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2025.5.13 参議院 法務委員会での質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
○福島みずほ君
立憲・社民・無所属共同会派、社民党の福島みずほです。
まず一問、入管での自死についてお聞きします。
出入国在留管理庁において収容されていたイタリア人の男性が自殺に追い込まれたということについて、本当にこれはこういうことをなくす必要があると思います。
彼が精神疾患を有していたと入管が認識したのはいつですか。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
今御指摘の件でありますけれども、改めまして、亡くなられた方、お悔やみを申し上げたいと思っております。
その上で、御指摘の亡くなられたイタリア人男性、この精神疾患につきましては、その有無も含めて、含めまして、個人情報、プライバシーに関わる事項ということでありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、私どもとしては、入管施設に収容されている、入管収容施設に収容されている方が亡くなられたこと、これは極めてやはり重く受け止めなくてはいけないと考えておりまして、再び同様の事案が起こらないように、日頃から被収容者の精神面、これを配慮して適切な対応を取っていくということが必要であると考えております。
例えば、日常的に、職員による被収容者との面接によりまして被収容者の心情把握に努めるとともに、必要に応じて、臨床心理士等の専門家によるカウンセリングを含む、あるいは精神科を含む医師による診療を受けさせるなどをしておりまして、まさにそうした意味での同様の自殺案件、これを起こさないように我々としても徹底をしてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君
彼は精神科医に一切見せられていないんです。彼は通院をしたり、精神疾患を持っていたということがあります。だから、入管が、彼が収容されて初めに知っていたのか、いや、亡くなった後知ったのか。でも、精神科医に見せてないんですよ。彼は収容されて二十五日目に自殺をしています。重要なのは、入管がいつ知ったか、精神疾患があることを。なのに、この間、一切言いません。二転、三転、四転、五転していますが、一切言いません。
これ、国会の中でしっかり明らかにすべきであるということを強く申し上げます。一切明らかにしないんですよ。事実経過も明らかにしない、報告書も作らない、極めて問題だと思います。事実の検証、ちゃんと法務大臣やってください。
そして、本案について申し上げます。
能動的サイバー防御法案と刑事デジタル法案との関係についてお聞きをいたします。
能動的サイバー防御法案は、非常に分かりやすく言うと、最近空き巣が増えてきたので、みんな警察に全て合い鍵を出してください、私がパトロールしますというようなもので、協定を結んでいるところで、犯罪に関係なく全部政府が取り、自動選別を行うというものです。そこで入手した情報を、まさにそれを裁判所に証拠として出せませんから、この刑事デジタル法に基づく提出命令を取るということがあり得るかどうか、警察、内閣、どうですか。
○政府参考人(佐野朋毅君)
お答え申し上げます。
内閣官房から、サイバー対処能力強化法案及び同整備等法案と犯罪捜査の関係についてお答え申し上げます。
これらの法案につきましては、通信情報を犯罪捜査の目的で提供すること、そういう規定は置いておりません。
○政府参考人(阿部文彦君)
お答えいたします。
御指摘のサイバー対処能力強化法案におきまして、内閣総理大臣から提供される選別後通信情報は、サイバー攻撃に関係があると認められるに足りる機械的情報のみであり、具体的には、攻撃に用いられていると考えられるIPアドレス、コマンド等であって、コミュニケーションの本質的な内容を含まない機械的情報であること、氏名、住所、携帯電話番号といった種類の情報は対象とならないこと、特定の個人を識別することができることとなるおそれが大きい情報については内閣府において非識別化されていること、一般のインターネット利用者が送受信する通信が含まれることはないことなどから、選別後通信情報を犯罪捜査に活用する場面は通常想定されていません。
○福島みずほ君
衆議院の法務委員会において、警察は、状況に応じて刑事訴訟法の規定に基づく厳格な手続にのっとって適切に対応するけれども、使う可能性があることを認めた答弁しているんです。そして、内閣官房の方は利用することはないと言っていて、ここは両方答弁が違っておりますので、今日、警察も使うことはないということを明言されたので、ゆめゆめ使われないように、強く申し上げます。
次に、捜査のための通信傍受法、盗聴法との関係について、対比についてお聞きをいたします。
盗聴法には対象犯罪の規定があるが、本法案にはありません。これは極めて問題ではないかと思います。
そして、通知について、一九九九年、この法務委員会で、捜査のための通信傍受法、盗聴法について大激論をやりました。当時、本会議でフィリバスターもやり、牛歩もやり、徹夜国会をやり、八月中旬まで大激論になったんですね。大悪法だと思い、その中身について議論をしました。しかし、その捜査のための通信傍受法、盗聴法に比べても、もうすかすかというか、極めて後退して問題があるんです。
通知、盗聴法では、通信を傍受した後、一定期間内に捜査機関からその通信をした当事者に傍受の事実が通知されるのに対し、本法律案にはありません。秘密保持命令の新設により提供の事実すら知らされない。通知する必要があるんじゃないですか。
○政府参考人(森本宏君)
対象犯罪の件はよくて、通知のところで。
まず、通信傍受法による通信傍受は、現に行われている他人間の通信の内容を知るため、当該通信の当事者のいずれにも事前に告知しないで行うものであり、継続的、密行的に憲法の保障する通信の秘密を制約する性質の処分だと考えております。
そこで、通信傍受法におきましては、こうした性質を踏まえ、当該通信の当事者が傍受された通信の内容を確認する機会及び不服申立てをする機会を保障するなどの趣旨で、捜査機関において、原則として傍受の実施の終了後三十日以内に傍受記録に記録された通信の当事者に対して通知をすることとされております。
これに対し、電磁的記録提供命令は通信傍受とは異なり、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまり、先ほど申し上げたような継続的、密行的に通信の秘密を制約する性質の処分ではないことから、電磁的記録提供命令と通信傍受の両制度を単純に比較することはできないというふうに考えております。
○福島みずほ君
違いますよ。
