に配分替えを行っているということでございまして、委員が御指摘のように、最初の配分があったとしても、これに参与員は何ら拘束されるものではないということでございます。

○福島みずほ君
でも、この通達だと口頭意見陳述を実施しない事件とするとありますよ。例外的にあるかもしれないですが、そこまでおっしゃるんだったら、数出してくださいよ。
つまり、参与員にしてみれば、これは口頭審理はやらなくてもいいんだ、もうこれは書面審理でやればいいんだというふうに思ってそれに当たりますよ。初めから難民なんかいないんだと思ってやりますよ。
で、お聞きをします。これ、書面審査をやるときに一件記録を全部読むんですよね。よもや集団でチェックするだけとか、五十件とかですからね、ぴぴぴぴぴぴっと審理するだけとかいうことではなく、リストでやるんじゃなくて、一件記録、大阪に全部送っているんですよね、この通達によれば。あるいは、東京でやるにしても一件記録を全部読んでやっているという理解でよろしいですね。

○政府参考人(西山卓爾君)
入管法施行規則におきまして、難民不認定処分等に対する審査請求においては、審理に際し、難民不認定処分等の理由を明らかにした書面並びに当該処分等の基礎とした書類及び資料を参与員に示すものと規定されておりますので、臨時班における審理においてもこのような規定にのっとって適切に示しているところでございます。

○福島みずほ君
だとしたら、すさまじいスピードですよね。あり得ないというふうに思います。しかも、なぜ大阪に一件記録を全部送るのかというのも実は分からないんです。とにかくスピーディーに書面審議でやれということでどんどんやらせている。それを請け負ってきた一人が柳瀬さんではないかというふうに思っております。
ところで、柳瀬さんの発言、難民というのはほとんど存在しない、認定できないという発言が極めて重いと思います。で、二回目、難民なんていないんだ、日本は難民なんていないんだってやっている。でも、トルコの人たち、西ドイツで何十万と難民認定されています。世界はつながっている。よその国には難民がたくさんいて存在しているのに、日本だけ難民が存在しない。そんなことないんじゃないですか。難民はいるんですよ。それを、でも、難民認定しない、難民なんかいないという前提でやっているからこの結論になっているんじゃないですか。
ですから、二回難民申請をして、三回目申請中でも送還停止効が外れるということは極めて問題なんですが、私が、そもそも問題だ、もうあぶり出されてきた問題というのは、そもそも日本に難民なんかいないんだと、申請している人たちに難民なんかほとんどいないんだという考え方の下に入管は制度をやってきて、しかも今度の法案をこれで作っている。だから、三回申請中を送り返しても、心の痛みも何にもない、難民じゃないんだからというふうになっているんじゃないか。でも、違いますよ。一回目の申請でも、難民は難民としてきちっと認定しなくちゃいけないんですよ。
今回の法案に、難民を認定するために、難民保護のために前進しているもの、何もないじゃないですか。代理人の立会いも、録音も、何にもないじゃないですか。何にもないんですよ、難民保護がないんですよ。難民の条約を批准している意味がないですよ。難民保護の観点に一切立ってこなかった、立たない。申請の中に難民なんてほとんどいないんだと世界に向かって叫んでくださいよ。どういう国なんですか。
発議者、石橋さんにお聞きをいたします。
そもそも、この一回目の難民申請でしっかり難民を難民として認める、これが必要だと思います。これができていない、ない、だって難民いないんだから、ほとんどいないんだからということに関して、法案、あるいは議員提出の案、それから政府案について見解をお願いします。

