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2023.6.13 法務委員会での参考人質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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○福島みずほ君
立憲・社民の福島みずほです。
今日は、四人の参考人の皆さん、今までの長年の研究、仕事、取組、本当に敬意を表します。そして、今日いろいろ、非常に私たちにいろんなことを教えてくださって心から感謝をしております。
小西参考人は、私がセクシュアルハラスメントの裁判やるときに原告のカウンセリングをしていただいて、本当に感謝しています。法律家が見えないこと、分からないこと、やれないことが本当にたくさんあるというふうにも思っております。ありがとうございます。
今回、不同意性交罪や性交同意年齢の引上げ、このことは本当に必要であり、ノー・ミーンズ・ノーというのが、何とかこれを刑法にどう位置付けるかということでいろんな議論があり、今回提案に至ったことは心から歓迎します。今回の改正案には本当に賛成です。
その上で、今回の百七十六条ですが、まさにその明確性とばらつきをなくす、それからどうするというところの、本当にそのノー・ミーンズ・ノーをどう法案にするかという、非常に、苦肉じゃないけれども、すごく努力をされたんだと思います。
それで、刑法を習ったときに、一番初めにやっぱり罪刑法定主義、憲法三十一条に基づく罪刑法定主義、明確性、類推適用の禁止というのがまずイの一番にたたき込まれるわけで、今回その百七十六条が八項目あり、かつ地位利用などが入っているので、逆にこういうことについて気を付けるというか、十分配慮して同意をちゃんとあるようにというふうに世の中がなるようにと、こう思っているんですが、ただ、刑法って割とやっぱり明確性が必要で、人を殺したる者は、他人の物を窃取したる者はと明快なのが、ちょっとそのセクシュアルハラスメントガイドラインではないけれど、分かりやすい面とどうなっていくのかという若干ちょっと不安な面と、ちょっと正直あるんですね。
この百七十六条に類する行為というのがあって、これ類推適用になったりすると、これまた本当に問題ではないかと思い、この点について、島岡参考人、いかがでしょうか。

○参考人(島岡まな君)
御質問ありがとうございます。
御質問の趣旨は重々承知しております。ただ、嶋矢参考人も御発言なさったんですが、今まで認められていたものをここにもっと分かりやすく、それでもまだばらつきがあったので、むしろ明確性を担保するためにこの八類型を規定したという理解でありますので、そして、確かにこれだけでは言い切れないところをこれに類する行為というふうに包括的なものとして入れましたけれども、その後に一番大事なのが同意の形成、表明、全うが困難である状態であったという、この要件が一番重要なものがあるわけですから、そこで類推適用ということはなく、ここでしっかりとその要件に当たるかどうかを厳格解釈されるものと承知しております。

○福島みずほ君
ありがとうございます。
今日は、性教育、包括的性教育の必要性ということをそれぞれおっしゃったんですが、確かに代表質問に対する文部科学大臣の答弁は、本当にちょっと、正直私ももっと踏み込んでほしいというふうに思いました。
小西参考人、それから島岡参考人、それから斉藤参考人に、この性教育はどうあるべきかということについて、私は、性暴力の被害者、加害者、同伴者にならないということも必要だし、性の権利ということも必要であると。人生においてどういう自分が性的な関係を人と持つかということに伴う性の権利ということも必要だし、何にも教えられない状況は良くないと思っているんですね。
とりわけ、斉藤参考人、先ほどもちょっと性教育おっしゃいましたが、どういう性教育をすれば、先ほど加害者の人がこんな性教育早く受けたかったとおっしゃったとおっしゃいましたので、どういうことをすれば本当に、本当にいいのかと思いますので、それぞれ性教育の今後の在り方について、小西参考人、島岡参考人、斉藤参考人、教えてください。