盗聴法も、あとそれに基づくものも一部保存しているじゃないですか。そして、これの、盗聴法によって、今SNSはやっていないということだけれど、一九九九年の議論のときに法務省は、まさにファクスやデータ通信の場合にはその通信方法を解析しないと認識不可、リアルタイムでは分からないとして、SNSを過去のものを遡って、聞くんだ、見るんだということはおっしゃっていますよ。おかしいですよ。つまり、リアルタイムで、リアルタイムでそれを見るのか、というか、SNSは過去のものだから、過去のものを見るから通信の秘密を侵してない、密行性がない、継続性がないというのはでたらめですよ。過去のものでもプライバシーを出すわけじゃないですか。
捜査のための通信傍受法でも、短く盗聴法と言いますが、一時保存をして通信データを見ることは今もあるわけです。そして、その当時も、SNSはリアルタイムでは見れないから過去のものを見ると言っているんです。同じじゃないですか。プライバシーを侵害していることは、リアルタイムで見るのか、いや、遡って見るかだけの違い、同じものなのに、何で本法案は通知がないんですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、先生御指摘の点のメールについては、先生御指摘のとおり、まず通信傍受の対象になっておりません。その上で、メールの場合で予定されているものとすれば、通信傍受の場合には、ある特定の時点で令状請求し、その先に行われる通信について傍受するものですから、メールについてもそのときに行われればそれを取りに行くということが想定されていたようですけど、今は使われておりませんというところでございます。それから、よろしいですか。
○福島みずほ君
おかしいですよ。論理的におかしいですよ。令状を取ってこれから取るのか、いや、令状を取って遡ることもできるのかというだけの違いで、大量の情報を取ることは同じじゃないですか。全く一緒じゃないですか。何で通知しないんですか。プライバシー侵害していることは全く一緒なんですよ。
つまり、この法案の刑事デジタル法の最大の問題は、普通、捜索だったら、捜索します、令状見せます、何の被疑事実が分かります、そして家に入ってこられると立会人がいて、いや、そこは子供部屋だから行かないでください、そこは妻のところです、いや、そこは、たんすは下着が入っているところで見ないでくださいって、立会人がいるんですよ、しっかり。
盗聴法も、だから立会人入れて、その後、改悪で立会人なくなりましたが、当時はそこまで配慮していたんですよ。ところが、盗聴法は通知が行きます。しかし、今回は通知が行きません。通知が行かないどころか、サーバーに来たことすらもしかしたら秘密保持義務で言われないかもしれない。
つまり、刑事デジタル法とは何か。透明人間がやってきて、透明の令状を示し、そして家の中の様々な情報を全部かっさらって持っていくんだけれども、通知がされない。だから、準抗告もできなければ国賠もできない。分からないんですよ、未来永劫分からないんですよ。起訴されて、証拠で出てくれば分かります。でも、そうでなければ、自分がその提出命令で情報を全部抜かれたことなんか分からないんですよ。死ぬまで分からない、死んでも分からない。これ、おかしくないですか。
私は、捜索差押えで準抗告をやって、そして、例えば、国家賠償請求訴訟でこの捜索は違法だったと勝訴判決をもらったこともあります。準抗告があって、そして国賠請求ができるから捜査の適法性が担保されるんじゃないですか。でも、この刑事デジタル法には、根本的な欠陥です、通知が行きません。それは、だから、通知が行かないから準抗告も国賠訴訟もできないんですよ。押収品目録を普通もらいます。ああ、自分の押収品はこれと手紙とメモ二通が押収されたんだなと分かります。でも、分からないんですよ、何が取られたか、取られた事実も取られたものも分からないんです。だから、安穏と家でコーヒー飲んでいる、分からない。これって権利が侵害され、プライバシーが侵害されているのに本人が分からない、権利救済もできない。根本的に問題がある悪法だと思います。盗聴法より悪法じゃないですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、捜索差押えとの関係で申しますと、捜索差押えを受けた方は、今委員、先生御指摘のとおり、受けたことが分かるわけですけれども、例えば第三者との関係で捜索に入ることもあり、その場合に、じゃ、例えば私が被疑者だったと、私の被疑事実との関係で私の家じゃないところに例えば捜索入ったときに、じゃ、それが私のところに通知が来るかといえば、それは通知をするという仕組みにはなっておりません。
電磁的記録提供命令については、基本的にそうした性質のものと同様に考えておりますので、現行法の立て付けと変わらないというのがまず我々の一つ目の考え方でございます。
○福島みずほ君
サーバーには連絡が行っても、その情報の当事者には行かないじゃないですか。現行法の立て付け違いますよ。捜索差押えに関しては、もっときちんとされていて、権利救済できるようになっているのに、それがずるずるずるずると盗聴法以上にされないということです。
削除についてお聞きをいたします。
削除について、これは、通信傍受もろともスポットモニタリングの記録は消去され、捜査機関の手元に残らない。でも、電磁的記録提出命令ではずっと蓄積をされる。盗聴法三十三条三項、盗聴法では裁判所による消去の手続を規定しているが、電磁的記録提出命令については消去に関する規定がない。これ、致命的欠陥ではないですか。
○政府参考人(森本宏君)
若干繰り返しになるところもございますが、通信傍受は先ほど申しましたとおり、一定の期間にわたって現に行われている他人間の通信の内容を知るため、当該通信の当事者のいずれにも事前に告知しないで行うものでございまして、継続的、密行的に憲法の保障する通信の秘密を制約する処分でございます。
こうした通信傍受の性質を踏まえまして、通信傍受法におきましては、裁判所が傍受等の処分を取り消す場合において、当該傍受に係る通信が傍受すべき通信等に当たらない場合には、検察官等に対してその保管する傍受記録の消去を命じることとしているものと考えられます。
これに対して、電磁的記録提供命令は、通信の秘密を制約するという側面はあるとしても、通信傍受と異なり、処分の一時点において既に存在している電磁的記録の提供を命ずるにとどまり、先ほど申し上げたような通信傍受の継続的、密行的に通信の秘密を制約するといった性質の処分ではないことから、電磁的記録提供命令と通信傍受とを単純に比較することはできないと考えており、その上で、現行法の下におきましては、捜査機関が証拠を押収した場合においてその押収処分がその後取り消されたとしても、当該証拠の複製等を廃棄、消去することとはされておらず、直ちに裁判において証拠として利用することもできなくなるともされておらず、最高裁判例によりましては、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地から相当でないと認められる場合に初めて証拠能力が否定されるという取扱いが確立しているところでございまして、こういったことからしますと、御指摘のような消去の仕組みを設けないことは、我が国の刑事法の基本的な考え、御指摘のような消去の仕組みを設けることは、我が国における刑事法の基本的な考え方と整合しないものであるというふうに考えております。