○委員以外の議員(石橋通宏君)
福島委員の問題意識等、私、全く共有させていただいておりまして、そもそも私たちがこの野党案を三年前から議論をさせていただいて、二年前に初めて国会提出をさせていただいたわけですけれども、その問題意識はまさにその点にあります。
結局日本が、残念ながら、極めて低い、異常に低い難民認定率にとどまっていると。結局それは、本来保護すべき方々、難民としてほかの国であれば認められる方々が、日本では全然認められてこなかった。例えばスリランカの方しかり、例えばクルドの方しかり、例えばミャンマーの方しかり、例はたくさんあります。
こういった現実、これはやはり難民認定審査制度そのものがおかしい。そこが、やはり委員が御指摘になったように、そもそも難民などいないのだという、そういった前提の下に審査が行われてきたのではないかということがやっぱり疑われる。だから、そこに、適正な国際基準にのっとって、UNHCR等の基準をしっかりと準拠して、そして透明性ある、そして客観性ある形で、第三者委員会として難民認定、私たちが提案させていただいているこの保護委員会がしっかりとその国際基準にのっとって審査、適正に判断をさせていただくということが必要不可欠だと思います。
今回、御指摘になった柳瀬委員の発言、私も過去の専門部会等の質疑録もくまなく読ませていただいておりますが、やはり二〇一九年十一月一日の柳瀬委員の当時のあの発言が結局その専門部会の結論に導かれているんですね。当時の座長が柳瀬さんの発言を基に、だから、難民認定必要な人はいないので、じゃ、どうお帰りいただくかということを議論しましょうというふうに結論付けているんです。それがやっぱり立法事実になっているということであれば、ここは極めて重大な問題という委員の御指摘は、私も野党案の発議者として同感です。
おとといの阿部参考人の発言も極めて大きいというふうに思います。参与員は専門家ではないという御発言まで阿部さんはされている、残念ながら。こういう十年にわたって参与員を務められた方がそういう発言をされている。十年で約四十件、難民として認めるべきだというふうに先ほど石川委員も言われた。
ここをやっぱりしっかり重く受け止めて、そこの審査の在り方を変えない限りは、やはり私たちはきちんとした国際法に準拠した難民認定申請できないというふうに強く思っておりますので、是非、私たち野党案はそのことをしっかりと提案をさせていただいておりますので、また改めて審議の機会をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○委員長(杉久武君)
お時間になりましたので、質疑をおまとめください。

○福島みずほ君
はい。
大臣、もう本当に短い言葉で結構ですが、ここまで破綻して、この法案駄目でしょう。どうですか。

○委員長(杉久武君)
質疑時間が終了しております。
じゃ、齋藤法務大臣。

○国務大臣(齋藤健君)
まず、難民認定におきましては、大事な話なので一瞬では無理なんですけど、御案内のように、確かに国情によってその認定率に違いがあるのは事実であります。その上で、じゃ、その庇護すべき人が庇護されていないかという点に関して申し上げますと、一次審査において難民と認定をしなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者の合計につきましては、処分件数のうち、令和四年は約二九・八%、これ庇護されているというわけであります。
それに加えまして、大事なところなので御容赦いただきたいんですが、ウクライナのほか、ミャンマー及びアフガニスタンについて、本国における情勢不安等を理由に在留資格の変更を許可した者の数を加えて庇護率を算出いたしますと、もう七〇・九%になるわけであります。さらに、この難民認定が不服で、行政訴訟で不認定処分の適否が争われた件数が、平成三十年から令和四年まで、直近の五年間で百九件ありますが、そのうち百四件は国が勝訴をしているという事実を御紹介させていただきたいと思います。

○福島みずほ君
終わります。

 

【参考人質疑】

○福島みずほ君
立憲・社民の福島みずほです。
今日は、四人の参考人の皆さん、大変お忙しい中、ありがとうございます。
まず、渡邉参考人にお聞きをいたします。
三十年以上にわたり、ミャンマー、ロヒンギャの難民申請などに本当に尽力されてきたことに心から敬意を表します。
そして、入管庁は、現在、ある参与員、まあ柳瀬さんが、申請者の中に難民はほとんどいないという発言は我が国難民制度の現状を端的に表すものだと考えるというふうにこの委員会で答弁をしています。
難民申請している人の中に難民はほとんどいない、この発言についてどうお考えでしょうか。