○委員長(杉久武君)
では、まず、小西参考人。

○参考人(小西聖子君)
性教育については、要するに多角的、要するにここの場での子供に必要な伝達すべき情報は何かということから考えると、いわゆる狭義の性教育ではなくて、様々な面での教育が必要だと考えております。それは今先生が言われたこととほぼ共通しているかもしれません。
例えば、それは、その権利の問題でもありますよね、人権の問題でもある。それからもう一つ、体を触ってきたり、悪意を持って近づく人がいることもやっぱり事実として知っていく必要がある。それからもう一つ、じゃ、自分がどうやってこれは被害なんだと気付けるか、身を守る、よく水着で隠れるところは大事なところだから触っちゃいけないというような言い方で教えるということがありますけれども、実際上、防犯といいますか、被害を防止するためにどうすればいいかということも必要ですよね。それらを統合するところで、ある年齢からはやっぱり性そのものについても教えていく必要があります。
だから、発達上、それから様々なところからの角度から教育をしていく必要があるというのが私が思っていることです。

○委員長(杉久武君)
続いて、島岡参考人、お願いします。

○参考人(島岡まな君)
ありがとうございます。
もう私の資料の三ページに、ジェンダー平等意識を促す包括的性教育というふうなことでどういうことが必要かというふうに書きましたので、ここに書いてあるとおり、対等なジェンダー平等教育を醸成したり、おっしゃったようなセクシュアル・リプロダクティブヘルス・ライツ、権利をきちんと教えたりということが非常に重要かと思っております。
それで、またエピソードを一つ御紹介したいのですが、私、一九九〇年に初めてフランスに留学しましたけれども、三十三年も前ですが、大学院、グルノーブル大学というところへ行って、授業の前に健康診断を受けたんですけれども、そこで女性の医師さんが最初に言ったのが、あなた、ピルはちゃんと使っていますよねという一言だったんですね。もう衝撃を受けまして、三十三年前ですから、見たこともありませんと言ったら、どんな後進国から来たんですかというふうな目で見られまして、あなた、その年齢で自分の身は自分で守れなくてどうするの、すぐ行きなさいと言って、無料でそこでもう配付してくれるアソシエーションがありましたので、そこに行って、もらった覚えがあるんですね。
そのぐらいフランスでは、五歳から妊娠の経過を教え、それからずっと対等な関係を教え、中高になったら避妊教育をしっかり教え、ピルをちゃんと飲むように指導するというふうな、もうそういうシステマチックな性教育が行われているということをちょっと御紹介させていただきます。

○委員長(杉久武君)
続いて、斉藤参考人、お願いします。

○参考人(斉藤章佳君)
御質問ありがとうございました。
昨年の九月からクリニックの方で、月一回、外部の講師を招いて性教育のプログラムをやっております。このプロジェクトのテーマは、性的同意は世界を救うという名前のプロジェクトです。
まだまだ広がりとしてはそんなに大きくないんですが、私自身がこのプログラムを長年やる中で、なぜ性教育、つまりその包括的性教育が必要だなと感じたきっかけは、私、性加害のプログラムは、成人だけじゃなくて少年事件も結構扱っているんですね。少年事件の加害者、いわゆる非行少年に鑑別所等で面会に行くと、彼ら自身が、こんなに大ごとになると思いませんでしたと。相手は自分に好意持っていたと思うし、まさかこんなに大ごとになって、引っ越さないといけないことになったり転校しないといけないことになると思いませんでしたと。彼ら自身が、自分がやった加害行為によってどういうことになるかの想像力が非常に貧困だったということに加えて、私自身、少年事件ということもあって、性的同意に関するパンフレット等を今大学等で配っているので、そういうものを参考に、まずはその再犯防止のスキルを学ぶよりは性的同意について学んでいこうということで関わりを始めたら、そのセッションが終わる頃にその少年たちが、先生、僕、これを知っていたら、もしかしたら今回の事件しなかったかもしれませんという少年が実は結構いたんですね。
私、この性的同意という言葉、学校でも教えてもらったことないし、親からも聞いたことないし、やっぱり性について自然に覚えるものだと思っていたし、ユーチューブとかティックトックとかいろんなSNSで見て、今回の行為、自分はこんなに相手が傷つくと思っていませんでした、だからこの性的同意という言葉をもっと早く知りたかったですという非行少年の言葉が実はきっかけでした。
それから、去年の九月からプログラムを始めるようになって、実際に保護プログラムをやる中で、参加者からも、性教育どんなものを受けていましたかという質問に対して、みんな受けていないですね。僕たちの性教育の教科書はAVでしたという答えがほぼ全員でした。もちろん、フィクションとノンフィクション分けて彼らも生活はしていましたけど、AVをまねて加害行為する人も中にはいらっしゃいます。
そういうところからも、やはりこの性教育の重要性というのは未成年だけじゃなくて大人も必要ですし、私、このプログラム、実は今週の金曜日、第十回目をやるんですが、今回のテーマは、性加害者における恋愛と結婚というのがテーマです。私、このプログラム、一緒に助産師さんとやりながら、私自身が性教育ちゃんと受けてきていないなということを実感しました。ですから、私も一緒にプログラムで学びながら、彼らと同意の概念をアップデートしていっているというのが現状です。