○福島みずほ君
でたらめですよ。盗聴法のときだって、膨大な情報あったりする。だから、それは消去の手続があって、盗聴法二十九条、傍受記録を、傍受した通信を記録した記録媒体等から傍受すべき通信に該当する通信等以外の通信の記録を消去して作成する。そして、盗聴法三十三条三項、裁判所が削除命令やるんですよ。
でも、この刑事デジタル法は、関連しないもの、するものも含めて、ごそっと地引き網的に持っていきながら、それの消去の手続がないんですよ。消去の手続がないんですよ。膨大な情報を持っていってその消去の手続がないのは、この法案の致命的な欠陥の一つです。
今朝の朝日新聞に、捜査の個人情報収集、歯止めがない、削除を求める仕組みがないということが大きく取り上げられています。
個人情報の保護が厳格な欧州では、捜査のために集められた個人情報も監督対象。監督対象もないんですよ。個人情報保護委員会などの権限を拡大して、捜査のこれ、ちゃんとやるべきじゃないですか。EUの一般データ保護規則は、独立した監督機関を設置し、データ削除命令などの権限を付与するよう定めている。欧州データ保護会議は一八年、日本の捜査機関について、不要な個人情報を削除する仕組みが十分でないなどと懸念を示している。にもかかわらず、この刑事デジタル法は、ごそっとやって取っていって、本人に通知もしない、分からない、にもかかわらず、個人のデータが蓄積していくんですよ。
ごそっと取ることは問題です。でも、ごそっと取った後に、関係ないものは削除すべきじゃないですか。答弁が同じだったら結構です。これ削除しないことは本当にプライバシー侵害で一緒じゃないですか。盗聴法はプライバシー侵害するが、いや、過去のものを取るからプライバシー侵害しないなんて、へ理屈ですよ。盗聴法だって一部保存のデータ取るじゃないですか。全く納得がいかない。これ駄目ですよ。きちっとその削除の手続がないことについて駄目だと思います。
盗聴法では捜査機関の濫用を防止するための制度的担保として罰則がありますが、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金、電磁的記録提出命令には罰則の規定もありません。盗聴法については、通信情報の実施状況、国会報告が出されますが、電磁的情報提出命令についても、これ報告すべきじゃないですか、きちっと明らかにすべきじゃないですか。大臣、どうですか。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
政府、済みません、国会への報告ということでありますけれども、まさに、通信傍受法の方については、第三十六条におきまして、政府が毎年、その通信傍受の実施の状況を国会に報告し、公表すると、そうなっております。
これは若干繰り返しになりますけれども、これはやはり、通信傍受においては、継続的、密行的に憲法の保障する通信の秘密を制約をする性質の処分であるということを踏まえて、その運用状況を国会に報告、公表を義務付けるということで、その通信傍受の制度の在り方、そして運用状況についての検討の資料、これは立法府の資料とするためにそうしたことを義務付けているものと考えております。
これに対して電磁的記録提供命令、これも繰り返しで恐縮ですけれども、通信の秘密の制約、ここに当たるケースも当然ありますが、しかし、通信傍受とは異なって、処分の一時点において既に存在をしている電磁的記録の提供を命ずるものにとどまるということで、先ほども刑事局長から申し上げたような継続的、密行的に通信の秘密を制約をする性質の処分ではないと、それは我々の認識でございます。
そして、今の刑事訴訟法上の差押え、あるいは平成二十三年の刑事訴訟法改正によって創設をされました記録命令付きの差押えにつきましても、それらの実施の状況の国会への報告、これは義務付けられていないということがございます。
そうしたことに鑑みても、今回のこの電磁的記録提供命令においてその御指摘のような国会への報告の仕組みを設けるべきなのかということでいえば、我々としてはそれを設けるべきであるという立場には立っておりません。
○福島みずほ君
これ是非、報告をしてください。
盗聴法は通信の秘密を侵すけれども、この刑事デジタル法は余り侵さない、そうかもしれないけれどもなんておかしいですよ。侵しますよ。これからリアルタイムで取るかどうか。でも、繰り返しますが、盗聴法だって過去の保存されたものを聞くんですよ、聞く。それから、当時だって、リアルタイムではSNS取れないから、今までのものも取るって言っていたんですよ。同じじゃないですか。過去のものに遡って取るのと、これからリアルタイムで聞くのと、だって、通信の秘密を侵すことは一緒じゃないですか。それが、何か通信の秘密を侵さないというのは笑止千万、言語道断ですよ。認められません。
捜査のための盗聴法は希代の悪法だと、私たち反対しました。これより悪いじゃないですか。通知もしない、消去もない、裁判所の消去の手続もない、国会への報告もない、罰則の規定もない、ないない、ないないなんですよ。準抗告も国家賠償請求訴訟もできないじゃないですか。通常の捜索差押えだったらできるんですよ。だから、それが適法性担保してきた、やってきましたよ。それを全く無視する、大問題です。
次に、現状の捜索差押えの問題点についてお聞きをいたします。
配付資料をお手元に配っております。これ、差押え、記録命令付差押え、捜索許可状、検証許可状、令和六年、二〇二四年ですね、請求は二十五万三千七百三十六件、却下は四十六件、却下率〇・〇〇〇一八一です。令状ってこれ、自動販売機のようにお金入れたら飲物が出てくるように、令状を請求したら却下されないじゃないですか。〇・〇〇〇一八一なんて誤差にしかすぎない。運が悪かったら飲物が出てこないという状況で、令状主義は機能していないんじゃないですか。
河津参考人は、これで厳格な令状審査が行われてきたと想像することは困難ですと言いました。最高裁、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君)
お答え申し上げます。
件数につきましては個別の判断の積み重ねでございますので、事務当局として所感を述べることは困難でございますが、御指摘の令状請求に関しましては、一定数取り下げられているものがあるほか、また、請求に係る対象物の一部を除外するなどして令状発付がされることもありまして、御指摘の数字のみで令状審査の適正さを評価することは困難であると考えております。