○参考人(渡邉彰悟君)
先ほどの意見陳述でも述べましたとおり、私ども全難連の弁護士の中に、私はミャンマーのケースを主に抱えていますし、ほかの国々の人たちも抱えています。そして、トルコのクルドの人たちのケースもたくさんあるわけです。そういう人たちの中に難民がいないということはほぼあり得ないわけですね。
この間、緊急避難措置ということで、少なくとも早くその在留資格を与えてほしいと、その申請者の非正規滞在者の人たちですね、そういう話もしてきました。そういう、特に非正規滞在者の難民申請者の中には、複数回で少数民族の人が私の扱っている案件は非常に多かったです。恐らく、七割、八割、少数民族の人たちです。そういう人たちが保護されてこなかったという実態を見るにつけ、これはあり得ないことだと私は思っています。あれだけ軍政の、軍の力が強い中で、軍の迫害を恐れている人たちを保護できないと。ロヒンギャの人たちもそうです。そういうことであったというふうに認識をしています。
ですので、私たちが、入管の前に行って難民の保護を求めている人たちの、私たちは難民だと思ってそこに保護を求めています。濫用者を扱って弁護活動をしているわけでは決してありません。そういう意味では、そのような発言をされて、今の日本の中に難民がいないというのは、非常に客観的に間違った認識を生み出しているというふうに思います。

○福島みずほ君
ラマザンさんにお聞きをいたします。
大変な中、勇気を振り絞って、今日、多くの人のために発言してくださったことに心から敬意を表します。
政府案があるんですが、これ、二回難民申請していると基本的に送還停止効が外されて、三回目申請中でも原則として送還されるというものです。
もしも万が一この政府案が成立したとすれば、どのようなことが起きるというふうにお考えですか。どのような心配を持っていらっしゃるでしょうか。

○参考人(ラマザン君)
プライバシー的なこともあるんですけど、少なくとも私の妹や親は三回以上この申請をしてます。
以上です。

○福島みずほ君
もう二回、三回と申請している人がいたら、その人たちは、送還されるということで、今大変な恐怖の中にいるというふうに思います。
ラマザンさんにまたお聞きをいたします。
特別在留許可が家族の中でもらえた人、もらえない人といるわけです。子供は一人では生きていけないということもおっしゃいました。例えば、親が強制送還されれば離れ離れに暮らさなければいけないとか、それから生まれ育った、親の出身国の言葉も文化も分からないのに帰国せざるを得ないという状況など出てくると思いますが、そういうことについてどうお考えでしょうか。

○参考人(ラマザン君)
まず、自分たちクルド人、ほかの難民もそうかもしれないんですけど、家族関係が余りにも重いというか、強いというか、何かすごい大事にするんですね。それ以前に、難民と、仮放免という立場で子が親と別にされると、日本で生まれた子供、私の妹もそうなんですけど、日本で生まれて、母国の言葉を話せるっていう、それ以前に、親が帰される、親と別々になるっていう、一般の人、日本人でもほかの国の人でも強制的に別々にされたら逆にどう思うかっていう、そこが私が逆に質問したい立場なんですけど、すごいつらい。
逆に、強制送還された親は向こうで何に出会うかというのも分からないし、どういう扱いを受けるのかも分からないし、そういったことがあって、日本に来て、家族と一緒に暮らしたいっていう、という環境をつくりたいと、家族と一緒にそもそも日本に来ているってことは、家族と一緒に来て、日本に逃げてきていると。一人で来る分には分かります、分かりますけど、家族と一緒に来ているってことは、それ以外に道はない、それが別々に、またそれが別々にされたら、もうとんでもないことだと思います。
○福島みずほ君 ラマザンさんが、今日、仮放免中の問題点について話をしてくださいました。仮放免中ということで問題が様々あるわけですが、一方で、仮放免中の子供たちの問題というのもまた非常にあると思います。
つまり、将来が全く描くことができない、あるいは二十歳というか成人になったら自分が収容されてしまうんじゃないかという恐怖、しかも無期限に収容されてしまうんではないかという恐怖を常に持ちながら日々暮らし、成長するというのは、もうすさまじいことだと私は思うんですが、そういうことについて少し話していただけますでしょうか。