○福島みずほ君
同意の概念を性的同意も含めて学校で教えれば随分変わるのかなと思いました。
小西参考人にお聞きをいたします。
先ほど、岡崎支部の判決で実際鑑定書を書かれて、そして、暴行、脅迫、同意があっても暴行、脅迫がないから無罪ということにどうしても法律家が着目するけれど、それだけではないとおっしゃったわけで、是非そこの、それだけではないという部分をもう少し教えていただけますか。

○参考人(小西聖子君)
この事件で無罪になったということが、法律の雑誌なんか読みますと、その抗拒不能の解釈というところに問題は収れんしていて、そうじゃないことも十分あり得たというふうに書いてあるんですけれども、でも、この人が本当にどういうふうに傷ついていたかということをその一審の関係者が分かっていたとは、記録を見ると、私には思えません。
どっちかというと、被害を受けた人は、そんな泣いたり苦しんだり、そういう状態で人の前には現れないんですね。加害者がいるところでそういうことをしたらどうなるかというと、更にやられる。何でもないというふうにやってこそ、生き延びられるわけです。
そういう形で生き延びてくるからこそ、その虐待の被害を受けた子供というのは、一見何でもなさそうに見える。でも、よく聞いたり症状について調べたりすると、とても傷ついているし、本人が苦痛を感じていたり、とても不利な状況をそのまま甘受したりというようなことがあり、それがまた、今度は加害者の方の行為を招いたりするわけですね。そういうような被害者の方の脆弱性を増すようないろいろな被害、それから相互作用におけるその問題、そういうようなところは全く捉えられておらず、その虐待の問題ということがとても平面的にというか、形式的にしか扱われていないというのが私の感想です。

○福島みずほ君
島岡参考人にお聞きをします。
性的な姿態を撮影する行為などについてと、グルーミング罪について一言評価を、評価というか、お考えを教えてください。

○参考人(島岡まな君)
ありがとうございます。
先ほども本当に一言申し上げたんですけれども、まず、グルーミング罪の新設は、先ほども申し上げましたけど、性的搾取が横行しており、未成年者が非常に、弱者である未成年者が十分保護されていない現状がありますので、これらをきちんと刑法典の中に、何というんですかね、こういう行為はしてはいけないんだというしっかりと規範として入れることには、私は評価しております。要件もそんなに、何というんですか、無制限に広がらないようにきちんと考えられているのではないかと思っております。
それから、性的な姿態、撮影等の法律ですが、こちらもやはり、先ほども、繰り返しになりますが、やはり自治体の条例等で盗撮が規定されていますと、例えば有名なもので、飛行機の中でスチュワーデスの盗撮が、どこの、上空では何県か分からないということで結局条例が適用できなかったというニュースもありましたので、このようにきちんと全国に適用される法律で、特別法で規定されたということには、規定されそうだということには非常に評価しております。

○福島みずほ君
どうも本当にありがとうございました。

※本議事録は未定稿です。

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