その上で申し上げますが、各裁判官においては、捜査機関から提出される疎明資料を丁寧に点検し、被疑事実の存否、被疑事実と対象物との関連性、強制捜査の必要性等を慎重に判断しているものと認識しております。
○福島みずほ君
保釈がなかなか認められなかったじゃないですか、大川原化工機事件で、がんと分かっていて保釈が認められなかったんですよ。七回、保釈請求却下だったと思います。そのほかのものに比べても、捜索差押えは身柄の拘束をしないせいか、却下率が四十六件しかないんですよ。だから、いやいやいや、令状主義がある、電磁情報提出命令、令状主義があるから大丈夫ということは全く信用できないというふうに思います。
次に、提供情報、提供対象情報の特定についてお聞きをいたします。
衆議院の中で、やっぱり驚くべきことに、森本さんは黒岩さん、柴田さんの質問に対して、関連しないものも入ることがあり得るというふうにおっしゃっていることに驚いています。
まさに、これで関連しないものも押収される、提出命令でいくということでよろしいんですね。
○政府参考人(森本宏君)
本法律案による改正後の刑事訴訟法においては、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状に提供させるべき電磁的記録を具体的に特定して記載、記録することとしておりまして、その令状審査において、裁判官は捜査機関から提出された被疑事件等の内容や捜査状況等についての疎明資料を踏まえ、個別の事案ごとに提供させるべき電磁的記録をできるだけ特定して令状に記載、記録することとまずなります。
そして、このように捜査機関が電磁的記録提供命令により提供を命ずることができる電磁的記録は、裁判官が被疑事件との関連性を認めて令状に記載、記録したものに限定されることになりますのでというふうにまず考えておりますが、その上で、このようにして裁判官が発した電磁的記録提供命令の令状によって提供させた電磁的記録の中に、結果として被疑事件等の立証に直接は用いられないものが含まれることがあったとしても、そのことによって電磁的記録提供命令が直ちに違法、不当の評価を受けるものではないという趣旨の答弁を申し上げました。
○福島みずほ君
今もおっしゃっていますが、森本さんは衆議院でも、被疑事件等の立証に直接的には用いられないものも含まれることはあり得ると答えていて、これ大問題です。
そして、どのような令状が出されるのか。これも衆議院のですが、何年何月から何年何日までの期間を区切って、電話番号、何々番号の電話番号によって送受信されたメールの通信記録及びその内容ということなのか、それとも、いやいや同じ要件に前提条件を加える、本件犯行に関係すると思料されるものという条件を入れてやるのかどうかということなんですが、森本さんはここで答弁で、事業者の人は本件に関係しているか否かということに対する判断がなかなか難しいから、前者ですよね。
だから、結局、森本さんの電話番号の送受信について、何月から何日まで全部と言って取るということでよろしいですね。
○政府参考人(森本宏君)
繰り返しになりますが、まず、それを、今先生がおっしゃったように、期間に、例えば、期間というか、いつからいつまでの通話明細というような形の令状請求が考えられるということを申し上げました。それは、今も全く同じように、有体物で出してもらうという形でやるとしても同じような請求をしておりますけれども、基本的には、例えば通話明細の特定であれば、いついつからいついつまでの、どういう、私の電話番号を書いて、こういう電話番号の通話の方の明細という形で特定することはあり得るというか、そういう形のものが考えられるということを申し上げました。
○福島みずほ君
結局、事業者って分からないから、覚醒剤なのか何なのかと言われても分からないから、何日から何日まで一か月間のこの人のメール、フェイスブック、あるいはLINE、LINEグループ、全部出すんですよね。今の話はそうじゃないですか。だから、物すごい量のものが出ていくし、特定なんか実はないんですよ。
それで、具体的な執行方法についてお聞きをします。
事業者に行ったときには、例えば、じゃ、誰が操作をするんですか。事業者に命じて、今あるように覚醒剤についての通話というのはなかなか取れないと思うので、じゃ、その何月から何日まで一か月間のこの人の分というのを指示して事業者がやるんですか。
○政府参考人(森本宏君)
そこは現在の実務と変わらないというふうに基本的に考えておりまして、現在も通信事業者等につきましては、先ほど言いました、例えばいついつからいついつまでの私の使っている携帯番号の通話明細というような請求をいたしますと。どれが、どれだけのものが取れるかどうかというのは、これはできます、これはできませんというのは、なかなか全部は言い難いということは前回も申し上げましたけど、請求いたしますと、それを向こうが選別して、事業者側が選別して、選別してというか、その期間のものを、通話明細を今は有体物に落として出してくださっているという形になります。
〔委員長退席、理事矢倉克夫君着席〕
それを、この法律案の趣旨でも申しましているとおり、一回一回対面で有体物を出してもらうという事業者の利便性のところも判断するということで、これからは、もし仮に通話明細のようなものであれば、こういう明細をお願いしますという形で電磁的記録提供命令が出ましたのでということで、例えばオンラインで送り、それをデータで送っていただくと、事業者がその範囲、令状を見てそれを特定して送っていただくというような形が想定されております。
○福島みずほ君
一日に千通ぐらいメールもらう人もいれば、何百通もらいますよね。そして、LINEがあったりメッセンジャー、フェイスブックのメッセンジャーグループがある。だから、森本さんのそのSNSの一か月分といったらすごい膨大ですよ。あなたの交流関係が全部出てくるし、関係ないメッセンジャーグループの人もLINEグループもチャットも全部出てくる、どれだけの情報を本当に取るのか。今おっしゃったことでいえばすさまじいことですよ。
それで、事業者が、じゃ、それを、覚醒剤とかできないから、森本さんのSNS、ばあんって送ってくる。じゃ、次に、電磁的記録提出命令が被疑者、被告人を対象としている場合、被疑者、被告人に対する執行はどのような方法でなされるのか。被疑者、被告人が対象となる場合の執行の方法について、法制審議会について、議論はされていません。事業者だったらもうパスワードというのは関係ないから取って全部送るわけですが、本人だと、本人というかその被疑者、被告人だったら、パスワードを口頭で述べさせることもパスワードを書かせることも強制できませんね。どうするんですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、被疑者、被告人に直接命ずるという、捜査機関が令状出たものについて命じたときの執行方法という形で申し上げますと、もちろん、先生おっしゃられたように、供述を求めるというようなことは想定しておりません。