○参考人(ラマザン君)
本当におっしゃるとおりで、物心付いた頃から、今だと、今現在だと、その新しい改正案が出されたときに、前回のとき、今回のときも、物心まだ付いていない二歳、三歳のちっちゃい子供たちが、親と一緒にテレビの前に座ってその内容を見てて、親に話を聞いて説明をしてもらってるという状況なんですね。それって、普通の子供っていうのは、その物心付いたら、遊ぶとか友達とどっか行く、公園行くとかそういったやり取りしないといけないのに、うちの子たちは一緒に座ってそれを見て、その状況を理解して、どうしたらいいのかって考えている状況。
僕、小さい子供も親もそうなんですけど、保険証がない。で、例えば学校の旅行とかでどっか行くときに保険証はありますかっていうと、自費でお金を出しますとか、病院行ったとしても自費で出しますっていう。住民票がないから、何らかの証明を出してくださいっていうと出せない。身分証明書を当時日本に着いたばっかの頃に提示してくださいって言われたときに、身分証明書提示するのも仮放免なんですよ、仮放免提示しても誰も分からない、それを理解できない、ほかに何かないのって、いや、これしかありませんっていうと。
そんな中で、警察署まで連れていかれた方もいて、その子供たちがそんなつらい中で生活しているっていうのは、向こうに帰ったら、向こうに帰っても生活できない状況で、それを考えて日本に来て、親と家族と一緒に、もう子供たちには権利はないと。何でかというと、まだ物心付いてないから親に日本に連れてこられているから、子供たちが自分の意思で決めたわけではない、親が決めて、日本に来て、で、日本で生まれた子供も、子供もそうだし、大人になった子供もそうなんですけど、みんながみんな、仮放免者だともう大抵一般の日本人の方ができるはずであることをできない状況がいまだに続いています。
○福島みずほ君 仮放免されてもまた収容される、お父さんのように、仮放免されてまた収容される、この繰り返しっていうのは物すごく人間の気持ちにすごい不安を与えると思いますが、その点についていかがでしょうか。

○参考人(ラマザン君)
もうそれは本当にすごい、面会に行くときに、できれば面会に行きたくないという。行くと、泣いちゃうとか寂しい思いするとかという。自分の父のことなんですけど、父は、俺は大丈夫だという言い方していますけど、多分本心では大丈夫じゃないという。
中にいる人は、はっきり言うと、人間が住む場所じゃないと言っているんですね。入管の収容所の中に収容された人たちから結構話聞いていると、住む場所ではないと言う、精神的にもおかしくなると。かえって、それが、外にいる人たちが、親がいないとか、自分を始め外にいる人たちは、その心配を抱えながら、いつ出てくるんだろう、いつ出てくるんだろうと。逆に、中にいる人たちは、いつ出られるんだろう、いつ出られるんだろうという。
その中で、子供たちは、親がいないというので、その親が何で捕まっているかということを理解する、説明するまでも時間掛かるし、一般の人にそれを理解してもらうのが、大人の人にも時間が掛かるのに、子供がそれを理解するのはとんでもなく時間が掛かることで、もう本当に精神的におかしくなる。どうしてもストレス抱えちゃうとか、元々あった病気が更に悪化する。
で、はっきり言うと、親とか周りの人が捕まっちゃうと考えると、もう次は、例えば、当時自分が仮放免だったときは、次は俺の番なのかなという、常にそういう意識を持っていました。

○福島みずほ君
渡邉参考人にお聞きをします。
もし政府案が仮に通って、二回申請して、そして三回目申請中でも本国に、送還停止効が外れるという、こうなるとどういうことが起きると思いますか。