他方で、これも繰り返し御答弁申し上げているところですが、捜査機関側としては、我々の方で視認できるもの、例えば見える状況にして出してくださいということは一応言うことができると考えられていると、そういう令状も発付されるということが考えられますので、例えば、特定されたこの情報につきまして、捜査機関側に見える形で出してくださいということを言って、見える形で出してもらうというようなことが想定されます。
○福島みずほ君
パスワードを自分は言いたくないし提供しない、私は操作をしてそれを出すこともしない、これはオーケーですね。
○政府参考人(森本宏君)
出すことをしないというのはデータをということ。
電磁的記録提供命令が出た場合にデータは出していただかなければならないという形になります。
○福島みずほ君
だから問題だと思います。
自己負罪拒否特権がここで問題になりますが、パスワードを教えろ、あれって言われてパスワードは教えません、これはできるわけですよね。でも、パスワードは教えないけど、おまえは今ここで操作をしてパスワードを自分で入れて出せだったら同じことじゃないですか。俺にパスワードを教えろというのか、おまえが操作しろというだけの違いで、本人は、自分が物すごく犯罪になる、自己に不利益なことは強制されない、憲法の規定じゃないですか。自己に不利益なことは供述させられないし、しなくていいんですよ。参考人の渕野さんとそれから河津さんが両方言いました。そのとおりですよ。
局長、あなたに私はパスワードを教えません。私はあなたに教えないんだから、私が今ここで操作することもしません。同じことじゃないですか。おまえは俺に教えなくてもいいけど、おまえは操作しろというのはおかしくないですか。
○政府参考人(森本宏君)
具体的な場面であなたが操作しろという形になるかどうかは今後の運用のところになりますので一概には言えないと思いますけれども。
〔理事矢倉克夫君退席、委員長着席〕
今先生がおっしゃったところでいいますと、アルコールの呼気検査が有名な最高裁判例でございますけれども、呼気検査をしてくださいと言って、それについて最高裁判例は、アルコールの呼気検査については、自己に仮にそれが結果としてその飲酒の事実が分かるという作用はあるとしても、供述を強要するものでないので、自己負罪特権、憲法三十八条との関係では問題ない、許されるという立場を取っておりまして、私どもはその立場と同じ立場で、電磁的記録提供命令についても、その被疑者あるいは被告人、いや、基本的には被疑者です、被疑者に提供してもらうということについても違法ではないというふうに考えております。
○福島みずほ君
だから問題だと思いますよ、その見解が。何で今回こういう改正法を出したのか。つまり、今、スマホを取ったり、いろいろもう面倒くさい、本人に捜査しろと言っても、本人が拒否したりすると出てこない。だから、もう手っ取り早く、手っ取り早く提出命令出して取っちゃえという捜査側の都合だけじゃないですか。
これ、参考人が繰り返し、二人の参考人が言いました。電磁的記録提供命令と自己負罪拒否特権との関係につき、言語による観念の表出を強いるものではないから呼気検査と同じとの説明がなされていたが、例えばスマートフォンには個人の思想そのものが推知されるデータが膨大に含まれているのであるから、電磁的記録の提供を強制することと呼気検査と同視することはできない。そうですよ。
そして、憲法三十八条一項、自己に不利益な供述、すなわち頭の中にある観念を表出することを強要されない権利というのはあるんですよ。これを踏みにじるものじゃないですか。俺におまえのパスワードを教えろということは拒否できるけれども、おまえがやれということを強制されるんだったら同じことじゃないですか。あなたに教えるか私がやるかだけの違いであって、同じじゃないですか。これ自己負罪拒否特権を明らかに踏みにじるもので、絶対に許すことはできないと思います。
次に、電磁的記録提供命令違反は罰則の対象とされることから、罰則を恐れて必要性、関連性のない電磁的記録まで提供されるおそれがあります。
電磁的記録提出命令によって何が義務付けられ、何が義務付けられないのか、パスワード等を供述する義務がないということは常に教示する必要があるのではないですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、電磁的記録提供命令で、例えば大手通信事業者等が基本的にはメインで、何というんでしょう、主要な相手方として想定されるというふうに思いますけれども、捜査機関におきましてはそうした事業者との間で必要に応じて事前の調整を行った上で行うものですから、当該電磁的記録を提供してもらう場面において、例えば通信事業者にパスワードを強要するようなことはまず想定し難いというふうに思います。
したがって、一律にそういった被処分者に対して御指摘のような教示をすべきというふうには考えません。
○福島みずほ君
個人に対して捜索、押収するときに、スマホを押収したりするときに、パスワードをおまえ入れろと、おまえというか、あなた入れてくださいって言ったりしていますよね。そこで拒否できるって一般の人、思いませんよ。
だから、これは、相手が事業者であれ個人であれ当事者であれ、毎回必ずパスワード等を供述する義務はあなたにはありませんということを教示してくださいよ、だって分からないから。普通の人は、何か言われて、ちょっと自分でそこでパスワードをやって渡しなさい、読めるようにしてくださいと言ったら、ああ、そうかと思ったり、あるいは私にパスワードを教えなさいと言われたら、そうかとやっぱり思いますよ。捜査機関に逆らったら恐ろしいと思っているから言いますよ。常にこれ教示してください。
○政府参考人(森本宏君)
通信事業者の場合には本当にいろんなケース・バイ・ケースで、いろんな情報が考えられますし、本当にいろんなものがあるので、一律に御指摘のような教示をすべきというふうには私ども考えませんが、もっとも、電磁的記録提供命令をするに当たって、捜査当局において電磁的記録提供命令が当該電磁的記録に係るパスワード等の供述を強要するものでないことを含む制度内容の正しい理解を前提としつつ、必要に応じて供述を強要するものでないことを被疑者に、被処分者ですね、済みません、被処分者、個人等の被処分者に教示するなど、その権利を不当に侵害することがないよう適正な運用がなされる必要はあるというふうに考えております。
そこで、改正法が成立した場合には、捜査機関において適切な運用の在り方を検討していくものと承知していますが、法務省といたしましても、今の点も含めまして、通達等により捜査機関に対し、制度内容や運用上の留意事項の周知を図ってまいりたいと、その点は考えております。
○福島みずほ君
今答弁で、あるいは法務大臣は本会議で、必要に応じて供述を強要するものでないことを相手方に教示するなど、適正な運用がなされる必要があると答弁しました。
教示の必要がないのはどのような場面なのか、問題です。相手方が事業者であれば毎回教示する必要はないかもしれませんが、相手方が被疑者、被告人であるときは教示の必要性は常にあると思います。あるんじゃないですか。
○政府参考人(森本宏君)
どういう時点のところでどういう、捜査のどの段階でどういうふうに出すのかによっても変わってくると思います。御案内のとおりなんですが、なかなか一くくりにはできないところはありますけれども、例えば、被疑者、被告人的立場であった方だったとしても、会社犯罪的な形態で会社としても全面的に協力しますというようなパターンというのも幾つもあるわけで、そのような場合に、いやいや、協力します、捜査には協力しますと言っている人に、いやいや、本当は出さなくていいんですよとか、言わなくていいんですよということを常に告げていくかというような問題はあろうかと思います。
ですので、一律にとは申しましたが、先ほど申しましたように、適切な運用、適正な運用がなされるということは大切であると思いますので、そういった意味で、必要に応じて、供述を強要するものではないことを被処分者に教示するなどの運用がなされる必要があるというふうに考えております。
○福島みずほ君
ちゃんと運用してください。あなたには黙秘権がありますと初めに言うように、ちゃんとこれは、あなたは供述をしなくてもいいですということをちゃんと言うべきで、これは徹底すべきだと思います。
電磁的記録提供命令違反の罪の正当な理由がなくという要件の、正当な理由、法百五条の二によって準用される公務上の秘密や業務上の秘密に該当することを理由に提供を拒む場合、これはどうなんでしょうか。憲法三十八条一項により供述を拒む結果として電磁的記録が提供されない場合も含むというべきであるが、その理解でよろしいですか。
○政府参考人(森本宏君)
電磁的記録提供命令違反の罪の正当な理由がなくとは、違法にという意味であるというふうに解しておりまして、明文の規定により電磁的記録提供命令の拒絶権が認められている場合のほか、実質的に違法性を欠くと認められる場合も含まれると考えます。
その上で、どのような場合が正当な理由がある場合に当たるかにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断されるべき事柄であると考えますが、あくまで一般論として申し上げますと、電磁的記録提供命令は、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるにとどまり、供述を強要するものではないことから、自己に不利益な内容が含まれている電磁的記録の提供を命ずる場合を含め、憲法三十一条一項に抵触するものではないと考えております。
そのため、電磁的記録を提供することにより自己の刑事責任を問われる可能性があるとしても、そのこと自体は通常命令違反についての正当な理由には当たらないものと考えております。
○福島みずほ君
これ、命令違反をやって処罰するんですよね。だから、出せやということじゃないですか。
これ、河津参考人と渕野参考人による批判がこの点、参考人質疑でありました。自ら進んで自分の自由を束縛しろと、自己を破壊するような行動をするように迫ることは人権の尊厳に対する侵害である、侵害のポイントは自己に提出させるという点である、不利益記載のある日記を自ら提供させる行為と比較する必要がある。
人は誰も自分に不利益なものを出す必要ないんですよ。だけど、それを処罰、罰則の規定で強制するとしたら、それ人権侵害ですよ。間違っている。自己負罪拒否特権の憲法違反だと思います。だから、これは、おまえは操作をしろと、暗証番号入れてよこせって、絶対に実務上やらないでください。やれないですよ。
次に、電磁的記録提出命令に関して、電磁的記録の期間の定めはありません。森本さんは、これは例えばコンピューターの中に保存されているエクセルファイルなどがあるからと言いますが、幾つもエクセルファイルがあったらどうするんですか。
これ、今回の改正法案、改悪法案には期間の定めがないんですよ。これ致命的欠陥じゃないですか。
○政府参考人(森本宏君)
電磁的記録提供命令を受けるときに、期間というのは、そのデータのいつからいつまでという期間ということでございましょうか。
それらによって特定されるものもあると思いますし、前回も申し上げたんですけど、例えばですけれども、エクセルというのはそのソフトに着目した言い方になりましたけど、物に着目しますと、例えばエクセルで作った仮に住所録というようなものがあって、その個人、AさんとBさんというのが知り合いなのかどうかということが問題になるときに、住所録というものをデータとして差し押さえる必要があるというような場合に、その住所録、エクセルの住所録というのを仮に特定するとすれば、どこの、例えばどこにある住所録とかこのフォルダのとかいろんな特定の仕方あると思いますけど、期間ではない形で特定する場合もあり得る、そういう趣旨で申し上げました。
○福島みずほ君
この電磁情報提出命令は、今日、今日というか、今まで答弁であるように、何月から何日までの森本さんのこの電話番号の送受信全てって取るわけですよね。さっきも言ったように、事業者、サーバーは、覚醒剤とかなんとか言われても分からないから、それを全部ごっそり出す。しかも、これ条文上も期間の定めって別に付ける必要もないとしたら、どこまで取るんですかという話です。
繰り返しますが、そこで、ですから、本件に関係しているか否かのことに対する判断がなかなか難しいから、だから、その何々犯罪とかいうのは入れないわけだし、それから、森本さんも、今日もそうですが、被疑事件等の立証に直接には用いられないものも含まれると、これが本当に問題だと思います。つまり、河津参考人も参考人質疑で言っていましたけれど、ごそっとその人に関する情報を集めるわけですよ。捜査のときに、妹さん、もうじき結婚するんじゃないですか、婚約中ですよねとか、河津さんが言いましたが、子供のときの成績で取調べのときにそれを使うとか、よくあるのは家族のことで、家族がこういうふうに心配している、家族の中に病人の人もいて大変なんじゃないかとか、あるいは、妻はこのことを知っていたら妻も共犯としてやる可能性もあるよとかですね、いろんな形でその人の人間関係で取調べをすることもあるわけです。
内部告発をした人が、公益通報をした人がいたら、その人間を特定し、そのパソコンを全部洗って、その人の交友関係洗って、そしてあることないこと言って、その人が自殺に追い込まれるみたいなことが起きました。同じようなこと、つまり、私が言いたいことは、犯罪の事実だけではなくて、これ政治家なんかはもっとそうですよね、全部のものをごっそり取って、どこかに弱みはないか、どこかに何かはないかというのを取調べとして使う。これ、取調べとして使うだけではなくて、本人は知る由もない、その膨大な情報が警察に集積をどんどんされていって、その消去の仕組みもなければ、監視の仕組みもなければ、報告の仕組みもなければ、裁判所の消去命令もないんですよ。ひたすらため込んでいくという、これは駄目でしょうという、この法案の本当に致命的欠陥だと思います。