○参考人(渡邉彰悟君)
我々、二〇〇九年にも、実はもう送還停止効ができた後で一人、ミャンマー人の人が、少数民族の人が送還されたことがありました。強制送還されたんですね。そのときに本当に大騒ぎをしました。この人がどうなってしまうんだろうかということを我々は恐れました。幸い、その人はヤンゴンに着いて、そのまま横断してインドに逃れたという情報を最後に聞いて、やっと安心できた。
命の危険のある場所に送還するということが、そういう事態になることを心から恐れます。今の状態の中でそういうことがされるという事態になれば、今の日本にもう今後難民申請者は近づかないと思います。今もだんだん難民を申請する人が減ってきていますけど、もう日本には来ない方がいいよという国際的なインフォメーションが流れると思います、私は。日本が難民条約締約国としての義務は尽くさないから、もう行かない方がいいという事態になることを恐れます。日本は、我々にとっては、難民申請者の保護を実行する難民のとりでになってほしいと思っているからです。それが実現できないということです。
この三回目の人たちが実際に今いるわけですね。この人たちは今恐怖に震えているわけです。やはり、やはりきちんとした難民認定手続を実行することによって彼らが救われていくということを、まずは私たちは求めたいということを強く申し上げたいと思います。

○福島みずほ君
浅川参考人にお聞きをいたします。
一年間に千件処理し、書面審査で一日五十件やったこともあるということなんですが、稼働日数で、何日働いて千件処理されたのか、もしよろしければ教えてください。
それから、一件記録全て読んだということをさっきおっしゃったんですが、全件記録を本当に読むことができたのか、一件に掛けた時間など、もし説明していただければ有り難いです。恐らく、これは臨時班に属してということだと思うんですが、臨時班に属していて、対面、インタビューに戻った例というのはあるんでしょうか、書面審査から。
お願いします。

○参考人(浅川晃広君)
勤務日数ということなんですが、期日というふうな言い方をしていまして、一、何というか、一出勤と、一出動ということでございまして、これが、例えば先ほど申し上げたように、インタビュー一件だけやるときもあれば、二件やる日もあれば、三件やる日もあれば、先ほども申し上げた書面で五十件やる日もあれば、また書面で十件ということに、いろいろありまして、勤務日数という概念がちょっと余り当てはまらないかと思いますので、ちょっとお答えがなかなか難しいところでございます。
次に、済みません、三番目の方かと思うんですが、書面でやっていても、この書面、やっぱりここは話聞かないとというか、一次審のところでちょっと詳細に聞いていない場合とかもあったりしますものですから、そのときは、あっ、ちょっとこれ、やっぱり詳細に聞かないとこの書類では分からないなということで、これは審尋してくださいというふうにお願いしたこともございます。
申し訳ありません、二番目何でしたっけ。

○福島みずほ君 千件の処理のイメージがちょっとよく分からないので、教えていただければ。
あと、それと、ウガンダのケース、大阪ではなくて名古屋のケースで難民不認定が取り消されたケースというのは担当されたことありますでしょうか。

○参考人(浅川晃広君)
単純計算でいうと、一期日五十件の書面審査を一年間で二十期日やれば、五十掛ける二十で単純に千になるわけなんですけれども、だから、その一期日というのが丸一日朝から晩までというわけじゃなくて、大体午後が多かったんですけど、半日ぐらいです。ただ、これ、何というか、中身によって違ってくるんですけれども。
だから、そうした中で、その五十件といっても、いきなり行って五十件読むわけじゃなくて、事前にこの五十件分まとまったファイルをいただきまして、家でそれをちゃんと読み込んだ上で、三人が集まって、それで、じゃ、この該当性判断どうだというのを一個一個やっていったということで、何もその場に行っていきなりその記録を読んだというわけじゃございませんので、一期日で五十件やって、それを年間二十件ということを月二回ぐらいですかね、月二回そのパターンでやると、千件行くのは全然不自然じゃないと考えています。
次の御指摘のウガンダの件なんですけれども、その訴訟が私が担当したのかどうかというのが、済みません、その訴訟がちょっと具体的に分からないものですから、ちょっとそこら辺は何とも、担当したかどうかという事実もちょっと確認のしようがないというところでございます。

○福島みずほ君
時間ですので、四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。

※本議事録は未定稿です。

 

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