検察官が弁護人に対して証拠を、ごめんなさい、証拠書類等の閲覧、謄写の機会を付与するに当たっては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、防御権の制約や手続上の遅延を解消する観点や弁護人の利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限りオンラインによる電磁的記録の閲覧、謄写の方法によることを可能とするとともに、電磁的記録については複写による謄写の方法も認めるべきではないですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、本法律案による改正によりまして、証拠書類や証拠物が電磁的記録である場合に、検察官の選択によりオンラインの方法や電磁的記録を複写する方法による証拠の開示が可能となります。そのことは弁護人の防御準備における利便性の向上に資するものと考えております。
他方で、オンラインの方法や電磁的記録を複写する方法による証拠の開示については、紙媒体による場合とは異なる情報流出のリスク等があるため、これらの方法による証拠の開示に当たっては、関係者のプライバシー等の保護やセキュリティーの確保も重要でございます。
こうしたことから、その場合における検察官による証拠の開示につきましては、関係者のプライバシー等を保護しつつではございますが、弁護人の防御準備における利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限りオンラインの方法や電磁的記録を複写する方法による証拠の開示を認めることが望ましいと法務省当局としては考えておりまして、本法律案が改正法として成立した後には、検察当局においてもこのような観点から適切な運用に努めていくものと承知しており、またそういった形で周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○福島みずほ君
配付資料があります。捜査機関、裁判所、証拠、証拠書類、令状、電子化、マル、被疑者、被告人、電磁的記録の授受も閲覧も不可、弁護人が印刷して差し入れる紙のみ閲覧可、バツというふうに、手続の非対象化、遠隔化でも、オンライン接見の権利なし、一部地域のみ電話による非対面外部交通試行となっていますが、局長、これ、マル、マルとなるということでよろしいんですね。
○政府参考人(森本宏君)
基本的に、ちょっと、この前の委員会でも若干申し上げましたが、刑事訴訟法の立て付けの問題で分かりにくくなっているところはあるかもしれませんけど、今、実務におきましては、検察官請求証拠というのは基本的に検察官から弁護人に直接まず公判前に開示するという形になっておりまして、それについては、今申しましたとおり、オンラインの方法とかによることが望ましいと考えておりますので、先ほど言ったような例外的な、例えば性犯罪とかそういう例外的な場合を除いては基本的にはマルになるというふうに考えております。
○福島みずほ君
捜査機関が収集した証拠も含めて全ての証拠が、改ざんや破棄等をされることなく適切に保管され、一覧性のある形で整理された状態で弁護人に開示される措置を講ずるべきではないですか。
○政府参考人(森本宏君)
捜査機関におきましては、一般に、捜査の過程で取得した証拠につきまして、刑事訴訟法、刑事確定訴訟記録法といった法令等の規定や趣旨に従って適正に取り扱うということとなっているものと承知しておりますけれども、本法律案が改正法として成立した場合にも、こうした証拠が適切に保管、管理されることは重要であること、重要でありますので、捜査機関においては、収集した証拠が改ざん、差し替えや破棄等されることなく適切に保管される措置を講じていくように努めるものと承知しております。
他方で、御指摘のように、全ての証拠について一覧性のある形で整理された状態で弁護人に開示する措置を講ずることにつきましては、これは検察官の手持ち証拠の弁護人への全面開示とか、全て開示するということになると思うんですが、それにつきましては、その仕組みにつきましては、平成十六年の刑事訴訟法改正により証拠開示制度が導入された当時も、長時間掛けて議論された結果、争点及び証拠の整理が十分にされなくなるなどの弊害が指摘されて採用されず、その後の法制審議会におきましても、現行制度の合理性や実際の運用状況に鑑みて現行の証拠開示制度の枠組みを改める必要はないとされたところでありますので、そのような全面的な開示の仕組みを講じるということについては慎重な検討が必要と考えております。
○福島みずほ君
河津参考人が参考人質疑で、証拠の不適正な管理により無罪証拠が隠されることは最近も繰り返されていると言いました。
これ、どう見ますか。
○政府参考人(森本宏君)
基本的には、今申しましたとおり、検察庁といたしましては、警察から送られてきた記録につきましては先ほど言ったような法令に基づいて管理し、かつ、それにつきましては証拠開示の仕組みに従って弁護人に開示するということをしておりますので、そのようなことは基本的にはないというふうに考えております。
○福島みずほ君
いや、実際起きているために、これ、参考人からこういう意見が出たわけです。
電磁的記録による証拠の開示はどのように行われるんですか。
○政府参考人(森本宏君)
まず、改正後につきましては、刑事手続において取り扱われる書類の多くが電磁的記録として管理、今まで紙だったものも含めて、全て紙から電磁的記録として作成、管理されることになると想定されておりまして、電磁的記録そのものが証拠書類又は証拠物として取り扱われることも想定されます。
こうしたことを踏まえて、本法律案においては、証拠書類や証拠物が電磁的記録の場合における証拠の開示の方法等に関する規定を整備することとしておりまして、具体的には、証拠書類や証拠物が電磁的記録である場合における閲覧の機会の付与は、その内容を表示、再生したものを閲覧、視聴する機会を与えること等々の手法を決めておるんですが、先ほども申しましたが、検察官の選択によりまして、弁護人の準備との関係でオンラインによるのが望ましいというふうに申しましたので、オンラインの方法や電磁的記録を複写する方法によって証拠の開示を認めていくという方向性になっていくのではないかというふうに考えております。
○福島みずほ君
電磁的記録である書類の電磁的方法による授受を実現する必要性についてはいかがですか。
○政府参考人(森本宏君)
授受というのは、基本的に、それを弁護人が受け取った後に被告人にという趣旨でございますですね。
電磁的記録の授受や閲覧を身体拘束中の被告人等の権利として位置付けることにつきましては、法制審議会において議論がなされたものの、授受や閲覧に用いる機器について被告人等がこれを破壊するなどして自傷他害行為に用いる可能性があるほか、不正な通信等の防止のための設備が必要になること、電磁的記録の検査のため刑事施設等の業務全体が圧迫されかねないなどの問題点が指摘されて答申に盛り込まれなかったものと承知しております。
こうした議論を踏まえますと、電磁的記録の授受や閲覧を身体拘束中の被告人等の権利として位置付けることは相当でないと考えておりますが、他方で、弁護人等から身体拘束中の被告人等に対し電磁的記録である証拠書類を記録した記録媒体が送付され、それが刑事裁判の遂行上必要不可欠と認められる場合などにおいて、被告人等による自傷他害行為のおそれを含む施設の規律及び秩序の維持や管理運営上の支障について、個別具体的な事情を踏まえて慎重に検討の上、その支障の程度が小さいと考えられるときには、裁量的にその閲覧を一時的に認める余地はあるものというふうに考えております。
○福島みずほ君
駄目ですよ。だって、分からないじゃないですか。被告人、攻撃防御できないですよ。自分のいろんなものはごっそり取られて、そしてそれが自分のものには来ないわけだから、私は一体何なんだろう、どんな証拠があるんだろう、弁護人との打合せも全然できないじゃないですか。それ、駄目ですよ。駄目ですよ。
この刑事デジタル法は捜査のために都合よく作られていて、全部取っちゃうぞという。そして、本人が暗証番号教えないと言ったところで、それでも、そんなことなんかなくても、おまえがやれといって、取っていくぞ、全部取っていくぞと取っていって、不服申立ても本当にできないような形になる。にもかかわらず、取ったものが、被告人、それ、被告人とまさに弁護人の間でそれができなければ、攻撃防御ができないじゃないですか。
オンライン接見の環境整備はどう考えていますか。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
お尋ねの今オンライン接見、この環境整備ということでありますが、刑事訴訟法上の権利という位置付けではありませんが、我々としても、その必要性の高いそういった地域があるということは重々認識をしておりますので、そういった意味から、その実務的な運用上の措置として、これまでも一部地域において検察庁や法テラスと拘置所との間のオンラインによる外部交通、この実施をしてきたところであります。
現在、更に弾力的にその実施を拡大をしていくように、関係機関とあるいは日本弁護士連合会との間での協議、これを実施をしておりますし、そういった意味で、その協議の結果、これ踏まえまして、我々としても、本年度、オンラインによる外部交通実施のための環境整備経費、これを計上していて、今後も、各地域の実情、これに応じて、これ各地域の弁護士会ともいろいろ、日本弁護士会連合会を通じていろいろ情報をいただいていますけれども、そういった相談もさせていただきながら、各地域の実情に応じて順次拡大をする、そういった方針でいるところであります。
○福島みずほ君
ビデオリンク方式による証人尋問ですが、実効的な反対尋問権を侵害する、証人の態度を観察することが困難になるという問題があります。
渕野参考人が、共犯者的立場の証人は対面での反対尋問権を保障する必要性が一層高いが、共犯者的立場の証人の証言を切り崩されることを妨害する目的で悪用される危険があると言いました。そのとおりだと思います。
そして、今日、私、二点ちょっと確認させてください。
森本局長は言っているように、提出命令にその被疑事実、覚醒剤とか書いたって事業者は分からないわけだから、覚醒剤とか被疑事実書かないんですね。
○政府参考人(森本宏君)
電磁的記録提供命令……(発言する者あり)命令にですか。請求書、済みません。
○委員長(若松謙維君)
質問をもう一度お願いします。
○福島みずほ君
済みません、失礼しました。
恐らく、提出命令と令状には例えば覚醒剤とか書くんだと思うんですが、何を押収するかというときに、何を差し押さえるかというときに、何月何日から何日までの森本さんのSNS全てと書いてあって、麻薬に関する件とかは書かないということでよろしいんですね。
○政府参考人(森本宏君)
まず、そのデータが、全てのというのがどこまでの範囲なのかというのによりますけれども、例えば通話明細を請求するとすると、命令の中ではこういうものを提出してくださいというその提供すべきもの、データが書かれているということになりますので、そこの命令書に、覚醒剤の事実で捜査しているとして、覚醒剤という記載があるかということではないんですか。済みません。
○福島みずほ君
私が質問しているのは、事業者は、覚醒剤と書いてあっても、このメールは覚醒剤なのか、このフェイスブックのメッセンジャーは覚醒剤なのか分からないから、結局、覚醒剤事犯についての提出命令かもしれないけれど、何月何日から何日何時までの森本さんのSNSについての記録という形で取るんですねという確認です。
○政府参考人(森本宏君)
失礼いたしました。
実際にどこの事業者との間でどういうものが取れるかという問題がちょっと裏にあるものですから、今のような形で正直言って多分令状請求することは難しいんですが、ただ、SNS一切じゃなくて、例えば通話明細に、済みません、限定させていただきますけど、通話明細取るときに、その今おっしゃったような、何か覚醒剤ということは分からない、で、いつからいつまでの私の通話明細と、こういう、私の発信番号の通話明細という形の特定になろうかと思います。
○福島みずほ君
だから、とんでもないんですよ、改めて言いますが。つまり、事業者は、これが覚醒剤か何かというのをそんな選別とかはできないし、その場でもできないから、結局、森本さんの何月何日から何日何時までの通話一切と取ったら、もうごそっと地引き網じゃないですか。関係ないものも取ることがあり得るとあなた答弁して、し続けているけれど、関係あるものとないものでも、関係ないものがほとんどで、そういうものがごっそり取られることが本当に問題だと思います。
この間、田島委員から、四月二十四日の法務委員会で、法制審議会の部会の委員長、幹事の構成が不公平なのではないかという意見がありましたが、そのとおりだと思います。研究者の委員、幹事は法務省事務当局の提示した案への批判的意見は述べず、研究者委員、幹事の間で議論が交わされることもなかった。委員、幹事の人選の在り方を見直す必要があると思います。
そして、まさにこの法案は……
○委員長(若松謙維君)
時間過ぎておりますので、質問は簡潔にお願いします。
○福島みずほ君
分かりました。
不服申立てができない、知る由がないというところが、根本的にそれも致命的欠陥であり、今日の質疑の中で通話全部取っちゃうんだということも分かって、これは本当にひどいと思います。悪法です。盗聴法より悪法ですということを申し上げ、私の質問を終わります。
※本議事録は未定稿です。